厚生年金の平均受給額とは

同じく厚生労働省の「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金加入者1610万133人の受給額は平均で月額14万4366円です。

平均が14万4366円なので、「厚生年金の平均額は約14万円」と言われるようになったのですね。

平均は確かに約14万円です。しかし、ここには気をつけたいポイントが2点あります。1つずつ確認しましょう。

「厚生年金受給額」には国民年金の金額が含まれている

厚生年金加入者は、国民年金にも加入しているとお伝えしました。このことから、「将来は厚生年金に加えて国民年金がもらえる」と誤解する方がいます。

しかし、厚生年金の平均である14万4366円には国民年金の金額が含まれています。国民年金の平均は5万6252円。

つまり、単純に差し引くと厚生年金の単独平均は8万8114円ということになります。

「厚生年金受給額」は差が激しい

平均が14万円といっても、「多くの人がだいたい14万円もらえる」わけではありません。

たとえば5人が次のお金を持っていたとしましょう。

  • Aさん:100万円
  • Bさん:100万円
  • Cさん:100万円
  • Dさん:100万円
  • Eさん:5000万円

この場合、平均は(100万+100万+100万+100万+5000万)÷5=1080万円になります。

でも平均が1080円と聞くと、実態より乖離している印象を受けるのではないでしょうか。このように平均は「一部の値に引っ張られる」という性質があるのです。

特に厚生年金の場合、その金額は現役時代の報酬や加入期間により決まります。

  • 平成15年3月以前=平均標準報酬月額×7.5/1000×平成15年3月以前の月数
  • 平成15年4月以後=平均標準報酬額×5.769/1000×平成15年4月以後の月数

給与事情が人によって違うことから、年金の受給額には個人差が激しいことが予想できます。年金の受給額を知るには、平均だけでなく「分布」に着目する必要があるでしょう。