2022年9月23日にログミーFinance主催で行われた、第42回 個人投資家向けIRセミナー Zoom ウェビナーの第1部・株式会社サンリツの講演の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:株式会社サンリツ 代表取締役社長 三浦康英 氏
元・ファンドマネージャー/元・ディーラー 坂本慎太郎(Bコミ) 氏
経済アナリスト/経営コンサルタント 増井麻里子 氏
第42回 個人投資家向けIRセミナー
三浦康英氏(以下、三浦):みなさま、こんにちは。サンリツの三浦でございます。
私はサンリツに入社して34年になりますが、これまでさまざまな新規事業の立ち上げに携わってまいりました。今後も、この経験をしっかりと活かして、会社の成長を促していきたいと考えています。
また、当社は今年で74年目を迎えており、従業員には「100年続く上場企業」を目指そうというメッセージを発信しています。そのためには、お客さまに物流サービスを提供し続け、そして社会に対して貢献できるよう、会社が存続していかなければいけないと考えています。
本日は、みなさまに当社のことを知っていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
1-1.会社概要
三浦:本日は、「会社概要」「業績推移と今後の事業展開」「サステナビリティへの主な取り組み」「株主還元」についてご説明します。
まずは会社概要です。サンリツの設立は1948年3月で、本社は東京都港区港南にあります。資本金は25億2,300万円で、直近の売上高は185億2,500万円です。従業員数は407名ですが、契約・派遣従業員を含めると1,000名を超える規模となっています。
主要拠点は東日本を中心に13拠点あります。連結子会社は、国内にガラスメーカー専属の子会社が1社と海外は2社で、中国・上海、アメリカ西海岸のカリフォルニア州、東海岸のノースカロライナ州に拠点があります。決算期は3月で、今年4月の東京証券取引所の市場再編により、東証一部からスタンダード市場に移行しています。
1-2-1.事業概要 セグメント別
三浦:事業概要です。セグメント別に、4つの事業をご説明します。1つ目は賃貸ビル事業です。本社ビルの賃貸を行っており、安定収益を生み出しています。
2つ目は倉庫事業です。国内の倉庫は13拠点ですが、外部倉庫を含めると30拠点になります。海外拠点を除き、ほとんどがお客さまの工場に密接した隣接地にありますので、東日本中心に顧客密着型の営業を行っています。
3つ目は運輸事業です。自社トラックは27台保有していますが、売上高の80パーセント以上が協力会社との提携によるもので、国内の輸送網を確立しています。
4つ目は、売上高の70パーセントを占める梱包事業です。梱包についてはわかりにくい部分もあるかと思いますので、詳しくご説明します。
包装の定義は、商業包装と工業包装の2つに分かれます。商業包装は一般消費者向けで、EC取引で多く使われている段ボール包装など、外観の美粧性を追求しています。工業包装は総じて梱包と呼ばれており、国内のみならず、海外のさまざまな輸送条件に耐えうる包装で、固定技法や緩衝技法をもって中身の製品をしっかり保護しています。
当社は創業時に工業包装に着目し、スタートしました。当時は規格等があったことから非常に難易度が高かったのですが、技術を取得し、進駐軍並びに防衛庁(現防衛省)から評価され、信頼を得ることができました。
1-2-2.事業概要 取扱製品群別
三浦:取扱製品群別にご説明します。当社はアパレルや食品は取り扱っていないため、コア事業である梱包技術を活かせる製品群は、精密機器、医療機器、工作機械となります。現在は大型精密機器の半導体製造装置、工作機械の取扱いが非常に好調です。
医療機器は国内向けにCT、MRIを取り扱っており、カテーテル等の取扱いに関しては医療機器の販売業や製造業のライセンスを持っています。高いQMS(Quality Management System)のもと、専門の倉庫でオペレーションを行っています。
1-2-3.事業概要 当社の強み
三浦:当社の強みです。工業包装はもともと三立梱包運輸が行っていましたが、梱包技術が日本工業規格に落とし込まれるため、2代目社長が制定に参画したことで標準化が図られました。また、同業者も増えてきた中で差別化を図っていくために、梱包だけではなく、総合物流会社として展開しようと事業領域を拡大しています。
まずは国際物流です。航空貨物は成田市、海上貨物は横浜市に大型の拠点を設けてサービス展開しています。自社物流のライセンスを持つことで、海上輸送から現地最終ユーザーへの一貫したサポート体制を構築しています。
次に倉庫内オペレーションです。3PL(サードパーティー・ロジスティクス)を起点とし、物流業務の包括的な業務の請負を行い、お客さまのニーズに応えるべく、物流ソリューションを提供しています。
そして包装設計です。当社は非常に高い技術を持っており、特に固定技法や緩衝技法に関してさまざまな賞をいただき、世界包装機構の「ワールドスター賞」を3回受賞しています。このように、総合物流会社として事業を展開しています。
1-3.事業戦略
三浦:事業戦略として、競合他社を凌駕する「高物流品質」を掲げています。高品質な物流サービスを提供し、小型から大型まで、特に工作機械や100トン近い貨物を梱包できる大型設備を横浜市に保有しています。
また創業以来、精密機器を取り扱っており、医療機器については高いQMSを有したスペシャリストとしてオペレーションを行っています。梱包については、先ほどお伝えした技法を用いることで、BtoB、つまり企業間物流をターゲットとしたビジネスを展開しています。
2-1. 業績推移 収益体質改善、利益水準向上へ
三浦:業績推移と今後の展開について、スライドには過去17年の業績推移を記載しています。当社は17年前に初めて中国へ進出しました。包装材、梱包材の販売からスタートし、売上高を30億円近くまで伸ばしています。その後はリーマンショックや東日本大震災で停滞期があり、現在は変革期にあります。
また、変革期に入ったところで医療機器の取扱いをスタートさせました。しかし、不採算事業に陥ったため、中国事業の5ヶ所の拠点のうち4ヶ所の撤退を行いました。その後は利益率を上げ、2022年3月期は過去最高益を達成しています。
2-2.今後の計画数値について
三浦:今後の計画数値については、2年間の中期経営計画の2年目を迎えていますので、その先の2028年3月期にターゲットを置いています。当社が80周年を迎える2028年3月期をキーとして、売上高210億円、営業利益16億円、そして当社のKPIである営業利益率7.6パーセントの達成を目指しています。
営業利益率ですが、物流総合会社の業界平均は5パーセント前後です。利益率を高め、付加価値が高いサービスを提供することで、お客さまに選ばれる会社になっていこうという目標を掲げています。
2-3.中期経営計画の概要
三浦:2028年までの中長期で掲げているビジョンです。これまで培ってきた当社の現場力は高い評価を得ていますが、低迷期にもあったように、受け身のオペレーションをしていると、どうしてもお客さまの動向に左右されてしまいます。そのため、中長期的に目指す姿として、お客さまの価値を創造して真のニーズを掘り起こし、サービスを提案していくようなソリューション事業への転換を掲げています。
2-4-1.中期経営計画の概要及び進捗状況
三浦:国内事業の主な進捗状況です。医療機器はメディカル推進TEAMを昨年に組成し、外資系医療機器メーカーの新規案件を獲得しました。
精密機器関連では、顧客の生産効率向上に寄与するソリューションを提案しました。これは、出荷、完成品のお預かり、ユーザーにお届けするといったこれまでのサービスから、お客さまの生産効率を考えた物流ソリューションを提案していくという、アメリカ・ヨーロッパ向けのK/D(knock-down)です。適正な在庫管理や、ジャスト・イン・タイムで海外工場へ部品を供給しています。
既存拠点の再構築については、現在5つの倉庫を構えている成田地区の荷量増加が予想されるため、さらなる投資を行い、成田事業所を拡大するプロジェクトを立ち上げています。
工作機械については、他社にはない新しいビジネスモデルとして、海外との国際一貫物流サービスを考えています。物流だけでなく、商社機能や商品取引、加工業務、一部製造を施したトータル的なサービスなど、日本およびアメリカの拠点を通じて展開しています。
2-4-2.中期経営計画の概要及び進捗状況
三浦:海外事業の主な進捗状況です。一昨年にはアメリカ東海岸に2万坪の土地を購入し、約1,500坪の倉庫を構えました。
アメリカ西海岸では、今まで賃貸の倉庫を利用してきましたが、今後の賃料高騰を見据え、工作機械メーカーをターゲットとして、ロングビーチ港付近に日本からの輸入品を取り扱えるような大型クレーン設備を保有した倉庫を建築中です。当初、今年7月竣工予定でしたが、コロナ禍の影響により来年4月に後ろ倒しになる見込みです。
2-4-3.中期経営計画の概要及び進捗状況
三浦:組織については、物流DXを推進するため事業戦略部を設置しました。物流現場は依然としてアナログが多いのですが、まずはデジタル化、さらにはAIを使い新しいビジネスモデルを作り上げていく中で、3Dソフトや動画マニュアル作成ツール、自動フォークリフトの導入を予定しています。
人材については、業界と同じく当社も人材確保が大変厳しくなっており、選ばれる会社になるために、「やりがい」「働きがい」のある職場を目指して環境改善を実施しています。
設備投資は、2年で総額25億円となっており、アメリカ西海岸の新倉庫で13億円、残りが基幹システムのリニューアル、職場環境改善への投資です。
2023年3月期 業績予想
三浦:2023年3月期の業績予想は減収減益となっています。売上高は、海上輸送の混乱の長期化を見据えています。また、上海のロックダウンの影響もかなり受けましたが、現在は解消に向かっています。
さらに、アメリカ西海岸での労使協定が長期化する見通しで、各メーカーが部品調達に苦慮しています。完成品の出荷がなかなか進まず、受注があっても出荷できない状況です。
利益面について、前期と大きく違う点は人材確保です。今期は昨年より倍以上の人材を登用し、新卒・派遣・契約従業員を含めて、前期よりも3億5,000万円ほどコスト増になっています。その他、原材料高騰に伴い、お客さまに価格転嫁していますが、そこまで結びついていないコスト増などを含めて、減益予想としています。
2023年3月期第1四半期 決算概要
三浦:2023年3月期第1四半期の決算概要です。第1四半期の売上高は前期比増収で、工作機械の取扱いが引き続き好調でした。海上運賃の高騰により、海上輸送で売上をあげている部分が伸びたということもあります。
2023年3月期第1四半期 決算概要
三浦:取扱製品群別に見ても、工作機械が前期比7億3,300万円増と、非常に伸びています。
2023年3月期第1四半期 決算概要
三浦:地域別売上高は、日本がほぼ90パーセントとなっていますが、今後は、アメリカを中心とした国際物流分野の売上比率を、まずは20パーセントまで引き上げていきたいと考えています。
3-1.サステナビリティへの主な取組み
三浦:サステナビリティへの取り組みとして、昨年12月に定めた「サステナビリティ基本方針」の中で5つの項目を掲げています。まずは、「経営品質の向上」のため、コーポレート・ガバナンスの強化に取り組んでいきたいと思います。
その他、ダイバーシティ&インクルージョンとして、女性活躍推進のための環境整備と人事制度の見直し、障がい者雇用を推進していきます。その一環として、昨年は「パラリンアートコンテスト」も開催しています。
3-2.サステナビリティへの主な取組み
三浦:ステークホルダーとのコミュニケーションを図るため、スポーツ振興の一環として、当社には女子卓球部があります。創設からすでに40年以上になり、現在は日本卓球リーグ女子1部に所属し、常に上位争いをしています。過去には、福原愛さんが当社との契約で、2年ほど大会に出場していました。
主な成績として、直近では日本卓球リーグ和歌山大会で優勝しました。また、地域交流として、過去には「港区卓球フェスティバル」や、つい2週間前には葛飾区の中学生を相手に、「スマイル卓球教室」を開催して地域交流を図っています。
4-1.株価チャート
三浦:株主還元についてご説明します。スライドに記載のように、配当利回りは4.37パーセントで東証上場企業の中では326位です。現在の株価は低迷していますが、当社は4月にスタンダード市場を選択しており、パッシブ・ファンドによる売りがこの数字に表れていると予想しています。今後は、しっかりと利益を上げ、企業価値向上に全力で取り組んでいきたいと思います。
4-2.配当について
三浦:最後に配当についてです。当社の配当は、基本方針として連結配当性向30パーセント程度と掲げています。スライドは過去5年間の推移ですが、2022年3月期は過去最高の1株あたり40円を配当しています。今期予想は30円となっています。
以上をもちまして、会社説明を終了させていただきます。冒頭にお話ししたとおり、コロナ禍でも従業員一丸となり現場を止めることなく、お客さまにサービスを提供しています。
今後も、変革に向けて、それぞれが自己変革力を持ち、さらなる会社の進展に結びつけていきたいと考えています。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:創業のきっかけについて
坂本慎太郎氏(以下、坂本):業務内容や施策について詳しくおうかがいしたいと思いますが、まずは創業のきっかけについて、資料も交えながら教えてください。
三浦:創業については先ほども少し触れましたが、もともと梱包は運送業の1つのサービスで、おまけのような立ち位置でした。当社は荷馬車1台、リヤカー1台でスタートし、まず輸送に適した包装にするために、縄で縛ったり、ビンであれば木枠で囲ったりといったことを行っていました。
その過程で、梱包技術を要するものとして、進駐軍や防衛庁から「特別仕様の梱包ができないか?」と依頼がありました。その依頼に対し、米軍・防衛庁それぞれの規格を取得、習熟し、梱包サービスを確立させることで、高い評価をいただきました。
質疑応答:梱包の特性について
坂本:御社の梱包の特性などがあったら教えてください。
三浦:梱包形態はさまざまありますが、現在は木材を使った梱包が主体です。スライドの写真は半導体製造装置を梱包した完成図ですが、我々は「保護性」「作業性」「荷役性」「販売促進性」「廃棄処理性」といった観点において、容易に再現できるよう考え抜いた形態にしています。最近では、梱包形態も木箱から鋼材のスチールを用いたものに変わってきています。
坂本:スチールは再利用できるのですか?
三浦:再利用も可能です。
質疑応答:強みについて
坂本:そもそも梱包はメーカーが自社で行っていたと思いますが、それを御社に依頼する理由を教えてください。「プロフェッショナルだから」という理由は当然あると思いますが、やはり納入する業者の要求が上がってきているのでしょうか?
三浦:メーカーでラインの最終工程から梱包まで行っているのは、サイズ的に小さいものになります。もともと3PLとして外出ししていたものを内製化されたケースもありますが、特殊な木箱や強化ダンボールの梱包などについてはメーカー独自で技術を持っていないため、従来から外出ししています。
坂本:おそらく同業他社もいると思いますが、差別化できるポイントや強みを教えてください。
三浦:まずは包装・梱包設計分野です。先ほどお話しした緩衝技法ならびに固定技法は、それぞれの梱包会社で技能が違います。私どもはお客さまのデリケートな製品を扱っているため特に重要で、この技術に長けているということです。
また梱包を中心として、海外も含めた最終ユーザーまで一貫したサービスを提供できる点が差別化につながっていると考えています。
質疑応答:倉庫での梱包について
坂本:倉庫を自社で持っていたり、借りていたりするというお話がありましたが、ビジネスとして、梱包もその倉庫の中で行っているのでしょうか?
三浦:梱包専用の倉庫も保有していますし、一部に梱包設備を備えた倉庫もあります。
坂本:メーカーは梱包ができる倉庫へ自社商品を運び、梱包しているのでしょうか?
三浦:一部はお客さまの工場で行っています。
坂本:すでに梱包作業ができる場所があるのですね。
三浦:私どもが出張または常駐してそこで行っています。
質疑応答:円安による影響や事業環境について
坂本:為替感応度について、これ以上に円安になった場合、御社はどちらに影響を受けるのでしょうか? 輸送については、ほとんどが海上輸送および航空輸送だと思いますが、資材価格や輸送における事業環境を教えていただけたらと思います。
三浦:当社の売上高は、全体の90パーセントが国内ですので、海外との取引はほとんどなく、円安の影響はほぼ受けません。
原材料高騰については、梱包に使用する木材関係や副資材関係で輸入品を多く取り扱っています。ウッドショックもあり、価格はまだ高止まりにはなっておらず、業界全体で資材高騰影響がお客さまへの価格転嫁として表れています。経済産業省は、この9月を価格交渉促進月間と定め交渉を行っていますが、なかなかコスト増をカバーできていません。
坂本:御社は物流部門までは請け負わず、ほとんどが梱包までですので、海外運賃はそれほど影響を受けないということですか?
三浦:海上輸送は行っていますし、海上運賃の高騰により売上も上がっています。
増井麻里子氏(以下、増井):海上輸送は船を借りて行っているのですか?
三浦:そのとおりです。
増井:アメリカ西海岸でコンテナが滞留し、湾岸で荷物を引き揚げる人が足りないという混乱が長引いていましたが、最近はいかがですか?
三浦:その混乱は、今年の3月、4月に解消に向かいました。ただし、8月に再度労使協定が始まったため懸念しているのですが、混乱はしていないようです。業界の予想では、年内にはこのコンテナ不足は解消に向かうだろうと見ています。
質疑応答:自社株買いの実施の有無と配当性向について
坂本:株主還元についておうかがいしたいと思います。配当性向は30パーセントが基本ということですが、「自社株買いは行わないのですか?」というご質問をいただいています。仮に自社株買いを行った場合は、総還元性向になり再度計算し直すのでしょうか? それとも配当は30パーセントを目処に、別途自社株買いを行うのか、イメージを教えていただけたらと思います。
三浦:自己株式の取得に関してはしっかりと資本政策を考え、今後も状況に応じて検討していきたいと考えています。そのため、「配当性向30パーセント」は基本的には変わりません。
質疑応答:成田空港における役割について
坂本:成田空港における貴社の具体的な役割について詳しく教えてください。成田地区を増強するというお話でしたが、ご説明をお願いします。
三浦:成田地区は、外部倉庫を含めて5拠点展開しています。保税蔵置場を設置して保税の貨物を取り扱い、各フォワーダーに納品するというサービスが中心です。
現在、半導体製造装置関連は東京エレクトロンさまをはじめとして、当社の成田地区の倉庫で貨物を取り扱い、最終的にエア・フレイト・フォワーダーに引き渡しています。入出庫管理等が現在の倉庫業の主な事業です。
梱包については、成田地区の物流倉庫の中で、梱包作業場を併設しているところはあまりありません。
坂本:競争力があるということですね。
三浦:そのとおりです。ですので、重量物のように、一品ごとの梱包が必要な貨物の取扱いができるところも当社の強みです。
質疑応答:2028年3月期の計画達成に向けた施策について
坂本:2028年3月期の売上高210億円を達成できる確実性や、確度を高める施策はどのようなものを考えていますか? もう少し教えてください。
三浦:成田地区の再拡大については、3年後の業績に寄与すると考えています。そのため、新たな投資を行い、売上をしっかり伸ばしていきたいと考えています。
国際物流分野では、アメリカに新倉庫を構え、一貫物流サービスにおける日本およびアメリカのパイプをさらに太くしていきます。工作機械メーカーをターゲットとした貨物の取扱いを増やし、国際物流分野の売上高を全体の20パーセントまで伸ばしていきたいと計画しています。
質疑応答:成田空港以外の空港の現状について
坂本:成田空港以外の空港でもビジネスを行っていますか? 国際空港のどこかにありそうですが、現状を教えてください。
三浦:当社は中部以西に拠点を構えていません。関西国際空港や中部国際空港などは提携したエア・フレイト・フォワーダーとの関係で一部貨物の取扱いを行っていますが、ほぼ成田空港がメインです。
坂本:生産もほとんどが関東に集まっているのでしょうか? 御社が取り扱っている工作機械や半導体製造装置についてはいかがですか?
三浦:私どもは東北地方の、岩手県、宮城県、福島県に拠点を構えています。各所でお客さまの工場が進出した時に、倉庫を構えて密着型で経営してきました。お客さまの生産が移管すると空洞化が起こり、そうなった場合は違うビジネスを展開しますが、それも関東のお客さまで、貨物がメインです。
質疑応答:ROEの予想について
坂本:ROEはどの程度まで高めていきますか? イメージがあれば教えてください。
三浦:今期のROEの予想は6.1パーセントですが、当社としては目標値を設定していません。当分はしっかり利益を上げていくことがROEの向上に結び付いていくと考えています。
質疑応答:新たな事業領域について
坂本:現在考えている新たな事業領域はありますか? これまでの仕事に付随するところを拡大していきたいというお話がありましたが、新たな柱のようなものがあれば教えてください。
三浦:物流事業の領域は多くあり、私どもの事業領域は梱包技術がメインですが、まずは現在の事業領域をさらに伸ばし、人材確保のため資源をどこに投入して有効的に活用していくかが大きな課題と捉えています。
また、先ほどお話ししたソリューションの提案で、調達関係など、私どもが提案できるものがあれば参入していきたいと考えています。
質疑応答:人材の現状と今後の投資について
坂本:スライド16ページで人件費増のお話がありました。御社は契約社員の方もかなりいるとのことですが、これは正社員の比率を引き上げたのでしょうか? それとも新たに採用していますか? 人材確保の現状と人材投資について教えていただけたらと思います。
三浦:現在、派遣従業員の確保が難しく、地方へ行けば行くほど難易度が上がります。そのため、人材確保として、まずは新卒採用、加えて契約従業員からの社員登用を行い、前年に比べて倍以上の人材を確保してきました。
今後については、さらに働きがい、やりがいのある職場環境を整えていかないと定着しないため、職場環境を整備し、働き手に選んでいただけるような職場になるように考えています。今は終身雇用的といった考え方も少なくなってきていますので、今後の人材確保はそのようなかたちで行っていきたいと考えています。
質疑応答:ガバナンス構築体制について
増井:ガバナンス構築体制について、なにか一例があったら教えてください。
三浦:コーポレートガバナンスの強化については、当社の組織体になるかと思うのですが、現在、取締役7名のうち、社外取締役の3名を監査等委員会に置いています。
また役員報酬の管理などを行う指名報酬委員会を設置しており、取締役会の実効性評価なども外部の機関に依頼しています。毎月の取締役会の審議事項として、ガバナンス強化に取り組んでいきたいと考えています。