2022年9月2日に行われた、株式会社True Data 2023年3月期 第1四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。
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「2023年3月期第1四半期決算説明会」の動画はこちら
スピーカー:株式会社True Data 代表取締役社長 米倉裕之 氏
株式会社True Data 執行役員 経営戦略部長 倉沢学 氏
目次
米倉裕之氏(以下、米倉):株式会社True Data代表取締役社長の米倉でございます。本日は当社の2023年3月期第1四半期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。これより、第1四半期の決算概要を中心に私からご説明いたします。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、決算概要と最近のトピックスをご説明し、当社のサステナビリティに関する取り組みについて整理した内容をお伝えします。また、投資家のみなさまからよくいただくご質問について、FAQというかたちでまとめたものをご説明します。最後に、質疑応答の時間を設ける予定です。
2023年3月期1Q決算 ハイライト
まず、2023年3月期第1四半期決算のハイライトです。売上は3億6,200万円で9期連続増収となり、過去最高の売上高を更新しました。ストック型売上比率は77.2パーセントで、主力サービスのストック型売上が順調に成長しました。
営業利益は2,100万円で、営業利益、経常利益、当期純利益は黒字転換となりました。一言で言いますと、第1四半期はとても順調な滑り出しとなりました。
損益計算書サマリー
損益計算書のサマリーです。前期の第1四半期の数字と比較して記載しています。売上高は3億6,200万円、前期比19.8パーセント増と過去最高となりました。営業利益以下の利益もすべて黒字転換しました。営業利益は2,100万円、経常利益は2,000万円、当期純利益は1,800万円です。
通期予想に対する進捗率
通期予想に対する進捗率です。本年5月13日に開示した通期業績予想に対して、順調な進捗となりました。利益の進捗率が高いのですが、景気の不透明感や一部費用の期ズレがあり、業績予想は据え置いています。すべて順調な進捗ですが、まだ第1四半期であるため通期業績予想は据え置いています。
ハイライト① 売上高推移:1Q
第1四半期に着目した売上高の推移です。True Data事業は9期連続の増収を継続しています。2023年3月期第1四半期で過去最高を更新しました。過去11年間の第1四半期の売上高の推移と比較していますが、ご覧のとおり順調に増収を続けています。
ハイライト① 売上高推移:四半期別
四半期別の売上高の推移です。四半期単位ではスポット売上の動向により多少凹凸がありますが、順調に成長を継続しています。
ハイライト② ストック型売上高推移:1Q
第1四半期のストック型売上高の推移です。主力のストック型売上は堅調に推移し、ストック型売上比率は77.2パーセントと高水準となりました。
スライドのグラフの赤枠がストック型売上高の合計額です。順調に伸び、売上高に占める割合は引き続き80パーセントに近いかたちになっています。
ハイライト② 小売業向けストック型売上高推移:四半期別
小売業向けストック型売上高の推移を四半期別で示したグラフです。順調に成長を継続しています。
(参考)小売業向けストック型売上高推移:1Qのみ
参考として、小売業向けストック型売上高の各年度の第1四半期実績だけを切り出したグラフを載せています。
ハイライト② 消費財メーカー向けストック型売上高推移:四半期別
消費財メーカー向けストック型売上高の四半期別推移です。第1四半期では新規に大手のお客さまの加入があり、売上高は順調に成長しています。
一方で、赤の折れ線グラフは契約社数ですが、一部のお客さまで解約があったため、第1四半期の契約社数は若干減っています。これは中小企業のお客さまの一部で、今期の景況感が悪くなることを想定してお客さまのマーケティング予算が削減された事情によるものです。
このようなケースは時々あるのですが、景況感がよくなると戻ってくるお客さまが多いと認識しています。主力商品「イーグルアイ」の競争力は引き続き強いと判断しています。
(参考)消費財メーカー向けストック型売上高推移:1Qのみ
参考として、消費財メーカー向けストック型売上高の推移について、前のページのグラフから各年度の第1四半期だけを切り出したチャートを掲載しています。
(参考)主要ソリューションの既存顧客売上拡大およびストック型売上推移
主要ソリューションの既存顧客売上拡大およびストック型売上推移について、当社の決算説明資料で毎回載せているスライドです。
当社の売上成長の特徴を2つのグラフで説明しています。2023年3月期の数字はすべて見込みです。左側のチャートは、「イーグルアイ」の5カ年の売上高累計上位顧客5社の過去5年間の売上推移です。
ご覧のとおり、A社、B社、C社、D社、E社の顧客単位の売上を示しており、この売上を少しずつ拡大しながら積み上げている状況です。
右側のチャートは、年度ごとに獲得した新規の顧客別の売上を整理したものです。毎年新しいお客さまを確実に獲得し、ストック型売上を積み重ねてきたことがわかります。
ハイライト② 売上高増減分析:対前期
売上高の増減分析です。スライド左端は前年の第1四半期の売上高で、右端が今回の第1四半期の売上高です。この増減の中身を分解して示しています。
右から2つ目のスポット型売上については、コロナ禍の影響があった昨年実績に対し、今年はその分の反動で増分がかなり大きく出ています。また、主力商品である「ショッピングスキャン」「イーグルアイ」は順調に売上を伸ばしています。
ハイライト③ 営業利益推移:1Q
営業利益についてご説明します。スライド左側のチャートは、直近5年の第1四半期の営業利益の推移です。2023年3月期第1四半期は、2,100万円の黒字で着地しました。
一昨年に完了したオンプレミスからクラウドへの基幹システムの全面移行に伴う大型の減価償却費を計上しているため、そちらが利益を大きく押し下げていますが、それでも2,100万円の黒字で着地しています。
右側のチャートは、基幹システムの減価償却費を差し引く前(償却前)の営業利益です。今回は4,900万円の黒字になりました。これは、ここ5年間で最も高い水準です。この大型の減価償却は来期の第1四半期に完了します。
ハイライト③ 営業利益増減分析:対前期
営業利益の増減分析です。先ほどと同様に、スライド左端が前年第1四半期の実績で、500万円の営業赤字でした。今回の第1四半期はスライド右端のとおり2,100万円です。
その増減の中身について、分解してお示ししています。売上高の増収効果に加え、減価償却費が若干減少したことなどにより、黒字に転換することができました。
ハイライト③ コスト構造:対前期比較
コスト構造について、前期第1四半期と今期第1四半期の全コストを比較しています。細部のご説明は割愛しますが、売上高の増収率が前期比19.8パーセントであるのに対し、コストの伸びは前期比10.7パーセントに留まり、利益が黒字転換しています。
(参考)貸借対照表サマリー
バランスシートの状況です。前期から大きな変化はありません。
トピックス 最近の主な取り組み
最近の当社のトピックスをいくつかご紹介します。ここ数ヶ月の取り組みから、代表的なものを6つ取り上げています。特に赤の吹き出しがあるトピックスについて具体的な内容をご紹介していきます。
トピックス Pick Up①
プラネットと業務提携し、「POSデータクレンジングサービス」を共同で開発しています。さまざまな会社がDXを推進する上で、データを下ごしらえするところが非常に課題になっています。
このボトルネックを改善すれば各社のDXが進み、業界のDXを促進したいという思いでこのようなサービスに着手しています。こちらは年内にサービスをリリースする方向で鋭意準備中です。
トピックス Pick Up②
2つ目です。我々が使っているデータには、距離を超えた営みを可能にするという非常に大きな特徴があります。テーマが少し変わってくるのですが、当社は子育てなどの生活スタイルに合わせた働き方を可能にするという面にも着目しています。
各家庭ではお母さまが一生懸命育てている状況下で、子どもの貧困など多くの問題が生じています。他方で、女性における地域での営業事務のニーズは非常に高いのですが、なかなか就職できる機会がないという現状があります。
これらの社会的な課題に対し、当社はデータクレンジングのプロセスを震災地域まで伸ばし、就業や雇用に向けて支援するという取り組みに着手しています。広い意味で、サステナビリティへの取り組みだと考えています。
トピックス Pick Up③
3つ目は、政府主催セミナーでデータ活用による社会課題の解決について講演しました。内閣官房が主催するデータ活用セミナーや、財務省・金融庁の職員向けセミナーに登壇し、さまざまなデータ活用方法、最新の事例などについて情報を共有しました。
トピックス Pick Up④
4つ目は、社内制度です。過去に取得した資格や当社では活用していないスキルを含め、学びの支援を非常に重視しており、資格の更新費用を含めてどんどん支援していく取り組みも開始しています。
サステナビリティへの取り組み
今回の決算発表では、当社のサステナビリティへの取り組みを1つの章にしてまとめています。当社は社会課題の解決とビジネスの成功を両立したいというゼブラ企業を目指しています。単に掲げているだけではなく、具体的な活動も積み重ねてきているため、最新の事例も含めてご説明します。
サステナビリティ:Action 1,2
「Action 1」は、データを使うといろいろなことが可視化できる・見える化できることを踏まえ、サステナブルに関わる指標として地域がどんな状況にあるかを可視化するチャレンジを行っています。
「Action 2」は、データを囲い込むというよりは、データガバナンスを効かせて、安心・安全に多くの方に使っていただきたいという趣旨のものです。我々がデータを使いきれなくても、いろいろな方からさらに大きな価値が生み出されるのではないかということで、当社データへのアクセスを無料にしています。
サステナビリティ:Action 3,4
「Action3」「Action4」は、データの力を活用できる人材を育てる取り組みです。教育機関や地域の活動を支援している事例があります。
サステナビリティ:Action 5
「Action5」は、当社のビジネスモデルを通じて社会課題解決へ直接的にアプローチするということで、このような取り組みを推進しています。
詳細は割愛しますが、これらの「Action」を通してデータと知恵で未来を作り、持続可能な社会の実現に貢献するという思いで、若い社員からシニアの社員までがんばっています。
よくあるご質問1 イーグルアイの今後の成長余地について
当社は上場から約8ヶ月が経ちました。数多くの投資家やアナリストのみなさまと対話させていただく中で、決算発表やIRでよく聞かれるご質問をFAQとしてまとめましたので、ご参考になればと思います。
1つ目は、「イーグルアイ」の今後の成長余地についてです。こちらは非常によくご質問をいただきます。スライドに記載のとおり、「イーグルアイ」の成長鈍化はかなり先だと考えており、まだまだ成長余地が大きいと見込んでいます。
現在はドラッグストアを主力の販売チャネルとしている消費財メーカーのお客さまが多いですが、当社としてはスーパーマーケットやホームセンターの購買データを拡大することを重点戦略として取り組んでいます。
そのため、まだまだ新しいメーカーへの導入が進むと考えており、伸びしろはとても大きいと考えています。
よくあるご質問2 当社事業の競争優位性(模倣困難性)について
2つ目は、当社事業の競争優位性(模倣困難性)についてです。「データマーケティング分析領域に何社かある競合企業と比べ、True Dataの優位性や競争相手が真似しようと思ってもできない参入障壁のようなものはあるのか」というご質問です。
データマーケティング領域には当社と業態が近いビジネスを営んでいる会社があります。例えばリサーチ会社とはよく比較されますが、当社はこのような会社とは異なるビジネスモデルだと思っています。そして、この違いがビジネス上の模倣困難性になっていると考えています。
模倣困難性は大きく2点あります。1点目は、購買データの集め方と新鮮度です。リサーチ会社の場合、例えばモニターパネルなどを作って、3万人から5万人程度の方にご自身が買い物した際のレシートをネット上で入力してもらい、データを収集するケースが多いです。
一方、当社は小売業のお客さまから全量データを毎日送ってもらっていますので、ベースとなるデータ量は人数換算で6,000万人程度と非常に大きく、データ量が圧倒的に違います。このようなデータのボリュームは、一朝一夕では模倣されない強みだと考えています。
2点目は、データ精製の体制とノウハウです。各小売業のデータベースに集積しているデータは、同じ商品でも違う名前が付けられてデータベースに入っており、その分類も独自のものになっています。つまり、データだけを集めても、足したり合算したり統合したりできない状況になっています。
当社はこのようなデータを統合して、市場全体の消費者や生活者を把握・分析できるプロセスを作っています。これはなかなか模倣困難なプロセスではないかと思っています。
よくあるご質問3 金融オルタナティブデータとしての活用について
3つ目は最近増えてきたご質問ですが、金融オルタナティブデータとしての活用についてです。当社は消費者購買データを金融オルタナティブデータとして活用できると考えており、すでに取り組みを開始しています。金額は小さいものの売上も立っており、今後の事業成長には非常に期待しています。
金融オルタナティブデータという使い方もありますが、データを活用できる事業領域はまだまだたくさんあると思っています。当社は小売業の購買ビッグデータのプラットフォームとして、新たな事業領域の展開の可能性を常に検討しています。
よくあるご質問4 中期的な利益水準について
4つ目は、中期的な利益水準についてです。「今期は増収増益予想ですが、利益の絶対水準はまだ小さいです。今後の中期的な売上・営業利益・営業利益率の目線について教えてほしい」というご質問です。
例として数字を記載していますが、具体的な数値目標は今期の業績予想までしか開示していません。ここでは中期的な業績の目線について、現時点でお伝えできることを整理して記載しています。
売上については、既存のストック型サービスを中心に毎年11パーセントから12パーセント程度の成長率をベースとし、そこに新規領域で大きく上乗せすることを目指していきます。基本的にはこのような戦略だと思っています。
営業利益については、売上成長率を上回る増益ペースでの成長を目指しています。決算説明会などでお伝えしているとおり、今期までは基幹システムの減価償却の負担が営業利益の頭を抑えていますが、来期以降は利益が出やすいフェーズに入ります。
成長投資も積極的に行うつもりではありますが、今お伝えしたペースでの増収増益は必達の目標だと考えています。
大きな減価償却負担が終われば、営業利益率10パーセント以上は実力値として出せる状態になると考えていますので、あとはバランスを考えて予算を組み立てていくことになります。なお、今期中または今期の通期決算までを目途に、中期的な業績のガイダンスを出せるように準備を進めています。
よくあるご質問5 今期の重点施策の進捗について
5つ目は、今期の重点施策の進捗についてです。これまでもお伝えしていますが、「第1四半期までの進捗を教えてほしい」ということです。
3つの重点施策の1つ目は購買ビッグデータの「面」の拡大です。つまり、プラットフォームとしての実力を拡大するということです。
2つ目は、現在はSaaSで売上・利益を積み上げていますが、そこに大きく上乗せするための将来の成長の種である新規領域の立ち上げをアライアンスも効果的に活用しながら進めることです。3つ目は、成長投資として人材への投資を強化することです。これらが中期的に効いてくると思っています。
重点施策の1つ目については、社内の布陣を整理しているところです。どのような動き方をしているかは今は開示できませんが、大手企業とのアライアンス案件を含めて、重要案件への人的リソースの集中配置を行ってきました。重点施策として予定どおりのスケジュール感で進んでいると思っています。
2つ目については、例えばベトナムのFPTというアジア最大のソフトウェアカンパニーと戦略提携し、先方のグループ会社に出資も行いました。
いろいろなポテンシャルがある取り組みの準備を積極的に進めている状況です。現時点では大きな数字につながる段階ではありませんが、取り組みはスピード感を持って進めています。
3つ目については、第1四半期に10名が新規入社しました。そのうち5名が新卒人材です。各社でも同様だと思いますが、人材市場は引き続きタイトで、技術系人材を中心に中途採用の難度が非常に高まっていると認識しています。将来の成長を担う人材の確保と育成に今後も積極的に注力していきます。
True Dataの企業理念(パーパス)
会社の存在意義についてです。「データと知恵で未来をつくる」というパーパスを掲げています。当社は小売業のビッグデータを使ったプラットフォームとして、データ、テクノロジー、知恵によって未来を作ることが使命だと考えています。
事業を成長させることで株主のみなさまの未来も作っていきますし、お客さまの未来、社員の未来、社会の未来も作ります。すべてのステークホルダーの未来を作るという決意でがんばっています。
True Dataの事業モデル
スライドには、当社のビジネスモデルの図を記載しています。社員でいろいろ知恵を絞りながら、わかりやすいようにこのような図を作りました。
山は小売業を表しています。小売業のお客さまの中にあるデータを活用するリテールDXやAIなど、いろいろなテクノロジーを提供する企業が今たくさん出てきています。
ただし、日本の場合は新商品が1日に1,000個くらい生まれて消えていくような市場で、店舗の面積も限られていますので、売り場に置いてある商品だけでは限界があると思っています。
当社はこのようなデータを統合することにより、市場全体を把握・分析することができます。お客さまにとっても、お客さまの中のデータだけではなく、自社で扱っていない商品でも「このような人たちがたくさん買い始めた」など、消費者の動向をいろいろと把握しながら自社のDXをさらに効果的にすることができます。
このようにデータガバナンスを効かせて、安心・安全にいろいろな方のいろいろな価値に変えられるようなプラットフォームとしてビジネスを組み立てています。そして、このようなデータが還元され、循環するように進めています。
当社の事業構造の整理
具体的にはデータを精製して、きれいに整え、下ごしらえをして、蓄積・管理し、AIなどで分析・活用できるかたちに変えてユーザーにお届けするという流れです。このプロセスは、どの企業がどのように行っても基本形は変わらないと考えています。
当社はもともと自社のデータセンターを借りて、サーバーを購入して作っていましたが、今はクラウドなどのグローバルなプラットフォームの上にこのようなセキュアなデータ圏を構築しています。
その中で足りない部品を当社が埋め込んで運用していますので、海外展開も含めてそれほど投資することなくどんどん広げていける構造を実現しています。
(参考)ウレコン(全国の消費者購買情報を公開)
データについては、「ウレコン」という当社のサイトがわかりやすいと思いますので、こちらを例に挙げてご説明します。消費者の購買データとは、「あるカテゴリーではどのような商品が1位なのか?」「男女どちらが買っているのか?」「何歳が買っているのか?」「何曜日の何時に買っているのか?」「平均価格はいくらなのか?」などのことです。
このようなデータを単なる商品の売れ行きとしてだけではなく、人の軸で見ることができます。このように整理されたデータとして、日々ブラッシュアップされています。
プロから評価を得るID-POSデータ分析ツール(SaaS)
このようなデータをSaaSのビジネスモデルに落とし込んでいます。ログインすると小売業のお客さまはご自身のデータを分析できたり、取引のあるメーカーにも共有できる「ショッピングスキャン」や、世の中の消費者がどのような購買状況にあるかをログイン2日前の鮮度の高いデータまで見ることができる「イーグルアイ」を展開しています。
これら2つの月次課金かつ年間契約のSaaSをお客さまにお届けしています。このようなSaaSがコツコツと積み上がり、当社のプラットフォームの成長の土台を作っています。
当社事業の特徴
当社のプラットフォームの強みと成長戦略についてです。データとテクノロジーだけでなく、それをどう使ったらよいかというノウハウもあり、教育もできます。これらをすべて兼ね備えて、ワンストップで提供できることが強みです。
必ずしも自社のテクノロジーにこだわっていません。当社がアルゴリズムを作っているようなものもありますが、世界に強いテクノロジーがあれば、それを活用して低い投資コストで強いサービスを出していくことを考えています。
当社の消費者購買データ
小売業のお客さまとのつながりが増えており、お客さまごとの売上規模はさまざまですが、購買データ量は全体で4.8兆円規模になってきています。
(データの精製)消費財メーカー社内でのデータ活用の課題
データの下ごしらえが大変であることは、先ほどお伝えしたとおりです。
(データの精製)消費者ビッグデータ活用の差別化要因
それを整理して、市場全体がわかるようなプロセスを持っていることもお伝えしました。
業界内プレイヤーと当社の関係
ポジショニングについてです。小売業のビッグデータプラットフォーマーとして最大規模のビッグデータを取り扱っていますので、リサーチでも価値を提供していますが、それ以外の幅広い使い方にも活用できるのが当社の強みだと思っています。
(テクノロジー)経営資源・競争優位性
データ活用の仕方については、自社でコツコツとツールで積み上げることもありますが、パートナーとエコシステムを作っていくことも積極的に行っています。テクノロジー企業は競争相手というよりはパートナーですので、お客さまをご紹介いただきながら「Win-Win」を目指しています。
(参考)DXにより推進される消費者ビッグデータのかけ合わせ
当社は「ID-POS」という小売業のデータを軸にプラットフォームを作り、どのように活用すれば価値が高まるかという取り組みを推進しています。
今は位置情報のスタートアップ企業やキャッシュレスデータ決済の事業者などのいろいろな会社がありますので、このようなデータを重ね合わせることで、消費者・生活者を多角的に把握することができるようになってきています。
その中で、「ID-POS」の主役プラットフォームとしての当社の役割は非常に期待が高まっていると考えています。
ターゲット市場と進化の方向性
進化の方向性についてです。当社は現在、スライド中央に記載のデータマーケティング市場でSaaSをコツコツ積み上げているところです。
日本だけではなく、ベトナムからアジアへの小売業のデータをコネクトする取り組みも開始しました。ログインすると国境を越え、海外の状況がわかるようになっていくと思っています。
コツコツ積み上げているデータマーケティング市場のデータは、新領域の広告市場とビジネスアナリティクス市場でも使えます。このような領域に非常に優れている一方でデータがない会社と連携しながら、新しい未来、新しい価値を一緒に作っていきたいと思っています。
今年度は大きな数字に辿りつかないかもしれませんが、来期以降に積み上げることを今年度のゴールにしていますので、みなさまに発表できるタイミングが来た時点で開示し、ご説明したいと考えています。
質疑応答:「POSデータクレンジングサービス」の水平展開について
司会者:「プラネットと共同開発している『POSデータクレンジングサービス』の水平展開の可能性についてお聞かせください」というご質問です。
米倉:プラネットという会社はメーカーから卸、小売業のサプライチェーンのデータを取り扱うプラットフォーム企業で、非常に多くの卸売業やメーカーが加盟しています。
一方、当社は消費の接点である小売業で水平展開しています。業界に携わる多くの会社がDXによるデータやテクノロジーを新しい武器として使い、競争力をどんどんつけていけるように支援したいと思っており、今回はまさに水平展開するための協業です。
サービスがリリースした暁には広く展開し、業界のみなさまがそれぞれ考えるDXのボトルネックとなるデータを整えることをさわやかに支援していきたいと思っています。
質疑応答:人流データ会社との関係について
司会者:「最近、人流データを扱う会社が上場しましたが、その会社とは競合関係または協業関係のどちらの関係となるのでしょうか?」というご質問です。
米倉:先ほど、「ID-POS」を中心としていろいろな消費者ビッグデータがあることをご紹介しました。最近上場した会社もありますが、このような会社はすべて協業だと考えています。
データを組み合わせればもっと多くのことができるようになるため、レベニューシェアすればよいと思っていますので、エコシステムはこのような領域の基本的な戦略ではないかと考えています。
質疑応答:「イーグルアイ」の顧客セグメントごとの差異とARPU改善要因について
司会者:「『イーグルアイ』は中小企業でマーケティング予算縮小に伴う解約があった一方、大手顧客の獲得があったとのお話でした。顧客セグメントで差異が生じているのはなぜですか? またARPUの改善も見られるため、その要因も教えてください」というご質問です。
倉沢学氏(以下、倉沢):大手顧客が増えて中小顧客が減っていますが、セグメントチェンジとして大手顧客を集中的に狙ったわけではありません。
今回の四半期に関しては、長らく商談を進めていたかなり大きな会社との契約ができた一方、景況感などに基づくマーケティング予算の削減が原因だと見られる解約が、主にコスメや健康食品関係の小規模な会社でありました。
結果として契約社数が2社減ったものの、これは一時解約で景況感などが少し改善すれば戻ってくるということは当社のビジネスではよくあることです。営業戦略的にセグメントを狙った結果ではないということをお伝えしておきたいと思います。
ARPUについても今お伝えしたとおりで、顧客単位での単価が異なるため、結果としてARPUが上がっていますが、契約ID数が多い顧客が増えた結果、このような数字になっています。
質疑応答:第2四半期以降に見込む費用について
司会者:「『まだ第1四半期のため業績予想修正は出さない』とのことですが、現予想では第2四半期以降にかなりのコストが出る想定になっていると思います。減価償却の水準に大きな変化はないと思いますが、どういったものを見込んでいますか?」というご質問です。
倉沢:第1四半期は非常に進捗がよく、営業利益で60パーセント程度です。今回、業績予想について考えたことをご説明します。
売上については24パーセント程度の進捗で順調ではあるものの、下期にかけて世界的な物価高、金利上昇、円安と、当社の顧客である日本の消費財メーカーにとってはやや逆風が強い状況です。
景気の先行き動向が見えないということで、先ほどの解約のお話にもあったとおりやや保守的に予測する必要があり、売上については据え置きました。
利益に関してはご質問にあったとおり、第2四半期以降にかなりコストがかかる想定です。具体的な内訳としては、例えばデータセンターの使用料などについては契約の関係上、下期にやや大きな支払いが出る予定になっています。
ほかには、採用費、エージェントフィー、一部の活動に対する業務委託費、専門家の知恵を借りるといった部分のものは、下期にやや多めに積んでいます。そのような面でまだ先が見えないということで、今回は業績予想の修正を出しませんでした。
米倉:少し補足します。繰り返しになりますが、第1四半期はお陰さまで順調な滑り出しになりました。保守的ではないかと言われることもありますが、我々にはDXという追い風が吹いています。
しかし、お客さまの値上げラッシュのお話もあり、原材料価格の上昇を価格転化できるかなど、お客さまの利益にかなり不明瞭感がある状況を織り込んでおきたいと考えています。また、人材への投資はさらに加速できる場合は加速していきたいと考えています。
質疑応答:購買データの無料提供による競争優位性について
司会者:「サステナビリティへの取り組みで、『当社データへのアクセスを無料に』との記述がありましたが、貴社データは独自のデータ収集や生成のノウハウで獲得したもので、競争上の優位をもたらすものであるのに台無しになりませんか?」というご質問です。
米倉:「ウレコン」は無料で提供してきたものです。ぜひインターネットでご覧いただければと思いますが、登録すれば日本全国のダッシュボードで500カテゴリーが閲覧可能です。
また、「RESAS」は内閣官房と経済産業省のダッシュボードで、地域のいろいろなビッグデータが見られるようになっています。こちらも無償です。
無料提供により、お金を支払えないような地域の商店街など小さなお客さまもデータを使って戦えるようになりますし、そのようなところも後押ししたいという思いで推進しています。
「ビジネスでそんなことをして意味があるのか」「囲い込んで独占し、価格を引き上げたほうが得なのではないか」という意見もあるかもしれませんが、我々は市場が大きくなって全体が変わっていったほうがより恩恵があるという考え方です。みんなが幸せになり、我々も成長を加速するという「Win-Win」を目指しています。
質疑応答:サステナビリティに力を入れている理由について
司会者:「人員やリソースも限られる中、広告市場やビジネスアナリティクス市場の新領域、海外事業など、やりたい課題がたくさんあるかと思います。利益水準も低い中、サステナビリティに取り組んでいるのはなぜですか?」というご質問です。
米倉:お陰さまで忙しくさせていただいています。本当にありがとうございます。例えば、ベトナムの小売業のデータをつないでいますが、駐在事務所などは作らず日本にいながらすべて行っています。拠点を作って営業パワーをかけなくてもデータがどんどんつながり、それを日本で活用できる構造を作ってきました。
広告市場やビジネスアナリティクス市場も、当社で拠点や事業を作って競争して勝っていくというよりは、基本的には既存の強い企業と組んでいく方針です。
データをいちから手に入れて活用するのはなかなか難しく、パワーもかかりますが、当社はデータを持っています。各領域の既存企業と組めば、本業ではない当社もそれほどパワーがかからずに価値を出していけます。
このようなエコシステムを基本として、当社のリソースの範囲内で進めていくことが成長の加速につながるという戦略です。
質疑応答:データの大きさや量による競合状況について
司会者:「データの大きさ、量という視点での競合状況を教えてください。何位くらいのポジションにいて、競合とどれくらい差があるのかなどを知りたいです」というご質問です。
米倉:なかなか難しい質問ですが、小売業の購買データのプラットフォームとしては1番を目指しており、すでに1番だと考えています。
データは分野ごとにいろいろな特徴があります。例えば、キャッシュレス決済のデータはどのような人たちがどのような買い物をしているかはわかりますが、何の商品を買っているかなどはわかりません。一方で、小売業に関わらず幅広いタッチポイントで把握できるという特徴を持っています。
当社の場合は、同じ購買でもどのような商品を一緒に買っているかに加え、「安心安全な商品ばかり買う傾向がある」「スーパーに夜中に来てアイスばかり買ってコンビニの代わりにドラッグストアやスーパーマーケットを利用する」など、いろいろな商品の軸まで細かい解像度でわかります。
当社はこのような領域では1番だと思っていますが、似たような隣の領域には違う1番、2番の会社があると思っています。
それぞれの企業がそれぞれのビッグデータのプラットフォームでビジネスを展開しているため、自社でどこまで集めていくのか、どのようにデータを組み合わせて価値を作っていくかという競争になっていくと見ています。
質疑応答:売上総利益向上の理由について
司会者:「損益計算書サマリーを見ると、売上総利益率は前期の47.3パーセントから54.4パーセントまで改善しています。コストの伸びが小さかったとのご説明でしたが、粗利率向上の具体的な理由や費目を教えてください」というご質問です。
倉沢:売上総利益率が上がった理由は、基本的には売上が順調に伸びたことによるものです。これにより想定していた固定費が薄まり、利益率が上がりました。
決算説明会の時にいつもお伝えしていますが、当社のビジネスは売上に紐づく変動費の割合が低く、限界利益率は極めて高いのが特徴です。予算以上に売上が伸びてくると、利益が大きく伸びる傾向があります。
売上原価の中で利益率向上に寄与した費用については、大きなところは減価償却費と人件費です。減価償却費の絶対値に関しては前年とほぼ同じですが、売上が伸びている分、利益率が向上しています。人件費については、一部の退職者やアルバイトで行っていた業務の外注化で減少しています。
質疑応答:ニールセンとの事業展開について
司会者:「世界最大のニールセンが大株主となっていますが、ニールセンとの事業展開はどのようなものがありますか」というご質問です。
米倉:ニールセンは世界最大のマーケティングの会社で、日本ではTrue Dataと組みたいということで事業提携を行っています。
当社は自分たちが作るソリューションをお客さまに自信を持ってお届けしていますが、すべて自前で作るというよりも、強いソリューションがあればそこに当社のデータを入れてお客さまに提供するのがよいと考えています。
世界でかなりの効果を出しているが日本ではまだ投入していないソリューションを、当社が日本仕様にチューニングして新しい価値を出し、提供する取り組みを進めています。