お天気の良かったゴールデンウィークもそろそろ終盤です。一方、就職活動も佳境に入っている学生の方も多いのではないでしょうか。同時に様々なメディアから公開される文系や理系別、また男女別などの就職人気企業ランキングも発表され、「なぜその企業が上位に?」「なぜあの企業はランキング入りしていないんだ?」と疑問をお持ちの方も多いはずです。今回は、そうしたランキングの上位には入らないけれども、世界市場で大きな市場シェアを有する企業をまとめてみました。
シマノは自転車でも釣り具でもプレミアム品
自転車部品でおなじみのシマノ(7309)です。変速機やブレーキなどを組み合わせたコンポーネントを自転車向けに販売しています。特に高級(スポーツ向け)自転車の比率が高く、グローバルシェアは80%を超えるといわれています。
高級自転車向けだけではなく、子供向け自転車にもしっかりと同社の変速機が搭載されているところを見ると、将来のユーザーをしっかり育てているなぁと感心したりもします。
自転車部品としての世界の競合企業はイタリアのカンパニョーロ、米国のスラム。ただ、先ほどの市場シェアを考えると同社が圧倒的なポジションを確立しているといってよいでしょう。
また、同社の商品ポートフォリオの一つに釣り具があります。これも競合メーカーのグローブライド(7990)と比較すると価格帯も上のレンジの商品が多く、釣り人にとっては憧れの商品です。
同社の時価総額はというと、約1.6兆円あります(2017年5月2日終値ベース)。
この水準がどの程度かといえば、上記のようにすでに世界での市場シェアが圧倒的なので適当な比較対象企業がありませんが、日本を代表する製造業といえば三菱重工業(7011)といってもよいと思いますが、三菱重工業の時価総額は約1.5兆円(同日ベース)です。
また、工場自動化などの制御機器を製造するオムロン(6645)が約9,800億円(同日ベース)ことなども考えるとシマノの株式市場での評価がうかがえます。
東レは顧客のイノベーションを支える材料メーカー
炭素繊維といえば東レ(3402)、東レといえば炭素繊維。というくらいの髙い認知度ではないでしょうか。
同社の炭素繊維のグローバルシェアは約40%(2010年度)。同社の2012年3月期の炭素繊維複合材料セグメントとしての売上高は約700億円。航空機、スポーツ向け、一般産業用途などに使われており、今後は自動車産業や人工衛星などにも使われることが更に期待されています。
競合企業としては帝人(3401)の完全子会社である東邦テナックスや三菱ケミカルホールディングス(4188)傘下の現三菱ケミカル(旧三菱レイヨン等)があります。海外メーカーも積極的に展開してきていますが、日本メーカーのシェアは高い市場といえるでしょう。
同社の時価総額も見ておくと約1.6兆円(2017年5月2日終値ベース)で、偶然先ほどのシマノと同じ水準です。
東レはユニクロことファーストリテイリング(9983)にも材料を提供していたことも知られています。同社は顧客におけるイノベーションを支える材料を提供できる稀有な存在といえるでしょう。
理系の学生にとっては同社は有名でしょうが、こうした実績からもっと人気が出てもよいように思いますが、B2B事業が主体ということが影響しているのでしょうか。
ワコムが世界のクリエイティブを支えている
ワコム(6727)はクリエイティブユーザー向けペンタブレットでグローバルシェアで約90%(2015年)を有する企業です。特にクリエイターなどには有名な企業です。市場シェアを考えれば、ほぼ独占といった状況です。
同社のコア技術や商品が何かといえば、電磁誘導方式、高速・高精度位置センサーを活用したコードレスで電池が不要のデジタルペンであったり、アクティブ正殿結合(ES)テクノロジーを活用した商品などです。
足元は業績悪化が目立ちますが、今後は先ほど触れた市場シェアを基盤としてどのように業績を立て直してくるのかに注目です。