2022年10月7日に発表された、Abalance株式会社 中期経営計画の修正について書き起こしでお伝えします。
スピーカー:Abalance株式会社 IR担当
Abalanceグループ概要
IR担当:Abalanceグループは、グリーンエネルギー事業、太陽光パネル製造事業を主軸事業とする再生可能エネルギーの総合カンパニーです。Abalance株式会社(東証スタンダード、証券コード:3856)が上場しており、グループ企業の経営統括・管理等を行うなど、ホールディングカンパニーとしての機能を担っております。
その他の事業として、建機事業、IT事業、ヘルスケア関連事業(光触媒)のほか、主要関連会社として、製粉用の産業機械関連事業等で業界最大手の明治機械株式会社(東証スタンダード、証券コード:6334)があります。
連結ベースの従業員数は1,008名で、ベトナムにパネル製造工場があるため、ベトナム在住の従業員が多く、単体ではAbalance株式会社の管理部門を中心に23名を配置しております。
直近の2022年6月期の業績は、連結売上高924.3億円、営業利益16.9億円となっております。連結業績や中期経営計画の計画値については、後ほどご説明いたします。
Abalanceグループ成長戦略
当社グループでは、企業価値の最大化を念頭に、2030年に目指すべき姿(2030ビジョン)として、再生可能エネルギーにおいて中核的グローバル企業を目指すと掲げております。
これを達成するため、①保有発電容量(国内+海外):1GW、②年間パネル製造目標:8GWを成長戦略の柱としております。
昨年10月公表の中期経営計画の制作手法としては、2030年に目指すべき姿から逆算するバックキャスト手法でロードマップを編成し、中期経営計画に反映しました。 各国のカーボンニュートラルの目標年次が長期に及ぶことから、脱炭素化のトレンドは長期的なものと認識しており、中期経営計画(FY2022-24)は、2030年ビジョンを達成するための助走期間と位置付けております。
太陽光パネル製造事業、グリーンエネルギー事業を成長エンジンに、当社グループの持続的成長、企業価値の最大化を図る方針で、VSUN社の業績拡大、営業利益率の向上、世界的需要に対応していくための設備投資計画等を想定しております。
国内では、近年推進してきた戦略で、ストック型モデルの発電所の自社保有化をさらに進める計画としており、開発力強化、開発スピードアップを推進いたします。
新規事業のオポテュニティ(ビジネスチャンス)を総称して、カーボンフリー事業と名付けておりますが、ノンフィット、ノンファーム等を中心に「卒FIT」の戦略を力強く前に進める計画となっております。
中期経営計画/上方修正について
当社グループでは、昨年10月に中期経営計画を発表しております。中計初年度の2022年6月期に、最終年度に当たる2024年6月期の連結売上高を超過して着地したことから、本年9月28日に、2024年6月期の売上・利益の目標値を上方修正いたしました。
上方修正後の数値はスライドに記載のとおりで、売上高は当初予算の590億円から1,500億円へ、営業利益は当初予算の36億円から45億円へと大幅な増収増益となっております。
修正の理由には、VSUN社の業績拡大をはじめ世界的な需要拡大や、欧州が先行し、近年は米国向けが特に伸長してきたことが背景にあります。
このようなトレンドは、中長期で継続していくものと見込んでおり、生産キャパシティの拡張を見据えた設備投資の実行を予定しております。
グループ企業価値向上への強化施策
中期経営計画では、目標値の上方修正を行いましたが、基本的な企業戦略に大きな変更はありません。あくまで補足ですが、グループ企業価値向上への強化施策について、ご説明します。
まず、太陽光パネル製造事業では、受注拡大に伴う生産能力拡張のため、設備投資を予定し、現在の年間製造能力2.6GWの拡張を図ります。(拡張規模等は、現在未公表)
利益率の改善については、コロナ禍やロシア問題等に伴う世界的なサプライチェーンの乱れによるインフレ、原油高等による部材価格のコストアップや、輸送費の高騰化等の影響に対して、客先への価格転嫁や生産効率化等の対応をさらに図る方針です。VSUN社のIPOについては、後ほどご説明いたします。
グリーンエネルギー事業については、自家消費案件(ノンフィット、ノンファーム)の仕入・開発の強化のほか、ソーラーシェアリングの推進により、新たな事業機会に対応するため、案件仕入れ・必要な申請等を積極的に推進してまいります。
M&Aは特に昨年、発電所の一括取得やリソースの確保等を目的に、事業拡大のスピードアップのため複数案件を実行しております。今後も、事業採算性を適正に評価した上で、積極的に再エネ分野のM&Aを実行する予定です。
水素商品の開発事業については、当社グループのバーディフュエルセルズ合同会社において、次世代エネルギーを担うと期待される、水素を活用したエネルギー貯蔵システムの開発にすでに着手しており、商品化を目指しております。
大手企業・総合商社等との業務提携や戦略的パートナーシップについては、個別企業名は差し控えますが、RE100やSBT(Science Based Targets)等の脱炭素化への強い関心を持ち、事業関連性のある企業を対象にして、太陽光・風力開発等で大手企業との戦略的な業務提携等を推進するほか、海外事業ではJV(ジョイント・ベンチャー)、その他のスキーム構築により、アジアを中心に再エネ供給の海外事業を展開してまいります。
財務管理面では、借入金の原資に売電収入等の安定収益を手当てしておりますが、計画的な自己資本比率の向上とともに、ESG、SDGsに関連した資金調達等、調達手段の多様化を今後も図ってまいります。
当社は、現在、東証スタンダードに位置しておりますが、知名度、信用力の向上や優秀な人材獲得等の目的で、プライム市場への指定替えの早期実現を目指します。
最後にIRですが、企業価値向上の観点から、市場との対話の促進、外国人投資家への情報開示拡充のための英文開示強化、各種指数を意識したTCFD開示を拡充してまいります。TCFD開示は、コーポレートガバナンス・コードにて、プライム企業を想定したものですが、スタンダード企業であってもその趣旨は同様なものと考えており、またプライム市場への指定替えを見据えていることから、TCFD開示も重点施策としています。
VSUN社のIPOについて
VSUN社のIPOにつきましては、株主、投資家のみなさまより多数の問い合わせを頂戴しております。
さらなる成長資金の獲得を企図し、ベトナム「UPCoM店頭市場」への株式上場のため、上場の前提となるベトナム証券取引法における公開会社制度への登録の審査段階にあります。ベトナム現地では、VSUN社が日系企業ということで通常よりも審査に時間を要しておりますが、鋭意推進してまいります。
今後については、「UPCoM店頭市場」上場後に、ハノイ証券取引所への指定替えや、さらに他国の証券市場への上場も視野に、VSUN社の持続的な成長を図ってまいります。