日本年金機構によると、2022年度の年金額の目安は夫婦で21万9593円とされています。
会社員の夫と専業主婦というモデル夫婦をもとに試算された金額ですが、実際にはあてはまらない方が多いでしょう。
そもそも未婚率が上昇している日本においては、一人当たりの年金額を意識することも重要です。
特に女性は男性よりも年金額が少ない傾向にあるため、老後を考える上で目安額は知っておきたいところです。
厚生年金を15万円受給できる女性の割合や、その手取り額を試算してみましょう。
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1. 厚生年金とは公的年金のひとつ
そもそも厚生年金とは、日本の公的年金のうちの一つです。
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出典:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり」(令和4年4月)、厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』」をもとに、LIMO編集部作成
日本に住む20歳以上の方は国民年金に加入し、そのうち会社員や公務員は、2階部分の厚生年金にも加入するイメージです。
そのため、ずっと専業主婦だった方や自営業をしていた方などは、そもそも厚生年金に加入できません。
厚生年金の保険料は収入によって決まり、納めた保険料や加入期間によって年金額が変わります。つまり、現役時代の働き方によって、年金の額は個人差が大きいということです。
2. 厚生年金「月平均15万円」は何割いるのか
厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2020年度の厚生年金の月平均は14万4366円でした。
こう見ると、多くの方が15万円ほどの厚生年金を受給できている印象を受けます。ただ、実際にはそこまで多くないのが現実です。
分布の様子を確認しましょう。
2.1 【厚生年金】男性の年金月額階級別の老齢年金受給者数のデータ
- 1万円未満:7万2507人
- 1万円以上~2万円未満:1万2071人
- 2万円以上~3万円未満:5395人
- 3万円以上~4万円未満:1万170人
- 4万円以上~5万円未満:3万714人
- 5万円以上~6万円未満:6万7421人
- 6万円以上~7万円未満:16万3063人
- 7万円以上~8万円未満:24万4810人
- 8万円以上~9万円未満:24万2657人
- 9万円以上~10万円未満:27万3243人
- 10万円以上~11万円未満:35万350人
- 11万円以上~12万円未満:43万8383人
- 12万円以上~13万円未満:51万8659人
- 13万円以上~14万円未満:60万8992人
- 14万円以上~15万円未満:70万4371人
- 15万円以上~16万円未満:79万3583人
- 16万円以上~17万円未満:88万4219人
- 17万円以上~18万円未満:94万8543人
- 18万円以上~19万円未満:94万2288人
- 19万円以上~20万円未満:87万9047人
- 20万円以上~21万円未満:75万7129人
- 21万円以上~22万円未満:59万345人
- 22万円以上~23万円未満:41万4195人
- 23万円以上~24万円未満:28万2665人
- 24万円以上~25万円未満:19万63人
- 25万円以上~26万円未満:12万1426人
- 26万円以上~27万円未満:7万5194人
- 27万円以上~28万円未満:4万4547人
- 28万円以上~29万円未満:2万2741人
- 29万円以上~30万円未満:1万807人
- 30万円以上~:1万6346人
2.2 【厚生年金】女性の年金月額階級別の老齢年金受給者数のデータ
- 1万円未満:2万8004人
- 1万円以上~2万円未満:6884人
- 2万円以上~3万円未満:6万1267人
- 3万円以上~4万円未満:10万9541人
- 4万円以上~5万円未満:9万4941人
- 5万円以上~6万円未満:10万3206人
- 6万円以上~7万円未満:23万8112人
- 7万円以上~8万円未満:44万9205人
- 8万円以上~9万円未満:69万2135人
- 9万円以上~10万円未満:85万2017人
- 10万円以上~11万円未満:76万8808人
- 11万円以上~12万円未満:57万9740人
- 12万円以上~13万円未満:40万7435人
- 13万円以上~14万円未満:28万8035人
- 14万円以上~15万円未満:20万8976人
- 15万円以上~16万円未満:15万2367人
- 16万円以上~17万円未満:10万9888人
- 17万円以上~18万円未満:7万5929人
- 18万円以上~19万円未満:5万1905人
- 19万円以上~20万円未満:3万7458人
- 20万円以上~21万円未満:2万4850人
- 21万円以上~22万円未満:1万6796人
- 22万円以上~23万円未満:1万976人
- 23万円以上~24万円未満:6934人
- 24万円以上~25万円未満:3951人
- 25万円以上~26万円未満:2188人
- 26万円以上~27万円未満:1098人
- 27万円以上~28万円未満:516人
- 28万円以上~29万円未満:208人
- 29万円以上~30万円未満:144人
- 30万円以上~:375人
厚生年金15万円以上なのは男性で約65%、女性で約9%です。そもそも厚生年金に加入していない専業主婦も含めると、割合はもっと少なくなりますね。
こう考えると、女性で15万円以上を受給できる方は勝ち組だといえそうです。
3. 厚生年金15万円なら手取りはいくらか
額面として15万円の年金を受給できたとして、手取りはいくらになるのでしょうか。あまり知られていないことですが、年金からは税金や保険料が天引きされます。
ここからは東京都八王子市に住む75歳のおひとりさま女性の手取り額をみていきましょう。
月額15万円では年収が180万円となるため、所得は70万円で試算します。
3.1 年金から天引きされる保険料
天引きされる保険料は、介護保険料と健康保険料です。
介護保険料は市区町村ごとに異なりますが、八王子市の場合は年額7万9400円です。
続いて健康保険料ですが、75歳では後期高齢者医療制度に加入するため、保険料は東京都後期高齢者医療広域連合の所得割率と均等割額を用いて計算します。
これらにあてはめて算出した結果、後期高齢者医療制度の保険料は年間約4万8800円。
介護保険料と合わせて、年間で約13万円天引きされることになります。
3.2 年金から天引きされる税金
天引きされる税金は所得税と住民税です。所得控除が基礎控除と社会保険料控除のみだった場合、課税所得は所得税で9万570円、住民税で14万円になります。
ここから税額を求めると、所得税は4623円、住民税は1万6500円です。保険料と合わせると年間にして約15万円が天引きされるということですね。
15万円の厚生年金から約1万2500円が天引きされると考えると、手取りは約13万7500円。ずいぶん印象が変わったのではないでしょうか。
※概算なので実際の金額とは異なります。また天引きされる金額は年度途中に決まるため、1年を通して同じ手取り金額になるとは限りません。
4. 手取りを意識したマネープランを
厚生年金を15万円受給している方の割合や、その手取り額を見ていきました。
「悠々自適な年金生活」を夢見ていた方にとっては、考えさせられる数字だったのではないでしょうか。
今回ご紹介したのは、あくまでも現在年金を受給している世代での目安です。まずは自分自身の目安額を知るために、ねんきんネット等で確認する習慣をつけましょう。
このとき、年金の額面から税金や保険料が天引きされることを忘れてはいけません。とくに介護保険料や後期高齢者医療制度の保険料は高くなる傾向になるため、こうした情報はしっかりつかんでおきたいですね。
参考資料
- 東京都後期高齢者医療広域連合「保険料の算定方法」
- 八王子市「令和3年度(2021年度)から令和5年度(2023年度)の介護保険料(所得段階)」
- 厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 国税庁「高齢者と税(年金と税)」
太田 彩子
