日本株にも重要度が高い米マイクロンが決算を発表

2017年3月23日、米国市場では引け後に半導体大手のマイクロン・テクノロジー(以下、マイクロン。ティッカー:MU)が2017年8月期第2四半期(2016年12月~2017年2月期)の決算を発表しています。

マイクロンはアメリカの半導体メーカーですが、日本とは縁の深い会社です。今から15年前の2002年、マイクロンは東芝からDRAMの米国の製造拠点を買収しています。

また、2013年には経営破綻した日本のDRAMメーカーであるエルピーダメモリも買収。さらに、2017年4月1日に東芝が分社化を予定しているNANDフラッシュメモリー(以下、NAND)を手掛ける半導体子会社「東芝メモリ」の買い手候補としても名前が挙がっています。

ちなみに、今後東芝メモリが第三者に売却される際の株価の算定には、マイクロンが比較対象となる可能性も高いと考えられます。というのは、東芝メモリと同様にマイクロンもメモリ半導体の専業メーカーであるからです。このように、マイクロンの決算は日本株にも重要度が高いものだと言えます。

決算発表後のマイクロンの株価は大幅上昇

では、決算内容を見てみましょう。

第2四半期の売上高は前年同期比58%増の46.5億ドル、営業利益は10.4億ドル(前年同期は▲500万ドルの赤字)、純利益は8.9億ドル(同▲9,700万ドルの赤字)と、前年同期比では増収・黒字転換となっています。また、対前四半期比でも増収・増益となっています。

好決算の背景としては、全体的にスマホやデータセンター向け需要が好調であったことや、DRAMについては価格が上昇したこと、NANDについては価格下落以上にコストダウンが進展したことなどがあげられます。

一方、第3四半期のガイダンスについては、前四半期比で増収・増益が続く見通しを発表しています。特に注目される粗利益率については、第2四半期実績の38%から第3四半期には44~48%に上昇するという強気の見通しを発表しており、好調な市場環境が継続する可能性を示唆しています。

このような好調な実績と強気の見通しを受けて、23日の取引時間終了後のマイクロンの株価は23日終値に対して約10%の上昇となっています。

手放しでの楽観は禁物

現在のように需要が供給を上回る状態では、顧客のスマホメーカーやパソコンメーカーは値上がりする前に必要量を確保しようとします。そのため需給がいっそうタイトになり、結果的に価格がさらに上がるという好循環が続くことも期待されます。

ただし、半導体メーカー各社は現在増産投資を行っていますので、いずれ供給が需要を上回ることも考えられます。その場合は、今までとは逆のことが起きる可能性も頭の片隅に入れておきたいと思います。

わずか1年前にはマイクロンの業績は赤字でした。また、これまでも同社の業績や株価は猫の目のように激しく変動してきました。これはマイクロンに限らず、NAND、DRAMという汎用性が高いコモディティ製品を扱っている企業に共通して見られる特色であり、いわば宿命とも言えます。

現在の局面は、高値で東芝メモリを売却したい東芝にとっては千載一遇のチャンスということになりますが、一方で、高く売るためにはあまり長い時間をかけることはできないということにも留意したいと思います。

和泉 美治