3. 退職金「会社員」は平均いくらか
次に、会社員の退職金事情を見ていきましょう。
厚生労働省公表の「退職給付(一時金・年金)の支給実態(平成30年)」によると、勤続20年以上かつ45歳以上の退職者の1人平均退職給付額(定年)は大学・大学院卒(管理・事務・技術職)で以下の通りです。
3.1 会社員の退職金「民間企業」:1983万円
次に、会社員の退職金について、大企業と中小企業で見ていきます。
まず、中央労働委員会公表の「令和元年退職金、年金及び定年制事情調査(2020年)」より、資本金5億円以上かつ労働者1000人以上の企業を対象とした調査の中で算出された「モデル退職金」(学校を卒業後直ちに入社して標準的に昇進した者の内、大学卒、事務・技術労働者、総合職相当、定年退職に該当する者の退職金)の金額は下記の通りです。
3.2 会社員の退職金「大企業」2511万1000円
また、東京都産業労働局公表の「中小企業の賃金・退職金事情(令和2年版)」によると、従業員が10人~299人の東京都内の中小企業を対象にした調査の結果、「モデル退職金」(卒業後すぐ入社し、普通の能力と成績で勤務した場合の退職金水準)から見る退職金額(退職事由が定年退職)も見ていきましょう。
3.3 会社員の退職金「中小企業」1118万9000円
あくまで参考値ですが、大企業と中小企業では1000万円以上の差があることが分かります。
単純に公務員とサラリーマンを比較すると、公務員の方が退職金は多いようです。ただし、会社員であっても、所属する会社によっては公務員と同等以上の退職金がもらえる場合もあるでしょう。
しかし、中小企業に勤めていたり、転職などで勤続年数が短くなったりした場合は、十分な退職金を確保することが難しい場合があります。
4. 退職金だけで老後は乗り切れるか?「老後2000万円問題」をおさらい
前述の通り、公務員の退職金は2000万円以上でした。 2000万円は、かつて話題になった老後2000万円問題と同じ額です。
金融庁が2019年に発表したレポートがきっかけで、「年金収入以外に2000万円がないと、老後の生活費が足りなくなる心配がある 」という内容でした。
しかし、この問題は、賃貸住宅に住む人の家賃や介護費用が考慮されていません。
定年後の家賃が必要な方や、介護施設などに入居する場合は、2000万円では足りないでしょう。
また、退職金のデータはあくまで参考値であり、実際にいくらもらえるかは人それぞれです。退職金制度がそもそもない会社もあります。
なるべく早い段階で、老後資金を準備しておきたいところです。