5. 厚生年金「25万円以上の受給」でも老後の生活費は不安
皆さんは一昨年に話題になった老後2000万円問題をご存じでしょうか。
この問題をもとに、老後生活費が実際にどれくらい不足するのかを見ていきましょう。
金融審議会「市場ワーキンググループ」(第21回)厚生労働省提出資料によると、老後2000万円問題は以下のデータが根拠です。
5.1 【高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)】
- 実収入(主に年金):20万9198円
- 実支出(主に食費):26万3718円
月々の赤字額=約5.5万円
- 老後必要額=5.5万円×12ヵ月×30年(老後30年と仮定)=1980万円 ※約2000万円
ここで重要なのは、あくまでもこの計算式で求められる金額は「必要最低限の老後生活費」だということです。
ここに、介護費用や生活費を加えると金額が異なってきます。
また公益財団法人生命保険文化センターのデータによると、ゆとりある老後生活を送りたい場合は、月々生活費が36.1万円必要だという結果も出ています。
こうなると、先程見ていただいた厚生年金が25万円以上の比較的裕福な世帯であっても、老後は年金のみで安心とはいえません。
6. 厚生年金の平均受給額「25万円」をもらえる男女はごくわずか
ここまで、厚生年金の受給額について解説してきました。年金は、老後の生活資金の大きな柱です。
今回の資料がご自身の老後資金ついて考えるきっかけとなれば幸いです。
参考資料
齊藤 慧
執筆者
株式会社モニクルリサーチ メディア編集本部 編集長室
LIMO編集部記者/元新聞記者
担当分野
金融と社会保障分野の専門知識を生かし、主に公的年金(厚生年金保険と国民年金)、公的年金制度の仕組み、社会保障、貯蓄、マイナンバー制度など幅広くカバーしている。
信頼性の高い情報源をもとに、政策の変遷や最新の貯蓄トレンドを掘り下げた記事も手掛けているが、難解な情報を分かりやすく伝えることを意識している。
また、退職金、資産運用や貯蓄、NISA、iDeCoなど、多岐にわたるテーマについて企画・編集・執筆している。
経歴
中央大学法学部を卒業後、東証プライム上場の大手IT企業でキャリアを開始。
その後、厚生労働省の記者クラブにて約3年間、医療保険制度や介護・高齢者福祉に特化した社会保障の専門紙で記者として働いた。
ここで社会保障分野に関する深い知識と実務経験を積み、複雑な制度の解説や政策を分析するスキルを磨いた。
現在は、株式会社モニクルリサーチが運営するくらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」のLIMO編集部にて、金融と社会保障分野に特化した記事を執筆している。
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最終更新日:2024年11月11日