大学生の就職活動において採用担当や人事が嫌う学生のNG行動とは何でしょうか。就職活動は誰にとっても前向きであるべきというのは前提ですが、ここではあえて気をつけて避けるべきネガティブリストとして7つのポイントをご紹介します。

はじめに

内定が決まった学生は厳しい就職活動を終えて、ほっとしていることでしょう。ただし、内定をもらったからといってそれで安心かといえばそうではありません。

内定が決まってもその後に「配属」というその後の人生をある程度左右するイベントがあります。配属で自分の希望していた部署に行けるかどうかは、どの学生にとっても最大の関心事でしょう。

内定を出した後も、人事部は学生をじっくりと見てその特性を見極めようとしています。これまで、「そこまで見ているのか。すごいな」と、その目利き力にうならされる場面をいくつも見てきました。内定式以降に人事部にNG行動を把握されて希望の部署に行けない同期も見てきました。

何とも堅苦しい話ではありますが、第一志望の企業に内定をもらったからといって、慢心して紳士的な行動を忘れてしまうのは危険です。日本の人事部恐るべしです。また、引き続き就職活動をされている方は、人事部がどのような目線で学生を見ているのかを知るための参考にしていただければと思います。

NG行動その1: チームワークの意識が欠如している

優秀な学生を採用したいというのはどの企業も同じです。

しかし、仕事は1人だけ完結することなどほとんどありません。いろいろな人を巻き込んでいくことで大きな仕事ができますし、仕事をするうえでのステークホルダー(関係者)が増えれば増えるほど、その中でのコミュニケーションが重要となってきます。

また、キャリアを積み重ね仕事を任されるような立場となれば、チームをマネジメントするような機会も増えていきます。企業がその学生を幹部候補生として見ていればいるほど、チームのリーダーとしてふさわしい人物であるかという評価軸がついて回ります。

たとえば、生命保険会社であれば支社の営業職員をどのようにマネージできるかが問われますし、その管理の質が低ければ営業目標に届くことはないでしょう。営業職員のモチベーションを維持しながら、さらに昨年度比で結果を出していくということがチームで求められます。

大学生時代にしっかり勉強してきたかどうかは別として、体育会の学生が人事担当者に根強い人気があるのは、こうしたチームワークの重要性を理解しているかどうかという点にあります。

NG行動その2:優先順位がつけられない

社会人なら仕事の優先順位をつけるなんてあたりまえじゃないか!という方も多いでしょうが、時間に余裕のある学生時代を4年近くも過ごすとなかなか優先順位を付けられない場合も多いようです。

採用面接の場でリクルーターから込み入った質問をされるシーンを想像してみましょう。その場合には、質問に関して重要なポイントから順番に回答ができることが重要です。

そもそも面接(インタビュー)の時間は限られていますし、面接官が1日に何人もの学生を相手することも多いと思います。そのような場合には「結論ファースト」を徹底し、自分の意見の背景や裏付けは結論を明確にしたのちに付け加えるとよいでしょう。

この考え方は、外国人の上司を持つようになるとより意識をせざるを得ないものとなります。日本人はどちらかというと「起承転結」で話をしたがりますが、外国人はプレゼンの仕方の教育もあって「結論ファースト」です。外国人からすると、日本人の「起承転結」報告スタイルは「ダラダラしていてどこが結論かわからなかった」となることも多いのです。

では、日本人の上司や面接官にも「結論ファースト」が必要かというと、先述のように時間が限られている場合には有効な姿勢・スタイルかと思います。もちろん、面接での雰囲気や相手の性格なども見ながら簡潔に自分の意見を述べると効果的なのではないでしょうか。

短時間に相手の聞きたいことを優先順位をつけて整理し、回答をすることができれば、採用担当者もその学生の入社後のイメージが持ちやすいはずです。

NG行動その3:質問ができない

面接の場で必ず聞かれる質問は共通しています。それは「最後に何か質問はありますか」です。

質問は相手に対しての最大の興味の証ですから、質問がないというのが最悪です。また、事前の勉強不足のため適切でない質問をすることもまたNGです。ですから、質問をする前には事前準備が必要です。その場合、自分の質問を第三者に聞いてもらうというのも適切な内容かどうかを確かめる方法の1つでしょう。

社会経験のある父親や母親、経営者や人事担当者に知り合いがいるのであればそうした関係者に自分の質問を聞いてもらってはどうでしょうか。「親になんて聞きたくない」というためらいもあるでしょうが、そこは身近でアクセスしやすいリソースは十分に活用すべきでしょう。

また、準備をした質問を様々な企業に質問をして相手の回答の内容の違いを知ったり、その回答力を試すのも面接の1つの楽しみ方かもしれません。採用担当者の力量を見極めることで、その企業を評価するという方法もあります。

いずれにせよ、質問は相手を知り、自分を知ってもらうという意味で重要です。全ては対話から理解が始まります。

NG行動その4:気配りができない

集団面接で1人に割り当てられている時間が決まっているのにもかかわらず、自分をアピールしまくる場面を見た方も少なくないのではないでしょうか。そうした積極性は買われたとしても、他人への気配りができない学生は会社という組織、ひいてはチームワークには不向きです。

また、そうした積極性があるだけが取り柄の人材が、たとえばベンチャー企業であればバリバリやっていけるかというとそうでもありません。ベンチャー企業であっても、大企業を含め様々な会社と取引することになります。つまるところ、ビジネスは1人では成立しません。

これまで見てきた中で集団面接上手だと感じるのは、全員に意見を出させ、自分がラップアップ(まとめ)をしれっとしてしまう学生です。ややもすれば、「おいしいところを持っていきやがって」という目で見られがちですが、一面では全体の流れを踏まえて、意見をまとめ上げることができる能力ともいえます。これも一つの気配りができるタイプといえるでしょう。

自分がどうすれば上手く立ち回れるかをまずは考え、当日の面接の流れを見ながら自分の強みを出せるとよいですね。

NG行動その5:話の展開がない

平たく言うと、話がつまらない、ということになります。

これは決して個人のキャラクターを批判するものではないのですが、採用担当者も人間です。これから採用しようとする学生が仮に自分の部下となることがあったらどのような会話のやりとりをするかということをイメージします。

世界でも有名な某外資系資産運用会社の面接では、次のような方針でインタビューが行われてきたといいます。

「空港で次のフライトに乗るまでの数時間の間に会話をして退屈をしない相手を選びなさい」

そんな基準で適切な人材を選ぶことができるのか、という声もありそうですが、このシチュエーションは意外と想像しやすいものではないでしょうか。そうした時間を持て余すような環境でも退屈しない会話ができる人に心当たりはありませんか。そして、そうしたリラックスした環境で対話をすることで様々なアイデアが浮かんでくるものです。

NG行動その6:簡単な約束が守れない

たとえば、エレベーター内で私語をするというケースを思い浮かべてみましょう。面接の感想や他企業の採用状況などを、エレベーター内で話す学生を目にすることはないでしょうか。これは学生だけではなく、社会人としてふさわしくない行動です。エレベーター内に私語は厳禁というようなシールをしている企業もあります。

秘密保持という堅いところまではいかないものの、最近は情報漏えいに厳しい企業が多くなっています。こうした最低限のビジネスマナーは、社会人になってから身につけるというものではありません。他人に聞こえるような状況で重要な話はしないようにしましょう。

NG行動その7:内定後に特に馴れ馴れしくなる

採用プロセスの中で採用担当者との距離が近くなり、親近感を覚えることでふと気を許した瞬間に、相手に馴れ馴れしいと思われてしまうことがあります。

これは個人差があると思いますが、採用担当者や人事部の担当者は入社年次が上の先輩であることには変わりがありません。学生で隙を見せないというのも息苦しいかもしれませんが、ビジネスマンの1人として行動しましょう。

まとめにかえて

いかがでしたでしょうか。内定が出て安心している学生の方も多いかと思います。

しかし、実は気が抜けないのは内定式から新人研修までです。内定をトップで獲得した学生も、その後の素行が良くないことで配属が不本意な結果となることもあります。人事担当者も内定を出すまでの採用プロセスが短期決戦であるために、その後の評価をじっくりと行い、適切な配属ができるように工夫しています。

採用担当者の中には「採用する人材は初めから決まっているので、些細なことは関係ない」と言い放つ人もいますが、それは会社によって状況は異なります。採用担当者がどんなにほれ込んだ人材でも、数多くの人と面接をすることでバツが付くこともあります。

それほど面接は生半可なプロセスではありません。外資系金融機関などでは部署の全員がマルといわなければ、どれだけ採用担当者が推していても内定をもらえないことなどはざらにありました。

こう考えると、採用担当者が良い顔をしない行動を可能な限り避けて、コミュニケーションをうまく図ることがお互いを理解できる近道といえるのではないでしょうか。

LIMO編集部