新しい年度が始まりました。自分のキャリアと向き合う方も多いでしょう。

一般的に安定しているというイメージのある公務員の場合、会社員と違い「老後は安泰だ」と考える方もいます。

しかし、実際のところはどうなのでしょうか。

今回は公務員の退職金や年金にフォーカスをあて、それで老後生活を過ごせるのか検証してみたいと思います。

マネープランを考える上でぜひ参考にしてみてください。

【注目記事】夫が先に亡くなったら、妻がもらえる「遺族厚生年金」の受給額はいくら?

公務員の退職金は「2000万円」を超えるのか

公務員は大きく2種類に分かれます。

  • 国家公務員(約58万8000人):国の業務に従事する職員。省庁職員、自衛官、大使、裁判官、国会議員、検察官など
  • 地方公務員(約275万7000人):地方自治体で働く職員。市区町村の役場職員、教員、警察官、消防官、自治体の議員など

まずは国家公務員の退職金から見ていきましょう。

国家公務員「定年退職」の平均退職金

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出所:内閣官房「令和2年度退職手当の支給状況」

出所:内閣官房「令和2年度退職手当の支給状況」

内閣官房の「令和2年度退職手当の支給状況」によると、「定年退職」を事由とする場合の平均退職金は次の通りです。

  • 常勤職員:2142万1000円
  • 常勤職員のうち「行政職俸給(一)適用者」:2127万9000円

どちらも2000万円を超えることがわかります。ちなみに全退職事由を合わせた合計の平均退職金はこちらです。

  • 常勤職員:1023万9000円
  • 常勤職員のうち「行政職俸給(一)適用者」:1507万4000円

自己都合退職なども含めると、2000万円には届かないようですね。

しかし定年まで勤め上げるのであれば、2000万円というのは一つの目安となりそうです。

地方公務員「定年退職」の平均退職金

続いて地方公務員の退職金も確認しましょう。地方公務員は都道府県や市町村などに属するため、給与の出どころはバラバラです。そのため地域や職種により平均額は異なります。

ここでは参考までに、都道府県に勤める一般職員のうち、一般行政職の平均退職金を見てみましょう。

  • 60歳定年退職者の平均支給額:2164万8000円

60歳で定年退職をする場合、平均で2000万円を超えています。ただし一番高い静岡県は2349万2000円、一番低い福岡県は650万2000円と、地域によっても差があります。

公務員は「年金」をいくら受給できる?

公務員は会社員と同じく、国民年金と厚生年金に加入しています。しかし2015年10月までは、共済年金という3階建ての年金制度でした。

公平性を確保するために2階部分が厚生年金に統一され、3階部分である「職域加算」が廃止されたのです。

しかし、それまで共済年金に加入していた方は加入期間に応じた職域加算分が受給できます。つまり、一般の会社員よりは上乗せした年金が受給できる可能性もあるのです。

また会社員にとっての企業年金と同じようなしくみとして、「退職等年金給付」が3階部分に新設されています。

自分で掛け金は支払うものの、これにより上乗せされた年金を受給することも可能です。

例えば国家公務員共済組合連合会によると、上乗せされるモデル年金額は月額1万4958円とされています。

※全期間の基準利率が0.00%、平均標準報酬月額が40.5万円、加入期間が平成27年10月以降の40年、受給開始が65歳、有期退職年金の受給期間が20年の場合

厚生労働省の「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の平均は約14.4万円。

ここに国家公務員のモデル年金を上乗せすると、月額約16万円になります。

公務員は「退職金」と「年金」で老後を暮らせるのかシミュレーション

平均的な退職金と年金を受給した場合、老後を過ごせるのかシミュレーションしてみましょう。

65歳に定年退職・年金を受給し、90歳まで生きると仮定した収入

退職金は2000万円
年金は16万円×12ヵ月×25年=4800万円
合計6800万円

65歳以降の支出

総務省の「家計調査 家計収支編2021年第2表」によると、65歳以上単身世帯の1ヵ月の消費支出は13万7210円です。

13万7210円×12ヵ月×25万円=4116万3000円

つまり単身世帯の場合、平均通りの年金や退職金を受け取れば赤字になることはありません。

しかし、それでも安心できない理由が3つあります。

公務員でも老後は安泰とはいえない3つの理由

公務員であっても老後資金は自分で用意する必要性が高まりつつあります。

年金受給額はマイナス傾向にある

かつては待遇の良かった公務員の年金も、2015年10月からは厚生年金に統一されました。

また公的年金の受給額は、ここ2年マイナス傾向にあります。賦課方式である以上、今後も少子高齢化が進めば受給額が減る可能性は十分にあります。

さらに年金の受給額は現役時代の報酬によって決まるため、誰もが平均通りの年金を受給できるとは限りません。個人差があることに注意しましょう。

退職金は民間の水準に合わせられる

公務員の給与水準は、民間の動向に合わせて数年後に調整されます。コロナの影響で不景気となった企業に合わせ、国家公務員のボーナスも減少傾向にあります。

同じように退職金の金額も減ってしまう可能性は高いでしょう。今の働き世代が現在の水準を受給できる保証はないのです。

生活費の目安は個人差が大きい

先ほどの試算で使った支出額は、総務省の統計による平均値です。当然家族構成や居住地などによって支出額が変わるでしょう。

例えば項目別に確認すると、住居費が1万3310円になっています。ここには住宅ローン返済額は含まれていないので、ローンが残っている人は支出額が増えます。賃貸住まいの方も、家賃分の上乗せが必要になるでしょう。

医療費や介護費なども増えると予想できます。

このように、老後資金については不確定の要素が多く存在します。「たくさんもらえるから大丈夫だろう」とは楽観しすぎず、着実に資金を貯めておきたいですね。

参考資料

太田 彩子