2022年8月15日に発表された、Abalance株式会社2022年6月期決算の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:Abalance株式会社 代表取締役社長 光行康明 氏

1. Abalanceグループ概要

光行康明氏:Abalance株式会社、社長の光行です。本日は、当社の連結決算の概況についてお話しいたします。併せて、今後の見通しや中長期戦略にも触れますが、その前に、簡単に当社の概要についてご説明いたします。

当社は、2000年4月にIT企業として設立しましたが、現在は、太陽光パネル製造事業、グリーンエネルギー事業を主軸とした再生エネルギーの総合カンパニーを形成しております。その他、建設機械、IT、ヘルスケア(光触媒)等の事業も行っております。

Abalance社は、ホールディングカンパニーであり、主な子会社としてWWB社、ベトナムのVSUN社等の企業を持ち、製粉製造設備、配合飼料製造設備で国内首位の明治機械(東証スタンダード)は、持分法適用会社であります。

Abalance社は現在、東証スタンダード市場に属し(証券コード3856)、2022年6月期の連結売上高は924億円、総資産は851億円です。後ほどご説明しますが、今期2023年6月期の予算規模は、初めて1,000億円を超える見込みの成長企業です。

2. 連結概況【2022年6月期決算】

2022年6月期のグループ業績について、連結売上高は、前期比655.3億円増の924.3億円と、大幅に更新しております。段階損益は、前期比二桁増を達成し、営業利益は16.9億円、経常利益は15.1億円、親会社株主帰属利益は8.6億円を計上し、増収増益となりました。

2021年6月期の第2四半期から、VSUN社の太陽光パネル製造事業をグループ連結化したことを契機に、連結業績が大きく拡大しております。VSUN社において、欧米向けの太陽光パネル販売が想定を大きく超えて推移しました。一方で、コロナ禍やウクライナ危機に伴う部材価格、海上輸送費が高止まりの中で、生産効率化や価格転嫁等の対応を迅速に行った結果、増収増益を確保することができました。

グリーンエネルギー事業では、フロービジネスを継続しつつ、M&Aをテコに、売電収入を収益源とするストック型のビジネスモデルを力強く推進しました。各セグメントについて、詳細にご説明いたします。

2-1. 太陽光パネル製造事業(VSUN社)

当社グループでは、ベトナムに太陽光パネル製造工場があり、グローバルなサプライチェーンを構築している点に、強みを持っております。VSUN社の業績について、売上高は前期比289パーセント増の817.7億円、セグメント利益は前期比69パーセント増の12.3億円となりました。

現地ベトナムのロックダウンは、2021年9月に解除され、その後、売上高は大幅に回復し、製造用部材・海上輸送費の断続的な高騰化の影響については、生産体制の見直しや、順次、価格転嫁を推進して対応を図りました。欧州向けは、2月のウクライナ危機によるエネルギー不足の影響もあり、結果として受注増につながっております。

VSUN社の工場生産・操業状態は、コロナ禍の影響を受けましたが、全社をあげて、正常稼働の維持に努めました。なお、VSUN社の年間生産能力は、現状2.6GWで、日系最大規模となっております。受注増に対応するため、さらに新工場への設備投資により、生産拡大に対応していく方針です。

2-2. VSUN社のIPOについて

成長資金の獲得、ブランド向上、優秀な人材確保等のため、ベトナムの「UPCoM店頭市場」への株式上場について、準備を進めてまいりました。現在は、株式上場の前提条件となる、ベトナム証券取引法における公開会社制度への登録のため、ベトナム当局へ必要書面を提出済みで、審査中の状況にあります。

公開会社制度への登録審査終了後に、ベトナム「UPCoM店頭市場」への上場の手続きに入りますが、早期実現のため、グループとして今後も尽力してまいります。さらに、「UPCoM店頭市場」へ上場後には、ホーチミン証券市場、ハノイ証券市場への指定替えや、他国の証券市場も含めたIPOを検討してまいります。

2-3. グリーンエネルギー事業(WWB, バローズ)

グリーンエネルギー事業ですが、太陽光発電所の販売と物販の「フロー型」と呼んでいる事業、売電収入・O&M収入の「ストック型」の事業が、ともに対前期の実績を超過して着地しました。具体的には、売上高が前期比92パーセント増の102.3億円、セグメント利益が19パーセント増の12.0億円と、増収増益となりました。

売電収入は、約4年前には僅少でしたが、安定収益のため自社保有化の方針をとり、当期はO&Mと合わせて26.5億円を計上できました。当期は、自社保有化と物件の仕入れ能力を強化するために、M&Aを積極的に実行しております。今後も事業拡大のため、バリュエーションを適切に評価した上で、M&Aを検討してまいります。

3. 2023年6月期 業績予想(2022年8月/公表)

2023年6月期の業績予想については、太陽光パネル製造事業、グリーンエネルギー事業を中心に予算編成を行いました。結論から申し上げますと、売上高1,100.0億円、営業利益29.0億円、経常利益28.1億円、親会社株主帰属利益12.8億円としております。

太陽光パネル製造事業は、前第3四半期、第4四半期から引き続き好調な受注の一方で、長引くコロナ禍やウクライナ危機などの影響があり、世界のサプライチェーンが落ち着きを取り戻すには依然として、不透明感があります。

部材価格の高騰化や、コンテナ船の輸送費の高騰化に対して、生産体制の効率化とともに、年明けから本格的に客先への価格転嫁を推し進めてまいりました。2023年6月期は、利益改善に向けて、これらの対応が功を奏するものと考え、予算化しております。

グリーンエネルギー事業については、トップラインとしての売上を作っていくために、フロービジネスを行いつつ、自社保有化の方針は継続いたします。売電収入は、2023年6月期に30億円超の水準を見込んで、予算編成しております。具体的な数字は、表中をご参照ください。

4. 中期経営計画について(2021年10月/公表)

当社グループは、昨年の10月に中期経営計画を発表しております。2022年6月期は中期経営計画の初年度に当たりますが、最終年度の2024年6月期の連結売上高を前倒しで達成することができました。

これを受けまして、先月の9月下旬に中期経営計画の上方修正を発表しております。成長戦略や重要施策の骨子などに変更はありませんが、脱炭素化の大きな流れは長期的なものと考えられ、VSUN社の生産体制・品質管理体制の高度化とともに、太陽光パネル生産能力の増強を行うことで、さらに業績拡大を図ります。

国内事業についても、自社保有化を中心に、当初の中期経営計画に即した成長を図ります。以上から、2024年6月期の売上高は1,500億円、営業利益は45億円、経常利益は38億円へと上方修正しております。

4-1. グループ企業価値向上への強化施策

企業価値の向上については、お示ししたような強化施策を実行する方針です。具体的には、まず、グループの中心的なエンジンであるVSUN社のさらなる成長と、利益率の改善を図ります。

世界的な需要拡大に対しては、第4工場などの設備投資を実行していく計画です。IPOに関連して、VSUN社については、ベトナムのUPCoM店頭市場への株式公開をできるだけ早期に実現してまいります。

次に、近年、SBT・RE100等の目標を掲げ、脱炭素化を目指す企業が増えているほか、東京都をはじめ自治体でも脱炭素化を志向する動きが活発になっております。こうした新たな事業機会に対して、将来の収益機会を確保するために、自家消費案件(ノンフィット、ノンファーム) の推進強化、 ソーラー・シェアリング提案を推進してまいります。

また、前期に続き、再生エネルギー分野を中心としたM&Aを積極的に実行していく方針です。その他、次世代のエネルギーを担うと期待される水素分野における開発の推進や、再生エネルギー分野で連携できる有力プレイヤーとの提携やパートナーシップも進めてまいります。

次に、経営管理においては、多様な資金調達手段として、ファンドスキームやESGマネーの取り込みなども推進いたします。自己資本比率については、この後解説させていただきます。

市場再編については、スタンダード市場からプライム市場への指定替えを目指します。IRについては、機関投資家との対話をより重視するとともに、ESGレーティングを意識したTCFDなどの情報開示、外国人投資家を想定した英文開示を拡充いたします。

5. ROE/自己資本比率について

当年度の当期純利益率(ROE)は、17.4パーセントと昨年に引き続き高い水準を維持しております。自己資本比率は7.0パーセントとなりましたが、これは発電所の開発にデッド調達を行ったために低下したものであり、プロジェクト資金の返済原資については、売電収入でカバーされております。

参考値として、VSUN社分を除く国内の総資産のうち、国内の発電所投資案件プロジェクト見合いの借入部分を除いた数値に対する、仮の国内純資産比率を算出すると、30.4パーセントとなっております。

財務健全性の観点から、自己資本比率の向上を図るため、今後、事業成長に伴う内部留保の積み上げと、希薄化に留意しての資金調達の多様化について、検討してまいります。

6. 株主還元について

最後に、株主還元ですが、中間配当においてはコロナ禍にご支援いただいた株主のみなさまへの感謝の意を表しまして、従来の普通配当7円に、特別配当1円を加えて、計8円の中間配当としております。安定的な配当の観点から、期末配当は1株当たり10円で株主総会の決議を行っております。

また、企業価値向上への強化施策を今後実行することにより、株主のみなさまへキャピタルゲインによる株主還元を図ってまいります。

以上、Abalanceグループの2022年6月期、連結決算の概要について、ご説明いたしました。今後も、よろしくご支援を賜われれば幸いです。ご清聴、ありがとうございました。

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