5. 老後は退職金だけで足りるのか
ここまで、公務員の退職金について平均額や2000万円以上受け取っている割合を確認してきました。民間の平均と比べると退職金も高かったのですが、全員が2000万円以上を受け取っているわけではないため、注意が必要です。
さらに注意したいのは、民間と大きな差が生まれないよう公務員の退職金は定期的に見直しが行われることです。2012年に国家公務員退職手当法が改正された際には大きな減額が行われ、2011年と比べ段階的に400万円程退職金が減額されました。
このように将来の給付額もいくらになるかは分からないので、退職金だけに頼ることは避けた方が良いでしょう。先を見越して、将来に向けたお金の準備をおすすめします。
そこで活用したいのが先取り貯金など定期的な積立です。その中でもiDeCoやつみたてNISAなど、積立型の資産運用が注目されています。
もちろんリスクもありますが、長い期間コツコツ積み立てることでリスクの軽減も期待できます。低金利の時代ですから無理の無い範囲で取り入れてみてはいかがでしょうか。
運用といってもさまざまな商品が用意されています。自分にとって何が合うのか、どの程度のリスクが許容できるのか把握することからはじめるのが良いでしょう。
老後と聞くとまだまだ先のように聞こえるかもしれません。しかし、振り返ってみると時間が経つのが早いと感じることが多いと思います。
準備は早ければ早い方が選択肢は増えます。「まだ先」ではなく、今回をキッカケに将来のお金について検討いただければ幸いです。
参考資料
- 内閣官房内閣人事局「退職手当の支給状況(令和2年度退職者)」
- 平成30年就労条件総合調査 結果の概況(一時金・年金)の支給実態
- 内閣人事局「国家公務員退職手当法等の改正について(平成24年における改正)」
- 総務省「公務員の種類と数」
徳原 龍裕