2. 厚生年金の平均受給額をチェック

厚生労働省の「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金加入者1610万133人の受給額は、平均で月額14万4366円でした

平均が14万4366円なので、「厚生年金の平均額は約14万円」と言われるようになったのです。

確かに平均は約14万円ですが、だからといって全員が14万円の厚生年金が受け取れるわけではありません。ここからは注意したい2つのポイントをご紹介します。

2.1 「厚生年金受給額」はピンキリ

「平均」と聞くと、「多くの方にあてはまる数字」というイメージを抱くかもしれません。しかし平均が実態を表すとは言い切れません。

たとえば5人が次のお金を持っていたとしましょう。

  • Aさん:100万円
  • Bさん:100万円
  • Cさん:100万円
  • Dさん:100万円
  • Eさん:5000万円

実態としては、だいたい100万円くらいを持っているという印象ですよね。

しかし平均値を求めると、(100万+100万+100万+100万+5000万)÷5=1080万円になります。

平均が1080円と聞くと、実態より乖離している印象を受けるのではないでしょうか。このように平均は「一部の値に引っ張られる」という性質があるのです。

厚生年金にも同じことが言えるので、平均を鵜呑みにすることができません。参考までに厚生年金受給額の決まり方を確認しましょう。

  • 平成15年3月以前=平均標準報酬月額×7.5/1000×平成15年3月以前の月数
  • 平成15年4月以後=平均標準報酬額×5.769/1000×平成15年4月以後の月数

給与や働く期間は人によって違うので、年金の受給額には個人差があるのです。年金の受給額を知るには、平均だけでなく「分布」にも着目する必要があるでしょう。さらには「ねんきん定期便」などの確認が必須です。

2.2 「厚生年金」に加えて「国民年金」がもらえるわけではない

厚生年金の平均である14万4366円には、国民年金の金額も含まれています。こちらに加えて国民年金も受給できると誤解している方もいるので、注意しましょう。

ちなみに国民年金の平均は5万6252円です。

単純に差し引くと、厚生年金の単独平均は8万8114円ということになりますね。