失われた30年はまだ終わっていない

私たち日本人の平均賃金がずっと上がっていないという事実を確認しましたが、物価が上がっていなければ、生活に支障がないので問題ないと思われるかもしれませんね。

実際に生活が困難になるほどの物価変動は起こってないのが現状で、それほど大きな問題意識を持っている方は少ないかもしれません。

しかし、ここ最近ガソリンを始めとする燃料費や光熱費、食料品の値上げラッシュはニュースでも耳にすることでしょう。今後は幅広いモノの価格の上昇が大いに考えられます。

また、日本は食糧や燃料については輸入に頼っている部分が大きいので、このままだと私たちの収入は上がらないまま物価だけが上昇するという、大変な状況に陥ってしまうかもしれません。

日本で生まれ育っていると年収400万円は一般的で、目に見えて貧しくなった実感はないかもしれません。

しかし、このまま現状を維持するだけでは年収400万円の価値はますます下がり、失われた40年を迎えても不思議ではありません。

年収400万円の暮らし。これからもできるのか

10年後、20年後、もっと先の未来に、今の400万円と将来の400万円が同じ価値ではないということを考えておかなければなりません。

そこで、資産の寿命を延ばすことを考えましょう。方法は2つだけです。自分自身が働くか、お金に働いてもらうかです。

かつての日本は、「終身雇用」、「年功序列」が主流で、長く勤めれば勤めるほど給与は上がっていくシステムが多く採用されていました。

一方、欧米では「成果主義」が採用されており、「どれだけ業務で成果が上げられているか」が基準で報酬が決まります。

現在日本でもバブル経済が崩壊した1990年代から「成果主義」が少しずつ浸透してきているものの、まだまだ「終身雇用制度」が色濃く残っています。

2000年以降の20年間で約44%もの成長をしていたお隣の韓国も、実は元々終身雇用を採用していた国ですが、近年「成果主義」が幅広く浸透しつつあるようです。

これからの時代に自らの年収アップや求められる人材を目指す場合、個人としての専門分野や強みを持ち、自分自身の価値を上げていく努力、スキルアップは必須だといえるでしょう。

ただ、長い人生、働き続けることが困難な時もあるかもしれません。そこで、お金に働いてもらうことも併せて考えましょう。

現在の日本は、低金利の時代が続いています。かつては預金金利で増えていた時代もありましたが、それも昔の話です。今は自らが運用して増やす時代になりました。資産運用をバックアップするための国の優遇制度としてつみたてNISAやiDeCoなどの制度もあります。

終身雇用制度の崩壊を考える今、自分の未来の資産を守りつくるのは自分自身です。資産運用を特別なことと考えるのではなく、当たり前のものとし、これからの新しい時代を乗りきっていきましょう。

参考資料

齋藤 英里奈