毎年恒例の3月のIPOラッシュも終わり、4月はIPO市場も一息ついた状態となっています。そこで、本稿では2017年第1四半期(1-3月期)のIPO市場の状況について、騰落率の観点から振り返ります。

騰落率ベスト3

1位 ユーザーローカル(騰落率325%)
2位 シャノン(321%)
3位 インターネットインフィニティー(騰落率282%)

上昇率1位となったのはユーザーローカル(3984)。騰落率は325%で、公募価格に対し4倍以上の初値となりました。事業内容はビッグデータの解析および人工知能による情報提供サービスです。ビッグデータや人工知能は現在の株式市場のテーマだということもあり、人気化して大幅な株価上昇となりました。

2位はシャノン(3940)の騰落率321%。1位のユーザーローカルとは、わずか4%の差でした。同社は企業向けにマーケティング支援のクラウドサービスを提供するIT系企業です。IT系企業は高株価が付く傾向にありますが、2017年最初のIPO企業として注目を浴びた結果、大幅な株価上昇を果たすこととなりました。

3位はインターネットインフィニティー(6545)の騰落率282%。同社はデイサービス施設運営および介護士向けインターネットサイトを運営する企業です。高齢化社会が本格化しつつある中、IPO市場においても介護ビジネス系企業への注目度の高さがうかがえる結果となりました。

騰落率ワースト3

1位 スシローグローバルホールディングス(騰落率▲5%)
2位 マクロミル(騰落率▲4%)
3位 ビーグリー(騰落率0%)

騰落率ワースト1位はスシローグローバルHD(3563)の▲5%。2008年にユニゾンキャピタルの支援のもとTOBにて非上場化後、再度のIPOとなりました、しかし、ファンド傘下企業のIPOは苦戦が続いており、同社も回転寿司の「スシロー」という著名企業ではありましたが、公募割れという結果となりました。

2位はマクロミル(3978)の▲4%。1位のスシローグローバルHDと同様、ファンド傘下企業のIPOとなります。同社はインターネットでのリサーチ事業を展開し、同分野では国内トップ企業です。2014年にベインキャピタルの支援を受けTOBで非上場化。オランダの企業をM&Aしてグローバルな経営体制を築き上げ、再度のIPOに挑みましたが、公募割れという結果となりました。

3位はビーグリー(3981)の0%(公募価格1,880円→初値1,881円)。老舗コミックサイトの「まんが王国」を運営する企業です。上場会社の再IPO案件ではないものの、投資ファンド(リサ・コーポレート・ソリューション・ファンド3号投資事業有限責任組合)が全株式の76.25%を有する大株主となっており、ほぼ公募価格で初値が付くこととなりました。

まとめ

2017年第1四半期はスシローグローバルHD、マクロミルで公募割れが発生しましたが、両銘柄ともにファンド傘下の会社のIPO=ファンドのエグジット案件で、過去の傾向から初値の苦戦が予想された銘柄です。一方、それ以外の通常のIPO銘柄については、2017年のIPO市場は好調にスタートしたと言えるでしょう。

例年5月の大型連休明けから再びIPO銘柄が増加しますが、第2四半期も好調なIPO市場の継続を期待したいと思います。

LIMO編集部