厚生労働省によると、2021年度の厚生年金は9兆8478億円、国民年金は2303億円の黒字となり、積立金残高は初めて200兆円台となりました(2022年8月5日発表)。
2022年度の年金額は去年から0.4%減額となり、国民年金の満額は6万4816円です。
昨今の値上げや少子高齢化もあり、年金については不安を抱えている方が多いと思いますが、運用が順調なようすについては安心された方も多いのではないでしょうか。
とはいえ、今年の秋も数多くの品目で値上げが実施されます。特に仕事を辞めた方も多い70歳代のかたは年金生活に不安を感じる方も多いでしょう。
今回は70歳代のひとり暮らし世帯に視点をあてて、その年金と貯蓄事情をみていきます。
70歳代「ひとり暮らし」平均的な国民年金と厚生年金とは
今の70歳代は、他の世代と比べると比較的お金持ちというイメージを持たれやすい年代です。
まずは厚生労働省の「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より、70歳代の平均的な国民年金と厚生年金の受給額を確認しましょう。
国民年金の平均年金月額
- 70歳:5万7234円
- 71歳:5万7153円
- 72歳:5万7066円
- 73歳:5万6874円
- 74歳:5万6675円
- 75歳:5万6235円
- 76歳:5万6204円
- 77歳:5万5881円
- 78歳:5万5651円
- 79歳:5万5525円
厚生年金(第1号)の平均年金月額
- 70歳:14万3775円
- 71歳:14万7105円
- 72歳:14万6331円
- 73歳:14万5724円
- 74歳:14万5467円
- 75歳:14万7519円
- 76歳:14万8172円
- 77歳:14万9924円
- 78歳:15万2159円
- 79歳:15万4467円
※国民年金の金額を含む
70歳代の年金の平均月額は国民年金で5万円台、厚生年金で14~15万円台。
年金の受給開始年齢は65歳から。60~89歳までの厚生年金額をみると、60歳代は軒並み14万円台のため、70代後半の年金額はそれに比べると高めと言えるでしょう。
しかし年金だけで生活できるかというと、難しいところ。
国民年金のみの方は年金以外の備えが必須ですし、厚生年金でも昨今の値上げが相次ぐ状況では生活費が増えたり、病気や介護など万が一のことが起こる場合もあります。
70歳代になると配偶者との別れを経験される方もおり、遺族年金を受け取る方もいます。遺族年金は亡くなった方の加入していた年金により、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」のいずれか、もしくは両方が給付されます。
- 遺族基礎年金:夫が国民年金の場合に受給できる。対象は子どものいる配偶者や子ども。
- 遺族厚生年金:夫が厚生年金の場合受給できる。対象は配偶者や子ども、父母、孫、祖父母です。
しかし、上記の「子ども」には「18歳になる年度末までの子ども」や「一定の障害がある20歳未満の子ども」などの条件があります。
たとえば夫が国民年金のみで亡くなった場合、70歳代では妻が遺族基礎年金が受け取れない方も多いでしょう。
そのような状況で支えとなるのが「貯蓄」です。
70歳代「ひとり暮らし」の貯蓄はどれくらいあるのか
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和3年)」より、70歳代以上世帯の貯蓄額を確認しましょう。
70歳以上世帯「金融資産保有額」(※金融資産を保有していない世帯を含む)
- 平均1786万円
- 中央値800万円
70代の単身世帯の貯蓄の平均は1786万円ですが、より実態に近い中央値は800万円まで下がりました。
分布を見ると貯蓄3000万円以上保有している人が2割いる一方で、貯蓄ゼロ世帯が4人に1人です。
貯蓄は生活費の補填だけでなく、病気や介護など万が一の時の支えにもなります。
中央値は800万円でしたが、月5万円切り崩せば13年でなくなってしまいます。早いうちから老後に備えた貯蓄をするとともに、なるべく貯蓄を切り崩さない工夫が大切となるでしょう。
70歳代以降をひとりで生活するカギは「年金、貯蓄、家」
今回は平均を見てきましたが、実際には個人差が大きくなります。
まずはご自身の年金が将来いくら貰えそうか、ねんきんネットやねんきん定期便などで確認しましょう。
ちなみにはじめの2022年度の厚生年金の年金額はモデル夫婦で21万9593円です。
これは「平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43.9万円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準」。
つまり「厚生年金部分のみ」でみると、「平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43.9万円)で40年間就業した場合」は約9万円が現段階での目安にはなります。
少子高齢化の今、将来の年金額は減ると考えられるため、私的年金などで備える必要はあるでしょう。
加えて貯蓄についても、預貯金のみでなく、一部運用を取り入れるなどして「資産を増やす」「資産寿命を伸ばす」必要はあるでしょう。
将来貯蓄の切り崩しを減らすためには、月々の収支の赤字を減らすことが重要です。月の支出の多くは「家賃」が占めるため、家や将来の交通手段についても早めに考えておきたいところです。
「人生100年時代」はもうすぐそこです。老後慌てないためも、今から一つずつ自分に合ったできる対策を考えていきましょう。




