1. メガバンクが住宅ローンの固定金利を引き下げ
冒頭にも記載した通り、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行の3メガバンクは6月分の住宅ローンの10年固定型金利を、5月分と比較して引き下げました。
米国の債券市場における金利上昇を背景に沿って、最近では引き上げの動きが続いていました。
しかし、ローン金利の引き上げは普通の会社で言う「値上げ」を意味し、利用者の需要に対してはネガティブに響きます。
そういった事情の中、3メガバンクは需要低迷の軽減に向け、金利を引き下げたのではないでしょうか。
2. 元銀行員が語る、住宅ローンを組む時に覚えておくべきこと
住宅の購入を考えている方にとって、住宅ローンは非常に身近な存在だと思います。
住宅ローンという名前自体、日々生活する中でよく見聞きするかと思います。
そのため、いざ自分で組もうとする際、銀行員の説明にあまり注意を払わずに契約を進める方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、上記の通り、住宅ローンの金利変動の源流にあるのは「世界の債券市場での金利動向」です。
出所:各種資料をもとに筆者作成
そして、ローンを活用したうえでの住宅の購入も「負債を活用して資産を購入する」というレバレッジのかかった投資です。
そのため、少し大げさに聞こえるかもしれませんが「固定金利か、変動金利か」という選択も、グローバル金融市場でのリスクを取った、経済的リターンを左右する「金融商品の選択」と言えます。
株式や投資信託を選ぶ際に慎重になることと、本質的に変わりはありません。
世界の債券市場の分析スキルまではいかずとも、最低限、源流にある「債券の利回り(金利)」の基礎知識を知っておくと、銀行でローンの説明を聞いたり、実際に組み方を考えたりする際、役に立つこともあるのではないでしょうか。
執筆者
1991年生まれ。新潟県新潟市出身。2022年に株式会社モニクル傘下の株式会社ナビゲータープラットフォームに入社し、現在はメディア事業部・メディアグロース企画推進室マネージャー。くらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」を中心に、多くの読者の方に幅広いコンテンツを届けるための戦略立案に従事している。
それ以前は、LIMO編集部にてアシスタント・コンテンツマネージャー(ACM)として従事。第一報として報道されるニュースを深堀りし、読者の方が企業財務や金融に対する知的好奇心を満たしたり、客観的データや事実に基づく判断を身に付けられたりできる内容の記事を積極的に発信していた。
入社以前は、株式会社フィスコにて客員アナリストとして約20社を担当し、アナリストレポートを多数執筆。また、営業担当として、IRツール(アナリストレポート、統合報告書、ESGレポートなど)やバーチャル株主総会サービス、株主優待電子化サービスなどもセールス。加えて、財務アドバイザーとしてM&Aや資金調達を提案したほか、上場企業向けにIR全般にわたるコンサルティングも提供。財務アドバイザリーファームからの業務委託で、数千万~数十億円規模の資金調達支援も多数経験。
株式会社第四銀行(現:株式会社第四北越銀行)、オリックス株式会社でも勤務し、中小・中堅企業向け融資を中心に幅広い金融サービスを営業した。株式会社DZHフィナンシャルリサーチでは、日本株アナリストとして上場企業の決算やM&A、資金調達などのニュースと、それを受けた株価の値動きに関する情報・分析を配信。IPOする企業の事業・財務を分析し、初値の予想などに関するレポートを執筆。ロンドン証券取引所傘下のリフィニティブ向けに、週間・月間レポートで、日本株パートを執筆。経済情報番組「日経CNBC」にて毎月電話出演し、相場や株価の状況も解説していた。
新潟県立新津高等学校を経て、2013年に慶応義塾大学商学部を卒業。学部では、岡本大輔研究会にて企業評価論、計量経営学を専攻していた。
最終更新日:2023/11/03