2. 会社員の退職金は平均いくらなのか

では、民間企業の会社員は退職金をどれくらい受け取っているのでしょうか。

厚生労働省公表の「退職給付(一時金・年金)の支給実態(平成30年)」によると、勤続20年以上かつ45歳以上の退職者の1人平均退職給付額(定年)は大学・大学院卒(管理・事務・技術職)で1983万円とされています。

ただし、会社員は大企業と中小企業などの規模でも水準が異なることが予想されます。深掘りするために、大企業と中小企業に分けてみてみましょう。

2.1 「大企業」の退職金:2511万1000円

まず、中央労働委員会公表の「令和元年退職金、年金及び定年制事情調査(2020年)」より、資本金5億円以上かつ労働者1000人以上の企業を対象とした調査の中で算出された「モデル退職金」(学校を卒業後直ちに入社して標準的に昇進した者の内、大学卒、事務・技術労働者、総合職相当、定年退職に該当する者の退職金)を見ていきます。

こちらによると、退職金の平均金額は2511万1000円であることがわかりました。

2.2 「中小企業」の退職金:1118万9000円

一方で、東京都産業労働局公表の「中小企業の賃金・退職金事情(令和2年版)」によると、従業員が10人~299人の東京都内の中小企業を対象にした調査の結果、「モデル退職金」(卒業後すぐ入社し、普通の能力と成績で勤務した場合の退職金水準)から見る退職金額(退職事由が定年退職)は1118万9000円でした。

あくまで参考値ではありますが、大企業と中小企業では1000万円以上の差があることがわかります。

確かに公務員の方が退職金は多いといえそうですが、会社員といっても企業規模によって1000万円以上の差があります。単純に比較することは難しいでしょう。

ただし、中小企業に勤務している会社員の人や、転職などで勤務年数が短くなる場合は、退職金で老後資金をしっかり確保するのは難しいかもしれません。そもそも退職金の制度自体がないところもあるので、将来設計は早めに立てておきましょう。