日本では部活動の練習時間の長さが話題になることは多いですが、個人的にはイタリアでのサッカーをみてきた経験も踏まえて「練習は1週間に3日まで、1回の練習は90分」というのが理想だと考えています。
理想の練習時間が「90分」に限られるとすれれば、まさかその90分間ずっと走らせるわけにはいきません。
監督たちは自ずと「質の高い練習メニュー」を模索しなければなりません。
「質の高い練習メニュー」が凝縮された90分間には、走り込みや筋トレを強いたり怒鳴ったり殴ったりする時間なんてものが入り込む余地は一切ありません。
週末の試合から逆算した理想の練習は「週3回、1回の練習時間は90分」
「週末の試合で最高のパフォーマンスを発揮する」
この目標から逆算してスケジュールを組む。そうすれば自ずと週に3日の休養が必要になることが理解されるでしょう。
ところが現状は、毎日の練習をがっつり積み重ねた上で週末に試合。つまり、疲労をがっつり蓄積させた上で試合。もはやその非合理性は説明するまでもないはずです。
公園での「ボール遊び禁止」こそ禁止を
何よりも大切なのはちゃんと食べること、たくさん遊ぶこと、しっかりと休むことなのだから、練習が休みの日でもボールを蹴りたいという子は迷うことなく近所の公園へ行けばいいということになります。
遊びと練習は別物だからです。仲のいい友達と一緒に遊ぶサッカーって最高に楽しくて、その楽しさこそが上手くなるために一番大切な要素なのですから、怒鳴り声が響く部活の練習なんかより格段に有益なのです。
だからこそ、日本の大人の方々、「公園でのボール遊び禁止」なんていう杓子定規の典型みたいな看板は今すぐ取り払ってしまうのがよいと思います。
「どうしても危ない」というのなら、公園の一画にフットサルのコートを作ればいい。そして、そのコートをフェンスで囲んであげればいいと思います。
こうすればボールが飛んで出て行くこともないし、車にぶつけられたからって怒鳴り散らす面倒なおじさんもいなくて済むし、子供たちは思いっきりボールを蹴ることができます。
制限のある環境でこそ「マリーシア」が生まれる
実は、このコートをフェンスで囲むってところがポイントで、囲まれているからこそできる遊び方というのがあって、その〝遊びの方法〟こそが上手くなるために最も有効なんです。
しばらく前に日本で随分と「マリーシア」って言葉が語られていました。それはイタリア語だと「アストゥツィア」だったり「マリツィア」となって、意味は「狡猾さ」。
要するに、ズル賢さだったり抜け目のなさだったり。ざっくり言ってしまえば、マラドーナやロナウジーニョにみる他とは明らかに質の異なる巧さ、その正体。これを身につけようとする上で最も理に叶う遊び方がいくつもあるのです。
紙幅の都合で本項では紹介できないのですが、ここで言う遊び方は拙書「カルチョの休日」に載せているので、興味がある方はそちらを軽く覗いてみてくださいね。
年齢で分けるカテゴリーについて
日本では高校生年代を一括りにして「U18」、中学生年代は「U15」とする考え方が主流のようですが、これも大急ぎで改めるべきでしょう。
ではどう改めるのか。これまた答えは難しくありません。単に一学年単位でカテゴリーを分ければいいだけの話なのです。
イタリアに限らずスペインもドイツも他の国々もみんなそうしているのには理由があって、16歳の子と18歳の子では体力の差があまりにも違い過ぎる、つまり一緒にやるのは極めて危険だということです。
そこで、学年毎に分ければ、例えばの話、こういうスケジュールを組むことだってできるわけです。
- 1年生:練習「火・木」、「土(戦術確認・調整のみ)」、試合「日」
- 2年生:練習「水・金」、「土(戦術確認・調整のみ)」、試合「日」
- 3年生:練習「月・水・金」、試合「土」
上の例では2年生と3年生チームが重なる日もありますが、各々ハーフコートで十分に質の高い練習ができるので問題なしです。
使えるグラウンドは一面しかない、でもどうしてもフルコートでの練習が必要だというのなら、時間をズラせばいいと思います。
練習だけでなく試合も学年毎に別々なので、後輩が先輩に気を遣う必要もなくなる。試合の数が増えるので、より多くの子供たちに出場の機会が与えられることになります。
何のための練習か
練習は試合のためにやっているのですから、試合に出られない子供が数多くいるとの現状が〝異常〟であると広く認識されなければなりません。
試合数が増せばそれだけ監督さん(教員)たちの仕事は大変になるかもしれないけど、そこのところは有資格者の外部コーチを雇うなりすればいいと思います。そもそも教員がサッカー部の監督であること自体、これもまた異常なのですから。
教員は教職に専念し、部活は専門知識を持つコーチに委ねるべき。そのための予算確保が難しいなどとは言えないはずです。国(文科省)と「世界で最も裕福な協会」と言われる日本サッカー協会が本気にさえなればいくらでもできるはずですから。
宮崎 隆司