米国の対シリアミサイル攻撃に米朝間の緊張の高まりと、先週は地政学リスクが一気に膨らみました。それとともに日米とも株価が下落し、為替もドルが売られた結果、108円台まで円高が進むこととなりました。

イースターホリデー明けの4月16日の週の為替市場は、北朝鮮を中心とする地政学リスクが懸念されるとともに、円高がどこまで進行するかに注目が集まります。

先週の為替動向振り返り

4月9日の週は地政学リスクに振り回された1週間となりました。地政学リスクについては、前回の当記事において既に言及していましたが、まさにそのリスクが顕在化。4月6日の米国の対シリアミサイル攻撃に続き、本命とも言うべき北朝鮮と米国間の緊張が高まりました。

さらに米国は13日、アフガニスタンに高性能爆弾を投下。市場は地政学リスクがシリア、北朝鮮に留まらないということを認識することとなりました。

地政学リスクの顕在化を受け、日米ともに株価が下落。特に、米国市場に比べ日本市場の落ち込みは大きく、日経平均株価は4日続落で14日には18,335円にまで下落し、年初来安値を更新しました。

為替市場についても、ドル円は11日にそれまで何度も跳ね返されてきた111.20円付近を割り、その後も少しずつ円高が進行した結果、週末は108.50円付近にまで到達し、1週間で約2円以上の円高となりました。

金、原油、VIX指数の上昇に地政学リスクの高まりを見る

先週は、リスクが高まると価格が上昇すると言われている金価格が上昇し、4月11日以降、連日年初来高値を更新しています。

また、原油価格(WTI)価格も上昇。節目の50ドルを回復するのみならず、53ドル台にまで上昇しました。

さらに、恐怖指数と言われるVIX指数も上昇を開始し、年初来高値を更新しています。

リスクの高まりに反応しやすい金価格やVIX、地政学リスクに反応しやすい原油価格が揃って上昇しており、足元の地政学リスクが如実にチャートに現れている状況となっています。

今週の為替動向見通し

金融市場全体が地政学リスクに振り回されており、今週も北朝鮮問題を中心とする動き次第で為替市場も大きな影響を受けることとなります。

地政学リスクは大前提とした上で、今週の為替市場を考えれば、ドル円は長らく強い抵抗線として機能していた111円半ば~112円半ばを完全に割れてしまい、どこまで下落するのかというのが大きなポイントとなります。

14日の聖金曜日の祝日もジリジリ下げている状態であり、下げ止まりを期待したい一方、未だセリングクライマックスという状態には至っていません。なお、17日もイースターマンデーで英国など多くの国が祝日で市場は休場となります(米国市場は開場)。

ただし、今回のドル円の下落は、ドルの強さを測るドルインデックスを見ると、年内の安値を更新しての下落という状態ではなく、レンジ相場で推移しています。

ドルインデックスが現状のレンジ相場に留まる場合、セリングクライマックスを迎えずに下落が止まる可能性も十分あります。

まとめ

地政学リスクの顕在化により、平時のファンダメンタルおよびテクニカル分析では通用しない市場状況に入りつつあります。

“分からない相場には手を出さない”というのが相場で負けないための鉄則なので、地政学リスクが沈静化するまで、いったん相場から離れるというのも十分有効な選択肢と考えられます。

いずれにしても、今週も地政学リスクに左右される相場展開が予想されるため、突発的な値動きには十分注意すべきと考えます。

LIMO編集部