2022年8月31日に行われた、サクサホールディングス株式会社2023年3月期第1四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:サクサホールディングス株式会社 代表取締役社長 丸井武士 氏
エグゼクティブ・サマリー
丸井武士氏(以下、丸井):サクサホールディングス株式会社、代表取締役社長の丸井武士でございます。本日は、2023年3月期第1四半期決算についてご説明します。どうぞよろしくお願いいたします。
本日の説明概要です。2023年3月期第1四半期実績については、部品調達体制強化により製品供給が改善し、前年同期比増収となりました。一方、調達部品の価格高騰による影響で原価高となり前年同期比減益となっています。今後も、部品調達強化に継続して注力していきたいと考えています。
2023年3月期通期業績予想については、部品調達体制強化の結果、販売機会損失の低減により、前年度比増収・増益を見込んでいます。配当についても、配当性向30パーセントを目安に実施したいと考えています。
中期経営計画および長期目標数値について、2023年3月期は部品の価格高騰および為替影響により、営業利益の計画値を見直しています。中期最終期の計画値および長期目標数値は、各種施策の実行により計画どおりとしています。
また、本日はトピックスとして、商品ブランド戦略「Office AGENT」についてご説明します。
1-1 連結損益計算書
2023年3月期第1四半期の実績および通期業績予想についてご説明します。今年度の第1四半期の実績については、昨年度より実施している部品調達強化により、前年度とほぼ同等の売上高を確保することができました。
営業利益は、調達部品の価格高騰や為替影響により、前年同期比マイナス1億円となっています。親会社株主に帰属する当期純利益は、那須塩原・矢板の売却に向けた特別損失計上により、マイナス5億円となっています。
2023年3月期通期業績予想については、調達強化を継続し、部品高騰対策、価格戦略等施策の実行により、前年度比増収・増益を見込んでいます。
1-2 連結売上高の主な増減内訳
連結売上高の主な増減内訳です。今年度の第1四半期は、昨年度の第1四半期とほぼ同等の値となっています。2023年3月期の予想については、販売機会損失の低減により基盤事業はプラス21億円、成長事業はプラス6億円、トータルで27億円の増収を見込んでいます。
1-3 連結売上高の事業別増減内訳
各事業の増減内訳です。注力する4つの事業により、売上高を確保します。基盤事業のボタン電話装置については、新商品やスマートフォンを活用した音声コミュニケーションサービスのリリースによりプラス16億円、アミューズメントは、スマート台への交換需要に伴いプラス11億円を見込みます。
成長事業のビジュアルソリューションは、パートナーとのアライアンスによるソリューション強化によりプラス4億円、ITビジネスは、セキュリティスイッチなどの新商品やサイバー攻撃訓練サービスなどのリリースによりプラス4億円、トータルでプラス27億円の増収を見込んでいます。
1-4 連結営業利益の主な増減内訳
連結営業利益の主な増減内訳です。ボタン電話装置などの注力事業による売上高増加、売価アップおよびOEMパートナーからの部品高騰分の一部補填による価格戦略、内部統制再構築完了に伴う費用の減少等により、前年対比でプラス13億円の増益です。
材料費の増加および急激な円安による為替影響、新商品やサービスリリースに伴う販売戦略経費等の増加、IT基盤の費用増加によるマイナス7億円の減額を合わせ、前年対比で6億円増益の7億円を見込みます。
1-5 配当政策
配当政策です。当社は株主還元を重要な経営課題の1つとして位置付け、必要な投資に備えるための内部留保を確保した上での収益見通しや経営環境等を総合的に勘案し、継続的な配当を実施したいと考えています。配当方針は、連結配当性向30パーセントを目安としています。
2020年3月期は不適切会計の影響もあり配当を見送り、2021年3月期は赤字決算であるものの、2020年3月期に配当を見送ったことを考慮し、配当を実施しました。
2022年3月期は在庫評価益や繰延税金資産の計上など、一時的な特殊要因を考慮した配当となっています。2023年3月期は配当性向30パーセントを目安とした配当を実施したいと考えており、今後も継続的に配当を実施していきたいと思っています。
1-6 中期経営計画および長期目標
中期経営計画および長期目標についてです。2023年3月期は部品調達体制の強化、価格転嫁による原価率の適正化、顧客深耕強化による付加価値サービスの提案、パートナーとのアライアンスによるソリューション強化などの施策を実行していますが、部品調達価格高騰、為替差損分の補填には至らず、営業利益は計画値の10億円に対してマイナス3億円の7億円を予想しています。
2024年3月期および長期目標の2026年3月期においては、価格戦略などの対策強化により当初計画値を目指していきます。
2-1 商品ブランド戦略 Office AGENT シリーズ
ここから商品ブランド戦略についてご説明します。「オフィスのIT機器といえばサクサ」というイメージを浸透させるための商品ブランド戦略「Office AGENT」を実行していきます。
当社のメイン顧客である中堅・中小企業では、IT人材不足や世の中に合わせた具体的なビジョン・戦略を立てられないといった課題があり、この課題を解決するためにDX化が求められています。
そのためサクサグループは、中堅・中小企業のDX化を実現する製品・サービスを「Office AGENT シリーズ」として提供していきたいと考えています。パートナーとの協創により、パートナーの製品・サービスを「Office AGENT シリーズ」としてサクサグループが提供することで、お客さまが必要とする時期にリアルタイムに対応できるようになります。
「Office AGENT シリーズ」の製品・サービスから「SAXA‐DXサービスプラットフォーム」を通じて得られる操作ログや利用情報、アラート情報などを収集・分析することで新たに必要となる製品・サービスを創出し、付加価値を継続的に高めていきたいと考えています。
2-1 商品ブランド戦略 Office AGENT シリーズ
「Office AGENT シリーズ」の3つのカテゴリーについてご説明します。中堅・中小企業はサイバー攻撃などの情報セキュリティリスクの脅威、ニューノーマル時代に適した働き方改革、リモートワークにおける意思疎通、コミュニケーションのあり方といった課題を抱えています。
これらの課題を解決すべく、情報セキュリティ対策、ワークスタイル変革、コミュニケーション活用の3つの分野でDX化の支援を強化していきます。
最初に、次世代情報セキュリティ対策についてです。当社はUTM、メール誤送信防止、セキュリティスイッチなどのネットワークセキュリティ機器およびサイバー攻撃訓練サービスの提供、また映像を活用した顔認証、車のナンバープレート認証といったAI画像認識サービスの提供をしてきました。
今後も安心して日常の企業活動に取り組むことができるように、セキュリティリスクを回避する製品・サービスを強化していきたいと考えています。
次に、次世代ワークスタイル変革についてです。働き方改革サーバーやオフィスのIT機器の状態を可視化するサービス、オフィスで働く従業員の心の健康状態を可視化するメンタルヘルスサービスを提供してきました。今後もIT資産や従業員の業務内容を可視化し、生産性の高いワークスタイルを実現する製品・サービスを強化していきたいと考えています。
最後に、次世代コミュニケーション活用についてです。当社はボタン電話装置、公衆電話、緊急通報装置、スマートフォンを活用した音声コミュニケーションサービスを提供してきました。今後もITを活用していつでもどこでも対面と同等のコミュニケーションを実現することで、生産性向上に貢献できる製品・サービスを強化していきたいと考えています。
このように、自社のプロダクト・サービス、パートナーとの協創・連携による付加価値の強化に積極的に投資し、成長していきたいと考えています。
以上で本日の決算説明とさせていただきます。ご清聴いただき誠にありがとうございました。
質疑応答:「Office AGENT」の従来との違い、ブランド戦略について
司会者:「『Office AGENT』は以前から表現されていたが、従来との違いを教えてください。また、ブランド戦略を打ち出すことで、利益面にはどのような効果があると考えていますか?」というご質問です。
丸井:「Office AGENT」シリーズとして提供する製品やサービスから、お客さまの活用しているデータを抽出することができ、このデータを活用できる「SAXA-DXサービスプラットフォーム」と連携することで、プロダクトの提供だけでなく、同時に付加価値をつけたサービスも提供できるようになりました。このことが従来と大きく異なります。
また、今まではサクサグループのみの製品でしたが、パートナー企業と連携して「Office AGENTシリーズ」の製品・サービスを拡充することで、「オフィスのIT機器といえばサクサ」と認知していただき、IT機器の売上や利益を拡大していけると考えています。
質疑応答:ビジュアルソリューションの新たな施策について
司会者:「ビジュアルソリューションについて、新たな施策はありますか?」というご質問です。
丸井:今年度の戦略として、映像、IoT、AIのソリューション強化施策を実行しています。人の行動、車、物体、建物を活用したAIのソリューションを開発していく中で、さまざまなパートナーとの連携によって実現を目指します。
現在取り組んでいるのは、駐車場やサービスエリアの混雑状態を可視化するスマートパーキングソリューションで、自動車のナンバープレートを認識して学習する、学習機能付きのナンバー認識エンジンです。
また、これまで自動車交通量のカウントは手動で行っていましたが、自動で画像を解析するといった、車両の交通量調査AI活用ソリューションの開発も進めています。
それ以外では、工場でよくある不良品、ラベルの誤り等を検知するAIのソリューション、さらには物体の体積を自動で測定するAIのソリューションも開発しています。このような開発を進めていくためにも、人材強化という観点から成長投資を実施しています。
質疑応答:下期にボタン電話装置、アミューズメントが伸びる要因について
司会者:「下期にボタン電話装置、アミューズメントが伸びる背景についてご教示ください」というご質問です。
丸井:まず、ボタン電話装置の市場は微減状態です。オフィスでスマートフォンを活用する時代ですが、従来の電話機は残っています。そのため、電話機の主装置の数は大きく減っていません。昔は、1人につき1台の電話機を設置していましたが、近年はスマートフォンを活用する時代になり、使用端末が変わってきています。
そのため、我々はボタン電話装置とスマートフォンを連携するサービスを強化し、お客さまの利用価値を維持したサービスを追加していくことで、売上の維持拡大を図りたいと考えています。
次にアミューズメントについてです。これまでは、パチンコ玉やメダルに触れなくてはなりませんでしたが、触れる必要のないスマート台パチスロ、スマート台パチンコのニーズが出てきました。
これについては、11月から展開していくことが決まっています。それらの製品を提供することでリプレイス需要も生まれ、さらに事業が拡大することが確定しています。
質疑応答:調達体制強化について
司会者:「調達体制強化について、具体的にどのような施策を検討していますか?」というご質問です。
丸井:昨年12月に調達改革プロジェクトを設立し、この4月からは本部組織に格上げして体制を強化しています。
リアルタイムで部品ベンダー・商社と連絡を取りながら、どのような状況になっているかを確認し、少しでも必要なものが出てきたらすぐに確保しています。また、部品ベンダー・商社から紹介された市場流通品をリアルタイムで見つけ、すぐに購入するようにしています。
そこで得た部品を生産計画にリアルタイムに反映させることで、生産の無駄をなくすことができますし、工場側との連携を強化することで、部品調達体制の強化につなげていきたいと考えています。
丸井氏からご挨拶
司会者:丸井社長より本日参加のみなさまへ一言よろしくお願いします。
丸井:本日は、どうもありがとうございました。サクサグループは、「お客さまの明日へつなげる社会を作る」を目指し、現在さまざまな社会貢献に取り組んでいます。今後もご支援のほど、どうぞよろしくお願いします。