2022年10月13日に発表された、ビーウィズ株式会社2023年5月期第1四半期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:ビーウィズ株式会社 代表取締役社長 森本宏一 氏
ビーウィズ株式会社 取締役副社長執行役員 飯島健二 氏

1 2023年5月期第1四半期 決算概況

森本宏一氏:ビーウィズ株式会社代表取締役社長の森本でございます。本日はお忙しい中、オンライン説明会にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。それでは、2023年5月期第1四半期の決算概況についてご説明します。

2023年5月期第1四半期 ハイライト

第1四半期のハイライトです。業績面については、前期比で増収減益という結果になっています。売上高は、新規受注したコンタクトセンター・BPO事業の継続案件の受注が増加したことを主因に、増収となりました。

一方で、前期の第1四半期に比べて、今期の第1四半期は新型コロナウイルス関連等で計画されていたSPOT案件の売上が少なく、その影響が業績に表れています。

デジタル事業の「Omnia LINK(オムニアリンク)」の主要KPIは、順調な滑り出しとなっています。受注数・ライセンス数ともに伸びており、今期分の受注ストックも順調に積み上がってきている状況です。

コンタクトセンター・BPO事業については、この第1四半期に、成長のための先行投資を計画どおり実行しています。主に新センターの開設、採用と教育、そして新たにBPOサービスの高度化を実現するシステムの開発など、ビジネス基盤を強化し、成長のための事業基盤が整ってきています。

決算概要(2023年5月期第1四半期)

決算の詳細です。売上高は80億4,200万円、前年比3.1パーセントの増収、営業利益は1億8,800万円、前年比71.2パーセントの減益となりました。計画比においては大きな乖離ではないものの、売上高の弱さが少し見受けられます。

要因として、第1四半期は新型コロナウイルス関連のSPOTで経済復興などの案件を一部計画に見込んでいましたが、これらが弱かったことが挙げられます。併せて、売上高の弱さに起因した利益の遅れも若干生じています。また利益面では、第1四半期に集中的に先行投資を行っており、ビジネス基盤が整うことで、今期のこの先の成長につなげていく考えです。

以上が、第1四半期の特徴とサマリーです。なお、今後のSPOT需要に対しては、第2四半期以降にパブリック関連等のSPOT案件をキャッチアップすることを想定しており、通期計画達成に向けて取り組んでいきます。

2 2023年5月期第1四半期 決算詳細

決算詳細については、飯島からご説明します。

増減分析(前年同期比)

飯島健二氏(以下、飯島):第1四半期の詳細についてご説明します。スライド左側のグラフは、売上高の対前年の増減理由です。コロナSPOT案件の減少が5億円あった一方、足元の継続案件は確実に積み上がっており、新規顧客獲得で3億円、既存の規模拡大で4億円を獲得し、結果として80億円となりました。

スライド右側グラフは、営業利益の対前年の増減理由です。まず、売上高拡大に伴う利益の増加でプラス1億円です。コロナ禍における各種影響については、コロナ案件の減少及びコンタクトセンターの感染拡大による欠勤者の影響、また、濃厚接触者への休業補償により、2億2,000万円の減少となっています。

また、今期の計画達成に向けた成長投資として、横浜第四センターへの新設投資で1億2,000万円、CXプラットフォームの開発で1億1,000万円、営業・開発人材の採用で6,000万円の減少です。ここまでの合計で2億4,000万円の営業利益ですが、今期より追加となった資本金の増加に伴う外形標準課税を差し引くと、最終的な営業利益は1億9,000万円となりました。

四半期業績推移

四半期の業績推移です。売上高は前四半期比で減少しています。また、営業利益は先ほどお伝えしたとおり、成長投資と売上高減少要因により減少しています。

足元の取り組み

足元の取り組みのポイントをご説明します。まず、重点戦略グループであるライフライン、金融、流通、情報通信の売上高成長率は、ほとんどが前年同期比で10パーセントを超える成長で健闘していますが、もう一段階上の成長が必要と考えています。一方、官公庁案件の獲得遅延により、その他のカテゴリは、前年比マイナス12.0パーセントとなっています。

スライド右側のグラフは、SPOT売上高比率の推移です。当社はSPOT比率の目安を設定し、その付近でコントロールする方針です。SPOT比率は、四半期単位で見ると少しボラティリティが高いため、本来は通年を通して判断するものですが、ご覧のとおり、第1四半期は大きく減少しています。

今後の対策としては、重点戦略グループのさらなる案件の獲得、そして官公庁を含む収益性の高いSPOT案件の獲得の2点が大事なポイントになってくると思います。

貸借対照表及びキャッシュ・フロー計算書

貸借対照表及びキャッシュ・フロー計算書については、スライドに記載のとおりです。

[再掲] 2023年5月期 通期連結業績予想

前期の本決算時に発表した資料の再掲ですが、今期の通期連結業績予想です。2023年5月期の業績予想に変更ありません。通期での達成を目指して、引き続き取り組んでいきます。

[再掲] 2023年5月期 通期業績予想(コスト・利益)

こちらも前期の本決算時にご説明した資料の再掲ですが、今期の投資計画についてです。成長投資のうち、斜線の部分は上期投資予定となっています。

今期の投資計画は、上期に重点を置いています。なお、スライド中段に記載している横浜第四センターの新設や、CXプラットフォームの開発等は滞りなく進んでいます。

3 KPI進捗状況 (Omnia LINK外販)

ここからは各種KPIについてお伝えします。まずは、「Omnia LINK」のKPIです。

Omnia LINK 外販ライセンス数・ARR

「Omnia LINK」の外販ライセンス数は、前年比でプラス44.8パーセントの1,225ライセンスとなりました。第1四半期で172ライセンスを出荷し、受注残については、前四半期末と同水準の500程度を維持しています。これは「Omnia LINK」の外販が順調に受注につながっていることを示しています。

好調の要因は2点あります。1つ目は、営業体制を強化したことです。2つ目は、外部環境です。海外の競合である米国のPBXメーカーでは、財務状況や株価などに少なからず不安もあるようで、それが当社製品にとっては追い風となりました。

結果として、ARRはライセンスの増加に伴い2.6億円となっています。

Omnia LINK 外販オプション付与率・ARPU

「Omnia LINK」外販のオプション付与率とARPUです。オプション付与率は新規ライセンスが増えていることで低下しています。オプション付与率は、主には音声認識のオプションの割合のことです。この指標は、新規利用開始時は音声認識のオプションなしで始まりますが、利用開始から一定期間経過後に段階的に増加する傾向にあります。オプション付与率の低下によって、ARPUも減少しています。

現在は新規契約数が大きく伸び始めているために、オプション付与率・ARPUともに減少に転じています。この先さらに新規契約数の拡大が継続していくため、オプション付与率とARPUがどの程度の水準で落ち着いていくのか、当社としても見定めている状況です。

4 KPI進捗状況 (CC・BPO事業)

次にコンタクトセンター・BPO事業のKPI進捗状況についてお伝えします。

保有ブース数とOmnia LINK内部利用状況

保有ブース数は、7月に約580席の大型センターである横浜第四センターを開設し、6,694席となりました。スライド右側の「Omnia LINK」の内部利用占有率は72.2パーセントとなっています。

SV等管理者人数とデジタル活用効果

SV等の管理者人数は、前年比で201名増加しています。スライド右側の四半期ごとのデジタル活用による削減時間は、対象業務が閑散期に入ったことで減少していますが、足元では効率化が進んでおり、大きな問題ではないと捉えています。

在宅オペレーション状況・在籍者推移

コンタクトセンター・BPO事業のKPIです。在宅オペレーションは1,276名となり順調に増加しています。また、右側のグラフにあるように、在籍者数と退職率も堅調に推移しています。

5 2023年5月期第1四半期トピックス

最後に、第1四半期のトピックスについてお伝えします。

長崎のIT企業 (株)ドゥアイネットを子会社化 (1/2)

すでに9月22日に適時開示しましたが、このたび、長崎のIT企業であるドゥアイネットを子会社化しました。ドゥアイネットは開発力が高く、人材育成に積極的な会社です。

子会社化の目的は、大きく3点あります。1点目がドゥアイネット社と共同企画している「映像音声を活用したソリューション」を通じた地域のデジタル化への貢献、2点目がコンタクトセンター・BPO事業でのデジタル開発、3点目が、長崎にあるデジタルラボ長崎という開発拠点に所属するエンジニアの育成です。これらを通じて、当社グループのデジタル開発力の強化につなげていきたいと考えています。

長崎のIT企業 (株)ドゥアイネットを子会社化 (2/2)

参考情報として、当社は長崎で「デジタルを活用した地域課題の解消」をテーマにデジタルコンソーシアムを運営しており、2019年よりドゥアイネットには参画いただいていました。デジタルコンソーシアムでは、自治体や学校などにも参画いただいており、デジタルを通じて長崎での課題を解消していくことを目指しています。

今後も引き続き、各ステークホルダーと連携しながら、地域での活動を活性化させていきたいと思っています。

質疑応答:コロナ案件の減少について

質問者:コロナ案件の減少がありましたが、どのような案件で、どのような理由で取れなかったのか、そして今後、通期で見た時にそれは取り戻せるのか、もう少し具体的に教えてください。

飯島:まず、コロナ案件の減少について、足元でもワクチン関連の仕事などを行っていますが、当初は経済復興系の「Go To トラベル」や、今まさに始まっている旅行支援のような仕事を想定しており、これが全国的な感染状況拡大もあり遅延しています。

そしてコンタクトセンター・BPOの現場では、感染拡大に伴う欠勤や濃厚接触者の休業補償などから、利益面では一定のマイナスインパクトがありました。通期では、足元で入ってきている案件もあり、コロナ案件や官公庁案件にしっかりと取り組んでいきたいと考えています。

質疑応答:SPOT案件減少の傾向及び今後の方針について

質問者:SPOT案件が減っているとのお話でしたが、業界全体でその類いの案件が減っているのでしょうか?

飯島:各社の状況の詳細までは把握していませんが、国民のワクチン接種率が一定割合に転じたことから、特にワクチン関連の仕事は各社同じ減少傾向だったのではないかと思っています。

一方、新型コロナウイルス関連で、給付金や今まさに取り組んでいる旅行支援、県民割などの仕事もあります。

質問者:ワクチンのような新型コロナウイルス関連の仕事が減っていくのは当然だと思います。逆に今から増えていくSPOT案件は、業界全体で見た場合に減った分をカバーするだけではなく、さらに多くの需要が見込まれるのでしょうか? 

飯島:官公庁と民間に分けてご説明すると、官公庁の場合は、経済復興系の仕事が入ってくると見込んでおり、足元でご相談いただいているケースもあります。また、ちょうど今日ニュースが出ていたかと思いますが、マイナンバー関係でも我々のような会社が支援できる部分が大きいのではないかと捉えています。

民間では、例えば物価や電気料金の高騰などがあり、電力会社などのライフライン業界や取引により電力関連の仕事が増えるのではないかと思います。一方で、ライフライン各社は、燃料費高騰など経営環境が厳しいためこれからこの傾向がどうなっていくかをしっかりと見定めながら取り組んでいくべきだと思っています。

先ほどのスライドでもご説明しましたが、SPOT売上高比率は、通期では10パーセントでコントロールしていますが、どうしても四半期で見ると変動します。過去の実績を見ていくと、通期で10パーセントは確実に取り込んでいけるのではないかと考えています。

質問者:官公庁案件はそもそも重点戦略グループに入っていませんし、仮に経済復興系の仕事があった場合でも御社の重点分野ではなく、中長期的な積み上げにつながらないため取り組まないという選択はないのでしょうか? 

飯島:我々は官公庁の案件を重点戦略グループとは捉えておらず、一定程度は取り込むものの、繁閑の差が大きく各種イベントに左右される部分もありますので、民間需要を確実に積み上げていくビジネスモデルを考えています。

質問者:そもそも案件を取らないという選択はないのでしょうか? 

飯島:SPOT案件の仕事が大半だと仮定すると、SPOT売上高比率で10パーセントくらいまでは取りにいきますが、10パーセントを超えるSPOT案件は取らないのが我々のスタンスです。

質問者:ゼロにするという選択肢はないのですか? 

飯島:おそらくゼロはないと思います。

質問者:これにはなにか理由があるのですか? 稼働率を確保するためには取らざるを得ないということでしょうか? 

飯島:政府の仕事は、従業員や我々の目線でも、我々のような業界が支援しないといけない仕事だと捉えています。コールセンター会社としての社会的意義もありますので、需要を鑑み、ビジネスの観点で取り組んでいきたいと考えています。

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