2022年4月13日に行われた、株式会社マネーフォワード2022年11月期第1四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社マネーフォワード 代表取締役社長 CEO 辻庸介 氏

目次

辻庸介氏:みなさま、こんばんは。お忙しいところ、お時間をいただき誠にありがとうございます。マネーフォワードの辻でございます。さっそくですが、2022年11月期第1四半期の決算説明を行います。

アジェンダはスライドに記載のとおりです。事業内容、四半期の全社ハイライト、各ドメインの業績、成長戦略の進捗、その他の戦略的な取り組み、今後の業績見通しの順番でご説明します。

MISSION / VISION

事業内容は前回から変わっていません。ミッション、ビジョン、バリュー、カルチャーが非常に強い会社です。「お金を前へ。人生をもっと前へ。」というミッションと、「すべての人の、『お金のプラットフォーム』になる。」というビジョンを掲げています。

ミッション・ビジョン実現に向けた取り組みを通じ、サステナブルな社会づくりを推進

SDGsの目標達成に向けて、重点テーマとして「User Forward」「Society Forward」「Talent Forward」という3つの「Forward」を掲げています。すべての人のお金の課題を解決し、チャレンジできる社会作りに貢献していくというテーマで、ビジネスを展開しています。

新規事業開発とM&A(グループジョイン)により、事業領域を拡大

スライドをご覧のとおり、新規事業開発とグループジョインにより事業領域を拡大しています。

SaaS×Fintech領域で、国内最大級のユーザー基盤とプロダクトラインナップを提供

「SaaS×Fintech」という領域で、国内最大級のユーザー基盤とプロダクトラインナップを提供していることが当社の特徴です。

外部環境の変化に伴い、事業機会が急激に拡大

外部環境の変化、例えば、電子帳簿保存法の改正やインボイス制度、リモートワークの増加などにより、事業機会が急激に拡大しているところです。

共通コアテクノロジーをベースに様々なプロダクトを開発

共通のコアテクノロジーをベースに、さまざまなプロダクトを開発しているところが当社の特徴です。

2022年11月期 第1四半期ハイライト

第1四半期の全社業績ハイライトを6点挙げています。第1四半期は非常に順調なスタートを切ることができたと考えています。期初見通しを大きく上振れて、四半期で過去最大のSaaS ARR成長となりました。

前回お伝えしたとおり、SaaS ARRが我々にとって大きな重点ポイントであり、過去最大のSaaS ARR成長という、よいスタートが切れたのではないかと思っています。

第1四半期の連結売上高は、前年同期比37パーセント増の47.6億円でした。SaaS ARRは、前年同期比40パーセント増の129億円となっています。

特にMoney Forward Businessドメインでは、法人向けのARRが前年同期比47パーセント増と、成長を牽引しています。前四半期でグループジョインしたHiTTO社の影響を除いても、前年同期比40パーセント増と力強く伸びています。

EBITDAは11.6億円の赤字で、広告宣伝費を除くと5.5億円でした。売上総利益も四半期過去最大の31.4億円となっています。

連結従業員数ですが、採用が順調に進んでおり、130名増加の1,389名となりました。また今回、Money Forward Homeドメインにおいて、FP相談を手掛けるNext Solutionさまのグループジョインが決定しました。後ほど詳細をお伝えします。

1Q連結売上高は前年同期比+37%と高成長を継続

ドメインごとにご説明します。Money Forward Businessドメインが前年同期比46パーセント増、Money Forward Homeドメインが前年同期比24パーセント増、Money Forward Xドメインが前年同期比2パーセント増、Money Forward Financeドメインが前年同期比35パーセント増です。

Money Forward Xドメインについては、前期のフロー収益が大きかったこともあり低い成長率に見えていますが、すべてのドメインで順調に成長しています。

SaaS ARRは前年同期比+40%の高成長を実現

SaaS ARRに関しては、スライドをご覧のとおり、法人向けのARRが非常に大きく伸びています。確定申告のシーズンで、個人事業主向けのARRは前年同期比プラス35パーセントと、こちらも成長が加速していると言えます。

売上総利益 / EBITDA(四半期推移)

売上総利益率は66パーセント、調整後売上総利益率は70パーセントです。調整後売上総利益率のところですが、注記に詳細を記載していますが、広告運用の事業を展開するADXLというグループ会社などに関連する調整をしたものです。

広告宣伝費を除くEBITDAは5.5億円、全体のEBITDAは11.6億円の赤字となり、大きく投資を踏んだ第1四半期になったと思います。

費用内訳(売上原価・販売費及び一般管理費)

費用の内訳です。スライドをご覧のとおり、大きく増えたのが広告宣伝費の17億円で、認知獲得のためのテレビCMや、オンラインのマーケティング投資を踏んでいます。人件費についても、Money Forward Businessドメインを中心に人員が増えています。

期初見通し比較(売上高 / SaaS ARR)

期初見通しの比較です。売上高は、最大で43億円を見込んでいましたが、結果的に47億円と、上振れできました。

これには、Money Foward Financeドメインが想定よりも順調であることと、Money Foward Businessドメインの「マネーフォワード クラウド」の法人向けの導入が好調に推移したこと、加えて確定申告の個人事業主ユーザーの獲得が上振れしたところが大きなポイントです。

また、SaaS ARRも上限127億2,900万円と見ていましたが、129億円と上振れています。

期初見通し比較(EBITDA)

期初見通し比較のEBITDAです。マイナス19億円から24億円程度を見通していましたが、マイナス11億5,900万円と上振れしています。内訳としては主に人件費が大きく、アグレッシブな採用計画を敷いていたため、若干人件費が下振れしています。

こちらは中長期の投資において十分に成長可能な採用であり、この四半期の人数増は130名となっています。通期では、よりアグレッシブに採用を進めていきたいと思っています。

従業員数の推移

従業員数の推移です。今年の2月末で1,389名と、非常に採用力が付いてきていると思っています。よい方々にジョインいただいていますが、採用後が重要になってきますので、今はオンボーディングとカルチャー浸透が非常に大事なテーマであり、私をはじめとする経営陣の時間もしっかり割いて、カルチャー醸成に努めている状態です。これだけの人数を採用すると、組織が崩壊するリスクも高まるため、そこは非常に気をつけています。

バランスシートの状況

バランスシートの状況です。主にHiTTO社のM&Aに伴う対価19億9,900万円の支払いによって、現金及び預金が減少しています。今後も引き続き、積極的な成長投資を実行していきたいと考えています。

2022年11月期 第1四半期 ハイライト

続いて、Money Foward Businessドメインのハイライトです。我々の注視している重要な数字は課金顧客数とARPAですが、課金顧客数が20万ユーザーを突破し、前年同期比30.7パーセント増となっています。法人課金顧客数も、9.3万ユーザー、前年同期比27.1パーセント増と、足元では非常に伸びてきています。

ARPAも全体で49,561円、前年同期比プラス11パーセントとなっています。特に法人ARPAが伸びており、93,031円、前年同期比プラス15.4パーセントとなっています。

HiTTO社はARPAが高いサービスですので、HiTTO社のジョインによってARPAが上がっています。一方で、HiTTO社を除いても法人ARPAは88,727円、前年同期比10パーセント増であり、足元ではクロスセルや大型案件が増えていると言えます。

また、法人向けARRに占める中堅企業の比率は30パーセント以上と、順調に増えています。

バックオフィス向けSaaS事業のGross Margin Rateについては、我々はいろいろな事業を行っていますので、今回はSaaS事業の部分だけ切り取って、グローバルなSaaS企業の定義に合わせて数字を出し、80.9パーセントとなっています。

さらに、過去12ヶ月の顧客解約率は1.5パーセントとなっています。確定申告期にはどうしても大きくなるのですが、3ヶ月平均でも1.3パーセントであり、想定の範囲内で推移しています。

Businessドメイン 四半期 売上高推移

それぞれの詳細のご説明です。ご覧いただいているとおり、ストック売上の法人と個人事業主が力強く伸びています。

課金顧客数 、ARPAの成長が加速

このスライドの左側が課金顧客数です。先ほどご説明したとおり、個人事業主が34.1パーセント増、法人が27.1パーセント増と、足元では成長が加速し始めています。

スライド右側のARPAに関しても、法人が93,031円となっています。HiTTO社を除くと88,727円ですが、これは中堅企業向けの一部プロダクトの価格改定や「STREAMED」の好調などが要因であり、前年同期比10.1パーセント増の伸びが出てきています。

導入事例(1/2)

導入事例です。「マネーフォワード クラウド会計Plus」のユーザーが順調に増加しており、ご覧いただいているようなすばらしい企業にお使いいただいています。

導入事例(2/2)

「マネーフォワード クラウド給与」「マネーフォワード クラウド勤怠」「マネーフォワード クラウド経費」「マネーフォワード クラウド社会保険」「V-ONEクラウド」「HiTTO」などの導入企業の例です。東証一部上場企業から中堅企業・IPO準備企業まで、幅広いお客さまに使っていただけるプロダクトに成長してきていると思っています。

Homeドメイン 四半期 売上高推移

続いて、Money Foward Homeドメインのご説明です。順調に成長しており、前年同期比24パーセント増と、四半期では過去最高の売上を記録しています。

『マネーフォワード ME』利用者数 / プレミアム課金ユーザー数推移

「マネーフォワード ME」の利用者数とプレミアム課金ユーザーの推移です。プレミアム課金ユーザーの推移は、1つ前のスライドで示したグラフのプラス26パーセントの部分に紐づくものであり、6億8,100万円のうちの4億6,000万円の部分ですが、順調に直線的に伸びています。利用者数は継続的に増加しており、1,280万ユーザー、プレミアム課金ユーザー数は36.3万ユーザーとなっています。

『マネーフォワード ME』の継続的なUX改善

資産管理・家計簿・予算管理・金融関連サービスの「マネーフォワード ME」については、継続的に機能追加を含むUX改善を実施しています。現在 「マネーフォワード ME」には、ユーザーの18兆円の資産データ、家計の収支データがインプットされています。そのようなデータをもとに、ユーザーにメリットがあるかたちで、金融関連サービスに送客していきたいと考え、現在進めています。

『マネーフォワード ME』プレミアム会員向けに、資産管理機能をアップデート

つい先日、プレミアム会員向けに資産管理機能をアップデートしました。銘柄ごとに、購入した金額と現在の評価が閲覧できるため、評価損益が明確に見えるかたちになっています。ユーザーから早々に比較的よい評判をいただけるアップデートであると思っています。

Xドメイン 四半期 売上高推移

Money Forward Xドメインの売上は若干苦戦しているものの、想定どおりとなっています。売上高は前年同期比2パーセント増でしたが、前年はフロー売上が非常に伸びたことも大きく、今期のストック売上自体は16パーセント増と伸びています。下期は、ストック売上がより伸びると見込んでおり、上期では種を蒔いている状況です。

『マネーフォワード Fintechプラットフォーム』を通じて、金融機関とそのユーザーのDXを更に促進

どのようなことに取り組んでいるかというと、「マネーフォワード Fintech プラットフォーム」を通じて、金融機関とそのユーザーのDXを促進しています。こちらは、今後も継続していきます。

提供サービス数は引き続き増加

現在の提供サービス数は74件で、金融機関のDXニーズの高まりを受けて、順調にサービスを拡大しています。

金融機関の法人顧客向けのDXソリューションを強化、ストック売上比率60%を目指す

下期に特に成長を期待しているのは、金融機関の法人顧客向けのDXソリューションです。前回もお伝えしたとおり、法人向けサービスの売上比率を30パーセント以上にしていこうと考えています。具体的には、ストック売上比率を2024年11月期において60パーセント以上にしていくため、今はプロダクトの見直しや開発などに従事しているところです。

Financeドメイン 四半期 売上高推移

Money Forward Financeドメインについては、請求・決済代行事業が前年同期比53パーセント増まで伸びています。フロー売上となる売掛金早期資金化事業についても、昨年は、審査体制などをもう一度見直そうとさまざまな修正を行っていましたが、ようやく体制が固まってきたため、少し加速していこうとアクセルを踏み始めています。

また、本四半期より三菱UFJ銀行さまとジョイントベンチャーで作らせていただいたBiz Forwardの売上への貢献も開始しています。

凸版印刷との業務提携を開始

トピックとしては、「マネーフォワード ケッサイ」の請求・決済代行のサービス基盤を、凸版印刷さまのお客さま向けに提供させていただく取り組みがスタートしました。

SGシステムとの業務提携を開始

同様に、佐川急便さまとも提携し、我々の「マネーフォワード ケッサイ」のプラットホームを使っていただきながら、SGホールディングスグループさまのお客さま向けに「SG掛け払い」というサービスの提供を開始しました。

4つの成長戦略

続いて、成長戦略の進捗についてです。スライドに記載の4つの成長戦略は、昨年に資金調達をさせていただいたときと同じ内容となっていますが、あらためてご説明します。

様々なステージの企業に対応可能なラインナップ

1つ目は「バックオフィス向けSaaSプラットフォームとしての提供価値向上と最適化されたGo-to-Market戦略の実現」です。プロダクトラインナップが非常に拡充しており、個人事業主から上場企業までご覧いただける状態となっています。

特に中堅・上場企業向けのプロダクトの展開が、「マネーフォワード クラウド会計Plus」を中心に非常に進んでいます。

バックオフィス4領域(経理財務・人事労務・法務・情報システム)にプロダクトを展開

スライドに記載のプロダクトは、青色が経理財務、黄色が人事労務、紫色が法務、橙色が情報システムとなっています。ご覧のとおり、非常に充実したプロダクトラインナップになってきているところです。

プロダクトの継続的な改善による付加価値の向上(1 / 2)

また、なによりも一番大事にしていることは、プロダクトの開発・改善です。数多くのことに取り組んでいますが、今回は代表的なものをいくつかご紹介します。

1つ目は「STREAMED」の証憑連携機能です。添付されたファイルが「マネーフォワード クラウド会計」や「マネーフォワード クラウドBox」にて簡単に取得可能になっているほか、改正電子帳簿保存法にもしっかりと対応しました。

また、振替伝票入力機能も改善に取り組んでいます。会計処理で非常によく出てくる振替伝票の処理のため、入力にエラーがある場合は自動的にメッセージを出して、どこが間違っているのかを判別する精度を向上しています。

プロダクトの継続的な改善による付加価値の向上(2 / 2)

クラウド契約書のサービスに関しては、ユーザーがいろいろなサービスを使用すること、あるいは複数の契約サービスからデータを受領することが想定されます。そのため、「マネーフォワード クラウド契約」には、メールに添付されて契約書が送られてくると、それを自動で取り込んでサービス上に保存してくれる機能を付けています。ユーザーの同意を前提として保存することが可能であり、いろいろなサービスを使っている方にとっても、電子契約の一元管理がさらに簡単になります。

また、「マネーフォワード クラウド債権請求 for Salesforce」については、セールスフォース・ドットコムさまのシステムを使っている方は多いのですが、そのシステム上の顧客情報や商談情報をAPIを通じて取り込むことにより、売上と債権管理が一気通貫でできるようになっており、非常によろこんでいただいているサービス、アップデートになっています。

柔軟性の高いクラウドERPとしてのユニークなポジショニング

我々は柔軟性の高いクラウドERPとして、以前から段階的、部分的な導入を可能としています。そのような拡張性がプロダクト戦略の特徴であり、今のところ順調にこの戦略が進んでいると思っています。

一方で課題もあります。さまざまなサービスの中でマスター管理が難しくなってくるため、それをしっかりと一元化していこうという取り組みを現在進めています。

ユーザーに応じて、効率的なセールス&マーケティングを展開

Go-to-Market戦略については、以前から変わりません。当社のユーザーとしては、士業の事務所とその顧問先、中小企業、中堅企業、個人事業主の4つのターゲットドメインがあり、それぞれのプロダクトや販売方法に沿って適切な方法で拡大しているところです。

認知向上のための施策を強化した結果、『マネーフォワード クラウド』の指名検索数が大幅に増加

今回は広告宣伝費を多く投下していますが、足元は非常によい結果になっているのではないかと思います。例えば、テレビCMをご覧になった方もいらっしゃるかもしれませんが、指名検索数は1.4倍に増えています。多くのユーザー獲得につながっていると考えています。

全国の会計事務所との強固なパートナーシップ

会計事務所との強固なパートナーシップについては、創業以来変わりませんが、現在は上位100の会計事務所のうち、71パーセントが当社の「マネーフォワード クラウド会計」を導入しています。会計事務所にとって「ファーストチョイス」のクラウド会計サービスになってきていると考えています。

会計事務所向けの情報発信を強化し、『マネーフォワード クラウド』の利用を促進

会計事務所向けの情報発信をさらに強化しており、重要なキーワードで検索順位1位を獲得しています。スライドに記載しているとおり、税理士の集客や税制改正、開業3年未満の税理士への対応など、いろいろなコンテンツを作りながら役立つ情報を発信しています。

改正電子帳簿保存法・デジタルインボイス制度への対応をプロダクト・マーケティング両面で強化

今後、非常に注目を浴びるであろう改正電子帳簿保存法とデジタルインボイス制度への対応を、プロダクト開発およびマーケティングの両面で強化しています。

プロダクトにおいては、「マネーフォワード クラウド確定申告」「マネーフォワード クラウド会計」「マネーフォワード クラウド会計Plus」「マネーフォワード クラウドBox」の強化、およびマーケティングの取り組みを強化しています。

SaaS管理の手間と無駄を削減する『マネーフォワード IT管理クラウド』の機能を拡充

2点目の成長戦略「大きな成長余地を有する複数事業への継続的な投資と、事業ドメイン間のシナジー創出」についてご説明します。

アメリカなどは特に、非常に多くのSaaSサービスが出てきていますが、「SaaS管理がどうしても大変」というニーズもかなり出てきています。

「マネーフォワード IT管理クラウド」としてリリースしていますが、退職した従業員のSaaSアカウントの検知・通知・削除を一気通貫で処理可能にする「従業員オフボーディングフロー(β)」という機能の提供を開始しています。

例えば従業員が退職した後もアカウントが残ってしまったりするのは、セキュリティ上大変よくないですし、その結果課金されてしまうことも当然望ましくないため、非常にニーズが高いサービスではないかと思っています。

「BOXIL SaaS AWARD 2022」を実施

「BOXIL SaaS AWARD 2022」は、この四半期も高成長を遂げているグループ会社のスマートキャンプが毎年実施しているアワードです。認知もかなり高まってきており、今回は289ものサービスにご応募いただきました。

ドメイン間のシナジーにより、ユニークな提供価値を創出

ドメイン間のシナジーによってユニークな価値を提供するのが、複数ドメインにまたがるプロダクトと顧客基盤を持つ当社にしかできない独自の戦略です。Money Forward Homeドメイン、Money Forward Businessドメイン、Money Forward Financeドメイン、Money Forward Xドメイン間のそれぞれのシナジーについて、3つご紹介します。

1つ目は確定申告における個人事業主ユーザーの送客、2つ目は金融機関へのOEM提供、3つ目は法人向けサービスの機能連携・提供です。

『マネーフォワード ME』を併用するユーザー数が前年同期比1.5倍

1つ目に「マネーフォワード ME」を併用するユーザー数です。スライドをご覧のとおり、25,058ユーザーから今期は37,661ユーザーとなり、前年同期比で1.5倍ほど伸びています。

これは「マネーフォワード ME」で入力した入出金明細を、自動で「マネーフォワード クラウド確定申告」に連携することを可能としており、「マネーフォワード ME」にきちんとデータ入力することで、確定申告も非常に楽になるサービスが受け入れられたかたちです。

三井住友信託銀行が手掛ける初めてのアプリ『Smart Life Designer』を日本IBMと共同開発

2つ目は、三井住友信託銀行さまが手掛けている「Smart Life Designer」というアプリです。こちらは日本IBMさまと共同で開発しました。個人向けサービス開発のノウハウを活かし、「マネーフォワード X」が開発したかたちです。

中小企業向けにDXポータル『DXF』を今夏より提供開始、地域金融機関19社が参画予定

3つ目のサービスです。先ほど「マネーフォワード X」に力を入れていると言いましたが、これを地域金融機関19社に、この夏より使っていただける予定です。

金融機関の顧客向けDXを推進しようということで、機能が多いなどリッチなSaaSサービスでは、なかなかITに詳しくない方には取っつきにくいため、ITに詳しくない方でも非常に簡単に導入できるDXサービスを、ポータルサイトとして提供していく取り組みです。

これは地域の中小企業におけるデジタル化の第一歩を支援する取り組みです。これから企業が成長したときには、我々の「マネーフォワード クラウド会計」のようなサービスも、ぜひ使っていただきたいと思いますが、まずはその手前にいるユーザーに提供するサービスです。

当社のM&A戦略及びグループジョイン / 出資の実績

続いて、成長戦略の3点目である「過去のPMI実績に示された、規律あるM&A(グループジョイン)戦略の遂行」です。掲げている戦略3点は変わっていませんが、今回新たな実績として、グループジョインではNext Solutionさま、出資では持分法適用をさせていただくsustenキャピタル・マネジメントさまを追加しました。

Homeドメインにおいてグループジョインを含めた提携を加速

特にMoney Foward Homeドメインに関しては、従来から、「マネーフォワード ME」のユーザー1,280万人に対して、いろいろなサービス・付加価値を提供していきたいとお伝えしてきました。

FP/IFA相談の取り組み、資産運用やsustenキャピタル・マネジメントさまとの連携、不動産においてツクルバさまとの連携強化などをしていくところです。

FP相談サービスを提供するNext Solution社のグループジョインを決定

FP相談サービスを提供するNext Solutionさまに、今回グループジョインを決定していただきました。小勝社長が率いる会社ですが、「マネーフォワード ME」を活用したファイナンシャル・コンサルティングをもともと進められていました。従業員数も51名と、経験豊かなファイナンシャル・プランナーの方々が、相談を受けながら保険の提案などをされています。

『マネーフォワード お金の相談』における、ユーザーの利便性向上を共に推進

リアルとネットのつながりという、我々がノウハウを持たない部分について、一緒にノウハウを作りながら、オンラインのサービスでも活かしていこうという取り組みです。

当社が持つユーザーのデータと、Next Solutionさまがコンサルティングを通じて今まで蓄積したノウハウを融合することによって、まず我々のオンラインの「マネーフォワード お金の相談」における、「どういうサービスを使ったらよいのか」というご相談への対応や、生命保険の提案、当社サービスの新たな認知経路の獲得などを行っていきたいと考えています。

このようなノウハウを通じて、AIなどを使い、多くのユーザーにお金の課題を解決する提案をしていくことが、我々の次のステップであり、行いたいことだと思っています。

おまかせ資産運用サービスを提供するsusten社への追加出資

おまかせ資産運用サービスを提供するsustenキャピタル・マネジメントさまへの追加出資についてです。現在、ロボアドバイザー業界はウェルスナビさまが先頭を走っていますが、sustenキャピタル・マネジメントさまの特徴は、絶対収益追求型であることです。これは、マーケットがどのような状況であっても確実な収益を追求する戦略です。もともとゴールドマン・サックス・アセットマネジメントご出身のお2人が創業された会社で、世界トップクラスの高度な分散投資を実現されていることが特徴です。

susten社の3つの強み

金融工学理論と機械学習をもとにした低コストなスキームに加えて、興味深いのが、完全成果報酬型です。利益が出ないと報酬をいただけないスキームになっています。かなりチャレンジングな方針を持たれて、ファンドを運用されている会社です。

このようなsustenキャピタル・マネジメントさまのサービスにしっかり送客しながら、ユーザーがしっかりとリターンを出せる世界を作っていきたいと思っています。

HiTTO社 PMIの進捗

昨年グループジョインしたHiTTO社のPMIについてです。こちらはセールス・マーケティング、プロダクト開発など、いろいろな課題がありながらも連携を強めています。

プロダクト開発面での連携としては、「マネーフォワード クラウド」のHR部門の開発責任者がPMI担当として、HiTTO社にジョインしています。すでに6名ものエンジニアの採用が決定しており、今後の推進が非常に期待できるのではないかと思っています。

また、マネーフォワード自身のAI推進部と連携し、「HiTTO」のサービス共通のAIモデル開発を推進しています。

セールス・マーケティング面でも、マネーフォワードの既存のお客さまに対して、セミナーや新規の提案活動をしていくことで、今回のグループジョインによって今まで以上の成長を実現していきたいと考えています。

ツクルバ社と提携し、『マネーフォワード 住まい』の提供を開始

成長戦略の4点目は、「既存のアセットを活用した新たな事業/プロダクトの開発」です。

先ほどもお話ししたとおり、ツクルバさまと提携して、「マネーフォワード 住まい」というサービスの提供を開始しました。お持ちの不動産の今の価格がどの程度なのか、今売るとどのくらいの利益が出るのかを、すでにある情報を用いて査定できるほか、住宅ローンの情報や内装の価値を踏まえた診断が可能なサービスです。リアルなデータを提供することで、不動産の売買につなげていただこうと考えています。

『マネーフォワード 固定費の見直し』シリーズに、4月13日より「スマホ料金の見直し」を追加

「マネーフォワード 固定費の見直し」シリーズに関して、今までは電気代や保険料についてサービスを提供してきましたが、新たに大きな固定費の1つであるスマホ料金の最適な見直しを追加しました。スマホ料金にはいろいろなプランがあり複雑となっていますが、「スマホ料金の見直し」というサービスでは、100以上のプランから最もお得なプランがわかります。

統合報告書及びESGデータ集(和英)を本日4月13日に公開

そのほかの取り組みについてです。本日、統合報告書およびESGデータ集を公開しました。今回はいろいろな点をアップデートしていますが、特に人事やガバナンスに関する具体的な数字をオープンにさせていただいたところがポイントです。

非常に注目が集まっている人的資本に関して、「人的資本をどのように活用して会社を成長させていくのか、社会に貢献していくのか」ということを、今後は十分にご説明していきたいと思っています。

サステナビリティ委員会を設置

サステナビリティ委員会を設置しました。委員長には私が就任しましたが、社外取締役と定期的に議論しながら、サステナビリティを推進するために必要なことに取り組み、取締役会に状況を報告するかたちとなっています。

社外役員協議会を設置

ガバナンスに関する取り組みの2点目は、社外役員協議会の設置です。社内の人間が一切入らないかたちで、社外取締役および監査役の方々による協議会が設置されました。定期的に意見交換することによって、我々の執行部門に対するモニタリングの質向上を図る取り組みを、新たに開始しています。

中期的な成長投資に関する方針及び2022年11月期の見通し

最後に、今後の業績見通しについてお話しします。方針は1月の公表内容から変わっておらず、継続的な売上高成長率は30パーセント増から40パーセント増の達成を目指します。

また、第2四半期の売上は47.5億円から50.7億円、前年同期比19パーセント増から27パーセント増、第2四半期末のSaaS ARRは前年同期比34パーセント増から38パーセント増を見込んでいます。

Money Forward Xドメインにおいて今夏から提供を開始する「DXF」の売上計上の開始や昨年発表したクラウドのSMBのプラン改定(2022年6月~)の部分が、第3四半期・第4四半期に効いてきて、下期のSaaS ARR成長率の加速に貢献すると見込んでいます。

また、第2四半期も引き続き広告宣伝の効果が非常に好調なため、16億円から18億円くらいの広告宣伝費を投下したいと考えています。そのため、EBITDAは19億円から14億円の赤字を見込んでいます。

損益見通しについては、継続的に翌四半期の見通しをあらためて開示させていただければと思っています。

2022年11月期の業績見通しについて

SaaS ARRです。第1四半期での実績を踏まえ、引き続きMoney Forward Businessドメインを中心に先行投資を加速し、2023年11月における早期のSaaS ARR 200億円を達成していきたいと考えています。CAC Payback Periodの期間も、引き続き24ヶ月から36ヶ月以内にコントロールしていきたいと考えています。

2022年11月期 事業ドメイン別売上高(下限)見通し

事業のドメイン別売上高の下限見通しです。こちらも1月の公表内容から内容は変わっておりません。スライドのとおり、前年同期比30パーセント以上の増加を見込んで、しっかりと取り組んでいきます。加えて、Money Forward BusinessドメインのバックオフィスSaaSが39パーセント増、SaaSマーケティングが24パーセント増、Money Forward Homeドメインが23パーセント増、Money Forward Xドメインが6パーセント増、Money Forward Financeドメインが24パーセント増と見ています。

次のページにもあるように、我々はTAMの非常に大きなマーケットでビジネスを展開しているため、各ドメインでしっかりとナンバーワンを目指し、さらなる成長を達成していきたいと考えています。

非常に駆け足で恐縮ですが、私からのご説明は以上といたします。ご清聴ありがとうございました。

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