2022年6月20日にツイキャスにて配信された「株式会社うるる 近藤CFOとIRコラボキャス はじめます / VERの思いつき株キャス」の模様を公開します。

後編はこちら

スピーカー:株式会社うるる取締役Co-CFO 近藤浩計 氏
VER 氏

「株式会社うるる近藤CFOとIRコラボキャス」

VER氏(以下、VER):こんばんは、お世話になります。

近藤浩計氏(以下、近藤):こんばんは、よろしくお願いします。うるるの近藤です。VERさん、喉は大丈夫ですか?

VER:そうなんです、喉の調子が悪くて(笑)。今日はそんなに自分が主体でしゃべる会じゃないので、大丈夫かなと思っているんですけど。

近藤:VERさんはとても聞き上手なのに、今日は喉が潰れてしゃべれないんじゃないかと心配していたんですけれども、大丈夫ですか(笑)。

VER:昨日・今日と1日ほとんどしゃべらず過ごしたので、大丈夫かなと思います。一昨日のコラボキャスをたけまるさんという個人投資家の方とやっていたんですけど、最後のほうはもう声がぜんぜん出なくて。「どうしようかな……」という感じだったんですけど(笑)。

近藤:大変ですね(笑)。

VER:体調がよくなったから大丈夫かなと思っていたんですけど、しゃべっているうちに声がだんだん出なくなってきて、咳も出ちゃって。いざしゃべると「だめだな……」みたいな感じになってしまって焦りましたけど、今日はぜんぜん大丈夫なので。よろしくお願いします。

近藤:わかりました。じゃあVERさんの喉が潰れるまでしゃべらせますので、よろしくお願いします(笑)。

VER:(笑)。

近藤:すみません、冗談です(笑)。

VER:みんな、私の話より近藤さんの話を聞きたくて今日は来られていますが。早くも190名の方がいらっしゃっています。

近藤:そんなに来られているのか……緊張しますね。

VER:同時視聴で、今は195名の方がいらっしゃってますね。

近藤:すごいですね。

VER:この時間(21:00ごろ)なら、まだ聞いていかれる方が多いかなと思ったんですけど。相場がなかなか厳しい環境なので、だいぶいなくなった方が多いなという感じがしますよね。

近藤:ちょっとこの相場だと、みなさん厳しいですよね。私も厳しいんですけど(笑)。

VER:(笑)。

近藤:みなさんほど株を持ってるわけじゃなくて「勉強のため」くらいですが、いずれも含み損ですね。

VER:投資されてらっしゃるんですね。

近藤:VERさんに教えていただかないとな、と思っているんですけど。

VER氏×近藤氏のコラボキャス実現までの経緯

VER:いえいえ(笑)。今日は私もびっくりするようなこういったIRを、私のキャスでやっていただけるという機会をいただきました。そこで最初はみなさんに経緯から話そうかなと思ってます。STFさんという有名な個人投資家がいらっしゃって、彼のご自宅(の様子)がTwitterのタイムラインでは「Bar STF」という感じでよく上がっているんですけど。(投資家の)キリンさんが主催されている「神戸投資家勉強会」の二次会か三次会に、そのSTFさんがいらっしゃっていたんですよね。

近藤:神戸投資家勉強会の二次会でしたね。会が終わってからみんなで移動して、STFさんのご自宅にお邪魔して。そこでけっこうな数いらっしゃいましたよね。何人くらいいたんでしょうかね? 40人とかいたのかな?

VER:それくらいですよね。すごい人数が来られました。投資家が和気あいあいといろんな話をする、楽しい会だったんですけど。私は(二次会からではなく)STFさんの家から(会に)参加させていただいて。そこで近藤さんと初めてお会いさせていただいて、IRの話になって「ぜひ私のキャスで(IRを)やっていただけませんか?」という話をさせていただいたところ、(近藤氏から)「やりましょう」と快くお返事をいただきまして、今日に至った次第なんですけど。

近藤:そうですね。その場のノリと勢いで決まりましたね(笑)。

VER:(自身が)どんな人物かもわからないうちから「こんな早くOKをいただいていいのかな?」と逆に恐縮しちゃって、びっくりだったんですけど。(近藤氏は)すごくIRを積極的にされてらっしゃって、いろんな勉強会に出られてIRされたりとか。この前は機関投資家の意見交換会みたいなこともされてましたよね?

近藤:そうなんですよ。キリンさんがやってらっしゃる「神戸投資家勉強会」ですとか、名古屋のyamaさんがやってらっしゃる「Kabu Berry」さんとか。後はkenmoさんがやってらっしゃる「湘南投資勉強会」に、今は年に1回ずつくらいお邪魔して、うるるのお話しをさせていただくみたいなことをやっております。「Kabu Berry」さんに初めてお邪魔したのが2019年で、そこから毎年やるようになりましたね。

VER:そうなんですね。

近藤つい最近も趣向を変えておもしろいイベントというか、これは完全に私の趣味に近い感じでしたが。投資家のみなさんだったらご存じかと思うんですけど、新橋・銀座にある投資家バー「STOCK PICKERS」を2時間貸しきりまして。うるるが四半期ごとに開催している1on1にご参加いただいている機関投資家の方を、1人お呼びして。その方に匿名希望で出ていただいて、私がひたすら質問するみたいな会をやって。お集まりいただいた個人投資家の方々20人が、楽しくお酒を飲みながら私たちの話を聞くみたいなイベントをやりました。これはおもしろかったですね。

VER:近藤さんが質問されていたんですね。

近藤:そうですね。前半3分の2くらいは、私が本当に聞きたいことをたくさん聞いて。「どうやって銘柄のスクリーニングをしているんですか?」「投資検討のレギュレーションはあるんですか?」「バリュエーションはどうやっていますか?」とか。

「今の相場をどう考えていますか?」「うるるのことをどう考えていますか?」みたいな質問をいろいろさせていただいて。残りの3分の1くらいは会場のみなさんからの質問と、ゲストの機関投資家の方から私にうるるへの公開質問をいただく、みたいなことをやりましたね。なかなかおもしろかったです。

VER:すごいですね。私は存じ上げていなかったんですけど、行ってみたかったです。

近藤:おもしろかったですよ。来ていただいた20人の内、3分の1くらいが私のIR関係者の方とか上場準備企業の方だったんですけど「これでいいのか?」とか思いながら。残り3分の2くらいの方は個人投資家の方でしたが、アンケートにご回答いただいた15人中15人の方が「第2回をやったら参加します」と回答してくれたので、「意外に満足度が高かったんだな」と。私も聞きたいことを聞けて、すごく楽しかったんですよね。

VER:おもしろいですね。そんな風に上場企業さんがIR活動含めた「意見交換会」みたいなことをされているという話は、あまり聞いたことがなくて。すごく興味があるので、もしまた開催されるのでしたら、私もぜひ参加させていただきたいです。

近藤:ぜひお越しください。VERさんが来ていただいたら、おもしろいと思います。

VER:行ってみたいです。(配信の視聴者数を指して)だいぶ人数が集まって来られて、今は228人くらいですかね。

近藤:すごいですね。

「株式会社うるる」ってどんな会社?

VER:たぶん、うるるさんのことをご存じない投資家の方もたくさんいらっしゃるかと思うので、(まずは)会社のIRをしていただければと思ったんですけど、大丈夫ですか?

近藤:もちろんです。じゃあ簡単にうるるの自己紹介をさせていただきますね。

VER:よろしくお願いします。

近藤:うるるは2017年3月に東証マザーズに上場した(現在はグロース市場)、直近決算の売上規模で40億円くらいの、まだまだ成長途上の会社です。「どんなことをしている会社か?」というと、世の中はテクノロジーがものすごいスピードで発展していっていまして。「IT」とか「AI」といったバズワードみたいになっている言葉もあったりして、テクノロジーの発展は凄まじいんです。

このテクノロジーを活用しつつ、テクノロジーだけではできない「人力」。人の力が必要な部分は人の力でしっかり補っていこうということを考えて、テクノロジーと人の力をそれぞれ活用して世の中の生産性を上げていく・世の中を便利にしていくサービスを作っていき、今の日本がすでに直面している「労働力不足」という社会課題を解決していこうと考えている会社です。

具体的にどういう事業をやっているか? というと、いくつかのテクノロジーと人の力を両方使っていろんなサービスを作っているんですけれども。今、売上の半分を占めていて、我々の一番のメインとなっている“柱”は「入札情報速報サービス NJSS(エヌジェス)」というサービスです。

「入札情報速報サービス NJSS」でなにをやっているか? といいますと、日本にある自治体や官公庁といった機関って、どのくらいの数があると思います?

VER:ぜんぜん想像つかないですね。どれくらいあるんですか?

近藤:実は8,000弱くらいあると言われています。その日本全国にある自治体とか官公庁がなにかお金を使う時には「入札」という仕組み・制度があるんですね。入札自体はなんとなくおわかりいただけるかと思うんですけど、この「入札をやりますよ」という情報は、8,000ある自治体や官公庁のそれぞれのホームページに載るんですよ。

この情報を、我々が助けていただいている家で働いているクラウドワーカー。ギグワーカーという言い方を、今ではされたりしますけど。そういった方々、数百人に働いてもらって。

例えば「ワーカーAさん。あなたは経済産業省のホームページをチェックしてください。チェックして新しい入札情報が出てきたら、その入札情報を『NJSS』のデータベースに登録してください」「Bさんは東京都をチェックしてください」「Cさんは札幌市をチェックしてください」「Dさんは独立行政法人〇〇をチェックしてください」「Eさんは国立大学〇〇をチェックしてください」みたいな感じで数百人ディレクションして、全国各地で入札をやっている8,000の機関のホームページをチェックするんですね。

チェックして、入札のデータベースを我々がほぼリアルタイムで作って。それをサブスクリプションモデルでいろんな入札情報に参加して、それを落札して売上を伸ばしたい民間企業の方々にサブスクリプションモデルで使っていただくというのが「入札情報速報サービス」というサービスです。

これは人力と、Web上を自動で巡回するWebクローラーを併用してデータベースを作っているサービスで、(全社の)売上の半分くらい。約20億円くらいですね。これが今の我々の売上・利益ともに柱になっているサービスです。

月1万円から使えるスマートな電話番サービス「fondesk」

近藤:他にもいくつかサービスをやっているんですけれども、わかりやすい新規事業でいうと「fondesk(フォンデスク)」というサービスを行っています。

これはどういうサービスか? というと「月1万円から使えるスマートな電話番サービス」と銘打っておりまして。企業の代表電話にかかってくる電話を(自社社員の)代わりにクラウドワーカーが受けてくれるサービスです。うるるもこの「fondesk」を自社で使っているんですけれども、例えばVERさんがうるるの代表電話にお電話いただくとどうなるか? というと、うるるのオフィスの電話は一切鳴らないんですね。

代わりになにが鳴るか? というと、家で「fondesk」のオペレーターとして働いてくれているクラウドワーカーの電話が一斉になります。一斉に鳴って誰かが取ります。するとPC上に「うるる宛ての電話です」と出るので、それを見ながらワーカーは「はい、株式会社うるるでございます」と名乗ります。それでVERさんが「近藤はいますか?」と言っていただくと、みんな同じ回答をします。

「あいにく近藤は不在ですので、折り返しご連絡差し上げます。よろしければお名前とお電話番号とご要件をおうかがいできますか?」とうかがって。電話を置いて、うかがった内容をSlackとかChatWorkとかMicrosoft TeamsとかLINEとか、ご契約者様による指定のチャットツールを使って、聞いた内容のメモを残してくれるんですね。

「何時何分にVERさまから、こういったご要件でお電話がありました。折り返しのお電話が必要とのことですのでお願いします」というようなメモを残してくれる、すごく単純なサービスを2019年から展開していまして。コロナ禍でテレワーク需要が爆発的に伸びましたが、その中で「fondesk」も爆発的に伸びていったというので、これも今すごく伸びているサービスの1つです。

VER:そうですよね。まさに今の時代が後押ししているようなサービスですよね。

近藤:そうですね。時代にうまくマッチできたサービスですね。

VER:数年分くらい一気に成長が早まったイメージですよね。

近藤:そうですね。コロナ以前はベンチャー企業とかスタートアップとか、後は行政書士事務所とか司法書士事務所といった小さめの士業事務所向け。電話番を置くまでの規模がない会社さん向けに「電話番の代わりとして使いませんか?」というサービスで展開していたんですけれども、テレワーク需要が爆発的に伸びて。今聞いていただいている方の中にも企業で働いていて、テレワークが始まって出社しなくなった方もけっこう多いんじゃないかなと思うのですが、その状態でも会社のオフィスの電話は鳴っていたんですよね。

鳴っている電話を誰かが取らなきゃいけない。そのために誰かがリスクを冒して出社していたという状況がありました。そこでこの「fondesk」というサービスを見つけていただいて「これを使えば、わざわざ出社しなくていいじゃん」「Slackで電話の内容を全部送ってくれるじゃん」ということでみなさんに見つけていただいて、伸びていったという感じですね。

「代表番号にかかってくる電話の8割が営業目的」という気づき

VER:私もよく上場企業のIR担当宛てに電話することがよくあるんですけど、だいたい一発目ではつながらないんですよね。「折り返し」と言われることが多いんですけど、今のご説明を聞いていると、(電話をかけている側は)知らずに「fondesk」さんのサービスを使われているパターンがありそうな感じですよね。

近藤:あるかもしれないですね。上場企業のお客さまもけっこういらっしゃるので、「fondesk」を使っていただいている可能性は、わりとありますね。

VER:部署の担当の方の名前を聞いて「不在ですので」と、とりあえず決まったメッセージの後で折り返すパターンがすごく増えたイメージがあったので、そうなのかなと。すみません、話を折ってしまって。

近藤:いえいえ、ちょっと話が逸れちゃうかもしれないですけど、実は我々も自分たちで使っていてよくわかったことがあって。我々の規模だと1日にだいたい20~30件、代表番号へ電話が来るんですね。でもそのうちの8割が営業電話だったんですよ。

これがSlackで流れてくると可視化されて「こんなに営業電話が来ていたんだ」ということに気づいて。別に「営業電話がだめだ!」というわけではなくて、メモを見て「これは折り返す必要もないな」というものがけっこうあったんです。(「fondesk」導入以前は)その対応に人のリソースをすごく取られていたというのがあって、そこに我々も気づけました。

VER:8割はすごいですね。

近藤:そうなんですよ。「けっこう営業電話が多いな」と気づけて。ただ、残りの2割は重要な電話だったりするんですね。例えば銀行からの電話で「振込エラーになっています」とか。後は役所からの電話で「提出いただいた書類について聞きたいことがある」みたいなメモが残っていたりするので、こういうのを見ると「電話そのものをなくすのはけっこう難しいよな」と。

ただ「社員の大事なリソースをそこにすべて割く必要があるのか?」といったニーズに「fondesk」で対応できるということが、みなさんのペインを解決する手段になったのかなと思います。

VER:これが月1万円から使えるサービスなんですね。

近藤:そうなんです。ということで、テクノロジーと人力、この両方を掛け合わせて世の中を便利にする、生産性を上げる。そういったサービスをやっております。これがうるるという会社です。

「うるる=人材の会社」と見られがちだが、実はそうではない

VER:ありがとうございます。この2つの事業でだいたい売上の何割くらいなんですか? いろいろされてますよね。

近藤:そうなんですよ。いっぱいやっていて「本当にわかりにくいよな」と、IRをしながら思っているんですけど。

VER:失礼ながら私も、うるるさんは人材とかの事業をやっているイメージが強くて。今回予習をしていて、調べたところ「NJSS」を知らなくて「こんなことを今されているんだな」と。

近藤:ありがとうございます(笑)。

VER:本当に申し訳ないんですけど。ただ、調べたらいろんな事業をされていて、どんどん多角化されているのかな? とちょっと思ったんです。

近藤:今は「NJSS」の売上がだいたい20億円くらい、「fondesk」は4億5,000万円くらいなんですけれども、VERさんがおっしゃった人材の事業は、おそらくクラウドソーシング「shufti(シュフティ)」を指してらっしゃると思うんですよね。

その「shufti」というのが、toCに一番近いビジネスで一番有名だったし、メディアにも取り上げられることが多いので、名前はけっこう出ているんですが。実はこのshuftiの売上は、全社の売上に占める割合でいうと0.7パーセントしかないんですね。

VER:そんなに少ないんですね。

近藤:なので「(うるるは)人材の会社」と見られがちだったんですけれども、実はそうではなくて。人材を活用して「fondesk」だったり、「NJSS」だったりという、付加価値の高いプロダクトを作るのが我々のコアなビジネスモデルだったりするんです。

「shufti」には、今、登録しているクラウドワーカーが44万人くらいいます。この44万人のワーカーはどの企業でも誰でも使っていただけるんですが、我々自身も「NJSS」を運営するためだったり、「fondesk」を運営するのに必要なワーカーを、「shufti」を通じて募集していたりするんですね。

なので「shufti」は、売上だけ見るとぜんぜん柱でもなんでもないんですけれども、このクラウドソーシングがあるから「NJSS」だったり「fondesk」のサービスが作れているというのがあるんです。なので「土台にクラウドソーシングがある」というのが我々の構造だったりします。

VER:今は時代的にクラウドソーシングやクラウドワーカーがどんどん増えているイメージなんですけど、利用者もどんどん増えているんですか?

近藤:そうですね。おかげさまで、クラウドソーシングにはまったく宣伝のコストはかけていないんですけれども、口コミだったり「メディアで見た」とかで、どんどんワーカーさんが増えていって。年間ベースでだいたい1万人くらい増えていて、今は44万人くらいまできている感じですね。

VER:そうなんですね。やっぱり主婦層が主な登録者ということなんですよね?

近藤:はい。名前が「shufti」というだけあって、主婦の方が多いですが、もちろん主婦じゃない方でも誰でも登録いただけます。学生さんだったり、ダブルワークの方だったり、けっこういろんな方がいらっしゃいます。

投資家が気になる「中計を達成できるのか?」という疑問

VER:ありがとうございます。今、中期経営計画を出されていますし、僕ら投資家としては、たぶんこれを聞いている人もみんな気にしているところなんですけど、やっぱり「この中計を達成できるのかな?」というところ。ここにすごく注目しているところなんですけど、中計の数字を見る限りは、一番肝心な「NJSS」のところが鍵になっているんですかね?

近藤:そうですね。売上の半分を占めていて、利益の大半をここで稼いでいたりするので。ここが一番の肝になりますね。

VER:みんな資料が見れればいいんですけど、なにかURLとか……。

近藤:URLを貼りましょうか、ちょっと待ってくださいね。直近の決算説明資料のURLを短縮して貼りますね。

VER:5月の分ですよね?

近藤はい。今コメントに決算説明資料を貼りました。

中期経営計画は今、開いていただいた資料の後ろのほうにございまして。左下に記載のページ数でいうところの55ページ目に、中期経営計画があります。これが全社の数字ですね。この下の段が今、我々が掲げている中期経営計画。右側が今期と来期になります。

近藤:前期の売上高が40億円だったのに対して今期は48.5億円、来期が58億円という計画になっています。営業利益と減価償却費および、のれん償却額を足したものですが、このEBITDAが今期5,000万円、来期が15億円という計画を掲げております。

VER:単純な質問で申し訳ないんですけど、今、減価償却費とか、のれん償却額といったEBITDAの営業利益以外の数字は、実際いくらくらいなんですか?

近藤:のれん償却額と減価償却費を合わせて、だいたい1億円くらいですね。なので1億円を引いていただければ、おおよそ営業利益になります。

VER:ありがとうございます。

VER氏なら、どういうふうにバリュエーションする?

近藤:この来期の目標を達成できるかどうかが、今、VERさんが気になっているところなんですかね?

VER:そうですね。個人的には達成できるのであれば、どう考えても今の株価は割安だなと思うんです。

近藤:そうですね。VERさんだったら、どういうふうにバリュエーションされますか?

VER:私だったらですか?(笑)。

近藤:そうです(笑)。

VER:どうですかね。EBITDAで実際に出てくる営業利益とか最終利益のところがどれくらいなのかもちろんわからないんですけど。近藤さんのnoteも読ませていただきまして。

近藤:ありがとうございます。

VER:SaaSの銘柄と比較されていましたよね?

近藤:そうですね。

VER:他の企業と比較されて、うるるさんの株価が今どんな動きをしているのか? ということを「IR担当の方向けにnoteを書いた」みたいに書かれていた(前編はこちら後編はこちら)ので、うるるに興味がある投資家はぜひ一読されたらおもしろいなと僕は思ったんですけど。SaaSの銘柄で考えた場合、売上の規模からしたら時価総額が現時点でも安いとは思いましたが「どれくらいの利益を出せるポテンシャルがあるんだろう?」というところを、私個人としては図りかねているんですよね。

近藤:なるほど。

VER:例えば「長期計画を出して、ずっと赤字を出し続けても売上のトップラインをどんどん伸ばしますから、うちはこういう方針でいきます」という企業さんも確かに多いんですけど、それは目に見えて成長しているのがわかって投資している方。例えば代表例でいうとAmazonさんは、そういうかたちで上場してからずっと成長していたじゃないですか。

近藤:そうですね。

VER:「Amazonに倣え」じゃないんですけど、そういう銘柄が増えたようなイメージを、この10年くらい上場企業を見ていて持っていました。なかなかビジネスモデルが身近でなければ成長をイメージしづらいのかな? と、個人的には投資家目線で思っていたんですけど、御社は中期経営計画を出されていて、2024年にEBITDAで15億円出る計画をされています。ただ「潜在的にどれくらい利益を出せるんだろう?」というポテンシャルを個人的には図りかねているので、今日はいろいろ聞きたいなと思ったところなんですよ。

結局は「今期と来期でトップラインをどこまで伸ばせるか?」次第

近藤:なるほど、ありがとうございます。今、55ページ目を見ながらお話しをしているところですが、例えば数字遊びに近いかもしれないですけど、今期は48億円の売上で来期が58億円。EBITDAが今期5,000万円に対して来期15億円なんですけど、売上が10億円伸びたら粗利がどれだけ増えるか? というと、我々の粗利率は今だいたい70パーセントくらいなんですよ。なので10億円増えると、これで粗利が7億円分稼げるという感じになります。

VER:なるほど。

近藤:「残りはどうしよう?」という感じなんですけど、残りは投資で先行投資しまくっている部分を削って利益を出すような計画に、今はなっています。

そして1ページ前に戻って54ページ目を見ていただくと、ここに今期の業績予想と今期の投資の内訳みたいなグラフが左側にあります。投資の内訳として「大きく3つ投資しますよ」という項目がありまして。「人件費」「広告宣伝費」、そして「システム関連委託費」と我々が呼んでいる、システム開発のためのSESのコストですね。

近藤:フリーランスのエンジニアを活用してシステム開発をやっているのですが、この3つがコストとしてあります。このうち広告宣伝費とシステム関連委託費は、わりと先行投資に近い部分なんですね。これを合わせて、だいたい9億7,000万円くらいを今期の予算として計上しています。これを削ることで利益は出せるので、理論上は最大9億7,000万円が利益として生み出されると言えるかなと思います。

VER:でも理論上といっても、(現実的には)それはなかなか難しいですよね?

近藤:そうですね。なので結局、今期と来期でトップラインをどこまで伸ばせるか次第なんですよね。トップラインが伸びれば当然、粗利も伸びますので。そこ次第でコストをどこまで削るかが決まってくる、みたいなイメージですね。

VER:「『NJSS』の利益率がすごくいい」というのを過去の資料を見て感じたんですけど、ここがトップラインだったら、ものすごく鍵になっているじゃないですか。

近藤:「NJSS」は左下のページ数でいうと80ページですね。

VER:80ページに出ている中期経営計画を2023年3月期に上方修正したんですけど、通期は変えないということなんですよね?

近藤:そうですね。今の時点では変えていないですね。

VER:当初よりもかなり順調にきていて、増え方のペースでいくと今期達成するとしたら、「NJSS」の売上はトップラインであと3億円でできちゃいますよね。

近藤:そうですね。

VER:前期が4億1,000万円くらい増えて、その前でも3億3,000万円くらい増えて、その前の2020年から2021年でも3億円くらい増えて。そうなると3億円のペースは「まずいけるだろうな」と。「もっといけるんじゃないの?」と思ったんですけど。

近藤:「あえて来期は変えなかった」というのが正しいですね。今の時点だとわからないので、今期を見てから変えようというのが、本当の正直なところです。

VER:そうなんですね。ありがとうございます。従業員も減っちゃう予想になっていて「あれ?」と思ったんですけど、あえて変えていないということなんですか?

近藤:そうですね。ここは一部先行投資で採っている臨時雇用の方もいるので、そのあたりの契約を終了したりとか、他の部署に移すこともあり得るということで、こういった数字にしています。

鍵を握る「fondesk」の存在

VER:なるほど、ありがとうございます。あと「fondesk」と「えんフォト」「OurPhoto」のところが、3部門で18億円の予想を出されています。逆に「こっちはちょっときついんじゃないかな」と正直思ったんですけど。

近藤:そうなんですよ(笑)。いきなり来期に傾斜が高くなるんですよね。

VER:「流れ的にここがすごくしんどそうだな」と、単純に数字を見ただけで思ったんですけど、そういうところなんですね?

近藤:そうですね。今期がけっこう仕込みの年でして。その仕込みが来期に花開くようにできるかどうか? が鍵だったりする感じですね。

VER:そうなんですね。

近藤:例えば「fondesk」の価格改定を今年の7月1日に予定しております。それが順調にこなせるかどうか? とか。後は「えんフォト」でいろいろな仕込みをしていまして、その仕込みがどこまでうまく売上の成長に跳ねさせられるか? みたいなところが、来期の成長の鍵になっていたりはします。

VER:これはちなみにどれくらい価格改定されるんですか? これは聞いても大丈夫なんですか?

近藤:大丈夫です。もうオープンにはなっているんですけど「fondesk」の価格体系をご説明すると、月定額1万円に加えて従量課金部分もあるんですね。従量課金というのが「お電話を月に100件まで受けられます。101件目以降は1件あたり200円をいただきます」という体系に、今(イベント開催時の2022/06/20時点)はなっているんですよ。

それが7月1日以降は、101件目以降が51件目以降に変わります。51件目以降に1件あたり200円頂戴するかたちに変わるので、マックス1契約あたり1万円の月あたりの価格改定になる感じです。

VER:それはもう告知されていて、実際のところは解約とかもどうなんですかね? 個人的に契約の件数自体が減っちゃうリスクは、どうしても抱えていると思うんですけど。

近藤:そのとおりですね。今のところは解約という点ではそこまで大きなネガティブにならないんじゃないかなと考えていたりしますけれども。新規の獲得時になんらかの影響があるかどうかは、この後になってみないとわからないですね。

VER:なるほど、ありがとうございます。この3部門でしたら「fondesk」が鍵になっているということですかね?

近藤:そうですね。「fondesk」が鍵ですね。後は「えんフォト」にも、実はわりと同じくらいの期待は寄せていたりするんですけどね。

あまり目立たないが、実はしっかり成長している「えんフォト」

VER:御社が出されている「えんフォト」の資料を見させていただいたんですけど、「すごく順調に伸びているな」と思いました。

近藤:そうなんですよ。「えんフォト」はあまり目立たないんですけど、実はしっかり成長していっているんですよね。去年、一昨年とコロナ禍でけっこう苦労したんですけど、資料41ページ目で「えんフォト」の売上高の推移がご覧いただけます。前期で3億7,000万円の売上高ですね。46パーセント成長できたので、けっこうな成長率を出せたかなと。

VER:すごいですね。

近藤:去年、一昨年の反動も一部入っていたりはするのですが、それでもよく伸びた感じです。そういえば「えんフォト」の説明をちゃんとしていなかったですね。せっかくなので「えんフォト」がどういうサービスか? について、ご説明させていただきますと、幼稚園・保育園向けの写真販売システムを展開しているサービスです。

私が今39歳なんですけど、私が幼稚園児の頃は遠足に行くと地元の写真館のフォトグラファーがくっついてきて、パシャパシャ写真を撮っていまして。その撮られた写真が後日、幼稚園の壁に貼られていたんですね。

その壁に貼られた写真を親が忙しい中で見に来て、「うちの子が写っている」と写真の番号を封筒に書いて、1枚いくらというお金を封筒に入れて。「お釣りがないようにしてくださいね」と言われて、お釣りがないようにわざわざ小銭を崩したりして、封筒にお金を入れて。

園の先生はそれをわざわざ全部数えて、集めたお金を写真館に送金して。後日、写真が届いて、その仕分けを園の先生がして、保護者に渡すみたいなことを過去はやっていまして。未だにこの販売方法が全国各地のいろんなところで取られているんですが、「えんフォト」はこの非常に面倒くさい写真販売という手間を削減するためのサービスです。幼稚園や保育園は「えんフォト」というシステムを無料で入れていただけるんですね。

今まで(フィルムで)撮っていた写真を、デジカメとかスマートフォンとかで撮って。そういった写真(画像)であれば「えんフォト」というWebサイト上に、保育士さんや園の先生が自分でアップロードできるんです。アップロードすると保護者は場所を問わず、どこでも自分のスマートフォンとかタブレットとかPC、ネットにつながっていればなんでもいいんですけれども、そういったものを通じて写真が見られます。

そして自分の子どもが写っている写真(画像)があれば、その場で決済して、後日、自宅に直接写真が届く。園も保護者も両方が得になるようなサービスを展開しています。これは写真が売れれば、我々「えんフォト」の売上になるようなサービスですね。

「園当たりの売上高」がずっと伸びているワケ

VER:園当たりの売上高もずっと伸びている流れになっているんですけど、これはサービスをどんどん追加していっているからということですか? それとも単純に販売枚数が増えているということなんですか?

近藤:VERさんは今44ページ目をご覧いただきながら、園当たりの売上高を見ていただいたんですけれども、これがなんで伸びているか? というと、VERさんが今おっしゃってたことの両方が正解でして。写真の枚数も、売るものも増えている感じです。

1ページ前に戻っていただいて、43ページ目をご覧いただくと「えんフォト」のKPIツリーがあります。このツリーの下に園当たり売上高の分解したツリーがあるんですけれども、色がちょっとピンク色になっている「写真単価」というところと、「園当たり写真アップロード枚数」という2つがあります。右側の写真アップロード枚数がなにを指すか? というと、すごく単純にいうと「園の『えんフォト』利用率」みたいな感じです。

近藤:例えば幼稚園・保育園によっては、毎日写真をアップロードしている園もあるんですね。保育士さんがスマホでその日に撮った写真を毎日アップしている園もあれば、3ヶ月に1回、半年に1回、なんなら「年に1回しかしません」みたいなところもあるんです。

(理由は)「面倒くさいから」だったりするんですけど、この対応は本当に分かれます。我々からすると写真があれば売れるので、たくさん使ってもらってアップロードしてもらいたいんですね。なので、この利用率を上げていく活動をしています。

これはカスタマーサクセスチームが園にご連絡して「最近、写真をアップロードされていませんが、なにかお困りなことはございませんか?」みたいなことをおうかがいすると「すみません。面倒くさかったので、溜まっていたけどやっていなかったんです」「これからやりますね」みたいになったりするんですね。

でも実際にお困りのことがあれば解決していき、ここの利用率を上げていくということをやると、園の写真をアップロードする回転が上がっていく感じになります。

さらにもう1つのKPIである、写真単価。これはなにか? というと、通常、みなさんが想像するプリント写真のサイズのL判の写真が一番売れるんですけれども、それ以外にもいろんなものをどんどん売るようになっていっています。例えば写真のプリントじゃなくてフォトブックにして買えたりとか、卒園アルバムを年に1回買えたりとか。

後は「一緒にプリント機能」というのを最近、開発して。これがどういう機能か? というと、例えば「えんフォト」のサイト上で幼稚園や保育園で撮られた写真を買えるのですが、その写真を買う時に「一緒にあなたのスマートフォンやデジカメに入っている写真もプリントしませんか?」という機能があって。そうすると1回あたりの決済の金額が上がるんですね。

あるいは「祖父母購入機能」みたいなものも最近では付け加えたりして。「あなたのおじいちゃんやおばあちゃんにも、一緒に写真を買ってあげませんか?」みたいな機能をつけたりすると、同じ写真が2枚売れるんです。

ということで、写真単価が上がっていくんですね。そういった感じでやっていくと、さっきお見せしたグラフがだんだん右肩上がりになっていく感じで、1園当たりの売上高が上がっていく仕組みになっています。この1園当たりの単価を上げつつ、契約園数を増やしていくと、掛け算で売上が上がっていく感じですね。

VER:わかりました、ありがとうございます。すごく丁寧に説明していただきました。

近藤:ちょっと冗長になっちゃいましたが。

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