為替市場は2017年3月の2大イベントと言われた雇用統計を3月10日に通過し、15日にはFOMC(連邦公開市場委員会)も終えました。

FOMCでFRBは予想通り利上げを決定しました。しかし、利上げ数字・利上げ回数・FRBイエレン議長のコメントのいずれにもサプライズはなく、為替市場は大きく反応せずに終了しています。

今回はこうした動きのおさらいとともに、3月20日の週の為替市場について概観します。

雇用統計に続きFOMCもサプライズなし

まず、3月10日の雇用統計は事前の予想通り強めの数字が出て、為替市場には大きな影響を与えませんでした。そして先週14〜15日のFOMCを迎えることとなります。

2月下旬頃から3月のFOMCでの利上げの可能性が急に高くなっていましたが、予想通りFOMC後にFRBはフェデラルファンド(FF)の金利誘導目標を0.25%ポイント引き上げ0.75〜1%のレンジに設定すると発表しました。

利上げ自体は米国経済の好調を背景としてのもので、金融市場に対し将来的に大きな影響を与えます。しかしながら、目先は既に利上げを織り込んでいた為替市場は、利上げに対しそれほど反応はしませんでした。

利上げ自体は確定的な状況下で、2017年内の利上げの回数が注目を浴びていましたが、年内の利上げは3回という予想は今回のFOMC後も変わっていません。FOMC後に行われたFRBイエレン議長のコメントにおいても、これまでのFRBの方針から外れるような発言はなく、FOMCはほぼ市場の予想通りの展開となりました。

ただし今後は、アメリカは着実に景気回復が進んでいることから、リーマンショックを契機に膨らんだFRBのバランスシートの縮小(テーパリング)の議論の方向が注目される見込みです。

FOMC後、ドル円は1円以上の円高に

FOMC後の金利引き上げ発表を受けて、ドル円(USD/JPY)は114.50円付近から113.30円に約1.2円の円高となりました。

13日(月)、14日(火)に約0.5〜0.7円前後の値動きしかなかったため、大きな値動きのように感じられますが、1円程度の値動きであり、それほど大きく動いたとは言い難い状況です。ただしFOMC後の下落の後、17日(金)に再び円高が進みUSD/JPYは112円台に突入しています。

FOMCの利上げを契機とした円高がこのまま継続するのか、それともどこかのタイミングで反転し再度円安方向に向かうのか、今後注意を要する状況となっています。

為替市場が動かない反面、金は上昇

注目を浴びたFOMCの金利引き上げ後も、比較的平穏に過ぎた為替市場ですが、FOMCを契機に金価格(XAU/USD)が上昇を開始しています。

FOMC前は1,200ドル付近に位置していた金価格ですが、FOMC後は1,230ドル付近にまで上昇。2月下旬より下落トレンド入りしていた金価格ですが、FOMC後の上昇でそれまでの下落から見ると約半値を回復したことになります。

株価と逆相関の関係にあり、リスク指標とも言われる金価格の上昇は、素直に読めばFRBの金利引き上げ→景気悪化→株価下落と読むことができます。

FOMC後、アメリカの株式市場は大きく動いていません。そのような中で、金価格から見た金融市場は非常に興味深い状況にあると言えます。

大きなイベントがない3月20日の週

3月に入り雇用統計、FOMCという2大イベントが続いた為替市場ですが、3月20日の週は諸々の指標発表はありますが、久しぶりに世界が注目するような大きなイベントは予定されていません。

為替市場は雇用統計の少し前、2月下旬より値動き(ボラティリティ)が少ない状態が継続していますが、FOMCを通過してもその傾向が変わる気配がありません。また、為替市場のみならず、世界の主要株式市場も全体的に値動きが少なくなっており、金融市場全体がスクイーズ(縮小)状態にあると言えそうです。

金融市場はスクイーズ(縮小)とエクスパンション(爆発)の繰り返しという見方が存在しています。その見方に従えば、現在の金融市場はスクイーズ状態となっています。

どのタイミングでエクスパンションが発生するかは分かりませんが、現在の少ない値動きの期間(スクイーズ)の後に、値動きの激しい期間(エクスパンション)が到来しても驚かないよう、心構えはしておくべきと考えます。

LIMO編集部