2022年10月5日に行われた、ケイティケイ株式会社2022年8月期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:ケイティケイ株式会社 代表取締役社長 青山英生 氏
目次
青山英生氏(以下、青山):ケイティケイ株式会社の青山でございます。本日は当社の決算説明会にご参集いただき、また、オンラインでご参加いただき、誠にありがとうございます。
それでは、2022年8月期の決算説明を始めます。今回は、決算の概況および2023年8月期の予想、中期経営計画の進捗状況についてご説明します。
業績ハイライト
はじめに、業績のハイライトです。スライドに記載のとおり、会計基準の変更があり、売上高の数字としては若干減少しているものの、収益認識に関する会計基準を前年度の会計基準に合わせると、わずかではありますが増収となりました。
この旧基準においては、営業利益は前年同期比で106パーセント、経常利益についても前年同期比で105パーセントとなり、売上高が171億9,800万円、経常利益が5億200万円という結果でした。EBITDAは約6億円となっています。後ほどご説明しますが、今期にM&Aを行ったのれんの償却等を加え、このような数字になっています。
今回、私どもがみなさまにご案内したいのは、経常利益においては今期で6期連続で最高益を更新しているということです。振り返ると、原材料価格の高騰などさまざまな不安定要因がありましたが、なんとか売上高は維持し、増益となった次第です。これについて、次のページで詳しくご説明します。
2022年8月期 決算概況
通期としては、スライドに記載のとおりの数値になっています。上期と下期で見ると、この2022年8月期は上期が若干苦労した数字になりました。
要因として、原材料価格の高騰や半導体不足などがあり、私どものOA関連の機器もかなり「モノ不足」の状況でした。そのような関係で、利益面では上期があまり振るわない結果となっています。
しかし下期に入り、工場における生産性の改善や工程の見直し、さらに、一部は若干遅れることにはなったのですが、仕入商品の価格転嫁等を適切に行って、下期に盛り返したかたちになり、通期での増収増益となった次第です。
配当に関しては、もともと開示していた14円で進めたいと考えています。配当性向に関しては、中期経営計画において今後、着実に30パーセントを目指すことを表明しており、今期においても23.9パーセントという配当性向になっています。
四半期毎の売上高の推移
四半期ごとの売上高の推移です。第4四半期は43億4,600万円となっています。現場においてかなり価格改定を進めたため、前期・前々期と比べて、第4四半期の数字が伸びている状況になっています。
四半期毎の営業利益の推移
こちらは営業利益の推移です。ちょうど第4四半期にあたるところでイコリスという会社のM&Aを行った関連費用等もあり、第4四半期は少し減ったかたちになっています。しかし、収益認識会計基準の影響額が7,400万円ほどあったため、累計では4億7,900万円という数字になっています。
営業利益の分析
営業利益について、あらためてスライドのウォーターフォール図で示しています。前期の4億4,800万円に対して、環境衛生商品等の拡販やITソリューション関連による利益が1億4,600万円ほど増えています。
IT投資とM&A関連の経費の1億1,600万円を含めて、今期は4億400万円となっていますが、会計基準の変更もあったため、4億7,900万円とご認識いただきたいと思っています。
売上総利益と利益率
利益率に関しては、過去2年間で着実に上がってきました。2020年8月期は20.9パーセント、2021年8月期は21.3パーセント、2022年8月期は21.7パーセントに上昇していますが、これも会計基準を同じくすると、2022年8月期は22.1パーセントまで上がっています。
利益率の改善の要因としては、環境衛生商品が比較的高利益で販売できていますので、その部分が寄与したことに加えて、価格改定、ITソリューション関連の中でも高利益案件が増えてきていることが、利益率の向上に寄与しています。
セグメント別実績と取り組み
セグメント別の実績です。2022年8月期より、サプライ事業とITソリューション事業の2つのセグメントを設定しています。比率は、全体の約83パーセントがサプライ事業、約17パーセントがITソリューション事業となっています。
以前はほとんどがサプライ事業の売上で、基盤であるリサイクルトナーなどオフィスサプライ用品の販売を進めていました。今はグループ会社を通じ、ケイティケイ本体においてもITソリューションを成長事業と捉え、継続的に伸ばそうとしています。
サプライ事業については、もともとリサイクルトナーの販売を推進してきましたが、昨今、CO2削減やプラスチックの削減にマッチした商品ということで「サステナブル商品」として再定義して、拡販に努めています。
IT関連においては、M&Aを行ったイコリス社がデジタルマーケティングに非常に詳しいことと連動し、今後はWebマーケティングを進めながら、こちらの事業分野も伸ばしていきたいと考えています。
重点施策・取り組み(サプライ事業)
サプライ事業について、少し詳しくご説明します。スライドにいくつかの図を示しています。私どもの主力製品であるリサイクルトナーですが、もともとはレーザープリンターのトナーのリサイクルを行う事業として進めてきました。使用済みのカートリッジを回収し、清掃してトナーを充填して、またお客さまにお届けするというビジネスを展開しています。
リサイクル工場としては長野県駒ヶ根市に工場を持っていますが、以前からこの工場では太陽光パネルを設置して、再生可能エネルギーでリサイクルを行っています。さらに、これも従来の取り組みではあるのですが、障がいのある約100名の方が生産に携わっており、そのようなかたちで再生したトナーをお客さまへお届けしています。
廃プラスチック削減量は、1本あたり約0.4キログラムとなっています。CO2削減、カーボンニュートラルについては、経済産業省と環境省で持っている数値をもとに、1本あたり約0.8キログラムを削減できることになっています。
加えて、私どもはこのビジネスを「循環型」と位置づけています。トナー本体にQRコードが付いており、工場から出荷する段階でQRコードを読んで、お客さまにお届けして、またそのQRコードが返ってくることで、循環していることをきちんと立証できるかたちになっています。
リサイクルと言っても、最終的には一部、廃棄物は出てしまうのですが、この廃棄物についても、次の工程の認定工場へ持ち込むことにより、ゼロエミッションも達成しています。
これまでは、コストダウン提案ということでお客さまにリサイクルをお勧めしていたのですが、今は「サステナブル商品」としてのリサイクルトナーの循環型ビジネスに参画いただくかたちとなっています。大手企業においては、特にサステナブル委員会やSDGsの推進本部があるような企業に、このようなご提案をしています。
重点施策・取り組み(ITソリューション事業)
IT関連の取り組みについてお話しします。現在、私どもの営業拠点は全国約20ヶ所にあり、およそ1万5,000社のお客さまとの取引があります。そのような接点において、多くのお客さまがDXやIT化、あるいはペーパーレスについてお話しされます。ここで私どもがお役に立てる点として、もともとコピー機やプリンターの販売を行っていた経験が挙げられます。
これらの販売においては、単体で物を納めるだけではなく、すべてパソコンとネットワークで結び、接続環境自体を作る必要があります。そのため、会社内のネットワークをきちんと把握するとともに、そこに対するセキュリティをご提案してきました。これをビジネスの基盤として、最近ではOA機器の販売からネットワークやセキュリティの分野へと進んでいます。
企業で情報システム部門をお持ちの会社に対して、私どもができることはあまりないのですが、それ以外の多くの中小・中堅企業では、IT人材を採用することが非常に難しいのが現状です。従来の顧客に合わせたITソリューションを提案することを、私どもは成長事業として続けています。
コロナ禍で強制的にリモート環境となったために、「Zoom」や「Microsoft Teams」のようなツールを使った社内会議、取引先との会議等は特に加速している分野です。特に、この数年間で中小・中堅企業において起きている事象で、その中ではセキュリティの技術も高まり、メールセキュリティや、なりすましメール等を防ぐためのIT機器が今後さらに伸びると考えています。
セキュリティ機器は、強化することはあっても、いったん設置すると途中で外すことはなかなかありません。機器の入れ替え自体は今後必ず起きるため、それをきちんと進めていくことを、このITソリューション事業の成長分野と位置付けています。
もう1つの具体的な例として、会社の中をWi-Fi化するニーズも増えてきており、これを含めてITソリューションを伸ばしていきたいと考えています。スライドの下部にあるとおり、デジタルマーケティングに強いイコリス社と連携していきます。
今までのお客さまとの接点として、インターネット上の検索からお客さまがケイティケイにたどり着くことは、なかなかありませんでした。しかし、私どもの提供するサプライなどのビジネスモデルにアクセスしてもらうために、検索エンジンを使って営業活動を行うための整備をしっかりと進めていくことが必要だと思っています。そのための詳しい技術を持つイコリス社がグループインしたということです。
連結財政状態
財務状況はスライドに記載のとおりです。現在は、自己資本比率が43パーセント程度とご理解ください。
2023年8月期 予想
2023年8月期の予想です。売上高は、前年同期比102.3パーセント増の176億円と考えています。世界情勢も含めたいろいろな状況下で、保守的な数字にはなっていますが、これからきちんと検証していきたいと考えています。
営業利益は106.4パーセント増の4億3,000万円、経常利益は103.6パーセント増の5億2,000万円と開示しています。EBITDAは、前期のM&Aののれん等の償却もあるため着実に増えており、6億4,400万円と計画しています。
今期からの配当は、これまでの年1回から年2回として、中間配当を実施することになりました。配当額も14円から1円増配して15円としており、上期と下期はともに7.5円です。配当性向は24.9パーセントとしており、株主のみなさまに着実に還元できる体制を取っていきたいと考えています。
2023年8月期セグメント別予想
サプライ事業とITソリューション事業のセグメント別の内訳です。売上高は、サプライ事業は前年同期比で101パーセント、ITソリューションは前年同期比で109パーセントの伸びを考えています。
セグメント別利益では、ITソリューション事業は前年同期比で141.3パーセントと見込んでいますが、サプライ事業については、物流費高騰などのさまざまな経費増もあり、前年同期比で97.6パーセントと、少し厳しいかたちで予想しています。
事業価値・ビジョン
中期経営計画の進捗状況をお話しします。私どもはグループビジョンとして「Change the office mirai」を掲げており、オフィスの未来を変えていくことに携わるとともに、我々自身も成長することを目標にしています。
この中期経営計画のもと、リユースやリサイクル、サステナブルな商品の取り扱いによる環境貢献、中小企業のDX支援、人材育成・ダイバーシティ、さらに経営基盤強化を推進しています。
成長イメージ
具体的な成長イメージを、こちらのスライドに表しています。これはいわゆるクロスセルで、私どもは「ビジネスの立体化」と呼んでいます。
スライドの図の下層から、文具事務用品・OA機器・オフィス家具があり、次にリサイクルトナー他・環境貢献商品が乗っています。ここまでが基盤事業です。その上に成長事業として、ITソリューション、デジタルマーケティングを加えています。
これらの分野を成長させていくことを中期経営計画では目指しており、2024年8月期の達成目標として、売上高190億円、営業利益5.2億円、経常利益6億円を掲げています。
重点戦略と数値目標
重点戦略と数値目標について、こちらのスライドにまとめています。中央のITソリューション事業においては、今後、積極的に外部企業との協業や、場合によっては資本提携も含めた関係を構築しながら、成長のスピードを加速させていきたいと考えています。
数値目標の進捗
数値目標をグラフに置き換えています。スライドの右下のROEは着実に成長するものとして、10パーセントを目標に掲げています。
重点戦略の進捗と今後の課題と取り組み①
先ほど重点戦略の中で、サプライ事業のプラスチックやCO2の削減量についてお話ししましたが、その取り組みの1つとして、スライドの右下の写真のような、プリンターに貼ってあるシールがあります。
企業のサステナブル委員会のみなさまとお話しした時に、「この活動自体を、企業の中でどのように認知してもらうか?」という課題が提起されました。それを受けて、各企業が使用しているプリンターに「当社は循環型社会の形成に賛同し、本プリンターにリサイクルトナーをセットしています」と記載されたシールを貼ることにより、その会社の従業員にも活動を理解してもらえるという話になりました。
SDGsの理念に賛同を示すことができるこのようなシールの引き合いが、現在は非常に多くなりました。これ自体は明日からでもすぐにできることで、小さな取り組みかもしれませんが、他の企業と一緒に取り組んでいるという実態があります。
重点戦略の進捗と今後の課題と取り組み②
IT関連のイコリス社について、もう少し詳しくお話しします。イコリス社はホームページ 制作だけではなく、ネット上の無形資産、つまりドメインの力を有効に活用することに真剣に取り組んでいます。
先ほどもお伝えしましたが、現在、ネット上の検索エンジンからケイティケイのビジネス、あるいはサービスにアクセスするルートが急速に拡大しています。新規開拓や「足で稼ぐ」営業だけではどうしても難しいコロナ禍の状況で、このようなデジタルマーケティングとドメインの力を使った取り組みにより、新たな顧客層の開拓を進めています。
重点戦略の進捗と今後の課題と取り組み③
リスキリングは社員にも会社にも必要なことであるとして、体制の充実に向けた施策を積極的に推進しています。
サステナビリティ・投資
障がい者雇用や女性活躍の比率自体はまだ低い状況です。しかし、今後は女性の管理職を10パーセントにすることを迅速に進めていきたいと考えています。
障がい者雇用・女性活躍
スライド左側は、当社の取り組みに関する新聞記事です。日刊工業新聞による私どもの工場の取材がありました。「生産現場のダイバーシティー」として、障がいのある方でも働きやすい環境として取材を受け、記事を載せていただきました。
株主還元
株主還元です。配当方針をあらためてご説明します。スライドのグラフで2018年度からの推移を示していますが、10円から始まり、11円が2年間続いて、2021年8月期からは14円、2023年8月期予想は15円と開示しています。
利益との兼ね合いで、配当性向に若干のばらつきはありますが、今後、着実に30パーセントを目指すように進めていきたいです。
会社概要
30ページ以降は参考資料です。少し早口になりましたが、2022年8月期の決算内容と2023年8月期の予想数値、事業内容、中計の進捗状況についてご説明しました。
私どもは、投資家のみなさまからの認知度がまだまだ低いと思っています。今日お集まりのみなさまには、さらに深くご理解いただきたいですし、私どももできるだけご説明させていただきたいです。これで説明を終わります、ありがとうございました。