2022年7月26日に行われた、Shinwa Wise Holdings株式会社2022年5月期機関投資家向け決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:Shinwa Wise Holdings株式会社 代表取締役社長 倉田陽一郎 氏

コーポレートミッション

倉田陽一郎氏(以下、倉田):Shinwa Wise Holdingsの倉田陽一郎でございます。本日は、2022年5月期決算説明会ということで、会社概要・事業概要、業績ハイライト、前期の取り組み、重点施策、中長期ビジョンという流れでお話ししていきます。

まず、コーポレートミッションとして一貫して取り組んでいるのが、日本の美術市場をいかに再生するかということです。日本の美術市場を再生するためには、もはや日本だけでは完結できませんので、さまざまな試みを展開しながら、世界に向かって市場を大きく盛り上げていきたいと考えています。

そして、30年以上続いたデフレがコロナ禍によってインフレへと変わっている状況の中で、新しい会社のかたちを作っていきます。

我々は、日本の美術市場を再生するチャンスをようやく掴んでいけるのではないかと思っていますので、コーポレートミッション「日本美術市場再生プロジェクト 世界の市場に肩を並べるアート市場への再生」を5年のうちに大きく達成できるよう、がんばっていきたいと思います。

グループ方針

我々はオークション会社を中心に、30年間事業を行ってきました。今ではアートオークションだけではなく、ワインなどのリカーやブランド品のバッグ・時計といったさまざまな高級品のオークションを会場で実施しています。

会場で競りを行っているため、華やかに見えるかもしれませんが、実態としてはオークション当日に至るまでの地道な営業努力が必要です。我々は全社を挙げて、みなさまからお預かりしたものができるだけ高額で落札されるよう、マーケティングを展開しています。このように、文化を支援していく企業になりたいと思っています。

グループ戦略

グループ戦略として、「富裕層ネットワークの中で育まれ、 社会全体に広がりを持つ厳選されたプラットフォームを構築し、 強いマーケティング力で、高額高級品の価値付けに責任を持つ セレクトサービスカンパニー」でありたいと考えています。高額品であればあるほど価値を維持するのは大変ですので、そのあたりもきちんと責任を持って展開していきます。

グローバル・アート・プラットフォーム構想

グローバル・アート・プラットフォーム構想についてです。スライドの図の中央にある「オークション」が、アートの取引の中で我々が一番得意としているところです。その右側には、プライベートセールと言われる「アートディーリング」があります。

さらに右側には、「資産防衛ダイヤモンド」があります。オークションで売買を成立させるためには多くの手数料が発生するため、ダイヤモンドは非常に高額な宝飾品として流通している実情があります。しかし、みなさまが資産としてダイヤモンドを持てるように、我々は手数料込みで販売しており、これが近年非常に大きな人気を得ています。

また、アートを取り扱うにあたって、アートをストックとしてきちんと管理していくことも視野に入れながらビジネスを展開しており、2021年4月からは「NFTアート」をスタートしました。これは、インターネット上のプラットフォームがさらに進化したブロックチェーンというものによって管理されたアートの販売です。

前年度は1年間を通してフルに稼働させることができ、インターネット上のアートプラットフォームという新しいメディアが、非常に重要な意味を持つようになってきています。

図の上段にある「アート取引」から右側にあるものはリアルな世界のビジネスです。オークションは会場で競りを行っていますが、そこにインターネットからの参加者もつないでいます。そのような意味でも、我々の取引においてインターネットが徐々に重要な要素を担うようになってきています。

前年度に「NFTアート」が通期で寄与したとお話ししましたが、「NFTアート」に価値付けをしていくため、この1年でさまざまな売買のプラットフォームが出てきました。これからは仮想空間の中で「NFTアート」を見せて、取引することが一般的になるだろうというビジョンのもとで、メタバースを構築し、その中での展開を開発・支援している現状です。

そして、将来的には「アートクラウドファンディング」「アートシェアリング」という方向で、分散化されたコミュニティを中心とした経済圏を作っていきます。これまで高額なアートは成功者や富裕層などがコレクターとして所有していましたが、21世紀の新しい資本主義の中では、高額なアートを多くの人たちでシェアすることができます。

これはブロックチェーンによる管理があるからこそ可能となりますが、技術的にもプラットフォーム的にも、時代がようやくアートシェアリングに追いついてきていると感じています。こちらについても、近い将来の構築に向けて努力していきたいと思います。

また、アート関連の事業を効率化しながら展開していくという意味において、「アート教育」「アーティスト登録」「ミャンマーアート紹介」など、さまざまな文化支援ができるプラットフォームを構築していきたいと考えています。

それと同時に、日本では「アートでお金儲けするのは邪道だ」と言われる現状があります。アートはアートで楽しむのも1つの高貴な考え方ですが、アートが資産として認知されることも非常に重要です。

アートが資産として認知され、高額で取引されるからこそ末代まで保存され、美術館などで展示されていきます。そのため、アートを資産とする取り組みの中で、「アート投資サロン」を開催して、若いコレクター層を育成しています。他にも、ようやく今期あたりにローンチできると思っているのですが、「アートファンド」を本格的に立ち上げて、市場の中で安定的にアートの価値に寄与できるプラットフォームを作りたいと考えています。

会社概要

会社概要です。我々はホールディングカンパニーですので、Shinwa Wise Holdingsという持株会社の下に、5つの100パーセント子会社があります。

その中で基幹ビジネスとなるのが、Shinwa Auctionとi-ARTです。この2つのオークション会社は100パーセント子会社のオークション会社として、事業の中心となって展開しています。i-ARTに関しては、前期に株式交換によって100パーセント子会社になっています。

Shinwa Wise Holdingsグループは、アジアから世界へ、そして世界の強豪相手に対しても負けずにがんばろうという戦略を持っています。クリスティーズやサザビーズという名前を聞いたことがあるかもしれませんが、これらは世界のマルチナショナルなオークション会社で、世界中の大都市に拠点を持ち、世界中の富裕層を囲い込んでいます。

Shinwa Wise Holdingsは日本で上場しているため、主に日本の富裕層とお付き合いがあります。世界からの参加者もいますが、それぞれの都市に拠点を作り、きちんと囲い込んでいるという状況ではまだありません。

そのため、将来的にはアジアや世界の主要都市に、日本のアートや日本から発信されるさまざまなアイテムを世界中のコレクターに紹介できるプラットフォームを作りたいと考えています。これが最も重要な到達点であり、我々の大きな希望ですので、国内の小さなオークション会社同士で競争し合っても意味がないと思っています。

我々は上場会社ですが、海外のオークション会社に比べて圧倒的な規模の差があり、アジアの中だけで比べても、中国はもちろん、その他の国のオークション会社のほうが日本よりはるかに大きいのが現状です。ですので、日本は日本でできる限り合従連衡し、国内で争うのではなく、力を合わせてアジアに進出するという戦略で展開しています。

オークション以外のビジネスとしては、Shinwa ARTEXという子会社があります。こちらはアートや文化、富裕層ビジネスに関連する新しい事業を開発して、次なる市場を開拓している会社です。

Shinwa Privéでは、純粋にアートに特化したアートディーリング、ギャラリー事業、プライベートセール、「NFTアート」を展開しています。つまり、オークション事業から零れ落ちてくるさまざまな事業を、支えて展開しているのがShinwa Privéです。現在は、「NFTアート」の構築や「NFTアート」のイベントのコーディネートなども含め、画廊業を展開しています。

また、今年3月に新しく新設したEdoverseはメタバースのコンサルティング事業会社です。

グループ図

スライドには、今お話しした子会社群のビジネスを簡単にまとめています。

SWHグループ各社紹介

グループ各社の紹介です。Shinwa Auctionとi-ARTが我々の基幹ビジネスとなっています。国内最大級のオークション会社の連合ですので、今回この2社が1つのグループになったことで、取り扱いベースで日本最大級の会社になったのではないかと思います。これからもさらに大きな会社になれるよう、がんばっていきたいと思います。

こちらでは日本の近代美術を中心に取り扱っています。他には、近代陶芸、コンテンポラリーアート、古美術、西洋美術、ワイン・ウイスキーなどの高級なリカーがありますが、今後は日本酒も開発していきたいと思っています。そして、宝飾品、ブランド時計・バック、マンガなども手掛けています。

高額品における市場シェアは業界上位を維持していますが、今回の連合によって名実ともに業界内で一気に突き抜けたと自負しています。これをさらに拡大させるため、まだまだ弱いコンテンポラリーアートの分野をより強化していきたいと考えています。

さらに、市場の開拓・活性化にも貢献していきたいと考えています。Shinwa Wise Holdingsグループという1つのオークションブランドを構築して、アジアから世界を目指していくのが大きな目標です。

それをサポートするのがShinwa ARTEXとShinwa Privéの2社です。Shinwa ARTEXは、前年度に「NFTアート」の開発・販売を中心に展開し、大きな売上を上げることができました。これがさらに進化して「Edoverse」に向かっていくことになりますが、「NFTアート」には数多くの可能性がありますので、Shinwa ARTEX・Shinwa Privéともにグループ全体で大きく展開していきたいと考えています。

また、「資産防衛ダイヤモンド」も展開していきます。先ほどお伝えしたとおりコロナ禍によってインフレが進んでいるため、ダイヤモンドの値段も上がってきてはいるのですが、市場の需要は非常に大きくなっています。さらに、アート投資サロンを運営することで、20代、30代の新たな富裕層がアートを投資として認知できるように、拡大していきます。

Shinwa ARTEXでは、NFT作品の開発やイベント企画にも積極的に取り組んできましたが、今後はより積極的に運営していきたいと思っています。インターネットオークションにもさまざまなかたちで関与してきましたが、まだ事業として成立させることはできていません。事業化できれば、高額品のオークションは会場で行い、単価の低いオークションはインターネットで行うことができますので、今開発を急いでいます。

また、アジアにおいては中国での展開が今後の大きな課題になりますので、アジア戦略を積極的に進めていきます。その先兵部隊が、Shinwa ARTEXでもあります。

Shinwa Privéはアートディーリング、画廊業を展開しています。展覧会の企画や作家の発掘、プロモーション、そして「NFTアート」市場の模索など、純粋にアートを販売する部門です。

最後に、Edoverseでは、メタバース内でももっとも文化性の高い空間を作りたいと考え、現在コンサルテーションを行っています。德川宗家19代の德川家広氏に監修いただき、現代に江戸のGameFiのメタバースを開発・運営するコンサルテーション事業を展開しています。

明治以降にはすでに西洋文化が入り込んできたため、現代はほとんどがアメリカナイズされていますが、「今ここにある東京という街が、もし江戸のまま続いていたらどのようになるか?」など、いろいろな想像ができるメタバース空間に、純粋な日本の文化をちりばめた江戸という空間を作りたいと考えています。

日本が二千数百年にわたる歴史の中で育んできた文化や芸術が江戸に結集され、平和な260年間を作りました。この期間をメタバースで再現することは、日本のピュアな文化を世界に発信することになります。

Edoverseは、グローバルな新たな経済圏を作るべく、日本発のコンテンツを展開していくことに意味があると考えています。

業績ハイライト①前期比比較

業績ハイライトです。売上高は前年比6.5パーセント減とありますが、これは非常にトリッキーな数字です。我々にはもともと取扱高がありますが、オークションの手数料収入はオークション取扱高の約18パーセントとなっています。これに対してプライベートセールでは、売ったものそのままが売上になります。

つまり、オークションの場合は、オークションの手数料収入に加えてプライベートセールの売上高になりますので、取扱高ではありません。そのため、オークションの取扱高を入れると、相当大きな数字になります。

売上高は、2021年5月期の28億1,300万円に対して2022年5月期は26億2,900万円ですが、2021年5月期は、プライベートセールの在庫から売ったものの比率が大きかったために、このような数字になっています。

これに対して今期は、3月の羽田空港オークションで、アンディ・ウォーホルが23億円で落札された実績もありますので、プライベートセールよりもオークションの比率が大きくなりました。そのような意味で、2022年5月期の売上高は前年比で約6.5パーセント減ったということです。

しかし、オークションの比率が上がると、売上高にかかる手数料収入の金額が上がります。つまり売上総利益率が非常に高くなりますので、売上総利益は前年比62.0パーセント増の15億100万円になっています。

また、営業利益は前年比93.2パーセント増の4億900万円、経常利益は前年比112.8パーセント増の4億2,200万円となっています。親会社株主に帰属する当期純利益は、前年比518.1パーセント増となりました。

2021年5月期は、さまざまなかたちでこれまでの膿を落としていく時期でした。3期ぶりの黒字ということもあり、引当金などをつぎ込んで、さまざまな意味で落とせるものを落としていきました。この傾向は2022年5月期も続き、落とせるものはほぼ落としきっています。収益も上がってきており、P/L上でも非常に身ぎれいな会社になってきたと自分でも実感しています。

そのような意味で、今後は株主の利益のもととなる当期純利益が大きく出やすくなっていくのではと自分では予測しており、きれいになってきた今のボディを、将来的にさらに磨きかけていきたいと思っています。

業績ハイライト② 売上高推移4期比較

売上高推移はスライドに記載のとおりですが、実態として取扱高は相当大きくなっています。前年度のアンディ・ウォーホル23億円の維持は、決して簡単ではありませんが、今期も努力していきたいと思います。

業績ハイライト③ 取扱高 オークション関連事業

取扱高を見ると、オークション事業の比率が一気に上がっていることが見てとれます。オークション事業の取扱高について、2019年5月期は28億2,800万円、2020年5月期は13億6,600万円まで落ち込んでいました。これが2021年5月期は26億4,300万円に膨らみ、今期は65億7,400万円まで伸びてきています。

これに対してプライベートセール・その他事業は、ほぼ同じペースです。そのような意味では、オークション事業の伸びが事業の大きな伸びにつながっています。

業績ハイライト④ 貸借対照表

貸借対照表では、流動資産が増加しています。また、オークション会社は本来固定資産を使いませんが、投資などで若干増加しています。

さらに、前年にi-ARTを子会社化して資本が一気に増え、純資産の合計も大きく増えているため、株主資本も増加しています。

2022年5月期のトピックス

2022年5月期のトピックスです。1点目に、新会社のEdoverseが始動しました。今後10年から15年、さらに20年、30年にわたる大きなプロジェクトです。

海外の方が日本を訪れる時には、まずは「Edoverse」を訪れ、飛行機に乗って東京に来る前に、まずは「Edoverse」で遊びます。江戸当時の日本の文化を実感し、さまざまな芸術や文化、エンタメを楽しみ、ゲームをしながらお金を稼いだり使ったりして過ごします。このプロジェクトが2022年3月にスタートしました。

2点目は、羽田空港オークションです。これは免税のオークションと言いますか、保税倉庫でのオークションで、当時の政府の肝いりでスタートしました。

背景として、これまでは日本は貿易大国だったため、さまざまな行政改革の中で、貿易中心で発展してきたという経緯があり、貿易ですので、物を留め置いてそれをまたすぐに移動するための「保税地区」を作っていました。そこで長期にわたり、もしくはイベントを開催して、保税地区で取引できる場を作ることがその当時の行政改革担当の目標でした。

これに対して管轄の関税局が見事に反応し、海外からの輸入品のオークションを開催しました。そこでは輸入にかかる10パーセントの税金がかかることなく、海外の方が購入した場合はそのまま海外に持っていくことができます。

それに呼応するかたちで、我々も羽田空港の保税地区でオークションを開催し、アンディ・ウォーホルが23億円で落札されました。1点で23億円は日本記録で、大きな話題を生むことができました。

3点目は、業界再編加速です。i-ARTを完全子会社化しましたが、将来的にはさまざまな日本のオークション会社とも手を取り合って、一緒になって世界に打ち出していきたいと考えています。これは簡単には実現できませんが、長年の夢です。上場17年目にして、ようやく1つの会社を子会社化できたことは、非常にありがたいことだと考えています。

4点目は、アート投資サロンの新たな展開です。これまで、さまざまな新しいコレクターのみなさまと展開してきましたが、共同でアートを購入して売却するといった活動を通じて、アートは投資としても利用できるということを、みなさまへ広めていきます。

5点目は、NFT事業拡大です。アーティストの展覧会、パーティ、イベントなどを通じて、富裕層に「NFTアート」を購入いただくといった試みが成功した1年でもあったと感じています。

同時に、NFT事業から「Edoverse」に結びついていったという意味では、非常にスムーズな展開で、これまで培ってきたものが花開く方向に向かっていると感じています。

6点目は、先ほどお話しした「資産防衛ダイヤモンド」で需要が拡大しています。ダイヤモンドはロシアからの禁輸措置もあり供給が縮小している中で、需要だけが拡大しており、供給サイドとしてもダイヤモンドを新しく手に入れることが非常に難しくなってきています。

現在、ダイヤモンドの購入は、現金もしくは振り込みから1ヶ月、2ヶ月後にダイヤモンドを納入する流れで、事業展開しています。

7点目に、このような中で活動を支えてきたのが、営業部隊と業務部隊の2つです。業務部隊が事業全体を円滑化して下支えする中で、営業部隊が営業を強化しており、営業力強化がオークション事業の拡大につながったと考えてよいと思います。我々としては今後もさらに営業、マーケティングを強化し、売上を上げるためにさまざまな努力をしていきたいと考えています。

SHINWA NFT PROJECT

「NFTアート」には、スライドのとおり、2つの大きなパターンがあります。まず、アート作品にNFTの印を付けて、アート登録をするものです。これはShinwa Wise Holdingsグループがこのアートを取り扱ったという証拠が残りますので、痕跡が末代にまで残るかたちを作り、それをブロックチェーンに登録する取り組みをしています。

これに対して、「NFTアート」作品は、アート作品をNFT化するものです。昨年7月から強化しており、3回の大きな展覧会と、「Shinwa Digital ART Week」という大きなフェアを開催し、アートそのものをNFTとして販売しました。これが流通のプラットフォームになり、新しいエコシステム(経済システム)を形成して、仮想空間へといざなったというかたちになります。

まとめると、ブロックチェーンでは改ざんできない唯一無二の痕跡を作ることができますが、同時に、アートそのものは唯一のものにもかかわらず、リアルな世界ではどんどんコピーされるようになってきてしまっています。そのため、唯一であるアートをNFT化する方向に進んでいます。

Edoverse(江戸バース)プロジェクト始動

そのような中で、「Edoverse」プロジェクトが始動したのには重要な意味があります。「NFTアート」は、現在の流通市場において多く流通しているわけですが、アートは結果的に「買って、おしまい」になることが多いのです。

コレクターが買って楽しむのがアートの本来の姿ですので、2次流通まであまり念頭には置いていませんが、それでも2次流通の市場がなければ、アートには価値が生まれません。そのため、やはり評価の高いアーティストには2次流通、つまりオークションが必要です。

1次流通はアーティスト育成の1つで、認知を上げて、さまざまなコレクターに知っていただくプロセスですが、実際に出来上がった価値のあるものを右から左へとオーナーを変え、新たなオーナーに持っていただく2次流通が生じないと、アートの価値は安定化しません。

しかし、ここ1年間の「NFTアート」の流れを見ると、暗号資産市場が非常に活発なこともあってかなり人気なのですが、ただ単に作って売るだけに徹している人たちの商品が数多く出てきています。

我々も、黙っていたら売りっぱなしになってしまう状況があるわけですが、2次流通を維持していくためには、きちんとしたプラットフォームを構築しなければなりません。その場所として、「Edoverse」が利用できるだろうと考えています。

「Edoverse」では、仮想空間に江戸を作り、そしてそのゲームの中では、江戸城の中で世界的に有名なアーティストのコンサートが開かれます。そのような1つのエンタメ空間の中で、人が多く集まるところに、アートコンプレックスとしてアートを展開し、みなさまが取引していきます。

その中では、お金が動く場所がなければ、そのような流れは維持できません。世界中から「Edoverse」に人々がアバターで入り、コンサートを楽しみ、ショッピングモールやアートコンプレックスの中ではさまざまなすばらしいアートが展示されています。その中ではさまざまな分析もされており、みなさまがアートを購入することにより、それが資産となるのです。そのような場を「Edoverse」の中でならば実現可能ではないかと考えています。

重点施策

今期(2022年6月から2023年5月)の重点施策です。アートオークション事業拡大・アジア展開が我々の第一目標です。その中で「コンテンポラリーアートの本格展開・拡大」「積極的なプロモーションによる認知向上」とあり、これはさらなる営業力の増強・強化によって成し得るということで、これらを基幹事業として、Edoverseによる仮想空間のコンサル事業を推進します。

また、「NFTアートの拡大・プラットフォーム化へ」ということで、ここが「Edoverse」と連携する1つの大きな分野になります。「資産防衛ダイヤモンド」は非常に需要が多いため継続的にみなさまにお譲りし、宝飾品・ワイン・リカー事業を拡大しています。

我々が行っているアートの売買はフロービジネスです。オークションは、新しい作品を見つけて販売することで1クールを終了し、また一から収集していかなければいけません。実際にご購入いただいた方のアートを我々が管理させていただくかたちで、ストックビジネスに変えていくという考え方の中で、このbetween the artsと提携し、事業拡大していきたいと考えています。

Edoverse(江戸バース)プロジェクト支援−1

「Edoverse」プロジェクト支援について、Edoverse財団から発表されていたものを簡単に抜粋してスライドに示しています。イベントを毎月1回、6月6日、7月7日のようにゾロ目の日に行いますが、このイベントそのものを大きなパーティーにできればおもしろいのではないかと考えています。

7月は、大名小路地区土地NFT販売を支援しました。スライド右の大名小路と言われるエリアは有名な藩邸があったところですが、その地区の9,690個の土地のNFTを完売しました。8月は、「Hot Summer Camp」として、今回土地NFTを買っていただいた方々に対して、Zeniというトークンなどを配るGiveawayの支援を行います。

8月中旬から後半にかけて株主総会がありますが、Edoverse財団から我々が刀剣を購入し、刀のNFTを株主のみなさまに付与するというようなイベントを開催します。この刀のNFTは将来、「Edoverse」のゲーム中でも使えるようになるということで、おもしろい展開になるのではないかと思います。刀のNFTや土地のNFTは、NFTのプラットフォームの中で売買できますので、トレーディングや交換を楽しんでいただけると思います。

9月にはアバター出現祭、10月に大手門地区の土地NFT販売支援を行う予定です。これまで「Edoverse」の発信は、「YouTube」やSNSなどのオンサイトでプレゼンテーションを行ってきたのですが、11月はメタバースの中にアバターで入っていただき、「Edoverse」のミートアップを行いたいと思っています。

Edoverse(江戸バース)プロジェクト支援−2

12月は、「Edo Castle Camp」があります。明暦の大火で天守閣がなくなってしまった江戸城ですが、江戸幕府内では再建する動きがありました。その時に作った設計図をもとに「Edoverse」内で江戸城を再建し、そこに「Edoverse」を監修いただいている德川家広氏が19代当主として江戸城に入城するというイベントも予定されています。この江戸城の構築を楽しみにしたいと思っています。

来年1月は、現在の皇居南側の地区にあたる桜田門地区の土地NFT販売支援を行うと同時に、ゲームのクローズドベータ版がローンチされます。

2月には、「Winter Camp」(Global Marketing)を開催します。世界的なマーケティングを報告する1つのイベントです。3月はひな祭り、4月は「Macaroni Western Roadshow」を行います。

また、「Winter Camp」はアジア、ドバイ、中東などが含まれますが、来年4月以降は本格的に欧米にも進出する予定です。実際のベータ版が公開されるのは5月以降になると考えています。

中長期ビジョン

中長期ビジョンとして「アートオークション拡大・世界戦略」の達成が一番大きなことですが、長期にわたっては、「『Edoverse』開発コンサルの推進・NFTアートの売上拡大」です。「アジア戦略の推進・中国進出の模索」「富裕層マーケティング強化」「資産防衛ダイヤモンド・宝飾品市場開拓拡大」とありますが、宝飾品市場拡大は悲願です。

これまで宝飾品市場を開拓し続けてきても拡大できませんでしたが、これをなんとか大きくしたいところです。また、アートストレージ推進では、between the artsとの連携を強化したいと思います。

アジア戦略推進・中国進出模索・M&A

アジア戦略として、東京は肩身の狭い都市になってきたと実感していますが、インフレを追い風に、韓国から中国、上海、香港、台湾、そしてシンガポールに進出していきたいと考えています。また、将来はアメリカ市場を大きな視野に入れて展開していきます。

NFTアートからメタバースへ

「NFTアート」からメタバースへということで、アメリカ市場進出と同時にメタバースの中で「Edoverse」を作ります。将来的には「Edoverse」が世界のメタバース空間とプラットフォームを共有化することにより、どこでもすぐに訪れることができます。

世界中の人たちがアバターで入っているメタバース空間から、「Edoverse」へのゲートを作りブリッジして、そのゲートから「Edoverse」に簡単に入れるようになれば、本当にマルチバースの世界になります。

海外旅行を考えてみると、現実の社会では飛行機を使い、さまざまなエネルギーを消費し、多くのごみを出しています。それが「Edoverse」の中では、電気信号を利用して楽しむだけのものですので、ごみはほとんど出ず、時間もかからず非常に効率的です。人生をメタバース空間の中で過ごせるように、我々が日本の中心的な存在となって進めていきたいと思います。

アートファンド開発

アートファンド開発については、毎回ご説明していますが、そろそろ立ち上げたいところです。満を持して今期中にできる見込みですので、がんばりたいと思います。

アートストレージ事業

アートストレージ事業は、新しいストックビジネスとしていきたいと考えています。

リリース−1

Appendixとして、1年間にリリースしたものを記載しています。昨日はYouTuberのラファエル氏とともに「NFTアート」についてのセッションをWeb3のフェアで行いました。また、「Edoverse」の土地NFTの申し込みが完了しました。

リリース−2

さらに、Edoverse Foundationによる土地NFT販売、第3回ブロックチェーンEXPOへの参加、Edoverse Foundationが行うKobanとZeni発行のアシストを行いました。

Edoverse Foundationがセピアペーパーを出したのは、今年5月です。また、スライド右下にあるようにメタバース推進協議会に入会しました。

リリース−3

羽田空港で行われた特別オークションでも大きな結果を出し、また、「Shinwa Digital ART Week」を銀座で開催しました。

今年2月にはYouTuberのラファエル氏のトークイベントを開催し、あわせてNFTデジタルアートオークションを行いました。

リリース−5

NFTオークションを開催し、落札総額は1,879万円となりました。さまざまに展開しましたが、この1年間はオークションの好調と「NFTアート」のイベントが大きく我々を支えたかたちです。

以上、前年度の決算説明と今期の流れ、そして長期的なビジョンについてお話ししました。どうもありがとうございました。

質疑応答:インフレの影響について

司会者:「世界的に急速にインフレが進んでいるが、オークション事業としてはどのような影響を受けることが考えられるのでしょうか?」というご質問です。

倉田:法定通貨の価値が下がり続けることがインフレの基本的な性格ですので、実物資産の中でも非常に高額な資産として取り扱われるアートの一部門は、非常に大きく値上がりします。

もちろんアートの中でもまったく値上がりしないもの、逆に値段がなくなるものもあるわけですが、我々は値上がりする価値のあるアートを取り扱っているため、インフレは我々にとって非常に大きなチャンスだと考えています。

質疑応答:2023年5月期業績とEdoverseのコンサルが収益貢献する仕組みについて

司会者:「今期、2023年5月期業績についてのご解説をお願いします。また、Edoverseのコンサルが収益貢献する仕組みについてもご解説ください」というご質問です。

倉田:まず、2023年5月期の業績についてです。前期は羽田空港オークションで、アンディ・ウォーホルが23億円で落札され、我々のオークション史上でも最高額となりましたが、それを今期に達成するのはそれほど簡単ではありません。

ただし、我々の実績では、7月のオークションで、アンディ・ウォーホルほどの高額ではないエディションで、オークション・レコード上、最高額で我々が落札できたという意味では、非常に高額なものを取り扱う下地ができていると思っています。そのため、上期の募集状況から考えて、前期並みまではいけるのではないかと考えています。

2023年5月期は、オークションとアートは前期並みか、それに上乗せするかたちでEdoverseがあると考えています。Edoverseはコンサルテーションフィーをいただいているため、安定的な収益があります。

それに加えて、アートや「NFTアート」の販売、NFTそのものの販売、もしくは「Edoverse」内で起こり得る取引に係る手数料について、今後はいただくことができます。ただし、今期については、それ以上に大きな手数料が入るとは見込んでいませんので、上乗せの数字として今期の業績予想が成り立っていると考えていただければ、ご理解いただけると思います。

質疑応答:イセコレクションについて

司会者:「イセコレクションは、今後もオークションとして行われるのでしょうか?」というご質問です。

倉田:世界でも1番のコレクターと言われた伊勢会長がお持ちになっているものは、さまざまなご議論があるかと思いますが、長期的な視野に立って考えると、その一部を我々が取り扱わせていただくことは間違いないと信じてこの事業を進めています。

倉田氏からのご挨拶

倉田:今、Shinwa Wise Holdingsグループは、大変苦難な時期を乗り越え、ここ2期連続で大きな成長を遂げました。ここからまた新しい事業を展開していきます。アートオークションを大きな基盤として大きく世界に向かって羽ばたいていきますが、新しい時代の流れ、新しい時代の1つのプラットフォームとしてメタバースを展開していくことにより、オークションを、アート、新しい1つの世界、ビジネスをうまく組み合わせて、より大きな展開に導いていきたいと思います。

また、「Edoverse」を中心に、おそらく15年、20年、30年という長期にわたるゲームファイと言われている世界で、みなさまが「遊びながら稼ぎ、稼ぎながら遊ぶ」というように、人生を楽しんでいただくような空間作りを長期的な視野を持って考えていきたいと思います。

まずは、みなさまに新しいコミュニティに入っていただき、新しい資本主義の1つのかたちとして、充実した人生を仮想空間で体験し、楽しんでいただくことを大きな目標にしています。

ぜひ、みなさまには「Edoverse」をオークションから進化したものとして捉え、この世界を少しずつ体験しながら楽しんで、「Edoverse」を育てていただきたいと思います。

「Edoverse」が作り得る世界は、これまで暗号資産市場で作ってきたメタバースのさまざまな空間クオリティ、規模をはるかにしのぐような展開の中で、オークション市場をさらに拡大していきます。

そして、その仮想空間にオークション市場を展開するという相乗効果を目指してがんばっています。今後ともかわらぬご支援をお願いしたいと思います。

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