あなたならどうする?

質問です。もし今、アパマンを売ろうと思ったら、あなたはどのような行動をとりますか?

「今つきあっている不動産業者にいくらで売れそうか聞いてみる」
「頻繁に売り広告を出している大手業者に売却査定を依頼してみる」

ほとんどの大家さんは、このどちらかのパターンになるのではないでしょうか?

不動産の売買は非常に特殊なので、個人間で売買されることはまずありません。したがって、宅建業者に売却を依頼し、買主探しから「契約〜決済〜引き渡し」まで任せるのが普通です。ということは、不動産を売却するなら、まずは「仲介会社選び」が重要ということになります。

では、さらに質問です。あなたならどちらの仲介会社を選びますか?

「高値査定してくれた大手業者」
「安値査定だが信頼のおけそうな地元業者」

あなたは、「高値査定をしてくれた大手業者」を選ぶのではないでしょうか? しかし、実は大手だから“高く売れる”ということにはならないのです。なぜなら査定はあくまで「査定」であって、この業者が“買い取る価格”ではないからです。

仲介業者をめぐる”都市伝説”

仲介業者にとって、売り上げをあげるために重要なことは何でしょうか? それは専任媒介契約(専任で買主を探させてもらう権利)を取ることなのです。専任さえとりつければ、一定期間はあなたの売り物件を独占広告することができます。

独占で広告することができれば、仲介業者自ら買主を見つけられる可能性が高まります。自ら買主を見つけられれば手数料が2倍になるのです。だから、仲介業者はオーナーから専任媒介で仲介の依頼を受けることが何より重要になるのです。

したがって、仲介業者は、オーナーから売却査定の依頼があれば、相場で正しく査定をするというよりも、とにかく他社より高い査定を提示するようなバイアスがかかるのです。なぜなら、他社よりも高い査定額を提示した方が、専任媒介を取り付けられる可能性は高くなるからです。

仮に、あなたが大手業者から高い査定額を提示されたとしたら、どのように感じるでしょうか?

「普段からたくさん売り広告を打ってくれている大手だから、査定額も高いのだろう」
「大手だから、買主となる得意先も多く、高値の査定になるのだろう」
「だったら、専任で依頼した方が早く売れるかもしれないなぁ」

しかし、「大手だから高く売れる」というのは全くの都市伝説です。

大手の営業マンのノルマは、専任を月に2〜3件取ること。さもないと売り広告に載せる物件がなくなってしまうのです。

広告をバンバン打てば、売主は喜びます。さらに、潜在的な客も「大手なら広告をたくさん打ってくれるから売れそうだ」となり、新たな専任媒介獲得のPRにもつながります。つまり、大手の売り広告は「専任」を獲得するための「おとり」になっていたのです。

大手仲介業者の儲けのカラクリとは?

では、売れない物件を広告掲載して、大手業者はどうやって仲介手数料を稼ぐのでしょうか? そもそも価格が高すぎる広告は掲載しても売れませんから、しばらくすると大手業者はオーナーに買い取り業者を紹介してきます。

「この業者なら現金を持っていますのですぐ売れますよ」と、相場より低い値段での売却を勧めてきます。売主が、早く現金が欲しい、背に腹は代えられない状態であれば、このささやきに乗ってしまうケースは少なくないでしょう。

仮に売主が、仲介業者のオファーを蹴ったとしても、当初の査定通り高すぎる値段では売れません。売主がしびれを切らせ、泣く泣く値下げを受け入れるまで、大手業者は放置プレーに徹します。こうして、大家さんの物件が市場のさらし者になってしまうのです。

高く売りたいなら専任にしてはいけない

できるだけ早く、高く売りたいなら、「専任」にはしない方がいいでしょう。「専任」にしてしまうと、他業者へ情報が流れていかないからです。

物件を高く売るなら、「一般媒介+2社」がベストです。一般媒介契約では、レインズ(REINS、指定流通機構)への物件掲載義務はありませんが、いち早く買主を見つけるためにすぐに掲載してくれます。

なぜ、このように動きが早くなるかというと、ライバル会社がいるからです。しかも、ライバルは1社ですので、手数料を稼げる可能性も高く、いち早く情報を公開して買主を見つけたいという動きになるのです。このようにすれば、高く売れる可能性はグンと高くなります。

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浦田 健