4. 夫婦世帯やシングル世帯、ひと月の年金はいくら?
ここまで1人あたりの年金平均額を眺めてきました。年金の標準額として例示されるモデル年金は、「40年間ずっと会社員だった夫」と「40年間ずっと専業主婦だった妻」という夫婦でシミュレーションされた金額です。そのため、おひとりさまや共働き夫婦にはあてはまりません。
ここでは、家族の形態ごとに平均額でシミュレーションしてみたいと思います。
4.1 夫婦世帯
- 夫婦とも厚生年金:26万8550円(夫:16万4742円+妻:10万3808円)
- 夫が厚生年金+妻が国民年金:21万8854円(夫:16万4742円+妻:5万4112円)
- 夫が国民年金+妻が厚生年金:16万2848円(夫:5万9040円+妻:10万3808円)
- 夫婦ともに国民年金:11万3152円(夫:5万9040円+妻:5万4112円)
4.2 おひとりさま世帯
- 男性で厚生年金:16万4742円
- 女性で厚生年金:10万3808円
- 男性で国民年金:5万9040円
- 女性で国民年金:5万4112円
夫婦共働きで厚生年金に加入する場合、26万8550円となります。ここまで受給できれば、老後は安泰に感じるかもしれません。
一方で、おひとりさま世帯や夫婦ともに自営業の世帯などは、年金だけでの暮らしに不安を感じる金額ですね。
金額はあくまでも平均をもとにしたシミュレーションですが、家族の形態によって受給額が変わることがポイントです。「我が家の場合」を見つめ直し、マネープランを考えるきっかけとしましょう。
5. 老後の対策も家族に合わせて
年金だけでは生活が不安な場合、老後の対策として資産形成が必要になります。その方法は、年金の見込額と同じく「家族によって異なる」点がポイントです。
個人年金保険やiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)で年金の上乗せを考えるのもいいですし、つみたてNISAなどで長期の運用にチャレンジしてもいいでしょう。
ある程度余裕資金がある方は、個別株などのハイリスク・ハイリターンを狙うのも一つの選択肢です。いずれにしても、個々のリスクはきちんと押さえておきましょう。
例えば元本割れしないタイプの年金保険に加入していても、どうしても資金が必要となって解約してしまうと、解約返戻金は払込保険料を下回ることがほとんどです。安全と言われる預貯金でも、インフレのリスクが存在します。
どんな方法にも必ずメリットデメリット、そしてリスクがあることを認識して、自分に合う方法を選んでみましょう。
参考資料
太田 彩子