開業届を税務署に提出したから事業所得にできると思っている方がたまにいらっしゃいます。

事業所得と雑所得の違いは大きく分けて2つあります。1つは、事業所得には青色申告特別控除というものがあること。これは、しっかりと経理をする代わりに10万円または65万円を事業所得から引ける制度です。

もう1つは、赤字を他の所得と相殺できるかどうかということ。事業所得の場合、赤字になれば確定申告で給与所得と相殺することができるのです。その結果、給与所得が目減りして税金の還付を受けられるというわけです。

このようなメリットがあるため、事業所得にしたがる方がいらっしゃるというわけです。しかし、実際の所得区分は、開業届を出しているかどうかに関わらず、実態で判断します。

副業収入が10万円ほどしかないのに、いろいろ経費を突っ込んで赤字にして給与所得と相殺といったことは脱税といってよいでしょう。副業の所得区分は実態に即して判断するようにしなければなりません。

渋田 貴正