2022年9月16日に行われた、株式会社coly2023年1月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:株式会社coly 代表取締役社長 中島瑞木 氏
当社のビジョン
中島瑞木氏:株式会社coly、代表取締役社長の中島瑞木です。よろしくお願いします。これより、当社2023年1月期第2四半期決算説明会を開催いたします。
まずは、当社のビジョンについてお伝えしたいと思います。私たちは「もっと、面白く」をビジョンに掲げ、女性向けエンタメ市場をリードしている、IPクリエイター&ディベロッパーです。当社の「もっと、面白く」というビジョンは、これまでの常識にとらわれず、「もっと、面白い」ものを貪欲に求め、世の中にお届けしていく姿勢を表しています。
第1四半期、第2四半期は、特に開発体制の強化や組織作りにおいて、「もっと、面白く」というビジョンのための地盤作りを精力的に進めた期間でした。以前より掲げている、品質第一の姿勢やユーザー様と近い目線を持つ社員の活躍、IPホルダーとしての強みを活かすという戦略は引き続き変わらない部分です。
それに加えて、特に今期に入ってからは、ゲーム業界・マーケティング業界・IP業界など、さまざまな業界で豊富な経験を持つ多数の方に社員としてジョインいただきました。それらの方々によってもたらされた新たな知見も交えながら、社員が一丸となり「もっと、面白く」の実現に向けてよりいっそう邁進しています。
当社のビジョン
4ページの図は、IPを軸とした事業展開の構想を図式化したものです。当社はゲームのみを開発する企業ではなく、IPに関わる周辺事業を包括的に担うエンターテイメント企業です。
以前より、モバイルオンラインゲームのみではなく、衣食住を含むあらゆる業界において、当社の事業展開の可能性があることをお伝えしてきましたが、その挑戦の1つとして、9月14日には、当社初の飲食店舗である「SugarDia(シュガーディア)」を原宿にオープンしました。
引き続き、当社の強みであるオリジナルIPの創出は続けつつ、他社との協業や業務提携なども通じて、こうした周辺事業に対する取り組みを今後よりいっそう加速させていきたいと考えています。
当社のビジョン
当社が思い描いている未来についてあらためてご説明します。現在、世の中のあらゆる業態でDXの流れが来ていますが、当社ではDXが浸透した先に「EX」の時代がやってくることを予想しています。
EXとは、当社独自の造語で、「エモーショントランスフォーメーション」もしくは「エンターテイメントトランスフォーメーション」の略語です。EXの時代には、ゲーム業界やエンターテイメント業界だけに限らず、あらゆる産業において「感情」に結びつく体験の提供が求められるようになると考えています。
先ほどお伝えした飲食店舗「SugarDia」も、ただ飲食の提供をするだけではなく、さまざまなIPとのコラボを通じて、豊かな体験を提供する場所として成長させていきたいです。
また、現在、世の中では、メタバースやVTuberといった、旬の技術を用いた事業領域が大きな関心を集めています。そのような領域についても、当社の強みである「キャラクターを動かす力」が活きると考えており、早期の参入を目指していきます。
そうした未来を見据えながらも、足元では着実に魅力的なIPを生み出し、パイプラインを拡充するフェーズでもあると考えています。
事業概要
あらためて、当社の事業概要について簡単にご説明してから、決算報告に移りたいと思います。
足元で取り組んでいる事業についてご説明します。現在は、大きく2つの事業を展開しています。1つ目が、スライド左側に記載したモバイルオンラインゲーム事業です。5月30日には、新規タイトル『&0(アンドゼロ)』をリリースし、自社IPを活用した国内運営タイトルは合計で4本となりました。
『&0』については、現時点では当社の業績に大きな影響を与える規模には成長していませんが、当社の強みである作品の世界観やストーリー構成には、多くのユーザー様からご支持をいただいています。引き続き、ゲームという媒体だけに限らず、大切なオリジナルIPとして育てていきたいと考えています。また、現在発表していないパイプライン等を含め、新規IPの開発も鋭意進めています。
もう1つは、スライド右側に記載している、自社IPを活かしたマーチャンダイジング事業で、ゲーム同様、当社の重要な事業の柱となっています。今年4月には、当社初の常設オフィシャルストア「coly more!」を池袋PARCOにオープンし、大変ご好評いただいています。
また、先ほどもお伝えしたとおり、9月14日には当社として初の試みとなる、自社飲食店ブランド「SugarDia」第1号店を原宿にオープンしました。スライドにも「チュロリング」の商品写真を掲載しています。今後も、ユーザー様とIPとの接点を増やし、作品を多角的に展開していくために、さまざまな業態に挑戦していきたいと考えています。
沿革
8ページのスライドは、当社が創業してからの沿革を図示したものです。設立は2014年で、今年で9期目を迎え、第2四半期末時点の社員数は421名となりました。2014年に創業後、ノベルゲームの『ドラッグ王子とマトリ姫』を1作目としてリリースし、新規タイトル『&0』まで、海外版を除いて5作品をリリースしてきました。
当社は8期目である昨年2月に東証マザーズ市場に上場し、今年4月から始まった新市場区分ではグロース市場を選択しました。マンションの1室で会社が始まって以来、「もっと、面白く」のビジョンのもと、開発運営、組織作りに一人ひとりが徹底的に向き合い、挑戦し続けています。
2023年1月期 第2四半期業績について
2023年1月期第2四半期の決算報告に移ります。はじめに、2023年1月期の第2四半期業績について3つの要点をお伝えします。1点目として、第2四半期累計の売上高は24億4,900万円、営業利益はマイナス1億7,300万円となりました。
2点目として、対前四半期比ではプラス16.7パーセントの増収となりましたが、前年同期比では16.8パーセントの減収となりました。3点目として、開発体制・組織体制強化のための研究開発費や採用教育費といった販管費の増加により、営業赤字となりました。
2023年1月期 第2四半期 業績サマリー
業績サマリーです。第2四半期累計の売上高は24億4,900万円、営業利益はマイナス1億7,300万円と、前年同期比で減収減益となりました。
モバイルオンラインゲームの売上については、今年で3周年を迎える『魔法使いの約束』が業績をけん引したものの、9月に6周年を迎えた『スタンドマイヒーローズ』が成熟期を向かえていること、5月30日に新規リリースした『&0』がまだ認知の拡大が必要な時期であることなどから、結果として前年同期比でマイナス20.3パーセントの18億8,900万円の売上高となりました。
マーチャンダイジング売上については、常設店舗である「coly more!」の池袋PARCO店が4月1日にオープンしたことによる売上増や、『魔法使いの約束』の2.5周年イベントに伴うグッズ売上の増加があったものの、運営中の一部作品が成熟期を迎えていることによる影響などで、前年同期比ではマイナス2.3パーセントの5億6,000万円の売上高となりました。
これらの結果、売上高全体としては24億4,900万円となりました。
また、営業利益については、新規作品リリースに向けた研究開発費や組織体制強化のための採用教育費などの増加により、マイナス1億7,300万円となりました。
結果として、減収減益での着地となっています。
2023年1月期 第2四半期業績PL
続いて、P/Lサマリーです。現在、複数の新規開発を進めているため、研究開発費を含む販管費が前年同期比で大きく増加しています。また、売上原価についても、ゲーム売上の減少によるプラットフォーム手数料の減少があったものの、『&0』の新規リリースを行ったことや、舞台などのIP周辺施策の費用が増加したことから、前年同期比で増加傾向にあります。
販管費推移・内訳
こちらは販管費の各四半期の推移です。第2四半期会計期間においては、『&0』をリリースしたことで研究開発費の計上額が第1四半期会計期間との比較では減少しています。一方で、そのほかにも複数の新規作品開発を同時に進行しているため、前年同期比で見ると研究開発費が増加しています。
また組織体制の強化のため、特に今期に入って以降、各業界での経験が豊富な人材の採用を積極的に進めたこともあり、採用教育費が増加しています。
2023年1月期 第2四半期 BSサマリー
B/Sサマリーです。大きく増減した項目についてご説明します。固定資産が1億5,700万円増加していますが、これは主にスタートアップ株式投資などにより増加したものです。また、純資産が1億900万円減少していますが、これは主に四半期純損失の計上によるものです。
2023年1月期 業績予想について
2023年1月期の業績予想については、大変恐れ入りますが、引き続き非開示とします。その理由としては、新規作品『&0』他、今期にリリースする作品について、ヒットの度合いなどの影響により売上高が見通せないことがあります。同様に、運営中の作品についても環境の変化が速く、動向を予測することが難しくなっています。
また、初の常設店舗「coly more!」の業績に新型コロナウイルスが与える影響についても、いまだ見通すことが難しい状況にあると考えています。
開発中作品のコストについて、水面下で動いているものも含め、複数のパイプラインが走っていることから、その進捗状況に不確実性の高い要素が多く、現時点では合理的な予想を算出することが難しいと判断しました。
当社の業績傾向について
業績予想については現時点で非開示としますが、当社の業績傾向についてお伝えします。当社の売上高は、各タイトルの周年記念時期に開催されるイベントで特に大きく計上される傾向があります。
現在、国内で運営しているゲーム4作品のうち2作品の周年記念時期が、第3四半期および第4四半期会計期間に属していることから、2023年1月期についても売上が下期に偏重する傾向が予想されます。
業績推移
当社の業績推移についても簡単にご説明します。2022年1月期までの5年間におけるCAGRは、売上高で48.2パーセント、営業利益で52.2パーセントとなっています。今期は前期に引き続き、新規作品の開発や新たな事業の創出に注力する仕込みの色合いが強い年であると考えていますが、引き続きトップラインの成長と営業利益を重視した経営を行っていきたく考えています。
足元の主な取り組み
ここからは足元の取り組みについてお話しします。2023年1月期の第2四半期と第3四半期の主な取り組みをスライドにまとめています。このあとそれぞれについてご説明します。
第2四半期の取り組み
第2四半期における『ドラッグ王子とマトリ姫』の取り組みをご紹介します。当社1作目である本作は多くの方に愛していただき、今年でアプリリリース7周年を迎えました。7周年を記念して、5月から7月にかけて東京・大阪にて『ドラッグ王子とマトリ姫』のポップアップストアを開催し、多くのお客さまにご来場いただきました。
第2四半期の取り組み
次に、第2四半期における『スタンドマイヒーローズ』の取り組みをご紹介します。5月には株式会社カプコンが展開する人気の「法廷バトル」ゲーム『逆転裁判』シリーズとのゲーム内コラボイベントを実施しました。両IPのファンのみなさまにお楽しみいただき、イベント期間中のパズルクリア総数は700万回を超えるなど、大きな反響がありました。
また、6月には毎年ご好評いただくジューンブライドイベントを実施し、ARPPUも前年比で高く推移しました。
アプリ外でのオフライン施策も積極的に実施しており、5月には全国のローソン・HMVにて「スタンドマイヒーローズくじ2」を発売するなど、ゲーム以外の場所でもユーザーのみなさまに『スタマイ』の魅力を感じていただけたと考えています。
第2四半期の取り組み
第2四半期における『オンエア!』の取り組みをご紹介します。今年8月にアプリリリース4周年を迎えた本作は、2020年10月にゲーム運営自体は終了していますが、それ以降も熱量の高いユーザー様のお声に支えられ、今年1月末まで機能制限版アプリを公開していました。
今年6月には、初の舞台作品である『ジュエルステージ「オンエア!」』が上演され、続編の制作も決定しました。また、完全新規書き下ろしのボイスドラマCDの発売や、4周年アニバーサリーストアの開催も予定しており、引き続きグッズやメディアミックス展開を積極的に行っていきます。
第2四半期の取り組み
第2四半期における『魔法使いの約束』の取り組みをご紹介します。5月にはリリース2.5周年を記念し、Twitterのハッシュタグを用いた連動企画など、ゲーム内外でさまざまな施策を実施しました。オフラインでも全国のアニメイト店舗にて「魔法使いの約束フェアinアニメイト」を実施するなど、2.5周年に合わせた積極的な展開を行っています。
また、『魔法使いの約束』についても、毎年ご好評いただくジューンブライドイベントを実施し、「プロポーズの日」には限定ホームボイスを実装するなど、ユーザー様にお楽しみいただける施策でイベントを盛り上げました。また、メインストーリー第2部の配信も引き続きご好評いただいており、配信日以降の平均DAUは上昇傾向にあります。
第2四半期の取り組み
第2四半期中の5月30日にリリースした新規タイトル『&0』の取り組みをご紹介します。『&0』は、「めくるめく謎と一生ものの恋」をテーマにした探偵&恋愛シミュレーションアプリです。
リリース直後にはゲーム内でリリース記念キャンペーンを多数実施し、池袋にあるナンジャタウンや新宿のマルイ店舗にてプロモーションイベントを開催するなど、オンライン・オフラインの両軸でリリースを盛り上げました。新宿をモデルに繰り広げられる深みのある世界観やストーリーに、ユーザー様からはご好評の声をいただいています。
第2四半期の取り組み
第2四半期における「coly more!池袋PARCO店」の取り組みをご紹介します。「coly more!」は、「colyの作品を、もっとそばに」をコンセプトに、当社初の常設店舗となっています。今年4月1日にオープンして以来、定期的に新商品を発売し、おかげさまで日々多くのお客さまにご来店いただいています。
また、感染症対策のため、混雑が予想される日には事前申し込みの抽選入場制度をとっており、お客さまに安心してお買い物を楽しんでいただける環境づくりを行っています。
第3四半期の取り組み
2023年1月期第3四半期のご紹介に移ります。まずは『ドラッグ王子とマトリ姫』です。第3四半期も引き続き丁寧な運営を行っていくとともに、Nintendo Switch版の開発にも力を入れていきます。
『オンエア!』についても第4四半期に控えている展開の準備を進めるとともに、他社とのオフラインコラボを実施するなど、積極的な展開を検討していきます。
第3四半期の取り組み
第3四半期における『スタンドマイヒーローズ』の取り組みをご紹介します。今年9月5日にアプリリリース6周年を迎えた本作ですが、現在ゲーム内での10大キャンペーンの実施や、全国5ヶ所でのアニバーサリーストアの開催といった6周年記念イベントをゲーム内外で多数実施しています。
また、8月にはマツモトキヨシ・ココカラファインにて限定デザインのコスメアイテムを発売するなど、さまざまな場所で『スタンドマイヒーローズ』の世界観を楽しんでいただくための施策を実施しています。
第3四半期の取り組み
第3四半期における『魔法使いの約束』の取り組みをご紹介します。8月21日にはアプリのリリースから1000日目を迎え、記念キャンペーンを実施しました。第4四半期に控えている3周年イベントに向け、ユーザー様に作品の展開をより楽しんでいただけるよう、今後もさまざまな施策を予定しています。
また、他社とのオフラインイベントやコラボカフェの実施も積極的に行っており、ゲーム外の場所でも『魔法使いの約束』の魅力を感じていただけるよう、引き続き努めていきます。
第3四半期の取り組み
第3四半期における『&0』の取り組みをご紹介します。リリース以降、積極的にゲーム内イベントを実施していますが、第3四半期についても季節に合わせたストーリー分岐イベント等を実施し、SNSでも多くの反響をいただいています。
また、10月中旬からは当社の飲食店イベント「SugarDia」とのコラボも予定しており、コラボフード・ドリンクや限定グッズの販売を通して、キャラクターたちの魅力をユーザー様へお届けします。
第3四半期の取り組み
第3四半期における「SugarDia」の取り組みをご紹介します。冒頭でお話ししたとおり、「SugarDia」は当社初の飲食店ブランドで、9月14日に東京・原宿に第1号店をオープンしました。チュロスをさまざまなお菓子でデコレーションした「チュロリング」と、色鮮やかなドリンクをテイクアウトで販売する店舗となっています。
追加工事の発生により、オープンが2週間延期となったことで、楽しみにお待ちいただいたみなさまにはご迷惑をおかけし、申し訳ありませんでした。10月以降は当社IP『&0』を始めとしたさまざまなIPとのコラボを予定しており、スイーツとエンタメのコラボによる豊かな感情体験をお客さまへお届けしていきます。
新規ゲーム&リニューアル展開
最後に、新規作品の拡充について、期初に開示していた内容をベースに、進捗や現時点でのリリーススケジュールをお伝えします。
まず、新作の『&0』については、第2四半期に当たる5月30日にアプリをリリースしました。
続いて、フジテレビとの協業案件として、アニメ『永久少年 Eternal Boys』のスピンオフノベルゲームの開発を当社が手がけています。こちらは2022年冬以降の作品リリースを目指しており、詳しいリリース日等については、詳細をお待ちいただければと思います。
また、9月5日に適時開示したとおり、『スタンドマイヒーローズ』の大型アプリリニューアルについて、さらなるクオリティアップのため、リリースを2023年春へと延期する運びとなりました。リニューアルを楽しみにお待ちいただいているユーザー様には、大変申し訳ございません。
リニューアルによって、初期からのユーザー様にも新たなユーザー様にも永く愛していただけるような作品づくりをするべく、制作チームを始め、作品に関わる全スタッフが日々試行錯誤を重ねていますので、今しばらくお時間をいただけますと幸いです。
また、『ドラッグ王子とマトリ姫 for Nintendo Switch』の開発も佳境に差しかかっています。発売日等、詳細のお伝えまでにはもう少々お時間をいただきますが、続報をお待ちいただけますと幸いです。
これら以外にも幅広く新規タイトルの開発や新規事業の検討を行っているため、開示できるタイミングになりましたら、速やかにお知らせしたく考えています。
なお、リリース時期や内容については、ユーザー様にとって最も適切なタイミングでの開示と作品のクオリティ追求を最重要視しているため、資料上、やや幅を持たせた表現をしていることをご了承ください。
あらためまして、本日はお忙しい中、ご清聴いただきまして誠にありがとうございました。引き続き、企業価値の向上に努め、IPクリエイター&ディベロッパーとして、そして総合エンターテイメント企業として成長していきたく存じます。今後とも株式会社colyをどうぞよろしくお願いします。