日本の不動産は本当にバブルなのか?

昨年初め頃から、日本の不動産はプチバブルだと言われていましたが、本当に今、日本の不動産はバブルなのでしょうか? 本当になかなか買えない状況なのでしょうか? 本当に金融機関は融資を絞り始めていて、不動産はなかなか買いにくくなってきているのでしょうか?

確かに不動産融資については、2016年の融資額は2015年の融資額を15%上回り、その伸び率は2015年の2倍以上でした(日銀発表による)。この不動産融資の伸びが不動産バブルの再燃を憶測させている要因の一つでしょう。

もう一つ、最近の地価の上昇もあるでしょう。都市部では地価の上昇が続いていて、不動産価格の上昇で不動産担保の枠も大きくなります。したがって、1件あたりの融資額が拡大していると言えます。

さらに不動産価格上昇の要因として、相続税の課税強化による不動産投資の拡大があります。

そもそも、相続対策を考えなければいけない人は、土地などの担保を持っている人たちですし、金融機関にとっては最もアパートローンを出しやすい属性の人たちが一斉にアパートによる相続対策を検討し始めたことが、不動産バブルの再燃を暗示することにつながっているようです。

相続対策としての不動産投資が高騰の原因?

もちろん、土地以外の資産を持っている人は、相続対策としてタワーマンションや中古賃貸マンションなどを買うことになりますので、このような行動も不動産価格の上昇につながっていきます。

しかし、地方の賃貸需要の弱い地域では、需要の薄い賃貸アパートの過剰供給で空室問題がさらに深刻化するばかりなので、最近は、アパートローンの貸し出しに金融庁や内閣府が警戒感を強めています。

この他にも、2020年の東京オリンピックを控えた不動産開発ラッシュや、外国人観光客の増加を見込んだホテルや外国人向け宿泊施設の建設なども不動産融資を押し上げる要因になっているでしょう。

また、2010年以降、金融緩和の一環とデフレ脱却のために日銀がJ-REITを買い支えし続け、J-REITの利回りが低下している点も不動産価格の上昇要因につながっていると言えます。

それでもバブルと言えない理由とは?

現に、現在の都心のアパマンの表面利回りは5%を切っており、3%、4%の利回りが当たり前の状況です。しかし、それだけでバブルとは言えません。というのも、1990年前後のバブルとは、不動産利回りと借入れ金利の「イールドギャップ」が異なるからです。

当時は都心の不動産の利回りは1%以下。住宅ローンの借入れ金利が6%台でしたから、5%以上も逆ざやになっていて完全に値上がり益狙いの相場だったのです。今では考えられない逆ざや利回りです。一方、現在の物件利回りは低いと言われてはいても、金利が1%前後ですから、イールドギャップは少なくとも2、3%は取れるわけです。

2005年頃に不動産価格を押し上げていったのは、海外を中心とする不動産ファンドでした。大量の投資資金を集めたファンドが力任せに土地を取得し、新築マンションを全国各地に建てまくりました。ちなみに、2005年当時の為替相場は1ドル120円くらい。

その後、ファンドは2011年の東日本大震災前後を境に次々と物件を売却。利益を確定させていきます。2011年当時の為替は1ドル75円の超円高に突入。ファンドは取得した価格と同じ価格で売ったとしても、為替で40%近い利益を出すことができたのです。

このように、現状の不動産市況は、かつての2つのバブル期とは様相が違います。

1990年前後に起きた不動産バブルは、ある意味誰でも買うことができたわけなのでバブルになりましたが、現在の相場は、買える人は買える、買えない人は買えない相場だと言え、むやみに不動産価格が上昇しているわけではないのです。

では2017年の不動産相場はどうなるのか?

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浦田 健