3. 年金が「国民年金だけ」の人の備え方3選

このように、国民年金だけでは、老後の生活は厳しいことがわかりました。そこで、国民年金受給者の老後の備えとして有効な方法を3つご紹介します。

3.1 国民年金だけの人の備え方1:付加年金

付加年金は、国民年金第1号被保険者(自営業者や学生など)に認められている老齢基礎年金の上乗せ制度です。

月々の保険料に400円の付加保険料を上乗せすると、老齢基礎年金に「200円×付加保険料納付月数」分が上乗せされて支給されます。

たとえば、20年間付加保険料を払い続けた場合、

  • 400円×240月=9万6000円

9万6000円、本来より多く払った計算になります。

これに対し、受け取れる年金額は、

  • 200円×240月=4万8000円

老齢基礎年金に4万8000円、上乗せされた金額を生涯受け取ることができます。

つまり、2年間で元がとれる計算です。

このように年金を増やすのに効果的な制度なので、自営業者などの第1号被保険者であれば利用しない手はないでしょう。

デメリットとしては、物価の変動に対応していないため、インフレになった時に払った保険料分の利益が得られない場合もあります。ただ、長生きすればするほどリターンが得られるので費用対効果は高いといえます。

3.2 国民年金だけの人の備え方2:iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCoは原則、20歳以上60歳未満の全ての人が加入できる公的年金の上乗せ給付を目的とした制度です。

掛金には加入者の区分によって上限が設けられており、国民年金第1号被保険者は6万8000円(国民年金基金または国民年金付加保険料との合算)となっています。掛金は全額所得控除の対象となるため、税金が軽減できます。

iDeCoの特徴は、掛金を加入者本人が運用し、運用成績によって将来受け取る年金額が変化する点です。運用の仕方によっては年金額が減るリスクもありますが、インフレに対応できるというメリットもあります。

注意点は、原則60歳まで中途解約ができないことと、加入期間中ずっと手数料がかかること。この点に留意すれば、税制面での優遇があるため、老後資金を蓄える方法として利用するメリットは大きいと思います。

3.3 国民年金だけの人の備え方3:繰下げ受給

老齢年金は、65歳で受け取らずに66歳以降75歳まで※の間で繰り下げて受給すると、繰り下げた期間によって年金額が増額され、その増額された年金を一生涯受け取ることができます。

1カ月の繰り下げで0.7%分増額され、最大で84%年金額が増額されます。

国民年金受給者は退職がない自営業者が多いと思います。つまり、65歳に囚われずに働くことができるので、繰り下げ受給をしやすいといえます。

老後のプランや健康状態にもよりますが、年金の受け取り方の選択肢に入れておくといいでしょう。

※昭和27年4月1日以前生まれの方は、繰下げの上限年齢が70歳までとなります。