「令和2年分民間給与実態統計調査」によると平均年収は男性532万円、女性293万円となっています。実にその差は239万円になります。日本においては、この男女の平均年収格差は長いこと社会問題として取り上げられてきましたが、一向に改善の糸口は見つかっていません。

この給与格差は将来の「老後」においても大きく影響してきます。

日本の年金制度において厚生年金は「報酬比例部分」というものがあり、現役時代の収入で将来の年金額が大きく変わってしまうのです。

また、女性の平均寿命は87.74差(『厚生労働省「令和2簡易生命表」』による)となっており、今後もますます長くなることでしょう。

以上のことを踏まえても、女性は男性以上に老後の年金不足対策が必要となります。
今回は、女性の年金受給額を調査し、今からできる備えを考えていこうと思います。

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平均寿命と健康寿命からみる女性の年金

女性の平均寿命は87.74歳と先ほどお伝えしましたが、亡くなる直前まで健康というわけにはいきません。

「健康寿命」と呼ばれる指標はご存知でしょうか。健康寿命とは人の助けを必要とせず日常生活に制限なく過ごせる期間を指します。

女性の健康寿命は令和元年の統計で75.38歳となっています。

つまり、平均寿命と健康寿命の差が長いほどデイサービスや介護施設、家族の支援を受ける身体の状態が長期化することになります。

厚生労働省「健康寿命の令和元年値について」を参考にすると、女性の平均寿命と健康寿命の差は平成13年から一貫して12年以上となっています。

12年もの期間、生活の一部または全部の介護を受ける状況が続けば相当な出費です。

特別養護老人ホームなどの公営の施設は安価で入所できることで知られていますが、応募が殺到し数年待ちということも珍しくありません。

身体の自由が効かず、年金だけでは一般の介護施設の費用は払えないとなれば、家族(主に子ども)にしわ寄せがいくことになるのは容易に想像がつきます。

最近ではシングルを貫く女性も増えていますが、その場合はさらに茨の道を歩むことになるでしょう。

自分を守れるのは自分だけということですから、介護や病気といった備えも含めて老後資金の準備をしたほうが良さそうです。

今後も年金制度が変わる可能性はありますが、老後収入の土台である年金額に見立てをつけておくことが女性の年金問題対策の第一歩であることは間違いありません。