3. 厚生年金「月30万円」の高額受給者は現役でいくらの報酬だったのか
それでは、本題の「厚生年金を30万円以上受給している人の現役時代の報酬額」について、平均標準報酬額のみを使って考察したいと思います。
<条件>
- 老齢基礎年金(国民年金)の年間受給額:78万円(満額を仮定)
- 老齢厚生年金(厚生年金)の年間受給額:30万円×12ヵ月=360万円
- 厚生年金の加入期間:40年間(480ヵ月)
- 厚生年金の報酬比例部分=360万円(厚生年金部分)-78万円(国民年金部分)=282万円
- 平均標準報酬額×5.481/1000×480ヵ月=282万円
- 平均標準報酬額=約107万円
- 107万円×12=1284万円
この計算では、年収が約1284万円以上の場合、厚生年金の月の受給額が30万円になることがわかりました。
40年間の平均年収が約1284万円以上であり続けることは、かなり大変なことです。
さらに、年金の計算式は過去からどんどん変更されました。特に大きいのが保険料の上限でしょう。どれだけ稼いでも、頭打ちとなってそれ以上の保険料を納めることができません。
従って、現役世代の人が将来厚生年金を30万円以上受け取れる可能性は、限りなく低くなるでしょう。繰り下げ年金などの制度を駆使する必要があります。
執筆者
都留文科大学卒。大和証券株式会社にて、主にリテール営業に従事。株式、投資信託の販売など、資産運用コンサルティング業務に携わる。現在は個人向け資産運用会社にて、運用に関するコンサルティング業務を行っている。顧客に寄り添う営業をモットーとし、特に若い世代へ資産運用の必要性を伝えるべく、日々精力的に活動中。外務員一種保有。
監修者
株式会社ナビゲータープラットフォーム メディア編集本部
LIMO編集部記者/編集者/元公務員
京都教育大学卒業。くらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」のLIMO編集部で、厚生労働省管轄の公的年金制度や貯蓄、社会保障、退職金など、金融の情報を中心に執筆中。大学卒業後は教育関連企業での営業職を経て、2010年に地方自治体の公務員として入職。「国民健康保険」「後期高齢者医療制度」「福祉医療」等の業務に従事した。主に国民健康保険料の賦課、保険料徴収、高額療養費制度などの給付、国民年金や国民健康保険への資格切り替え、補助金申請等の業務を担う。特に退職に伴う年金や保険の切り替えでは、手続きがもれることで不利益を被ることがないよう丁寧な窓口対応を心がけた。その後、保険代理店にてマーケティング業務に従事。保険料比較サイトの立ち上げに参加した。乗合保険会社の商品ページだけでなく、保険の知識を普及するためのページ作成にも参加。小学校教諭一種免許、幼稚園教諭一種免許、特別支援学校一種免許取得。
はたらく世代のお金の診断・相談サービスを行うマネイロでは、「【計算例付】厚生年金保険料はどのように決まる?ケース別算出方法や受給額を解説」など、お金や年金制度にまつわる記事を発信中。京都府出身。(2024年3月18日更新)