2022年9月20日に発表された、株式会社タウンニュース社 2022年6月期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社タウンニュース社 代表取締役 会長兼社長 宇山知成 氏

目次

宇山知成氏:みなさま、こんにちは。株式会社タウンニュース社にご興味をお持ちいただき、誠にありがとうございます。本日は、当社の会社概要及び第42期決算状況をご説明させていただきます。

ご説明は、会社概要、事業紹介、中期経営計画、42期決算概要の順で進めてまいります。

ご挨拶

まずは会社概要から、ご説明します。当社は、創業以来「1つの街に1つの新聞(タウンニュース)。」というコンセプトのもと、地域新聞「タウンニュース」の発行を主な事業として取り組んできました。

今後はこの事業を基幹としつつ、地域における情報ネットワークをはじめとする、リソースを活かした多様な事業を展開していきます。めざすは「地域情報紙も発行する総合情報企業」です。

会社概要

次に会社概要と沿革をご説明します。タウンニュース社は1980年に設立し、現在43年目の年度に入りました。2006年には、東証JASDAQ市場に上場しました。

主要事業である地域情報紙「タウンニュース」の発行に加えて、デジタル情報サービス、各種印刷・出版物の制作、各種プロモーション事業、地域プロデュース事業、そしてPPP(公民連携)事業である行政施設の管理委託業務など、地域を軸とした幅広い事業を手掛けています。

経営理念

当社の経営理念はスライドに記載のとおりです。地域新聞社として、報道を通して社会貢献を図ることと、生活情報紙としての広告を通して地域や企業の発展に寄与することを社会的な役割として掲げ、日々活動しています。

タウンニュースの発行

次に、当社事業の詳細をご紹介します。まずは、主要事業である「タウンニュース」の発行です。「タウンニュース」は、行政区単位に細分化された地域密着型の無料紙です。

フリーペーパーでありながら、身近なニュースを生活情報とともにお届けする「地域の新聞」を標榜しています。単に広告やイベント情報のみを掲載する「情報誌」とは明らかに異なり、全国紙や全県紙などでは取り上げることがない、生活者が必要とする情報を丁寧に取材し、記事にしています。

性別を問わず幅広い年代に読まれていることが大きな特長で、家庭内で回読されることが多く、掲載された情報はしばしば各界、各方面で話題となっています。取り扱うネタは最新のニュースはもとより、地域の歴史、政治、経済、教育、文化、スポーツと幅広く、地域の方にその地域のあらゆる情報をお届けしています。

広告・プロモーション

「タウンニュース」紙面への広告出稿は、地元の中堅中小企業、街の商店や個人事業主、さらには行政や諸団体など、幅広い範囲に及んでいます。地域の事業者にとっての主要顧客は、言うまでもなく地元住民で、地域住民を基本読者とする「タウンニュース」は、そのような地域の事業者のニーズに応える最適メディアです。入念な取材に基づく店舗・会社紹介、商品PR、イベント告知、求人、行政の施策紹介などは、読者・クライアントの高い信頼を得ています。

また、200万部近い発行部数を誇るタウンニュースには、広域での広告出稿を希望する大手企業なども多く、こうした需要にお応えするため広告代理店を通じた提案・アプローチも行っております。地元事業者に対しては主にそれぞれの編集室が、広告代理店には専門部署が営業活動を行っています。

広告・プロモーション

地域との関係性の強い「タウンニュース」は、紙面広告以外の多様な広告・プロモーションニーズにもお応えし、確かな実績をあげています。

紙面製作で培った取材力、編集力を活かした自費出版物、記念誌制作をはじめ、複数の自治体における広報媒体の企画・編集などにも長年携わっています。また近年では、動画制作や各種販促グッズの企画、制作、販売も数多く手掛けています。

デジタル関連事業

また、当社では時代の変化に対応し、デジタルメディアでの地域情報発信に力を入れています。

「Web版タウンニュース」「メール版タウンニュース」「タウンニュース for LINE」のほか、「Yahoo! JAPAN」をはじめとするキュレーションサイト、各種SNSへのニュース配信など、紙面とは異なる読者層へも拡大を図っています。

デジタル関連事業

さらにスピンオフサイトとして、イベントやお出かけスポットを紹介するご近所情報サイト「RareA(レアリア)」や、神奈川県全域と東京多摩地域の全政治家を紹介する「政治の村」、その姉妹サイトの「政治の村Students」なども手掛け、幅広い層に向けて違う切り口で情報発信を行っています。

さらに自社サイトで得た知見を活かし、ホームページ制作なども手掛けています。

地域プロデュース・PPP(公民連携)事業

地域との距離が近い当社では、地域の活性化や街づくりイベント、各種講演会、お祭りなどの企画・運営にも積極的に関与して貢献しています。

その一環として、行政機関の施設運営管理業務を担うなど、新たな分野へも事業を拡大し、強化しています。

基本ビジョン

次に、当社の今後の展望を踏まえた中期経営計画についてご説明します。基本ビジョンとして、これまでの「地域情報紙中心の会社」から、地域を軸にさまざまな事業を展開する「地域情報紙も発行する総合情報企業」へと発展することを目指しています。

事業戦略

そのための事業戦略として、大きく3つの事業を強化していきます。すなわち、「紙面関連事業(コア事業)の深化」「デジタル事業の強化」「非紙面事業の拡大」です。

紙面関連事業については、きめ細やかで確かな地域情報をタイムリーに届けることが「タウンニュース」の使命と位置づけ、その品質の維持向上のため、社内外の紙面批評体制の強化や、組織体制の再整備、ミス防止のための体制強化などを図っていきます。

また、「タウンニュース」発行エリアを拡大し、44期末までに新たに2版以上の創刊を目指します。

学校経由で小学生に届けられる「こどもタウンニュース」の全エリア内定期発行や「SDGs」「介護」「地域の安全・安心」といった地域課題解決をめざした全版一斉企画など、地域関係者とのコラボレーションによるさまざまな企画特集や特別号の発行などを進めます。

デジタル事業については、地域情報のデジタル発信の強化と深化を図るとともに、キュレーションサイトや通信社への配信をさらに進め、その収益性向上を図ります。「Web版タウンニュース」のスピンオフサイトであるご近所情報サイト「RareA(レアリア)」や「タウンニュース政治の村」など、オウンドメディアの読者拡大と収益化を進めます。

また、ホームページの制作・リニューアルや各種SEO対策など、あらゆるWebサービスの需要に応える体制をパートナー企業とのアライアンス強化などにより構築し、その収益向上を目指します。

非紙面事業については、自治体が実施する各種プロポーザルへの積極的参加を進め、広報紙(誌)をはじめとする諸案件の受託拡大を図ります。また、秦野市文化会館に続く第2、第3の指定管理業務受託を目指します。

SP(Sales Promotion)広告、クロスメディア対応、各種記念誌、自費出版、動画の制作・配信、販促グッズなど、地域の多種多様なPR需要のすべてに対応できる体制を確立するとともに、その収益向上を進めます。

さらに、地域活性化や街づくりに資する各種イベントの企画・運営や相談・コンサルタント事業など、地域に「元気」「誇り」を届ける各種事業を進め、その収益化を図ります。

サステナビリティへの対応

さらにサステナビリティへの取り組みとして、「ダイバーシティ経営の推進及び労働環境の改善」「社会的課題解決へのアプローチ」を掲げています。

「ダイバーシティ経営の推進及び労働環境の改善」については、女性活躍推進法に基づく「一般事業主行動計画」に則った職場環境整備と管理職登用を進め、横浜市の「よこはまグッドバランス賞」認定企業を目指します(2022年1月に認定企業となりました)。また、女性や若手が中心となった社内プロジェクト推進などにより、多様な人材が活躍できる環境づくりを進めます。

そして、長時間労働の削減をはじめとする時代に即した働き方改革を進めるとともに、行政が進める「健康経営」認定事業者取得を目指します。

従業員の能力・成果を最も適切なかたちで評価できるシステムを再整備し、それに対応した職位・職階・職域体制の構築を目指します。

「社会的課題解決へのアプローチ」については、人権や環境、平和、政治参加などの社会的課題や地域住民に身近な防犯、防災・減災などの地域課題に関する報道と情報発信を日常的に各編集室で進めるとともに、全社一斉キャンペーンの展開などにより、その解決に寄与していきます。

また、社会的・地域的課題解決をテーマとした小中学生のコンクール(絵画・作文など)や、各種シンポジウム、コンサートなどの開催実現を目指します。気候変動や貧困など、世界的諸課題の解決に資するSDGs/ESG投資を可能な限り進め、「誰一人取り残さない、持続可能な社会の実現」に貢献していきます。

業績目標

これらを実行しながら、中期経営計画着地時の44期には、過去最高の売上高及び過去最高益の達成を目指します。

業績目標

売上を各事業別でみると、それぞれの部門での伸張を図りながら非紙面事業の構成割合を18.9パーセントまで高め、「地域情報紙も発行する総合情報企業」へと発展・飛躍させる計画です。

当期の概要

次に、直近の第42期の決算内容をご説明します。コロナ禍にあり、当業界も厳しい状況が続いていますが、当社は地域の幅広い業種・職種のみなさまに支えられ、売上高・利益とも前年を大幅に上回ることができました。

主要事業である「タウンニュース」紙面関連では、地域新聞として新型コロナウイルス関連情報をはじめ身近な話題、政治・経済・スポーツ・文化・教育など、地域に密着した話題性の高い紙面を提供しました。地域住民の必要とする幅広い分野のニュースを丁寧に取材・記事化し、競合他社との差別化を図ることに引き続き注力しました。

また、コロナ禍で低迷していた民間広告需要も徐々に回復する中、地元行政機関や政治家、諸団体などとの連携や、地元小学生を対象とした「こどもタウンニュース」の発行エリアの拡大や定期発行化、「SDGs」「介護」「地域の安全・安心」といったテーマやターゲットを絞った全社一斉企画、行政・団体広告の取り込みなどが業績に寄与しました。

デジタル事業については、「Web版タウンニュース」「メール版タウンニュース」に加え、「タウンニュース for LINE」の配信を開始するなど、強化、進化を図ってきました。また、スピンオフサイトである「政治の村」や、ご近所情報サイト「RareA(レアリア)」の拡充により、紙面とは異なる広告需要の取り組みにも引き続き注力してきました。

さらに、非紙面事業では「地域の情報をビジネスに換える」とのスローガンを掲げ、紙面広告以外の多様な地域ニーズへの対応を進め、多くの分野で成果をあげることができました。またPPP(公民連携)事業の一環として、秦野市文化会館の指定管理業務を開始し、新たな事業領域ながら当社のリソースを活かした展開で、着実な一歩を踏み出しています。

以上のとおり、第42期事業年度は、昨年12月に公表した中期経営計画に則った各種施策により、紙面広告売上、Web関連売上、非紙面売上ともに順調に増加し、売上高・利益ともにコロナ前の水準、それ以上にまで回復することができました。

利益面では、売上増加と合わせて折込部数の適正化などによる売上原価の削減や経費の圧縮などに努めた結果、本年4月発表の業績予想には届かなかったものの、営業利益、経常利益、当期純利益ともに、前事業年度を大きく上回る結果となりました。

当事業年度の業績は、売上高32億4,800万円(前年同期比10.4パーセント増)、営業利益3億7,800万円(前年同期比55.6パーセント増)、経常利益4億5,500万円(前年同期比58.7パーセント増)、当期純利益3億1,000万円(前年同期比60.8パーセント増)となり、売上高、経常利益、当期純利益ともに「コロナ前」の水準を超えることができました。

損益計算書の概要

損益計算書の概要です。利益面では、売上高が増加したことに加え、折込部数の適正化等による売上原価の削減や経費の節減に努めた結果、売上の対前年伸び率(10.4パーセント増)が、売上原価(6.5パーセント増)、販管費(6.2パーセント増)の伸び率を上回っており、売上総利益、営業利益、経常利益、当期純利益ともに前事業年度を大きく上回る結果となりました。

営業外収益は運用株式の売却益や配当収入により前年比で3,400万円増え、経常利益も前年同期比で大幅に増加しました。

貸借対照表・キャッシュフロー計算書の概要

貸借対照表の概要については、流動比率471.7パーセント、自己資本比率88.6パーセントときわめて安全性、健全性が高い状態を維持しています。

当事業年度末の資産合計については、前事業年度末に比べ3億5,800万円増加し、45億3,800万円(前年同期比8.6パーセント増)となりました。主に、売掛金が1,600万円減少したものの、現金及び預金が2億3,100万円、投資有価証券が1億500万円増加したことなどによるものです。

負債合計については、前事業年度末に比べ1億600万円増加し、6億700万円(前年同期比21.4パーセント増)となりました。主に、未払法人税等が5,600万円、退職給付引当金が2,800万円増加したことなどによるものです。

純資産合計については、前事業年度末に比べ2億5,100万円増加し、39億3,100万円(前年同期比6.8パーセント増)となりました。主に、利益剰余金が2億3,300万円、その他有価証券評価差額金が1,800万円増加したことによるものです。

キャッシュ・フローに関しては、営業活動で得た資金を投資および財務活動で活用していますが、現金及び現金同等物は前年対比で1億1,100万円増加し、7億5,400万円と高水準を維持しています。

営業活動によって得られた資金の増加は主に、税引前当期純利益(4億5,700万円)、減価償却費(3,700万円)、退職給付引当金の増加額(2,800万円)、売上債権の減少額(1,600万円)、その他の流動負債の増加額(1,700万円)等の増加要因が、受取利息及び受取配当金(1,500万円)、投資有価証券売却益(3,200万円)等の減少要因を上回ったことによるものです。

投資活動の結果支出された資金の増加は主に、定期預金の預入による支出(1億3,200万円)、有形固定資産の取得による支出(3,300万円)、投資有価証券の取得による支出(3億3,700万円)等の要因が、投資有価証券の売却による収入(1億8,800万円)、その他投資資産の増加(9,000万円)等の要因を上回ったことによるものです。

財務活動の結果、使用した資金の増加は主に、配当金の支払い額(7,700万円)です。

次年度(43期)の見通し

次年度の業績見通しについても、中期経営計画に基づき計画を策定していますが、引き続きこの計画に盛り込まれた諸施策を着実に進め、過去最高売上達成を目指していきます。

次年度(43期)の見通し

紙面関連事業については、引き続き既存発行地区版の深耕をより一層進め、withコロナ時代に対応した多様な手法で顧客との接触件数の増加を図り、超地域密着の強みを活かした比類ない紙面づくりにより、競合他紙との差別化を図っていきます。

また、地域の状況を踏まえながら、新たな地域への新規創刊に向けた具体的な準備を進めていきます。

デジタル事業では引き続き「Web版タウンニュース」「政治の村」「RareA(レアリア)」などのオウンドメディアの広告販売強化をはじめ「メール版タウンニュース」及び「タウンニュース for LINE」の読者拡大、キュレーションサイトへの記事配信拡充など、デジタル分野における事業強化を推進していきます。

また需要が増加しているホームページ制作や部分リニューアル、動画制作、リスティング広告、SNS広告など、さまざまなWeb需要に応える体制を整えていきます。

さらに非紙面事業ではWebを活用したイベント・セミナーの企画運営や自治体のクロスメディアプロモーションの受注、PPP(公民連携)事業の一層の推進など、官民問わず、当社が保有するリソースをビジネスに繋げるべく、紙面以外の地域の広告需要の総合的取り込みに一層注力していきます。

これらの施策により、次期業績は、売上高35億7,700万円、営業利益5億100万円、経常利益5億2,000万円、当期純利益3億3,800万円を見込んでいます。

以上、簡単ではございますが当社の概要と主要事業、「中期経営計画」そして「42期決算」について概要を説明させていただきました。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。引き続きタウンニュース社に対するご指導・ご鞭撻を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

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