子育てしやすい社会に必要な視点

今回のバスの乗車拒否に関して、「混んでいる時間を避けるべき」「他の乗客が迷惑する」という意見も少なくありませんでした。

狭い車内に双子用ベビーカーがある状態というのは、特に混雑時には「迷惑」と考えてしまう心情も理解できます。単純に安全面からの意見もあるでしょう。

しかし、少数派の声に対し「優遇するな」「甘えるな」という意見だけでは、社会が前に進まないのではないでしょうか。

頑張ったのに報われなかった、あるいは大変なときに助けてもらえなかったという経験が積み重なると、弱い立場の人が声をあげたときに「甘えるな」という意見に変わってしまうのかもしれません。

しかし、ベビーカーでバスを利用するという困難さを選ばざるをえない状況を考えると、こうした意見がますます双子の親を苦しめることになります。

日頃から申し訳ないと思いながら育児をしている親ほど、こうしたニュースに敏感になるのではないでしょうか。

もちろん、考えるべきは双子育児だけではありません。Oさんも、今回のニュースに触れた感想として「悲しい気持ちになりました。ただ誤解されたくないのは、双子育児「だけ」が大変なわけではないですし、双子育児は「つらいだけ」じゃないことです。

実際に双子を連れているとさりげなく助けてもらうことが多く、子どもを産む前には気づかなかった人の優しさを感じます。ネガティブなニュースほど拡散されやすく、共感も得られやすいものですが、それだけじゃないことは伝えていきたいですね。」

時代が移り変わっても、赤ちゃんを連れた方、障害を抱える方、集団生活に困難さを抱える方など、社会的に弱い立場と言われる存在はいます。そうした方の困難さは、声を上げてもらうことでようやく明るみになることも。

具体的な課題がわかったところで、社会の構造を変えるのかそれとも打ち消すのか。より良い社会にするために、今一度考えていきたいことだと言えます。

参考資料

LIMO編集部