まとめにかえて
おひとりさまといっても働き方や住まいなどさまざまですが、女性は年収が高めで、また男女ともに順調に貯蓄しているようすがうかがえました。ただ今回の統計は平均のため、より実態に近い中央値ではもう少し下がると考えられます。
2019年には「老後2000万円問題」が話題となりましたが、こちらは高齢夫婦無職世帯のひと月の収支が月5万5000円不足し、老後を30年と仮定して約2000万円不足すると試算されました。ひとり世帯であれば関係ないと思われる方もいるでしょう。
しかし上記は持ち家で試算されていますので、家賃がかかる場合には単身でも侮れない数字でしょう。また、老後の収入である公的年金がいくらかにより、老後の必要額は個々人で異なります。
厚生年金は国民年金より手厚いといわれますが、収入に応じて保険料を払うため、個人差が大きくなっています。まずはねんきん定期便などを見て、老後に受給する年金の目安額を確認しましょう。
老後のおおよその月の収支がわかれば、不足分を私的年金や貯蓄で用意することになります。
また、おひとりさまはケガや病気で働けなくなった場合、介護が必要になった場合などは、自身で貯蓄を切り崩すことになります。そういった万が一の時に備えた保障も検討したいところでしょう。
今回の統計を参考に、ひとりの人生をどう生き抜くか、まずは計算してみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 国立社会保障・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」
- 総務省「2019年全国家計構造調査 所得に関する結果 及び 家計資産・負債に関する結果 結果の概要」
- 国税庁「令和2年分 民間給与実態調査統計」
宮野 茉莉子