公的年金の所得再分配機能について

次に、支給される年金額合計が現役時代の手取賃金の何%となるかを示す所得代替率をみていきましょう。

所得代替率の計算は、「④年金額合計÷②手取賃金」で行います。それぞれの計算は以下のとおりです。

  • 手取賃金17.9万円の世帯Aの所得代替率 17.5万円÷17.9万円=97.8%
  • 手取賃金35.7万円の世帯Bの所得代替率 22万円÷35.7万円=61.6%

上記より、所得の低い世帯Aの所得代替率は97.8%。現役並みの年金を受け取れます。一方、所得の高い世帯Bの所得代替率は61.6%。現役の手取賃金の約60%の年金しか受け取れません。

所得代替率を比較した結果からは、現役時代の手取賃金が低いほど、年金支給額の比率が上がるといえます。

さらに、手取賃金の低い世帯Aの年金内訳は、基礎年金部分が13万円、比例報酬部分が4.5万円。手取り賃金の高い世帯Bの年金内訳は、基礎年金部分が13万円、比例報酬部分が9万円。

厚生年金保険料を納めていれば、それに応じた比例報酬分が支給され、基礎年金部分は誰もが一定というのが公的年金制度の仕組みです。これより、公的年金制度の所得再分配機能を担っているのは、基礎年金部分といえます。