児童手当の所得制限は少子化対策に有効なのか
正直な所、児童手当の所得制限で得た財源を「新子育て安心プラン」に回しても、効果的な少子化対策につながるとは思えません。
そもそも待機児童が増加している原因は、長引く経済不況により社会進出せざるを得ない女性が増加し、それに伴い保育園のニーズが急増したためです。
厚生労働省のデータによると、2020年時点での女性の就業率は3044万人。労働力人口総数に占める女性の割合は44.3%となっています。
このまま経済が低迷していくと、出生率は相変わらず伸び悩むのに対し、女性の就業率はさらに上昇。
仮に待機児童問題が解消されても、子どもを産める経済状況でなければ出生率の改善は難しいでしょう。
「少子化ありき」の経済政策について議論が必要
男女ともに「働きたい」「家庭に入りたい」といった意思が尊重され、なおかつ経済的な懸念なく子どもを産める環境の実現は難しいのが現状です。
付け焼き刃の少子化対策よりも、少子化の現実を受け止めたうえで、人口の変動に耐えうる社会構造の実現が必要となる気がします。
参考資料
- 内閣府「子ども・子育て支援法及び児童手当法の一部を改正する法律案の概要」
- 内閣府「児童手当制度のご案内」
- 厚生労働省「「新子育て安心プラン」について」
- 内閣府「児童手当や家庭訪問等、誕生後の支援」
- 厚生労働省:「子ども手当」について
- 厚生労働省:Ⅰ 令和2年の働く女性の状況
小見田 昌