2022年10月19日に発表された、株式会社メディカル一光グループ 2023年2月期第2四半期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:株式会社メディカル一光グループ 代表取締役社長 南野利久 氏
株式会社メディカル一光グループ 上席執行役員 財務・IR部長 遠山邦彦 氏
連結業績ハイライト
南野利久氏(以下、南野):それでは、説明会を開始させていただきます。まず、連結業績についてです。スライドの表は3期分の連結業績の比較です。
2023年2月期第2四半期の売上高は169億7,800万円で、前期比1パーセント増、期初計画比2パーセント減となっています。
経常利益は5億9,800万円で、前期比12.3パーセント減、期初計画比13.3パーセント減となりました。四半期純利益は3億7,400万円となり、前期比15.8パーセント減、期初計画比18.7パーセント減となっています。
連結売上高
セグメント別の売上高をご説明します。調剤薬局事業は、前期の113億3,600万円から今期は115億8,000万円となりました。ヘルスケア事業は、前期の39億3,500万円から今期は39億100万円となりました。
医薬品卸事業は、前期の14億2,400万円から今期は14億200万円となりました。不動産事業は、前期の1億1,600万円から今期は9,400万円となりました。
その結果、トータルでは前期の168億1,200万円から今期は169億7,800万円となり、売上は微増にとどまりました。
連結収益
セグメント別の純利益をご説明します。調剤薬局事業は、前期の4億1,900万円から今期は4億200万円となりました。ヘルスケア事業は、前期の1億5,600万円から今期は8,100万円となりました。医薬品卸事業は、前期の4,800万円から今期は1,700万円となりました。
その結果、トータルでは前期の7億8,100万円から今期は6億2,400万円となりました。
当社の主力事業である調剤薬局事業、介護事業ともに公定価格で運営されています。私個人の意見ですが、我々の事業は「デフレに強くてインフレに弱い」ことを実感しています。
価格転嫁はできませんし、デフレは買い手優位、インフレは売り手優位となりますので、消耗品や光熱費などの値上げによってこのような結果になりました。
また、ヘルスケア事業では、数件の施設で新型コロナウイルスのクラスターが発生しました。そのため、新規の入居者をセーブした影響で収益低下となりました。
セグメント別業績(調剤薬局事業)
調剤薬局事業についてご説明します。処方箋枚数は前期比0.6パーセント増となりました。これに伴い、売上高も前期比2.2パーセント増となり、スライドの表に記載のとおりの数字となっています。収益面においては先ほどご説明したとおりです。
調剤薬局事業の概況①
スライドの折れ線グラフは、当社の処方箋枚数の3週間分の移動平均を示したものです。灰色の折れ線グラフはコロナ禍前の推移で、薄い水色の折れ線グラフがコロナ禍1年目の推移です。まだまだコロナ禍前の数字までは戻っていませんが、1年前、2年前と比べると随分改善したと見ています。
調剤薬局事業の概況②
スライド左側の棒グラフは処方箋枚数を示しています。コロナ禍前は96万6,000枚でした。コロナ禍により大きく減少しましたが、徐々に回復してきています。
調剤売上高は、スライド右側の棒グラフで示したとおりです。薬価改定などで薬剤の売上が減少しましたが、商品が入れ替わったことにより、処方箋1枚当たりの単価はあまり変わらずに推移しています。
調剤薬局事業の概況③
調剤薬局の店舗数です。現在94店舗を運営していますが、6年前の2017年2月期とまったく同じ店舗数です。
この間に12店舗の閉局と12店舗の開局がありましたが、スクラップ&ビルドにより効率の良い店舗に置き換わったため、売上高が減少することはありませんでした。
調剤薬局事業の概況④
調剤薬局事業と介護事業のシナジーについてです。当社は今年2月に、居宅療養管理指導に特化した「ヘルシー薬局」を開局しました。
近年は高齢化が進み、自宅や施設などで療養生活を送る方が増加しています。そのような患者さまに対して薬剤師が直接医薬品を届けて、服薬指導や管理をするための専門の薬局となっています。
今後は団塊の世代の高齢化に伴い、施設へ入る方が増加する見込みです。そのため、各薬局で療養管理指導を進めていきたいと考えています。
セグメント別業績(ヘルスケア事業)
ヘルスケア事業についてです。先ほどお伝えしたとおり、上期には通所介護事業所や複数の有料老人ホームにおいて新型コロナウイルスのクラスターが発生し、その影響を受けました。入居率が下がったことによる売上減少に加え、経費が増加したことにより減益となっています。
一方で、処遇改善と社員の定着を目的とし、労務費・人件費が増えています。また、施設運営に不可欠な光熱費が高騰したことで、利益を押し下げるかたちとなりました。
ヘルスケア事業の概況①
ヘルスケア事業の概況です。最も東側となる愛知県に14施設、西側の島根県・鳥取県・広島県で11施設、さらに三重県でも11施設を開設しています。この地域でドミナントを展開していきたいと考えています。
ヘルスケア事業の概況②
ヘルスケア事業の形態別の事業数です。有料老人ホームは34施設、サービス付き高齢者向け住宅が1施設、グループホームが7施設の合計42施設となっています。入居定員数は1,417名で、8月末時点では1,219名の入居者がいます。
入居率は86パーセントで、3年前に比べると3ポイントほど下落しています。理由は、コロナ禍におけるクラスターの発生により、入居者を制限したためです。
セグメント別業績(医薬品卸事業)
医薬品卸事業についてです。ジェネリック医薬品は薬価審査で非常に厳しい環境に置かれており、ジェネリックメーカーも業績が悪化しています。そのため、売上が下がり、原価が上がった影響を受けています。
医薬品卸事業の概況
現在は、三重県、岐阜県、滋賀県、愛知県の医療機関に対し、ジェネリック医薬品の卸業を展開しています。
セグメント別業績(不動産事業)
不動産事業に関しては、前期に6,500万円だった税引前利益が1億2,900万円となりました。これは一部の賃貸物件を売却したことで利益につながったためです。
2023年2月期 通期業績見通し
遠山邦彦氏:財務・IR部長の遠山でございます。まず、通期業績の見通しと成長戦略についてです。
通期業績見通しについては、スライドに記載のとおりです。今後、修正が必要と判断した場合にはすみやかに開示していきます。
成長戦略
成長戦略についてです。当社の強みを活かした経営を着実に行っていきます。足元ではM&Aの実績は特段ありませんが、引き続きM&Aについて積極的に取り組んでいく考えです。調剤薬局の新規出店に関しては強化していきます。
連結貸借対照表(資産の部)
財務指標などの概況です。まず、連結貸借対照表の資産の部についてご説明します。今中間期の現預金は70億2,700万円です。前期末である2022年2月期と比較した表になっていますが、2021年2月期の現預金の水準と同じため、こちらを軸にお話しします。
現預金は前々期とほぼ同じですが、売上が増えていることにより、売掛金と商品の在庫が増えています。一方で、建物・構築物とのれんは償却が進んでいるため減少しています。総資産も前々期と比べて若干減っている状況です。
連結貸借対照表(負債・純資産の部)
連結貸借対照表の負債と純資産の部についてです。短期借入金と長期借入金について、約定返済が着実に進み、新規調達も抑えているため減少しています。また、利益の蓄積により、株主資本と純資産が着実に積み上がっています。
資産の部と負債・純資産の部を簡単に総括すると、財務体質は着実に強化されつつあると考えています。
連結キャッシュ・フロー
連結キャッシュ・フローについてです。主な増減を数字で示していますが、先ほどの資産の部と負債・純資産の部のご説明と重なります。最終的に現金及び現金同等物の四半期末残高は減少していますが、借入金の返済を進めたことが大きな要因となっています。
有利子負債と資産・収益のバランス
有利子負債と資産・収益のバランスについてです。有利子負債は102億6,100万円ですが、現預金は70億2,700万円のため、ネットで考えると32億3,400万円となります。
また、投資有価証券が10億9,200万円で、賃貸不動産は簿価ベースで13億5,800万円のため、これらを換金可能な資産と捉えると、ネットで7億8,400万円となります。
これに対して第2四半期のEBITDAが8億8,300万円あるため、その範囲内に十分収束しているというデータとなっています。
業績および資産・負債等の推移
スライドの表は通期5期分の業績および資産・負債などの推移と、前中間期と今中間期の比較となっています。お伝えしたとおり、売上は微増ですが、利益が若干減少しています。一方で、財務は着実に改善されつつある状況です。
主な経営指標の推移
主な経営指標の推移です。利益率が若干低下している一方で、自己資本比率は41.2パーセントと改善しています。また、借入金は減っていますが、減益の部分がありますので、EBITDA有利子負債倍率は3.7倍になっています。
配当政策
最後に配当政策です。2023年2月期の普通株式の1株当たりの配当金は40円を予定しており、期初の予定どおりです。配当性向は通期20パーセントを目安に検討していく方針です。
質疑応答:下期の利益について
質問者:通期に関して、下期で利益が盛り返すことになる要因を詳しく教えてください。
南野:上期は売上高が期初計画比2パーセント減となりましたので、下期に必ずしも回復する計画ではありません。通期については今ここで申し上げるわけにはいきませんので、今後発表できる機会があればあらためてお伝えしたいと思います。
質疑応答:新型コロナウイルスの影響について
質問者:社長の実感として、新型コロナウイルスの影響やしわ寄せはどのようなところに一番及んでいますか? また、新型コロナウイルスは収束していると言ってもよいのか、収束後はどのようなかたちで進めていくのかを教えてください。
南野:まず、介護事業からご説明します。有料老人ホームでのクラスターの発生により、デイサービスの利用客が前年同期に比べて減少したり、新しい入居者を受け入れることができなくなりました。
今後もそのような状況になれば影響が出ると思います。ただし、入居者の方は一度かかったことで抗体が作られていくため、最近はクラスターの懸念はほとんどなくなってきています。
次に、調剤薬局事業への影響です。一部でオンライン化が進んでいくと思われます。若い患者さまや急性期の方、忙しい方はわざわざ診療所へ行かずにオンラインで済ませる人もいますので、それがどのように影響するのかはなかなか読み取れません。
一方で、外来患者数は相対的に減っていますので、外来患者だけを扱っている調剤薬局は徐々に減っていくと考えています。