アップル株、FANG株と欧州株が牽引した1週間

先週(2017年3月27日-3月31日)の世界の株式市場は、欧州株が上昇し米株がしっかりしていましたが、上海株、日本株が軟調となり、まちまちに終わりました。主要市場の週間騰落率は、現地通貨ベースで独DAXが+2.1%、S&P500が+0.8%、上海総合が▲1.4%、TOPIXが▲2.0%でした。

先週のポイントは①米欧の金融当局から金融政策の急激な変更の必然性が低いというメッセージが発せられたうえ米欧の物価指数の上昇率が鈍化したことから、長期金利と通貨ユーロが下げたこと、②OPECの協調減産継続期待から原油価格が上昇したこと、③こうした環境のなかで欧州株とナスダック主力株に買いが向かったことです。トランプラリーに煮詰まり感が出始めているなかで、欧米金融当局による金利先高感をいなす発言が続いたわけですが、これが債券回帰=世界的な株安にならなかったことは押さえておくべきポイントでしょう。

先週の米国株ではエネルギーセクターが上昇しました。さらにアップル(AAPL)、フェイスブック(FB)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)、ネットフリックス(NFLX)が最高値をつけています。広告出稿問題が出たアルファベット(GOOG)はいまひとつの値動きでしたが、アップル株やFANG銘柄に活路を見出したと言えるでしょう。

一方、上海株は3月の製造業PMIが好結果だったにもかかわらず、流動性と不動産規制に対する警戒感から下落しています。日本では金曜日の後場に急速に値を崩してしまい、買い手不在を如実に示しています。

ちなみに、昨年末以来のパフォーマンスはDAX+7.2%、S&P500+5.5%、上海総合+3.8%、TOPIX▲0.4%となりました。円は対ドルで約5%、対ユーロで約4%円高になりました。これを勘案しても日本株の不調ぶりが浮き彫りになります。

アウトルック:米国の通商政策と為替政策に焦点が移るか

今週(2017年4月3日-4月7日)は先週の相場の牽引役の持続力が試されることになりそうです。

週末には米国の3月の雇用統計と米中首脳会談(6-7日)が控えています。米国の金利引き上げシナリオのコンセンサスは固まりつつありますが、4月から欧州中央銀行の債券買い入れ額が縮小されはじめるうえ、米国についてもFRBのバランスシートの圧縮についてニュースが増え始めていることから、長短金利のゆくえに対する注目度は高まっていると思います。米雇用統計を見るまでは総じて神経質な値動きになる可能性を考えておくべきでしょう。そんななか、景気の足取りがしっかりしてきた欧州株や新興国株、成長期待の高いアップル株などが先週に引き続き世界株を支えることが期待されるでしょう。

トランプ政権は内政での失点を通商政策で挽回しようとする可能性があり、それが円相場や日本株にも影響を与えていると考えられます。その最大の試金石は米中関係であることから、米中首脳会談が非常に重要になるとみています。日本については、日銀短観(とくに設備投資動向)と米国との通商協議の方向性、ドル円相場から目が離せないと思います。

椎名 則夫