「資産形成」ブーム

世の中はいま「資産形成」ブームです。

預貯金金利がほぼゼロにとどまり、お金を増やすことにもっと目配りしたほうがいいと、さまざまな人が言っています。長く続いたデフレがいつか終わってインフレになる可能性を考えると早めに手を打っておいたほうがいい、そんな話もよく耳にするのではないでしょうか。

その昔これを「財テク」と言っていましたが、最近では「資産形成」と上品に呼ぶようになりました。政府もNISAやiDeCoといった制度を用意して個人の資産形成をサポートしています。

読者のみなさんが「自分も資産形成のために手を打っておくべきかな?」と漠然と考えても不思議はありません。

ただ、おカネ儲けの話となると、うさんくさく感じる方も少なくないでしょう。金融機関は金融商品を販売して手数料を取りますが、その運用リスクまで一緒に取ることは一般にありません。

ですので、「資産形成」という美名のもとに金融機関がすすめてくる金融商品を見て、慎重になるのは個人としてごく自然な反応です。

しかし、独力で金融商品を選ぶとなると困ってしまう方が多いのではないでしょうか。そんな方に参考にしていただきたいのが証券会社のランキングです。

証券会社の投信売れ筋ランキングにヒントあり

筆者は日頃からネット証券の投信のランキングに注目をしています。

ネット証券に着目するのは、一定のITリテラシーがあり、主体的に金融商品を選ぶ金融リテラシーもあって、さらにコスト意識も備わっている方が多いと考えられるからです。

投信に着目するのは、少額で投資ができるため、幅広い個人の方が利用できる金融商品であること、低コスト投信の選択肢が多いことからです。

中長期の資産形成なら投信積立件数ランキングに着目

そこで見ていただきたいのが投信積立件数ランキングです。

投信の積立というのは、ごく簡単に言えば毎月一定額をあらかじめ決めた投信の購入に充てるということです。積立定期預金の投信版ですね。

預貯金をあり余るほど持っている方や、株式市場の天底をピタリと当てる自信がある方は、毎月積み立てることはしないと思います。しかし現実には、資金の制約のなかで毎月の収入から一定額を資産運用に充てる個人の方が大多数ではないでしょうか。

また、天底をピタリと当てることは難しいので、上げても下げても毎月少しずつ買い増して、長期的な視点でリターンを狙うというのは賢明な手法だと思います。

もちろん、長期で投信を積み立てておけば絶対に儲かるという保証はありません。バブル期から日本株の投信を積み立てていてもあまり良い結果にはならないことがその証左です。

しかし、リスクを取る以上、これは仕方ありません。「長期で見て値上がりしていそうなものを少しずつ買っていく」という前提に立って選べる投信があるのか、ネット証券の投信積立の設定件数ランキングを調べて考えてみましょう。

設定件数を見るのは、積立金額の大小ではなく、1人1票方式で人気のある投信をチェックするためです。

SBI証券の投信積立設定件数人気ランキング(2017年4月)

まず、SBI証券のランキングです。

  1. 【バランス型】「世界経済インデックスファンド」三井住友トラスト・アセットマネジメント
  2. 【国際株式型】「ニッセイ外国株式インデックスファンド」ニッセイ・アセットマネジメント
  3. 【国内株式型】「ひふみプラス」レオス・キャピタルワークス
  4. 【国内株式型】「ニッセイTOPIXインデックスファンド」ニッセイ・アセットマネジメント
  5. 【バランス型】「 iFree 8資産バランス」大和投信
  6. 【国内株式型】「ニッセイ日経225インデックスファンド」ニッセイ・アセットマネジメント
  7. 【国際株式型】「EXE - i 新興国株式ファンド」SBIアセットマネジメント
  8. 【国際債券型】「ニッセイ外国債券インデックスファンド」ニッセイ・アセットマネジメント
  9. 【バランス型】「eMAXISバランス(8資産均等型)」三菱UFJ国際投信
  10. 【国際株式型】「たわらノーロード 先進国株式」アセットマネジメントOne

楽天証券の投信積立設定件数ランキング(2017年4月)

次に、楽天証券のランキングです。

  1. 【バランス型】「世界経済インデックスファンド」三井住友トラスト・アセットマネジメント
  2. 【国際株式型】「ニッセイ外国株式インデックスファンド」ニッセイ・アセットマネジメント
  3. 【国内株式型】「ひふみプラス」レオス・キャピタルワークス
  4. 【国内株式型】「ニッセイTOPIXインデックスファンド」ニッセイ・アセットマネジメント
  5. 【国内株式型】「ニッセイ日経225インデックスファンド」ニッセイ・アセットマネジメント
  6. 【バランス型】「eMAXISバランス(8資産均等型)」三菱UFJ国際投信
  7. 【国際株式型】「たわらノーロード 先進国株式」アセットマネジメントOne
  8. 【バランス型】「 iFree 8資産バランス」大和投信
  9. 【国際株式型】「ニッセイグローバル好配当株式プラス(毎月決算型)」ニッセイ・アセットマネジメント
  10. 【国際債券型】「ニッセイ外国債券インデックスファンド」ニッセイ・アセットマネジメント

マネックス証券の月間積立契約件数ランキング (2017年4月)

マネックス証券のランキングも見てみましょう。

  1. 【バランス型】「マネックス資産設計ファンド 育成型」アセットマネジメントOne
  2. 【国際株式型】「SMT グローバル株式インデックス・オープン」三井住友トラスト・アセットマネジメント
  3. 【国際株式型】「三井住友・バンガード海外株式ファンド」三井住友アセットマネジメント
  4. 【国際株式型】「ニッセイ外国株式インデックスファンド」ニッセイ・アセットマネジメント
  5. 【国内株式型】「日経225ノーロードオープン」アセットマネジメントOne
  6. 【国際株式型】「eMAXIS 新興国株式」三菱UFJ国際投信
  7. 【国内株式型】「ひふみプラス」レオス・キャピタルワークス
  8. 【バランス型】「世界経済インデックスファンド」三井住友トラスト・アセットマネジメント
  9. 【国内株式型】「ニッセイ日経225インデックスファンド」ニッセイ・アセットマネジメント
  10. 【国際株式型】「SMT 新興国株式インデックス」三井住友トラスト・アセットマネジメント

投信積立の人気銘柄は集中している

いかがでしょうか。のべ30本の投信を列挙しましたが、名寄せをすると17本に絞られることがわかります。

バランス型なら

バランス型は、国内外の株式や債券などに幅広く分散投資を行って、大きな値動きを避けつつ着実にリターンを狙うコンセプトの投信です。今回のリストにあがった人気投信は次の4つです。

「世界経済インデックスファンド」三井住友トラスト・アセットマネジメント
「 iFree 8資産バランス」大和投信
「eMAXISバランス(8資産均等型)」三菱UFJ国際投信
「マネックス資産設計ファンド 育成型」アセットマネジメントOne

海外の株式に積立投資するなら

次に、海外の株式へ投資する投信を見ていきましょう。8本リストアップされました。

「ニッセイ外国株式インデックスファンド」ニッセイ・アセットマネジメント
「SMT グローバル株式インデックス・オープン」三井住友トラスト・アセットマネジメント
「三井住友・バンガード海外株式ファンド」三井住友アセットマネジメント
「たわらノーロード 先進国株式」アセットマネジメントOne
「ニッセイグローバル好配当株式プラス(毎月決算型)」ニッセイ・アセットマネジメント
「EXE - i 新興国株式ファンド」SBIアセットマネジメント
「eMAXIS 新興国株式」三菱UFJ国際投信
「SMT 新興国株式インデックス」三井住友トラスト・アセットマネジメント

国内の株式に積立投資するなら

国内株式の投信は4本ランクインしています。

「ひふみプラス」レオス・キャピタルワークス
「ニッセイTOPIXインデックスファンド」ニッセイ・アセットマネジメント
「ニッセイ日経225インデックスファンド」ニッセイ・アセットマネジメント
「日経225ノーロードオープン」アセットマネジメントOne

海外の債券に積立投資するなら

海外債券の投信はこちらの1本です。

「ニッセイ外国債券インデックスファンド」ニッセイ・アセットマネジメント

まとめ

いかがでしたか。資産形成をしたいと思っていても、具体的に何に投資したらいいのか悩んでいる方は、ぜひ今回のリストを参考に投信を積み立てるという投資戦略を一度お考えになってはどうでしょうか。この中から1つだけを選ぶのではなく、2本組み合わせてみるのもありでしょう。投信選びを楽しんでみてください。

椎名 則夫