「野原みさえ」は本当に勝ち組か。勝ち組の定義に変化も

年収600万円台で好きなパパ1位の夫をもつ、専業主婦の野原みさえ。「勝ち組」といわれるのもわかる、という方もいるでしょう。

一方で、当時に比べれば現代は価値観が多様化し、家族のようすも変化しています。

たとえば厚生労働省が2022年9月16日に公表した「令和4年版厚生労働白書-社会保障を支える人材の確保-(本文)」によると、現代の専業主婦世帯数は以下の通り。

出所:厚生労働省「令和4年版厚生労働白書-社会保障を支える人材の確保-(本文)」(2022年9月16日公表)

1994年には専業主婦世帯数と共働き世帯数が同程度でしたが、2021年は共働き世帯が1247万世帯、専業主婦世帯が566万世帯と、専業主婦世帯は共働き世帯の半分以下に減少しています。

今の時代だったら、みさえも働いている可能性があるでしょう。しんちゃんの家庭環境もまた変わっていたかもしれません。

また、「みさえが勝ち組」といわれるのは、「夫の年収が高く、妻は専業主婦でいられること」が勝ち組の定義の一つになっています。

しかし国立社会保障・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」によれば、18~34歳未婚女性の理想のライフコースは育児と仕事の「両立コース」が最多で34.0%、一旦退職して子育て後に再び仕事を持つ「再就職コース」が26.1%、「専業主婦コース」は13.8%となっています。

出所:国立社会保障・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」

みさえが再就職コースになる可能性もありますが、現代女性が最も理想とするのは「両立コース」となっており、「勝ち組」の定義も変化しつつあります。

ライフコースの変化は時代や経済的な要因もある一方で、育児中でも「仕事をしたい」と考える女性も一定数いるのです。

まとめにかえて

そもそも専業主婦になりたいか、一旦退職して再就職したいか、育児と仕事を両立したいかは、個々人の考え方により違うもの。結婚しない、子どもを持たない、法律婚をしない選択をする方も一定数いる時代です。

何が良いかは人それぞれ。勝ち組かどうかではなく、自身の希望をきちんと把握し、それにそった人生を歩めているかが大切と言えるのではないでしょうか。

参考資料

宮野 茉莉子