2022年9月23日にログミーFinance主催で行われた、第42回 個人投資家向けIRセミナー Zoom ウェビナーの第2部・株式会社ワイヤレスゲートの講演の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:株式会社ワイヤレスゲート 代表取締役社長CEO 濵暢宏 氏
元・ファンドマネージャー/元・ディーラー 坂本慎太郎(Bコミ) 氏
経済アナリスト/経営コンサルタント 増井麻里子 氏
目次
濵暢宏氏(以下、濱):はじめまして、ワイヤレスゲート代表取締役社長CEOの濵でございます。それでは、プレゼンテーションを開始させていただきます。
本日はスライドに記載している5つの項目に沿ってご説明いたします。沿革としてどのようにして会社が始まったのか、現在の事業概要、創業後や上場後の業績の推移、進行中の2022年度の業績、さらに今後の成長戦略、資本政策をお伝えするという流れで進めていきます。
沿革
濱:はじめに沿革です。当社は、ワイヤレス・ブロードバンドと呼ばれる高速無線インターネットが社会インフラになると創業者が予見し、2004年に創業した会社です。当初は伸び悩んでいましたが、家電量販店大手のヨドバシカメラと取引を開始することによって、新たにどんどん顧客を獲得し、通信サービスで事業を拡大してきました。
事業概要
濱:事業概要です。当社はワイヤレス・リモートサービス事業を単体で行っており、取引先から調達した通信基盤、いわゆるMVNOの通信基盤と、サービスや端末を組み合わせパッケージにして、さまざまな販路でお客さまに提供していく通信会社です。
顧客の課題
濱:我々のお客さまの課題をスライドに整理しました。ご視聴いただいているみなさまも、ワイヤレス・ブロードバンドサービスを利用していると思います。屋外と屋内のそれぞれの利用環境において、さまざまな課題があります。
共通するのは、通信料が高いところです。加えて、屋外の場合はバッテリーの消費が速い、通信が遅いなどの課題もあります。また、屋内の場合も、特に工事が必要な拠点だと待ち時間が長いという課題があります。
坂本慎太郎氏(以下、坂本):最近は工事に時間がけっこうかかるようですね。私は先日、2ヶ月待ちと言われました。
濱:おっしゃるとおり、2ヶ月くらい待たされてしまいます。また、工事の費用が高いという課題もあります。
坂本:初期費用が、2万円から3万円くらいかかりますよね。
濱:はい。さらに、最近ではテレワークが進んできたことで、高額なスマートフォンが破損したり水漏れしたりすることが、屋内利用の課題の上位に挙がります。
顧客課題を解決する当社商品
濱:顧客課題に対して、我々がどのようにお応えしているか、スライドに沿ってご説明します。まずはモバイルルータータイプの「ワイヤレスゲートWiMAX」です。こちらはホームルータータイプもあります。こちらによって、十分なバッテリーと高速通信環境を提供しています。実は通信料がお得で、もちろん工事なしで電源を差せば使えるサービスもあります。
周辺商品としては、我々のサブスクリプションサービスなのですが、破損時などの保険あるいは壊れないようにするために画面コーティングする商品があります。こちらによって、お客さまの課題にお応えしています。
坂本:最近、ホームルータータイプはよく耳にしますが、需要は高いのでしょうか?
濱:最近はすごく伸びています。過去10年間で、固定電話の利用率が20パーセント下がっているという総務省の報告があります。こちらはスマートフォンの増加が背景となっていますが、2021年の夏にドコモが商品を出したことにより、一気にホームルーター市場が伸びて、2022年も続いている状況です。最近は、引っ越しや新しく所帯を持たれる方の多くが、ホームルータータイプを選んでいます。
坂本:こちらは電源につなげば使えるものですよね?
濱:おっしゃるとおりです。また、当社の「ワイヤレスゲートWiMAX」のよいところは、住所の登録がいらない点です。他社のキャリアだと住所登録が必要なため、引っ越しの際は再度申請が必要です。当社の「ワイヤレスゲートWiMAX」は、住所が変わってもそのまま使用できますので、若い方や引っ越しが多い方には、非常に支持されています。
ターゲット顧客
濱:我々の商品を、どのような方がご利用になっているかをスライドにお示ししています。実は、30代から50代の男性が多い傾向にあります。
こちらは当社の主力販路がヨドバシカメラということもあり、パソコンやタブレットを購入した際に、一緒に通信機能を買おうという方が非常に多くいらっしゃるためです。タブレットやスマートフォンを使って用事を解決したい方が非常に多いところも背景にあると思っています。
その結果が表れているのが、スライド左下に記載している通信利用量のグラフです。当社のお客さまは平均通信利用量が55GBと、非常に多いのが特徴です。日本におけるWi-Fiの平均通信利用量が15GBや20GBという中で、その3倍以上あります。
顧客イメージとしては、平日は自分がニュースを見て週末は子どもに映画を見せる40代の男性や、テレワークのためカフェで仕事をする30代女性などが想定されます。カフェのWi-Fiはお客さまが皆でシェアするため速度が遅かったり、スマートフォンのバッテリーがすぐに切れたりするのが難点ですが、こちらを使うと非常にスピーディーにワイヤレスで使えますし、バッテリーも保ちます。
坂本:御社の商品を使われる理由として、セキュリティーの意識もあるのでしょうか?
濱:セキュリティーの意識も非常にあります。我々のサービスは暗合化して通信するため、セキュリティー対策はできていると思っています。
坂本:カフェのWi-Fiは、「暗号化されていません」など警告が出てきて、大丈夫なのだろうかと思いますし、仕事をされている方は気を使うと思います。
また、通信量の最大値が6.8TBというのは、すごいと思います。私のプランの場合は無制限ですが、テザリングが30GBまでです。平均通信利用量が55GBという方は上限に達してしまいますので、このようなモバイルルーターなりホームルーターの需要があるということですね。
中には30GBで収めてしまう人もいるかもしれませんが、仕事をしたり動画を見たりすると厳しいということで、重要な点だと思います。
濱:おっしゃるとおりです。通信は電気・ガス・水道と同じく、インフラです。もし「水は今月これだけしか使えません」「電気はこれだけで、もう停電します」と容量が決まっていたら困ります。そのような意味では、お客さまもこのように利用できる状態を求められていると思います。
事業モデル
濱:当社がどのように商品や周辺サービスをお届けしているのかについてご説明します。我々は、通信事業社と直接取引をしているため、通信サービスは直接仕入れています。また、サービスや端末機も直接仕入れて、我々のほうでパッケージ化しています。そのパッケージを、ヨドバシカメラを主力の販路として販売しています。
ほかにも、関東地方を中心に34店舗あるTOP1という店でも販売している状況です。一部は直販のECサイトも行っていますが、大半は販売代理店の力を借りて、お客さまにお届けするところまで担っていただいています。
坂本:販売代理店に払うフィーは、売れたものに対して一定額を払うのでしょうか? それとも月額で払っていくのか、また期間はどの程度なのか、イメージを教えてください。
濱:通信業界の慣習としては、今のご質問にもあったように、契約を獲得した時に1件あたりいくらというかたちで支払うものと、毎月お客さまからいただく通信料の一部からお支払いするという、2つのパターンがあります。
取引先によって一括を求めされる場合もあれば、月額継続を求める場合もあるため、その両方があり得ると思います。それが今のモバイルの業界の流れになります。
坂本:御社は社員が少ないと思いますが、販売代理店での販売は御社のスタッフが行うのか、それとも販売代理店のスタッフが行うのか、販売形態について教えてください。
濱:こちらは販売代理店のスタッフで行います。我々は販売代理店のスタッフに対して、研修を行っています。どのように商品を説明するとお客さまにご理解いただけるのか、安心いただけるのかという声をさまざまな代理店から聞き、そちらを研修プログラムにして、リーダーやスタッフの方に説明しています。
坂本:よくわかりました。代理店での販売がほとんどとのことですが、直接販売と代理店販売の比率はどのくらいですか?
濱:99対1くらいで、ほとんどが販売代理店の力を借りています。
競争環境
濱:今の競争環境をスライドに整理しました。「ワイヤレスゲートWiMAX」は価格による差異が小さいため、販促も含めた販路展開が非常に重要な商品です。
販路は、大きくリアル販路とネット販路に分かれており、最近はネット販路に多くのプレーヤーが移っています。ネット販路では特に、検索する時の検索ワードの単価がどんどん上がっています。
ネット販路は若いお客さまを中心に売れていますが、先ほどもお話しした直接販売と代理店販売との合理性を検討したところ、実はリアル販路のほうが競合他社が減っているため当社の強みを活かせますし、一定のお客さまがいらっしゃいます。特に最近、通信キャリアが店舗を閉鎖するという話がありますが、その商圏の中にもお客さまがいらっしゃいます。そのようなお客さまに対してコミュニケーションを図っていくためには、リアル販路のほうが強みを活かせるのではないかと考えました。
坂本:説明を受けたり比較したりしたい方もいるため、どうしても人が介在しないと難しいですね。
濱:おっしゃるとおりです。ネット販路だけで理解できる方だけではありません。疑問をしっかりとその場で解決したい方々に対しては、リアル販路のほうが競合他社に勝てると考えています。
坂本:ヨドバシカメラなどの量販店に行く方は、ショールームとして使う方もいますが、基本的には説明を聞きたい、直接店舗に行きたいというアナログ派の方だと思いますので、リアル販路が合っていると思います。
濱:ヨドバシカメラは、伝統的に接客が非常に教育されており、商品に詳しい方が多いのです。そのため、納得して何度も足を運んでくださる方々に、当社の社員も鍛えられている印象です。そのような意味では、新しく販路を広げて研修を横展開していくことで、当社の強みをより活かせると思います。
売上高の推移
濱:業績の概況です。当社は2012年にマザーズ上場後、2016年まで売上高が上がりましたが、そこから現在は5年連続減収しています。
要因としては「ワイヤレスゲートWiMAX」の解約が先行したことです。解約は数パーセントと、比較的低水準ですが、それ以上に新規顧客が取ることができず、その結果主力商品の解約に比例して売上が下がってしまいました。
坂本:これまでは公衆無線LANがいろいろな場所で使えてよいなと思い、実は契約もしていました。それが使えなくなってきたのも原因でしょうか?
濱:実は、我々は今でも公衆無線LANを取り扱っていて、そちらに付帯保険などの新しい価値を付けることによって、使い続けていただいています。しかし、10年ほど前と比べるとマーケット全体としては縮小しています。
坂本:「ワイヤレスゲートWiMAX」の使い放題プランといった部分が閉じられたと思いますが、そのあたりも影響していますか?
濱:「ワイヤレスゲートWiMAX」も昨年までは3日間で15GBと制限があり、それを超えると通信速度が下がっていましたが、先ほどご説明したように、ほかのキャリアと同じように使い放題に近いかたちになっています。
坂本:最近はそのあたりの商品性も改善されているのですね。
濱:はい。現在のホームルーター市場においては、「ワイヤレスゲートWiMAX」は引っ越した時の登録も不要ですし、速度も速く通信量の制限もありません。端末の単価も、ヨドバシカメラでの販売比較になりますが他社より低いため、非常に魅力のある商品だと思っています。
営業利益の推移
濱:利益も2016年をピークに、グッと下がっています。とくに昨年は一時的な費用によって赤字になっていますが、私が社長に就任後はさまざまな原価削減等の努力を行い、体質改善が進んでいる状況です。
2022年12月期 第2四半期連結決算 エグゼクティブ・サマリー
濱:具体的に、決算がどのように進んでいるかについてです。スライドには、進行中の2022年12月期の決算の状況を記載しています。
一言でお伝えすると、減収はまだ止まっていませんが、稼ぐ力が定着して大幅増益となりました。一方で、成長戦略の結果、KPIは改善していて売上拡大基調に向けた基盤の構築は順調です。「ワイヤレスゲートWiMAX」の契約数がずっと減っていたものが、また増え始めたということで。
坂本:それは大きいですね。
濱:加えて、売上が上がっていく見通しが立ち始めているため、順調だと見ています。
坂本:新規販路拡大の結果、販売代理店が増えたと思います。どのような業態へ拡大されたのか、実施した施策を教えてください。
濱:後ほど詳しくご説明しますが、一言でいうと、減ったお客さま以上に新規のお客さまが増やせていなかったため、今はヨドバシカメラに来るお客さまとは異なるお客さまを、どのように増やすかがポイントとなっています。
ヨドバシカメラは都心部に店舗があるため、地方やヨドバシカメラから遠い所などを中心に広げてきています。
2022年12月期 第2四半期連結決算 業績概要
濵:業績概要としては、表に黄色で示したとおり、売上高は42億円、売上総利益は22億円です。ポイントとしては、売上高が前年比8億8,000万円の減収だったものの、粗利が4億2,000万円と増加した結果、営業利益は1億9,000万円の大幅な増益となっています。
売上高は達成率がまだ47パーセントと、底堅く推移しているところではありますが、営業利益は期初予想に対して66パーセント、経常利益から下は100パーセントを超え、稼ぐ力は着実に付いてきています。今後は売る力をしっかり作っていくことにより、増収増益基調へ向けた足元は固まったという状況です。
坂本:視聴者の方から「上期実績では大幅な増益で、すばらしいと思います」というコメントが届いています。現状で、予想に対しての利益の進捗が進んでいる理由と、下期への持続性について教えていただければと思います。
濵:持続性に関しては、当社が努力したところに関しては継続すると思う一方で、下期に関しては営業利益65パーセント、経常利益156パーセントといっても、金額にしてまだ1億3,000万円程度と小さいため、外部環境の変化があった時には予断を許さない状況だと思っています。
今の外部環境の変化の中で、通信キャリアや量販店との取引を通して、しっかりコントロールして継続できるように努力していきます。
坂本:不確定要素はあるものの、現状では減損を予定しているなど、そのようなことはないということですね。
濵:はい、現状ではありません。
売上高・粗利率の四半期推移
濵:売上高、営業利益の四半期推移です。売上高は、お伝えしたとおり12四半期連続で下がってしまっているため、いかにまた増収カーブを作るかが私どもの課題です。
ただ、粗利率が非常に高いというのが我々の今の状況ですので、売上が上がっていけば粗利の額も上がり、利益も上がるということをご理解いただければと思います。
坂本:これは原価低減効果が効いてくるということですね?
濵:そのとおりです。
営業利益・営業利益率の四半期推移
坂本:高い利益率で推移していますが、代理店の販売手数料が少し増えているような気がします。競合他社との絡みや、新規の代理店の手数料が高いなどあるのかもしれませんが、なかなか削減は難しいのでしょうか?
濵:簡単ではないと思います。ただ、これまでは販売代理店が主力のヨドバシカメラ1社のみだったところから、販路は25社以上に増え、代理店に対するコミュニケーションの選択肢が増えてきています。
販管費だけではなく、さまざまなビジネスを成功させられるよう、違うかたちで価値を提供することで、そこを抑えていくということです。
坂本:おそらく後ほどお話があると思いますが、保険やその他のサービスの部分ですね。
濵:おっしゃるとおりです。
当社を取り巻く事業機会
濵:成長戦略です。「Wi-Fiってこれから下がっていくんでしょ?」「『ワイヤレスゲートWiMAX』って売れないんじゃないの?」など、多くの方々の誤解を招いている部分であるため、かなり力を入れてご説明したい思いがあります。
背景として、ここ10年間のご家庭での固定電話保有率が20パーセント以上、世帯数で約977万世帯減少しています。5,000万世帯しかないところで、1,000万世帯が固定電話ではなくなっているという前提があります。
もちろん、その代替サービスとしてスマートフォンが普及していることが大きな要因ではあるのですが、そこの背景として、今ホームルーターが非常に増えてきています。
スライド右側は、2021年4月から2021年9月までの半年間のグラフですが、2021年8月にNTTドコモが参入し、ソフトバンク、ドコモ、au、UQと揃い踏みしました。これで各社が広告宣伝も強化され、一気に増えてきたのが昨年でした。
実はこの後の2021年10月から2022年5月までの数字があるのですが、ずっと増え続けているというのがトレンドです。ホームルーターを使って家の中のインターネット環境を作るというトレンドは、これから普通になっていくと思っています。
技術の進化によって固定電話回線と同等のサービスが受けられ、かつ工事もなく費用も安いことを考えると、このトレンドは継続するだろうと考えています。
坂本:これは意外と速いですよね。ADSLくらいかと思って使うと、もっと速く、また安定もしています。意外とアンテナの本数が多いと思います。
濵:理論的には、2.7Gbpsくらいでも数百Mbpsは出るため、動画を家族で観る程度であれば、まったく問題なくお使いいただけると思います。
坂本:コロナ禍でテレワークが増えたために、やはり家のネット環境をきちんとしようという方が増えているのでしょうか?
濵:増えていると思います。これからはインフラと同様になってくるのではないかと思います。
当社を取り巻く事業機会
濱:我々の属しているブロードバンド環境を見ると、全体で約2億7,000万回線あります。これまで当社は、モバイルWi-Fi市場、モバイルルーターの850万回線を主力戦場にして、ヨドバシカメラを含めた店舗で展開してきましたが、今後は固定系ブロードバンド市場の約4,000万回線をターゲットにしていきます。
従来NTTの市場であった回線部分を、先ほどもご説明したように「ワイヤレスゲートWiMAX」の市場機会として開拓していこうと考えており、ここを開拓することができれば、我々のWi-Fi市場をまだまだ伸ばしていけると考えています。
市場規模
濱:具体的にご説明すると、スライド右側のグラフの青い部分がモバイルルーターです。これは緩やかに右肩上がりになっていますが、先ほどお伝えしたように、ホームルーター市場が非常に伸びてきているため、ここが市場を牽引するかたちで、2025年には1兆円の市場規模になると考えています。
だいたいCAGR8.9パーセントくらいで成長していくと予想しており、その中で我々はKDDIのシェアと懇意にさせていただいているため、「ワイヤレスゲートWiMAX」の市場としては初の展開というところを狙っていこうと考えています。
坂本:ホームルーターとモバイルルーターの市場が、ほぼ変わらなくなりますね。
濵:本当にそうです。
中期的な数字
濵:当社の中期的な数字として、今開示している資料では、2024年に売上高120億円、営業利益8億円を実現していこうと考えています。どうやって、この市場の中で我数字を作っていくのか、我々も検討したいと思います。
売上高の構成要素
濱:当社のビジネスは、基本的にサブスクリプションビジネスです。月額課金型のサブスクリプションビジネスのため、売上を予想できるという非常に魅力的なサービスを展開しています。1つが「ワイヤレスゲートWiMAX」、もう1つが「ワイヤレスゲートWiMAX」周辺のサブスクリプションサービスです。
そのような商品の売上高であることから、我々として重要なKPIは、お客さまの契約数と単価ということになります。
単価は、先ほどお伝えしたように市場環境の中で当社がコントロールできるものでもないため、重要な指標である契約数を獲得するには、販路数を増やしていかなくてはいけないため、取り扱っていただける販路を広げていくことを、今年のKPIとしてしっかり掲げ、販路や「ワイヤレスゲートWiMAX」の契約数、周辺商品の契約数を増やしていきたいと思います。このようなことを重視して、売上高の拡大を目指しています。
売上高の見通し
濱:今後の売上の見通しとしては、2021年から2022年で少し凹みますが、2023年、2024年でまたグッと上げていくときに、「ワイヤレスゲートWiMAX」が7割程度、周辺商品が3割程度になるようなかたちで、売上高120億円をしっかり実現していきたいと考えています。
2022年度の売上高の見通し
濱:ちなみに今年は、右側グラフのとおり、2022年第1四半期から第2四半期は少しずつ下がるのですが、第3四半期、第4四半期から、ようやく増収トレンドを実現すべく、今まで培ってきた基盤を使って売上拡大を目指しています。
坂本:今後は周辺商品がかなり増えるという予想になっており、ホームルーターは当然増えていますが、この「ワイヤレスゲートWiMAX」の減少分はカバーできているような見通しになっています。ここの部分をご説明いただけますでしょうか?
濵:「ワイヤレスゲートWiMAX」の通信は、本当にインフラ、基盤だと思っています。その基盤の上でお客さまが片付けたいことは非常に多いため、サブスクリプション型の商品として「ワイヤレスゲートWiMAX」の契約、さらに「ウィルスバスター」のように安心安全な保険、商品などをご提供していきたいと思っています。
ウェルビーイングになるような映像コンテンツ、書籍、あるいはもっとリアル型の日用品やサポートサービスなど、さまざまなお客さまのニーズにお応えできるようなものをご提供することで、周辺商品を3割まで上げていこうと考えています。
増井麻里子氏(以下、増井):コンテンツも展開されるということですね。
濵:コンテンツにも取り組みます。さまざまな方々と共に開発しており、我々もそこに踏み込んでいきたいと考えています。
事業KPI
濱:事業KPIとしては、販路が2021年12月時点で4社だったところを、2024年には50社まで増やすことを目指しています。周辺商品も現在20.2万人の契約数を33.8万人に伸ばし、「ワイヤレスゲートWiMAX」も13.5万人を16万人まで増やします。これによって売上高120億円を達成できると考えています。
成長戦略の三本の矢
濱:こちらは成長戦略を3本の矢に例えて実現していこうというものです。一つひとつポイントをご説明します。
成長戦略1 ホームルーター全国販売網構築
濱:1つ目として「ホームルーター全国販売網構築」では、これまではヨドバシカメラやTOP1など都心部が中心でしたが、スライド左側の図のように、ホームルーターの需要が全国に広がっているため、イメージとしては全国47都道府県に向けて販路を作ろうと思っています。
販路の作り方も、最近の消費活動の変化の中で、テレマーケティング、訪問販売、催事販売など、どちらかというと家で待っていれば商品が届くような、デリバリー形式の販売方法も含めて、通信商材の販路を広げていこうと考えています。
成長戦略1 新規販路開拓の体制構築
我々の営業体制では、従来オンボーディングでヨドバシカメラやTOP1の研修スタッフが非常にしっかり仕事をしてくれていました。しかし、販路拡大に向けたリード獲得、リード育成、アウトサイドセールスなどの部分は、そもそも機能としてまったく持っていませんでした。
ここで業務プロセスをしっかり構築し、採用、育成して、現在ではこのようにバランスのよいかたちで、新規販路も取れるようになって、計画どおり進捗しています。
成長戦略1 事業KPI①:提携代理店数の進捗
濱:その結果、現在進行中の第3四半期では、すでに25社の代理店との提携まで拡大しており、50社との提携に向けて取り組んでいる状況です。
坂本:スライド上では50社が上限になっていますが、50社以上に伸ばす予定はあるのでしょうか? それとも、いったん整理した上で再度増やすイメージでしょうか?
濵:25社と提携してみてわかったことは、やはり提携した上でいかに1社あたりが契約を取っていただけるかが重要だということです。
坂本:それは継続につながりますし、やはり50社にしてから、再教育などいろいろな部分を伸ばして、また考えるということですね。
濵:はい、関係を深化させるということですね。おそらく50社の中には取引が続かない会社もあると思いますが、また新しい取引先が増えるという意味では、取引先の規模を追うのではなく、クオリティで解決していこうと思っています。
成長戦略2 周辺商品の業績効果
濵:周辺商品では、先ほどお伝えした「ワイヤレスゲートWiMAX」という我々の主力商品の上に、スライドに記載のように「心配だからついでに保険を買う」あるいは少し書籍を買う、映像を買うなど、お客さまに長く我々のサービスを使っていただくということです。
これまでは、リモートライフの不満や不安など、マイナス要素を減らす方向が多かったのですが、今後はそれをさらに豊かに、ウェルビーイングを上げていくような商品をお客さまに提案していきたいと思っています。
冒頭にお伝えしたように、ヨドバシカメラでお買い求めいただいた30代から50代の男女を中心に、しっかりニーズを聞いて、周辺商品を増やしていこうと思っています。
成長戦略2 販売パートナーとの協業深化
濱:こちらが、それを売っていただく代理店との関係をどう作るかという図です。代理店は現在全国で1万6,000社ありますが、その業務プロセスを見ると非常にアナログな部分が多く、まだまだ効率化できると思っています。
また、代理店から「自分たちで事業をやりたい」という需要もあり、我々としては、「当社の顧客管理システムをどうぞ」「課金システムをご提供します」などと取引していくうちに、実は代理店の増収増益に貢献することが、結果的に我々の「ワイヤレスゲートWiMAX」や周辺商品の拡販につながることが見えてきたため、このようなシステムをご提供しています。
成長戦略2 販売代理店DXシステムの提供
濱:販売代理店DXシステムは、すでに2社の代理店に導入されており、これを3社、4社、5社と増やしていくことで、周辺商品の獲得にもつなげていきたいと考えています。協業の関係を深めていきたいと思います。
坂本:こちらは御社提供の商品だけではなく、代理店が自前の商品を売るためにも使えるシステムなのですか?
濵:代理店自前の商品を売っていただくのにも使えます。代理店が自前の商品を売るためには、課金するか、あるいは顧客管理をしてサブスクリプションの請求をし続けなければいけないのですが、そのような部分を我々が提供できるため、代理店からすると、自分で商品を用意して自分のお客さまへ売るというビジネスができます。
これまでは、「ドコモの契約を何件取ったらいくら」「ソフトバンクの契約を何件取ったらいくら」というように、自分たちで顧客基盤を持つ必要がなかったのですが、顧客基盤を持つことになると、ビジネスの広がりができ、それをしないといけないくらい、やはり携帯電話のビジネス全体が別の方向へ進もうとしていますので、環境変化にお応えできるような機会を我々が用意していくということです。
成長戦略2 事業KPI②:周辺商品契約数の進捗
濵:月額商品の契約数も緩やかに右肩上がりはしています。こちらもしっかり数字を伸ばしていかなくてはいけないと思っています。
成長戦略3 地域需要の獲得
濱:地域需要については、いろいろなものがあるということが見えてきています。自治体も含め、さまざまな話をしていく中で見えてきた需要を、先ほど見ていただいたような代理店での契約につなげていこうとしています。
成長戦略3 地方自治体との取り組み
濱:通常の営業のほかに奈良県生駒市や大阪府枚方市の公民館や子ども食堂など、そのようなところの需要にもしっかりとお応えすることによって、「ワイヤレスゲートWiMAX」の通信需要の上乗せをしています。
成長戦略3 事業KPI③:WiMAX 契約数の進捗
濱:「ワイヤレスゲートWiMAX」の契約件数はずっと右肩下がりで、これが減収の原因でもあったのですが、おかげさまで今年3月にプラスになりました。5月に一度下がってしまったのですが、6月、7月、8月、9月と拡大基調で順当に推移しています。
サブスクリプション契約数の進捗
濱:スライドのグラフは、全体の数字を足し算して四半期ごとに整理したものですが、緩やかな右肩上がりとなっています。我々の顧客基盤の拡大トレンド・モメンタムが続けば、今度はお客さまに対して付加価値を上げていくことができます。
顧客基盤が上がり続けるという状況を何としても実現したかったのですが、これは何とかできそうです。そして、いかに付加価値を上げるか、いかに周辺商品をお客さまに届けるかが重要で、これがうまくいけば必ず増収となり、業績にも効いてくると考えています。
費用推移と見通し
濱:ここまではずっと売上の話をお伝えしてきましたが、費用に関しても代理店への販売支援費用が非常に大きくなっています。ここについてもしっかりとコントローラブルな状態に持っていこうと努力しています。
棒グラフの一番下に示した売上原価は下がってきていますし、黄色で示した本社販管費も含め、非常にシビアに削減努力をしています。しっかりとコントロールしていき、利益を最大化できるように努めていきます。
リスク
濱:成長戦略上のリスクについてです。我々は1つの強いプロダクトを1つの強い販路で売ってきましたが、今後はプロダクトミックスと言いますか、商品を増やすことによって売上構成比を適正化しようと考えています。また、ヨドバシカメラという強い販路に過剰に依存せず、自分たちでもしっかり販路を作っていくことで、リスクを回避していこうと思っています。
社員は非常に少ないのですが、外部からさまざまな専門能力を持った方がどんどんジョインしてくれていますので、業務の幅を広げることでリスクを回避している状況です。
資本政策・株主還元に対する考え方
濱:最後に、資本施策についてです。特に株主還元は非常に重要な課題だと捉えています。
ただし、ご覧いただいたとおり、我々の業績の中で原資となるところが大きなマイナスになっていますので、まずはしっかり利益を出すことによって財務体質を強化していきます。
具体的には利益剰余金をしっかりとプラスに持っていき、株主還元ができる財務基盤に整えていくことが足元で私ができることだと思っていますので、それを実施しつつ、少しでも早くみなさまにお話しできるように努めていきたいと考えています。
私からの話は以上です。ありがとうございました。
質疑応答:現在の手応えや今後の展望について
坂本:「2021年3月に社長に就任されていますが、現在の手応えや今後の展開・ビジョンをお聞かせください」とのご質問です。
濵:ずっと業績が下がってきている会社で、株主の方の期待や信頼も損ねていたため、企業変革に入るにあたって「いきなりすべて改善するのは難しいな」と思っていました。そのため、きちんと順番を考えようと思っていました。
まず、外部に見えるところとして利益をしっかり出していきます。その次に、売上をしっかり戻します。そして、それをもっともっと発展させるという3段階で考えています。
利益をしっかり出すという1段階目に関しては、この1年間で数字をお示しすることができました。社員も非常に士気が上がっている状況ですので、足元としては凸凹もありますが、手応えを感じています。また、既存のビジネスにおいても増収カーブを作るところに関して少し見えてきているため、これは結果でお示ししなければなりませんが、増収のために必要なKPIはプラスになっており、手応えを感じています。
今後は、この基盤を糧にしてどれだけ成長していけるかというところに注力していきます。まだお出ししていないのですが、私の頭の中には「このような方向で行こう」という計画がありますので、お出しできるタイミングでお話しします。
坂本:楽しみにしています。
質疑応答:訪日外国人向けの「ワイヤレスゲートWiMAX」の貸し出しについて
坂本:御社はBtoBと言いますか、回線を直接仕入れられる立場にありますが、BtoCも手掛けたらよいのではないかとみなさまも感じているかと思います。しかし、代理店業はバッティングしてしまうため、ほかの同業他社がどのようなことを行っているかと考えたら、おそらく訪日外国人向けの「ワイヤレスゲートWiMAX」の貸出だと思います。コロナ禍以前の業績を見たら、ものすごく儲かっている会社もあったわけですが、このような事業は行わないのでしょうか?
濵:訪日外国人向けのWi-Fiにも2種類あります。インバウンドとアウトバウンドの2種類とも言えますし、情報に非常に敏感でスピーディーに安くWi-Fiを借りる人と、そのようなことにあまり強くない人の2種類とも言えます。
このスピーディーにWi-Fiを使える人に対するビジネスはレッドオーシャンですので、我々はどちらかというと「情報には疎いけどWi-Fiは欲しいよね」という人に対してご提供することを作戦として考えており、そのための準備をしています。
坂本:確かに、Wi-Fiは値が張りますし、遅い回線でもよいからSIMを入れるほうが流行っているのかもしれません。
濵:おっしゃるとおり、一周回って「遅くても安いほうがいい」「1ヶ月間だけ使えるSIMが欲しい」という需要があります。特に最近の通信障害によって、2枚目のSIMなどを求めるお客さまも多くなっています。国内のお客さまからの新しい需要も出てきましたし、インバウンドも復活し始めています。これからアウトバウンドも復活していくと思いますので、そちらについても考えています。
質疑応答:地方での提携先について
増井:ヨドバシカメラは都心部に多いと思うのですが、御社としてはこれから地方にも力を入れていきたいと考えていると思います。提携先としてどのようなところが想定されるでしょうか?
濵:催事販売を考えています。ずっとお店を維持するのは難しいのですが、週末だけお店を出せるような場所がけっこうあります。
そのようなところは地方でニーズが増え始めています。いつも行っているデパートやスーパーで週末に催事があれば、地元のおじいちゃん、おばあちゃんのサポートもできます。
そのような催事販売をお得に行っている会社や、あるいは引っ越し業者など、お店を持たずともお客さまのライフの変化に対してサービスをご提供している会社、あるいは訪問のお仕事や電話でご意向をうかがうお仕事など、さまざまなかたちで地方のニーズを開拓している会社があります。必ずしも店舗型に限らず、ECサイトの販売も含めて地方の方々と話をしています。
増井:そうなのですね。ありがとうございます。
坂本:たしかに、ショッピングモールの中でウォーターサーバーなどを短期間で販売しているところを見ます。
質疑応答:代理店の販売力向上のためのサポート活動について
坂本:「代理店の販売力向上のためのサポート活動はどのくらい行っていますか? なかなか難しいと思いますので、人員などのお話をお願いできればと思います」とのご質問です。
濵:代理店ごとの成績、つまりその商圏における成績を見て「ここはちょっと下がっているね」というところがあったら、リーダーへヒアリングして原因を特定します。原因がわかったら、研修をするのか、販促の支援をするのか、プランの提案をするのかといった対策を立てます。我々としては、まず「where」「why」を行って、「how」を提案するという流れになっています。
坂本:販促の支援とはどのような施策なのでしょうか?
濵:先ほどお伝えしたとおり、4P分析のうちプロダクトとプライスを変えることはなかなか難しいため、プロモーションをどうするかという部分が強いです。お客さまが迷われている時にプロモーションをかけることで「だったらこっちにしよう」と決めていただけることは、やはりあります。
単に「他社との比較で悩んでいる方」と言っても、自分の使う環境に最適なものを考えている方、家族がauのスマホを使っている、もしくはSoftbankのスマホを使っているなど、お客さまごとに悩みのポイントが異なります。我々の接客のストックは非常にたくさんありますので、お客さまそれぞれの状況を踏まえてご案内できるのが強みだと思います。
坂本:切り口をたくさん与えるということですね。
濵:そうですね。意外とわかりづらいというか、昔ながらのお考えを持つお客さまにはそのようにサポートしています。
質疑応答:eスポーツの協賛について
坂本:「オンラインゲームのプロスポーツ化の影響もあって、デスクトップを買ったりパソコンを買ったりする人が増えている印象です。そのようなイベントなどの協賛などは行っていますか?」というご質問をいただきました。
濵:今のところは行っていません。そのようなWeb3関連の通信の需要は非常に高まっており、ご相談をいただくことはあるのですが、まだ協賛までは踏み込めていません。すごく重要なことですので、もし機会があればぜひ検討してみたいと思っています。
坂本:プロゲーマーのサブ回線として、いくつかホームルーターを入れるということもあり得ますよね。
濵:はい、あり得ると思います。
坂本:我が家でも2回線を引いて仕事をしていますし、その可能性はあると思います。やはり速さが大事となれば光回線にするのでしょうけれど、サブ回線の需要はあると思っています。
質疑応答:5年後のリアル販路とネット販路の比率について
坂本:「5年後はリアル販路とネット販路の比率に変化が生じると思いますか?」というご質問をいただきました。先ほどのお話では、一定の需要はリアル販路にも必ずあるとのことでした。ここまでネットが進んで、意外と一定なのではないかと私は思っているのですが、そのあたりの未来について、「実は逆にリアル販路が少し増える」というお考えなどがあれば教えてください。
濵:やはり、常にマーケットがどうなるかを見ながらになると思います。結果的に半々になるかもしれませんし、そうではないかもしれないと思いますが、我々の強みと競合他社の動きを見ながら進めていきます。
我々はリアルの販売環境で育ててもらったため、リアル販路のナレッジが非常に蓄積されているのが強みだと思っています。ただし、EC販路がマーケットとしてどんどん広がっているのもわかっていますので、様子を見ながらというイメージになると思います。
坂本:ありがとうございます。リアル販路で購入した場合、最近は購入して即日で使えるのですよね?
濵:はい、使えます。
坂本:やはりEC販路では発送を待たなければいけませんので、そこが強いところですよね。
濵:そうですね。店舗に在庫があればすぐにお使いいただけます。
坂本:私はリアル販路は絶対になくならないと思っています。いくらテザリングができても、「今日使いたい」という人は少なからずいると思います。
濵:届くまでのスピードがありますよね。今日届けばよいのですが。
坂本:そうなのです。そのような人は意外とEC販路を使いません。
濵:そうですね、欲しい時に欲しいのです。
坂本:わかります。
増井:今はホームルーターなど、つなぐところを間違えてしまってつながらないということがけっこうありますね。
濵:自分で解決できないですものね。
坂本:シンプルなのがよいですよね。「これを押せばもうネットにつながる」というのがよいです。
質疑応答:ホームルーターの競合について
増井:ホームルーターの競合については、いかがでしょうか?
濵:商品としての競合と販売としての競合がいます。商品としては「ワイヤレスゲートWiMAX」は非常によいものだと思っています。これまで我々のネックだった通信料の制限もなくなりましたし、住所登録が不要、価格が安い、スピードが同等といったアドバンテージを考えると、やはり一番魅力ある商品だと思います。
販路としては、認知を正しく持つ必要があると思っており、そこが我々の課題です。どうしても「同じ会社のセットで買ってもらおう」となりがちですが、「問題解決するにはこの商品がいいよ」という部分を正しくお客さまにお伝えして選んでいただくことが大事だと思っています。そこに関しては競合のほうがうまく行っているため、我々もしっかり学んで実践していきたいと思います。
増井:なるほど。
坂本:他社のホームルーターに同じものがありますが、御社はUQのものを売っているということですよね?
濵:はい、そうです。
坂本:そこがわかっていない方がいるようです。実際に、他社製品を扱ってもあまり意味がないのですよね。商品性はほぼ変わらないですし、互換はできるのですか?
携帯電話の販売会社は意外と互換できているところもありますし、もう1つ作っているところもあるのですが、そのあたりの業界環境と可能性はどのような感じなのでしょうか? セット割の部分でカバーできると思うのですが。
濵:「ワイヤレスゲートWiMAX」以外の商品と、という点では、我々はUQの商品だけを売る会社ではありませんので、もちろん可能性としてはあり得ると思っています。ただし、UQの商品は非常によい商品ですので、通信商品だけを増やすというよりはその上に乗せる付加価値を増やしていくほうがお客さまのニーズに応えられると考えています。
当日に寄せられたその他の質問と回答
当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。
<質問1>
質問:何がよいか悪いか? 何が足りないのか等々が感じ取れた5期連続減収減益期間であったと思います。就任以降考えてきたことがどの程度実際に実現できたとお思いでしょうか?
回答:減収減益が続いていることに対して当社変革への青写真は持ちつつも、20名ちょっとの社員数にて、一気に全部をやることはできません。まずはコスト削減等にて増益基調を実現し、本業にて増収基調を実現することを目指しています。考えてきたことは、就任以降1年半は概ね実現できつつあります。今後は増収増益基調を確実にしつつ、本業の強みを生かした中期的な成長を実現していきます。
<質問2>
質問:上期は大幅増益で素晴らしい結果だと思います。
回答:ありがとうございます。引き続き、企業価値の向上へ努力してまいります。
<質問3>
質問:なぜ販売代理店がヨドバシカメラがメインなのでしょう。
回答:創業間もないころにお取引をしていただき、かつ、当社にご出資をしていただいており、ビジネスにおいて強固なパートナーシップを組ませていただいております。なお、ヨドバシカメラ店舗は都市部に多いため、地方部への顧客にアプローチするための販売代理店との提携は現在鋭意進めております。
<質問4>
質問:上期(第1四半期・第2四半期)の売上販売管理費率が、前期比プラス10パーセントになっておりますが、理由としては何になりますでしょうか?
回答:代理店販売強化施策のためです。なお、本施策は通信キャリアさまの取り組みと連動しており、その原資は原価削減にてほぼ相殺となっております。詳細は決算説明資料の「営業利益の増減要因」においてもご説明しておりますので、よかったらご参照ください。
<質問5>
質問:いまいち仕組みがわからないのですが、「WiMAX」で検索すると「UQWiMAX」と出てきます。このシステムを構築しているのが御社なのか、それともライバル会社なのか?
回答:「WiMAX」という通信サービスを提供しているのはUQコミュニケーションズさまです。当社はUQコミュニケーションズさまからWiMAXサービスを卸していただき、「ワイヤレスゲートWiMAX」ブランドにて、ヨドバシカメラさまなどの販路にて販売させていただいております。
<質問6>
質問:訪問販売における年齢等のターゲット層の設定はあるのでしょうか。
回答:年齢層のターゲットは特にありません。現在のインターネット回線にご不便を抱えているお客さまへのご提案となります。
<質問7>
質問:他社の販路拡大は、人を介さないネットオンリーの方法を選ばれていると思うのですが、御社の戦略は代理店の訪問販売などの方法では、コスト高になってしまうと、懸念を持ってしまいますが、この点、いかがでしょうか。
回答:ネットオンリーの方法による販売をする事業者が拡大しており、検索ワードの単価を含めて広告宣伝費の相場は高騰しております。当社もネット販売は実施しておりましたが、現在は当社の強みを活かせるリアル販路にて契約拡大を実現しております。
<質問8>
質問:インターネットイニシアティブやマイネオのようなMOVOへ参入し、スマホとセットで販売販売とかは考えておられないのでしょうか。
回答:個別戦略についての言及は控えさせていただければと存じますが、市場の動きを見つつ、あらゆる販売形態は検討してまいります。