2022年4月13日に行われた、株式会社メディカル一光グループ 2022年2月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:株式会社メディカル一光グループ 代表取締役社長 南野 利久 氏
株式会社メディカル一光グループ 上席執行役員 酒向 良弘 氏
連結業績ハイライト
南野利久氏:最初に2022年2月期決算概要です。連結業績として、売上高は335億9,500万円となりました。これは前期比106.3パーセント、前々期比104.9パーセントです。税引前当期純利益は14億7,600万円で、前期比102.4パーセントとなりました。
2021年2月期は新型コロナウイルスの影響があり、売上、営業利益、経常利益は前期に比べてダウンしました。しかし、この2022年2月期は前期並びに前々期と比較しても、売上、営業利益、経常利益が増加しました。税引前利益も同様です。
連結売上高
売上高の内訳についてご説明します。前期は316億300万円だったのが335億9,500万円となりました。調剤薬局事業で6億9,200万円、ヘルスケア事業で11億3,300万円、医薬品卸、不動産で1億6,500万円増加しました。
特に、ヘルスケア事業が11億3,300万円増加したのは、前期にグループ入りしたライフケアの売上高が寄与したものです。
連結収益
収益のグラフです。税引前利益は14億4,100万円から14億7,600万円となりました。内訳は、調剤薬局事業が6億9,500万円から9億800万円となり、2億1,300万円増加しました。ヘルスケア事業はほぼ横ばいです。また、前期に計上した有価証券売却益が減少しましたので、全体で3,400万円の増加となりました。
セグメント別業績(調剤薬局事業)
続きまして、各事業別の業績をご説明します。まずは調剤薬局事業です。売上高は6億円以上増加しました。処方箋枚数は新型コロナウイルスの影響で2021年2月期は前期に比べて減少しましたが、それがやや回復して175万3,000枚となりました。売上高は先ほどお話ししたように227億3,100万円で、前期より6億9,200万円増加しました。前々期に比べると、まだ同程度までは回復していません。
売上対比の労務人件費は、前々期より17.6パーセント、17.7パーセント、17.4パーセントとなり、前期、前々期と比較しても労務費と人件費の比率は低下しました。処方箋枚数が増加したことと、労務費率が改善されたことで利益率が改善しました。
調剤薬局事業の概況①
こちらは、調剤薬局の処方箋の応需枚数を21日移動平均線のグラフにしたものです。一番上が2020年2月期のグラフです。一昨年はずいぶん落ち込みましたが、昨年度は回復してきています。元どおりにはいかないにしても、処方箋枚数はかなり回復してきています。
新型コロナウイルスの最悪の時期はいつだったのかと振り返ると、ちょうど2年前でした。2年前には1ヶ月で処方箋枚数が15パーセントほど落ち込んだことがありましたが、昨年あたりから徐々に回復しました。ただし、今年の1月、2月はやはり処方箋、外来の患者さまがまた少なくなったこともあり、多少影響を受けました。
調剤薬局事業の概況②
こちらは、調剤薬局全体の処方箋枚数です。191万6,000枚が前期に169万9,000枚になり、今期は175万3,000枚に戻りました。調剤売上高は228億9,800万円が前期に220億3,800万円に落ち込み、今期は227億3,100万円に回復しました。
調剤薬局事業の概況③
当社が出店しております地域です。関東圏の店舗は6店舗ですが、三重県を中心に関西圏に集中しています。閉店店舗数の箇所を見ていただくと、2020年には4店舗閉鎖しています。2021年は1店舗、昨年は2店舗閉鎖し、この3年間で7店舗閉鎖しました。
2015年から2019年までの5年間で7店舗、同じ店舗数を3年と5年で閉鎖したことになりますので、閉鎖のスピードが速くなったといいますか、店舗の見直しを進めています。閉鎖した店舗だけではなく譲渡した店舗もあります。
当社が経営すると赤字経営になっても、小さな会社が経営すると技術料が高くなって採算があう場合があります。このような構図で、閉鎖する際に費用がかからないように、無償譲渡というかたちで閉鎖した店舗が何店舗かあります。
調剤薬局事業の概況⑤
トピックスとして、2022年2月に、「ヘルシー薬局 一宮桜店」を開局しました。こちらは居宅療養管理指導に特化し、有料老人ホームの入居者の薬を専門に管理する薬局です。
団塊の世代が今後後期高齢者となり、自宅で生活できなくなってきます。病院はベッド数に限りがあるため、有料老人ホーム等に入居していくことを見込み、訪問専門の薬局を開局しました。今年の5月までに、13施設の老人ホームの処方箋を扱う店舗になる予定です。
調剤薬局事業の概況⑥
スライドに掲載しているのは、三重県津市にある老人ホーム2施設と、当社が経営する「久居センター薬局」という調剤薬局、そして医療モールです。約5,000坪の土地に医療介護の複合施設を誘致しており、当社で経営するものもあれば、誘致して出店してもらう施設もあります。
調剤薬局事業の概況⑦
三重県津市と同様のものを、現在三重県桑名市に計画しています。こちらは桑名市民病院の跡地を、プロポーザルで当社が購入したものです。約5,000坪の土地に特別養護老人ホームを誘致し、当社が調剤薬局と介護付有料老人ホームを経営します。医療施設も誘致し、現在、開業してもらうよう進めています。
セグメント別業績(ヘルスケア事業)
続きまして、ヘルスケア事業でございます。売上高は78億1,300万円となり、前々期に比べて15億6,200万円増加、前期に比べて11億3,300万円増加しました。売上は順調に増加しましたが、今年の1月と2月に新型コロナウイルスの患者が増加し、デイサービス等の利用者が極端に減少しました。そのため、売上は上がりましたが、経常利益は横ばいとなりました。
ヘルスケア事業の概況①
スライドに記載しているのは、11年間の居室数推移のグラフです。現在1,417室あり、早急に2,000室くらいまで伸ばしたいと考えています。
ヘルスケア事業の概況②
ヘルスケア事業を展開する地域は調剤薬局とほぼ同じで、西日本が中心です。愛知県14施設、三重県11施設、滋賀県4施設、大阪府、京都府、兵庫県、広島県に1施設ずつ展開しています。山陰地方は鳥取県、島根県に5施設ずつあります。
有料老人ホームだけではなく、グループホームやショートステイ、小規模多機能ホームも展開しています。今後は団塊の世代が後期高齢者を迎えることになるため、その方々の受け皿となる施設を早急に整備したいと考えています。
ヘルスケア事業の概況③
こちらは、稼働率と入居率です。デイサービスの稼働率は、2022年2月が65.3パーセントです。2020年2月は69.4パーセント、2021年は67.0パーセントとなっています。新型コロナウイルスの感染が拡大すると、デイサービス等は利用者が減少していくのが現状です。
スライドの左下に記載しているグラフは、小規模多機能・ショートステイの3期の比較です。2022年2月が82パーセント、2021年2月が74パーセント、2020年が71.4パーセントと、ショートステイの利用者が増加したことで稼働率が向上しました。
入居率は、2022年2月が86.8パーセント、2021年2月が90.6パーセント、2020年2月が91.8パーセントと若干減少しています。
ヘルスケア事業の概況④
当社は昨年、ヘルスケア事業の連結子会社であるハピネライフ一光において、イオンならびに東邦ホールディングスに第三者割当を実施しました。M&A案件の発掘や、先ほどお伝えした三重県桑名市に開業する予定の老人ホームの資金の手当てです。今後、スピードを上げて展開したいと考えています。
ヘルスケア事業の概況⑤
こちらは調剤薬局事業のところでもご説明しました三重県津市の医療複合施設です。
ヘルスケア事業の概況⑥
先ほどお伝えした調剤薬局と同様に、津市にあるような医療介護の複合施設を、桑名市にも作る準備を現在進めています。
セグメント別業績(医薬品卸事業)
続きまして、医薬品卸事業の業績です。ジェネリックを中心とした医薬品の卸は、昨年度の売上高が28億1,900万円で、1億5,800万円増加しました。年々薬価の引き下げがあるため、個数が売れてもなかなか売上は伸びません。
一方、ジェネリック薬品の供給が不安定になり、思うような販売ができない状況です。しかし、当社が取引している沢井製薬は、特に問題なく製造が進んでおり、売上を増加させることができました。また供給不足のため価格競争が少し緩んだこともあり、税引前利益が増加しました。
医薬品卸事業の概況
医薬品卸は、三重県を中心に岐阜県、滋賀県、愛知県で展開しています。
セグメント別業績(不動産事業)
不動産事業の損益です。不動産収入は安定しており、グループ全体でも13.8パーセントの利回りで、2022年2月期は1億2,900万円の収益を上げています。当社にとっては効率のよい事業です。
2023年2月期 通期業績見通し
続いて今期の業績見通しです。今期は、売上高344億5,000万円、営業利益13億8,000万円、経常利益14億円、税引前当期純利益14億9,000万円、親会社株主に帰属する当期純利益8億5,500万円を計画しております。
成長戦略
当社を取り巻く事業環境は、過去の延長が通用しない時代へと変わってきております。 こうした状況下、当社の強みを最大限に活かした経営を実践していきます。 ここに掲げたものが主な項目です。 これらを着実に進めて、2024年2月期には、売上高350億円、経常利益15億円の達成を目指します。
連結貸借対照表(資産の部)
酒向良弘氏:これより酒向からご説明します。まずは、連結貸借対照表の資産の部についてです。資産合計は、前期末比5億3,900万円の増加となっています。主な増減要因は、スライド右側の①から⑥で示しています。現預金は、第三者割当増資の7億5,000万円などにより増加しています。
また、調剤薬局事業によって、売掛金が1億5,300万円、商品が1億2,800万円に増えています。建物は減価償却が6億2,800万円あるため、減少しています。
土地についても、三重県桑名市に取得済みの土地に開発費用等を加えたものが建設仮勘定となっていましたが、当期はこれらの造成が終わったため、土地勘定に振り替えています。
のれんは15億3,600万円で、のれん償却により減少しています。
連結貸借対照表(負債・純資産の部)
負債・純資産の部です。長期および短期の借入金はあわせて4億9,600万円減少しています。非支配株主持分は、子会社のハピネライフ一光における第三者割当増資とヘルシー薬局の設立に伴うものです。
株主資本は、資本剰余金が2億2,700万円、利益剰余金が7億7,000万円増えています。
連結キャッシュ・フロー
連結キャッシュ・フローです。営業キャッシュ・フローが11億3,500万円、投資キャッシュ・フローがマイナス2億1,500万円、財務キャッシュ・フローが6,400万円となった結果、現金および現預金の増減額が9億8,400万円、現預金の期末残高は77億8,900万円となりました。
営業キャッシュ・フローの内訳は、税金等調整前当期純利益が14億7,600万円、減価償却費が6億2,800万円、のれん償却額が2億4,200万円、有価証券売却損益が1億1,500万円、売上債権増減額が1億5,300万円、棚卸資産増減額が1億1,900万円となっています。
有利子負債と資産・収益のバランス
有利子負債と資産・収益のバランスです。メディカル一光、ハピネライフ一光、ヘルスケア・キャピタルに分けて表記していますが、グループ全体の有利子負債が113億5,000万円、現預金が79億9,200万円、それを差し引きしたネット有利子負債が33億5,800万円です。
また、換価が容易な資産として、投資有価証券が11億400万円、賃貸用不動産が13億7,500万円となり、ネット有利子負債から投資有価証券と賃貸用不動産を控除した分が8億7,900万円となります。
収益力とのバランスを見ると、グループ全体の営業利益が12億7,500万円、減価償却費が6億2,800万円、のれん償却額が2億4,200万円で、EBITDAは21億4,600万円となります。グループ全体のネット有利子負債から、換価が容易な資産を控除した分を見ると、EBITDAのほぼ範囲内であると認識しています。
業績および資産・負債等の推移
業績および資産・負債等の6期間の推移を示しています。新型コロナウイルスの影響もありましたが、利益は緩やかながら改善してきています。ネット有利子負債は、6年前は62億1,800万円でしたが、直近期では33億5,800万円に減少しています。一方、純資産は利益の蓄積によって、現状では119億2,700万円に達しています。
主な経営指標の推移
主な経営指標です。売上高経常利益率は4パーセント台に回復してきています。自己資本比率は39.1パーセントとなり、40パーセント目前まで改善してきており、EBITDA有利子負債倍率は1.5倍まで低下してきています。
ROAは3.0パーセント、ROEは7.8パーセント、ROICは2.9パーセントとなっています。引き続き投資効果を見ながら、収益性の向上に取り組んでいきたいと思っています。
配当政策
2022年2月期の1株あたりの配当金は、当初の予定どおり40円です。配当については、業績や将来の事業展開に必要な資金などを総合的に勘案して、株主のみなさまに対して安定的かつ継続的に実施することを基本方針としています。今後もそのような方針で運営していきたいと思っています。
中長期的な配当性向については、20パーセントを目安に検討している状況で、今後もこれらに対応していきたいと思っています。