海外暮らしでつくづく感じる、日本の生活は「超」便利

公共・行政サービス、医療制度の現実とは

ミャンマーのヤンゴン市中心街に昨年オープンしたショッピングセンター「スーレー・スクエア」の地階に、今月、日本料理店ばかりを集めたフードコート「トーキョー・ダイニング・シティ」がオープンしました。焼き鳥やおでんの「とり蔵」、寿司の「鮨丸」、うどんの「吉田」などがあります。

こういうニュースは、海外にいる日本人にとっては嬉しいものです。海外では日本食ブームがますます広まり、和食の選択肢が増えている実感があります。

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ただ、出張や旅行と違い、海外に暮らしてつくづく思うのは、日本人にとって日本ほど便利な国はないということです。日本では近所にコンビニがあって夜中まで開いています。サービス業全般の接客レベルは高く、公共交通機関、郵便、宅配便、各種行政サービス等もとても便利です。

これから海外で活躍しようという方にとって、海外生活は日本では得難い経験が多くありますが、一度、そうした日本の究極的に便利な生活は諦めざるを得ません。今回は個人的に経験した事例をご紹介したいと思います。

ミャンマーのヤンゴン市内にオープンした日本食フードコート「トーキョー・ダイニング・シティ」

ささいなことでストレスが溜まるマレーシアの日常

私が暮らすマレーシアは100年以上にわたる英国の支配を受けたため、英国法の影響が強く、アジア諸国の中でもルールがしっかりしているという印象です。ところが、実際に生活してみると日常のささいなことでストレスを感じることが結構あります。

自宅にいるのに郵便物の不在通知が

一般にマレーシアの郵便事情は良くありません。誤配達もありますが、最も厄介なのは、自宅にいても書留郵便物の不在通知が郵便ポストに入っていることです。かなり頻繁にあります。

もちろん配達時間は指定できないので、1日中、自宅で書留郵便物を待たなければならないのですが、そのあげくに不在通知が郵便ポストにあると強い憤りを感じます。配達担当者の作為または不作為によるミスですが、これは改善の兆しがありません。

不在通知を受けたら書留郵便物を期限内(約2週間以内)に受け取りに行かなければならないのですが、最寄りの郵便局では約1時間待ちというのが普通です。

法律事務所による契約事務ミス

マレーシアでは不動産売買契約を締結する場合、必ず法律事務所を代理人として選定しなければなりません。

不動産購入時、住宅ローンの手続きのために訪問した銀行窓口で銀行担当者から書類を手渡されました。書類のうち、銀行、法律事務所、私が各1通、保管するものがありました。

1週間後、法律事務所から連絡があり、その書類をなくしてしまい手続きができないので、私が保管している書類を貸してくれとのこと。法律事務所なのに契約事務がしっかりしていないことに虚脱感を覚えました。

不動産賃貸契約での家賃滞納と突然の解約通知

中古のコンドミニアムを購入した際、前オーナーから部屋の賃貸契約を引き継ぎました。賃貸契約の相手はグローバル企業の現地法人でした。

まず、法律事務所を通じて部屋のオーナー変更に関する文書を送付したにも関わらず、相手側は初回家賃を誤って前オーナーへ支払ってしまいました。

その後、3カ月分の家賃を滞納したあげく、急に1カ月後の契約解除(賃貸契約書では2カ月前通知と明記)を申し出てきました。家賃を滞納しているのにも関わらず、1カ月以内にデポジット(家賃2カ月分と公共料金デポジット)を返還せよとの文書を送付してきたのです。

相手はグローバル企業でしたが、契約事務能力に難点があり賃貸契約書に関する理解もないようでした。私からは賃貸契約に基づいた適切な手続きについて文書でていねいに説明したのですが、余計な時間を使ってしまいました。

コンドミニアム管理費の支払遅延

マレーシアに住み始めて数カ月間、コンドミニアムで管理費の請求書が届かず、管理費の支払いに気がつかなかったところ、偶然、事務員のミスにより請求書の宛て先の登録が間違っていることが発覚しました。

すぐに宛て先の変更届を再提出しましたが、その後も、事務員がコンピュータ入力を忘れていたらしく、しばらく請求書が届きませんでした。そこで、再度、管理事務所に出向き、宛て先の登録変更を催促しました。

そうこうしている間に、延滞額が1,800リンギ(約5万円)となっていたため、「2週間以内に支払いを完了しなければ、法的措置を講じる」との督促状が届いて驚愕しました。

契約事務を行う人間にミスがあっても、コンピュータシステムのマニュアルに基づいて帳票・文書は自動的に作成・送付されてきたわけです。管理事務所のマネジャーや事務員がシステムを使いこなせずに事務処理していたようです。

行政機関でも似たような経験をしたことがあります。窓口で住所変更届を何度提出してもコンピュータ入力してくれず、旧住所に郵便物を送り続けられたことがありました。

自己責任で高い医療保険に加入

日本には世界でも稀な手厚い公的医療保険制度があり、海外生活で初めてそのありがたさに気付きます。

私自身は、海外生活を機にその恩恵からいったん離れ、自分のクロスボーダーな人生・働き方に合った世界をカバーするExpat(国外居住者)向け医療保険 Now Health International に加入しています。こうしたことは自己責任で準備し、コスト負担しなければなりません。

エキサイティングで楽しいことも多い海外生活ですが、やはり日本の「超」便利な生活は諦めることが必要というわけです。

大場 由幸

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大場 由幸
  • 大場 由幸
  • SME Financial Architect x Fintech x Frontier Markets

新潟大学法学部卒業、フィンランドAalto大学 Executive MBA取得、英国オックスフォード大学 Fintech課程修了、米国マサチューセッツ工科大学 AI課程修了。
中小企業金融公庫(神戸、宇都宮、東京)、在ベトナム日本国大使館(ハノイ)、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(東京)、東京中小企業投資育成(東京)を経て、2008年4月、クロスボーダー・ジャパン(株)代表取締役社長(東京&シンガポール)に就任。
日系中堅・ベンチャー企業のアジア戦略・財務を支援する傍ら、新興アジア諸国にて多数のSME金融関連プロジェクトに従事し、マレーシア信用保証公社 JICAアドバイザー(クアラルンプール)、ベトナム信用情報センター 世界銀行コンサルタント(ハノイ)、インドネシア経済調整庁 MSME金融包摂アドバイザー(ジャカルタ)、ミャンマー経済銀行 SMEファンド助言チームリーダー(ネピドー&ヤンゴン)等を歴任。
現在、複数のフィンテック企業(ロンドン、ジュネーブ、デーフェンテル、イスタンブール)の経営に参画。マレーシア(ジョホールバル)在住、エストニアe居住。