お金を借りたい人と貸したい人をネットでつなぐ仕組み、ソーシャルレンディング。借り手は低金利での資金調達を実現でき、貸し手(投資家)は高利回りでの資産運用が期待できることから大きな注目を集め、ここ数年で市場規模が急拡大しているサービスです。

一方、グローバルにみても誕生からまだ10年あまりの新しい投資手法ですし、先日はサービス事業者である「みんなのクレジット」に対する行政処分勧告が報じられ(3月30日から1ヶ月間の業務停止命令)、始めていいものか、リスクはないのか、と悩んでおられる方も多いと思います。そこで今回は、ソーシャルレンディングのメリットとデメリット、リスクについて考えていきます。

ソーシャルレンディングの基本をおさらい

ソーシャルレンディングとは、お金を借りたい人と貸したい人とをインターネットでつなぐ仕組みです。この両者のやりとりは直接ではなく、専門のサービス事業者が行います。

サービス事業者は、お金の貸し手(投資家)を募集し、資金を集めます。そして、サービス事業者の審査に通った借り手に対して、あらかじめ利率を決定したうえでお金を貸し付けます。借り手は利率に基づく利子と合わせてサービス事業者に返済を行い、支払われた利子の一部がサービス事業者から投資家に還元されます。

出所:maneoホームページより

ソーシャルレンディングは、インターネットを使って企画やアイデアに対する資金を募る「クラウドファンディング」の一種とされ、「貸付型(あるいは融資型)のクラウドファンディング」とも呼ばれます。

投資家にとってのソーシャルレンディングのメリットは?

利回りが高い

銀行に貯金していてもお金は増えない時代、個人投資家にとってソーシャルレンディングの一番の魅力はやはり高い利回りでしょう。サービス事業者や貸付先にもよりますが、予定利回り(年率)は2%台から高ければ10数%というファンドもあります。

少額から投資できる

案件にもよりますが、ソーシャルレンディングなら投資金額が1万円からでもはじめることができます。とりあえず試してみたい、という方でも1万円なら無理なく始められるのではないでしょうか。

短期投資ができる

各サービス事業者から提供されているファンドは、運用期間が数ヶ月といったごく短期のものから1年程度のものが多いようです。比較的はやく結果が見えるので、まずは運用期間が短いファンドに少額投資して試してみるのもいいでしょう。

市場動向に振り回されない

ソーシャルレンディングは一度投資してしまえば、満期を迎えるまで特にすることがありません。株や投資信託の値動きに振り回されたり、一喜一憂しなくてよい点はメリットといえます。

個人では投資できないような案件に投資できる

たとえばクラウドクレジットなどは、従来なら日本の個人投資家がアクセスしづらかった欧州やラテンアメリカなど、海外の消費者ローンや事業者ローンへの投資を実現しています。ソーシャルレンディングによって分散投資の幅をさらに広げられる、という見方もできるでしょう。

投資家にとってのソーシャルレンディングのデメリット(リスク)は?

一方、ソーシャルレンディングは投資なので、当然リスクがあります。また、ソーシャルレンディングならではの特徴的な手法がデメリットになることもありえます。主だったものを確認していきましょう。

元本保証ではない

ソーシャルレンディングで提供されるファンドは、基本的に元本保証の商品ではありません。貸付先の状況によっては元本割れとなるリスクや貸し倒れにより投資したお金を回収できなくなるリスクがあります。

利回りはあくまで「期待利回り」

ファンドの利回りとして提示されているのはあくまでも期待利回りです。運用成果が当初見込みを下回る可能性があります。また表示されている利回りはほとんどが年率です。運用期間が短期のファンドに投資する場合はご注意を。

途中解約できない

銀行預金や、株・投信への投資と違って、ほとんどの案件で途中解約はできません。運用期間が比較的短期のものが多いとはいえ、余裕資金ではじめることはもちろん、どの程度の額を投資するかは慎重に検討したいものです。

為替リスク

海外へ投資に対する案件であれば、為替リスクが発生するものもあります。

貸付先がわからない

ソーシャルレンディングのファンドは多くの場合複数の貸付先から組成されますが、具体的な投資先は分かりません。複数化と貸付先の匿名化については、監督行政からサービス事業者に対しての指導があるようです。とはいえ、投資家の立場からすると、どこに投資するのかわからないため、各案件に対するリスク判断が非常に難しいといえます。

サービス事業者リスク

具体的な貸付先がわからないなか、投資家はサービス事業者がきちんと融資を行っていると信じてファンドの運用を一任することになります。しかしながら、今回業務停止命令を受けたみんなのクレジットの場合、貸付先が実際には分散されておらず、組成したファンドの資金をファンドの償還資金や白石伸生代表個人の借入金返済に充てていたことが指摘されています。

顧客資産をしっかり管理しつつ、高い利回りを提供してきたサービス事業者があったからこそソーシャルレンディング市場は急速に拡大してきたともいえますが、その一方でサービス事業者そのものに対するリスクが顕在化した形です。サービス事業者選びはソーシャルレンディングをはじめる上で最も重要なポイントといえそうです。

まとめ

いかがでしたか?ソーシャルレンディング市場は高利回りを実現する資産運用の新たな手法として、今後さらに拡大すると見込まれます。一方、まだ新しい投資手法なので、投資家自身がメリットだけでなく、デメリットやリスクを十分に理解しつつ、サービス事業者や案件を選んでいく必要があります。気になる方は各社のホームページなども参考に、自分にあった特徴を持つサービス事業者がないか探してみてください。

>>お金の借り手と貸し手がネットでつながる!? 新サービス「ソーシャルレンディング」ってどんなもの?

LIMO編集部