2022年3月25日に行われた、株式会社LeTech 2022年7月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社LeTech 代表取締役社長 平野哲司 氏

目次

平野哲司氏(以下、平野):ただいまより、株式会社LeTech、2022年7月期第2四半期の決算説明会を始めさせていただきます。私は代表取締役社長の平野と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。

ご視聴のみなさま方にはご多用の中、この決算説明会にご参加いただき本当にありがとうございます。今回は新型コロナウイルスの感染拡大に備え、感染リスクを低下させるため、ウェビナーでの決算説明会とさせていただきます。

本日は、この3つの項目について順次詳しくご説明します。

会社概要

はじめに、会社概要です。ご存じのとおり、弊社は2000年に株式会社リーガル不動産として創業しました。この会社名の持つ意味は、祖業として、いわゆる不良債権の処理、破産・倒産事件の物件の任意売却の仲介とコンサルティングを主な業務としてスタートしたことです。リーマンショックまでの約10年間はそのような案件が多数あり、私どももその業務に専念し、社業を発展、拡大させてきました。

2008年のリーマンショック以降、新しく金融円滑化法という法律ができ、不良債権の処理がなくなり、それとともに2010年以降の私どもはいわゆるデベロッパーとして不動産を購入しバリューアップする、あるいは開発して新しいものに建て替えるなどの取り組みを始めました。そして、そのボリュームを大きくすることにより、企業の発展を推進してきました。

2012年に東京に支店を開設し、東京でのマーケティングを開始しました。後ほど詳しくご説明しますが、2015年に「LEGALAND」という商品をマーケットに投入し、これが東京でヒットし業績の牽引車となり、2018年に東証マザーズに上場しました。

2020年以降の新しい10年でどのようにチャレンジしていくかというテーマに関しては、私どもは新たにデジタルトランスフォーメーション事業の推進として、不動産テック事業における不動産オーナーの新しいプラットフォームである「YANUSY」というサイトを立ち上げ、これを拡大、発展させてきています。これを2030年までの新しいマーケットとして発展させていく取り組みを行っています。スライドの右側に記載した、マネジメントチーム4名で取り組んでいるところです。

事業概要(セグメント区分別)

ご存じのように、不動産事業を中心とした3つのセグメント事業を展開しています。最も中心となる不動産ソリューション事業では、問題のある物件を仕入れ、その問題を解決し、マーケットに受け入れられる新しいものにバリューアップし、マーケットに投入します。この物事を解決する作業自体を事業化しています。

不動産賃貸事業では、効率的に資産を保有し、その利回りや収益性を上げる取り組みを行っています。そして、祖業の不動産コンサルティング事業、すなわち、任意売却の仲介業務にしっかりと取り組んでいます。

LeTechの特徴・強み

私どもの特徴、強みを振り返ります。任意売却のコンサルティング仲介などで培った、不動産における法律知識を強みとした柔軟かつ迅速な企画・開発力、総合不動産デベロッパーとしてのハイブリットな事業戦略、そして、DXの推進により、公共性や利便性、迅速性といった新たな価値を創造します。

このような特徴を持ち、地域、用途、規模に関わらず、不動産価値を最大化・最適化させる提案力、また、大阪・東京それぞれの事業環境を見極めた最適な事業戦略の構築、そして、変化する事業環境に対して自らも変化させる柔軟性を強みとし、事業を展開してきました。

発展と歩み

初期の10年間は、任意売却を中心とした不動産コンサルティングを個人の能力で拡大・発展させました。2010年からの10年間は、チームを作って物件の問題解決し、そして新しく開発能力を身につけ、東京・大阪と多面的に展開していく時代でした。

そして、2020年からの向こう10年間は、「YANUSY」によってネットワークを構築し、直接ユーザーの方々がアクセスできるプラットフォームを作ることにより、多様な事業展開を進めていこうと思っています。

2022/7期2Q損益計算書

第2四半期決算概況のご説明です。売上高は前年同期比65.7パーセントの減収、四半期純利益は前年対比マイナス41億6,314万円となりました。2022年2月16日に売却損の発生する大型販売物件の売買契約を締結したことにより、この第2四半期に棚卸資産の評価損28億3,693万円を計上したことから、四半期純利益は大きく減益となりました。

2022/7期2Q決算のセグメントの状況

セグメント別の成績です。不動産ソリューション事業は「LEGALAND」の販売を積み重ねましたが、売上計上の過半が下期となったほか、大型物件の棚卸資産の評価減により、前年同期比で減収減益となりました。

不動産賃貸事業は長期的な収益と引き合いの状況を考慮し、相当程度の販売用不動産を売却した結果、賃貸収入に関しても前年同期比で減収減益となりました。また、その他事業は、前事業年度末に介護事業を事業譲渡したことにより、売上ボリュームが減少しました。以上により、前年同期比で減収減益という成績です。

2022/7期2Q決算の経常利益の増減要因分析

経常利益の推移を簡単にグラフ化しました。先期の経常利益は5億1,019万円ほどでしたが、今般の不動産ソリューション事業における大型販売物件のマイナス計上により、売上総利益は減益、その他事業等も減収減益です。

しかし、販売管理費等の経費節減にもかなり取り組み、6億3,951万円減少した結果、2022年7月期第2四半期の経常利益は33億4,750万円のマイナスとなりました。

2022/7期2Q決算の財務状況

これにより有利子負債が18億6,037万円減少し、四半期純損失38億7,223万円の計上により、自己資本比率が前年の13.9パーセントから2.9パーセントへ低下しています。

第2四半期までの振り返りと今後の展開①

今後の事業戦略をご説明します。まず、2022年7月期第2四半期の振り返りをしたいと思います。

主力商品の「LEGALAND」は5棟の売上計上となり、堅調に販売実績を積み重ねています。2022年2月には「LEGALAND」10棟のバルク販売契約を締結しました。引き続き、マーケットから高い評価を得ていると理解しています。スライドに写真等を記載していますように、この2022年3月より、順次これらの「LEGALAND」をお客さまに引き渡し、売上計上していく予定です。

そして、この新型コロナウイルスによるインバウンド市場の減退を鑑み、先ほどもお伝えした大型開発案件を処分実行しました。これらの理由については、また後ほどご報告したいと思いますが、この第2四半期決算において評価減を計上し、販売売上は第3四半期に計上する予定です。この純損失の計上により自己資本が低下し、財務基盤が棄損している状況です。

第2四半期までの振り返りと今後の展開②

振り返りに対する今後の展開ですが、まずは長期安定資金の獲得および資本政策による自己資本の増強を図りたいと考えています。財務基盤を安定させ、正常な事業運営への立て直しを図ることが喫緊の課題と理解しています。

報酬制度や業務委託内容などの見直しもしっかりと行い、経費の節減を推進します。期初計画立案時点では、スライド下部の表にあるように3億円の販管費削減を見込んでいましたが、足元の状況を鑑みてさらに経費節減を促進し、現時点で6億3,951万円ほど節減を進めています。

第2四半期までの振り返りと今後の展開③

大型開発案件の処分により有利子負債が削減され、非常にスリム、かつ筋肉質な体制になったと理解しています。経営体質を身軽にすることで、ご支援いただいている各金融機関とのリレーションの改善および強化していく流れを順次進めています。このように、V字回復を進めるためのバックアップを行っていただきます。

低層賃貸マンションシリーズ「LEGALAND」

当社の強みである「LEGALAND」を主軸として、不動産開発による資金回収を進めていきます。資金回収の早い案件を有効的に組み合わせて、手元現金を増加させることで、不動産開発の原点に回帰していきたいと考えています。

主力商品の「LEGALAND」について、詳細にご説明します。そこまで大きな物件ではなく、敷地面積も比較的狭小で、賃貸マンションの戸数は10部屋から20部屋程度のものが多いです。売値はだいたい3億円から5億円で、個人の富裕層の方々に、利回りまたは相続対策を目的としてご購入いただくことが多いです。昨今はバルク販売ということで、複数の物件をまとめて外資系ファンドなどに販売するケースも増えてきました。

特徴としてはスライドの写真が示すとおり、バルコニーも階段もなく、だいたい4階から5階建てです。狭いところでも土地を有効に利用して、賃貸可能面積を可能な限り増やし、効率的に収益を上げています。メンテナンスも非常にシンプルで、管理費用のコスト削減を図るデザインとして建てています。

物件別賃料相場の状況

スライド左側のグラフを見ると、新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、オフィスビルの賃料はかなり下落傾向にあります。一方、右側のグラフからは、マンション賃料については非常に底堅く、堅調に推移していることがわかります。特に首都圏地域においては、マンション需要が非常に堅調で、「LEGALAND」のコンセプトもマッチしています。

「LEGALAND」の開発状況

スライド上のプロットで「LEGALAND」の開発状況を示しています。東京においては、大半が山手線の内側または外周部となっており、都心エリアで、かつ資産性が維持しやすい立地で開発を推進しています。

不動産オーナー向けプラットフォーム『YANUSY』

現在開発に注力している、国内最大級不動産オーナー向けプラットホーム「YANUSY」についてです。このメディアサイトは、おかげさまで月間ページビューが100万PVを超えており、オーナー会員数も1万人を超えました。本当に役立つ情報を提供することで、不動産オーナーの方々によろこんでいただけるようなサポートを行うツールとしてスタートしています。

また、「YANUSY」を起点に、それぞれのユーザーの投資経験にマッチしたサービスを順次展開していく予定です。

YANUSYを通じた既存事業の成長ビジョン

創業より培った強みは、まさに「LEGALAND」を主軸とした不動産開発力、ソリューション力、提案力です。当社ならではの強みを活かして、競合社の半歩先をいくような事業を展開したいと考えています。

まずは基盤になる創業からの事業を展開し、さらなる成長に向けて競争軸の拡張を果たし、その事業をDX事業などによってさらにパワーアップしていく戦略です。

不動産オーナーのステップアップをサポート

「YANUSY」の使い勝手と言いますか、考え方をご説明します。スライド左側に「不動産への興味」とありますが、不動産を持っていなくても「投資してみたい」「不動産を知りたい」という方や、すでに投資などを実行してオーナーになっている方に、「YANUSY」の会員になっていただきます。

「YANUSY」ではさまざまな不動産に関するデータや有益な情報、ニュースなどを会員の方々に提供しています。これによって不動産がより身近なもの、投資がもっと気楽なものとして考えられるような、言わば教育を受けていただくことができ、その先に投資が開始されるという進め方です。

最初は「YANUSY Funding」にて小口化商品をご提供しています。10万円、20万円、30万円という規模の投資から始めて、アッパーマス層から富裕層になっていく過程で現物不動産を購入でき、さらに「LEGALAND」のような超富裕層として一棟物の不動産を所有していただけるようにもなります。

20年から30年かけて不動産投資に関するリテラシーを向上することができ、そのような方の成長をサポートしていくためのツールが「YANUSY」でありたいということです。超富裕層に対しても大きなサービスを拡充し、展開していく計画です。

不動産オーナーの投資経験に応じたサービス提供

小口から始められる不動産投資サービスとして、クラウドファンディング「YANUSY Funding」を提供いたします。さらに、不動産売買を支える情報サービスを新たにラインナップしていきます。購入した不動産管理のマネジメントに加え、オーナーの方々の疑問やお困りごと、運用課題を解決できるようなサービスも提供していきます。

原状回復工事DX(Digital Transformation)に向けた取組み

当社は原状回復DXに特に力を注いでおり、現在はスライドに記載しているような課題に取り組んでいます。当社はもともと原状回復工事の工事業者として、この業務を推進してきました。

業界課題として、原状回復に関わるトラブルの抑止、費用負担の適正化というものがあり、国土交通省がガイドラインを公表しています。そのガイドラインに準拠した適正な対応が求められる中、費用負担区分、要するに退去される借主と不動産オーナーとの間の原状回復工事の費用をどのように負担するかということに関して、多くのトラブルが発生しています。

オンライン化が非常に困難な業務フローであり、現場で立ち会う必要があるとともに、借主あるいは事業者においても知識が足りていない部分があるため、ガイドライン等の十分な理解が求められるところです。

ここには非常にいろいろなケースがあり、借主と事業者の知識の格差など片方の知識不足により、どうしても現地立会を前提とした業務になってしまうことがあります。どのように対処していくかの方向性として、工事自体の豊富な実績や積み上がったデータをもとに、国土交通省のガイドラインに準拠した判定をすべてAIで実施できる機能を開発しています。

原状回復工事DX 開発体制/サービス構想

借主や不動産オーナー、事業者がオンライン上でAI判定を取得できるサービスを実装し、原状回復工事に関わる費用負担の適正化、業務のオンライン化を実現していきたいと思います。AI開発体制として、関連技術や豊富な実績を有するパートナー会社や、産学協同研究開発の慶應義塾大学とともにAI機能の開発を進めています。

「YANUSY」上にAI機能を実装し、原状回復工事の適正な判断に役立つ情報を提供していきます。また、当社も工事業者であるため、自社業務システムにもAI機能を実装し、豊富な実績をもとにシステム・業務フローをブラッシュアップしていきます。オーナー、管理会社、借主、事業者のすべてをつなぐプラットフォーム機能をサービスとして提供していきたいと考えています。

今後の業績予測

今後の見通しです。2022年7月期通期の業績予想については、先ほどもお伝えした大型開発案件の評価減の影響は大きいものの、各種案件の進捗も含め精査中であり、現時点では期初計画を据え置きします。資本政策を含めた資金調達により仕入れを加速させ、中期経営計画に掲げた2024年7月期の業績回復を達成していきます。

株主優待制度

みなさまに好評いただいている、「LeTechプレミアム優待倶楽部」を継続します。株主のみなさまのご支援に感謝するとともに、より多くの方に当社の事業活動への理解を深めていただきたいと思います。

本日は決算説明会にご参加・ご清聴いただき、誠にありがとうございました。

質疑応答:大型案件の評価減による第3四半期の売上総利益について

質問1:大型案件の評価減を第2四半期に計上し、売上については第3四半期に計上するとのことでしたが、第3四半期を単独で見ると売上が大きく計上されるため、粗利はゼロになるということでしょうか?

平野:おっしゃるとおりのご認識で問題ありません。大型案件については、決算手続きを行う2月に売却したことにより、予想される損失を第2四半期決算の数値に含めて計上しています。また、売却が実現される第3四半期に売上を計上することで、売上総利益はゼロとなるわけです。ただ、公表済みである「LEGALAND」のバルク販売など、第3四半期に売却となる物件もあるため、全体の売上総利益としては当然プラスになる予定です。

質疑応答:人件費削減について

質問2:人件費は前年同期比で2億円の削減と記載していますが、2021年3月決算説明会の資料と照らし合わせると、従業員が70名ほど減少していると思います。これは単純に介護事業の社員がいなくなった分の人件費減少になりますでしょうか?

平野:おっしゃるとおり、介護事業に従事していた方は約70名いました。ただ、介護事業に従事する従業員の人件費については、今まで介護関連の売上に対する売上原価として計上しており、人件費ではないため前年比には影響していません。人件費の削減としては、役員報酬やそのほか報酬制度の変更などによってかなり削減できている状況です。

質疑応答:決算に対する金融機関の反応について

質問3:銀行融資の成否は御社にとって不動産開発の面でも大きな影響があると思いますが、今回の決算を受けて金融機関の反応としてはどのような状況でしょうか?

平野:おかげさまで、現在は金融機関からのネガティブなご意見はいただいていません。ただ、大きな損失や自己資本の低下については説明していかなければならないと思っているため、今後の進め方を説明し、ご理解いただいている状況です。

質疑応答:AI開発の課題や実現の可能性について

質問4:AI開発に向けた課題や実現の可能性についておうかがいしたいです。

平野:慶應義塾大学やAVILENとの連携により、先ほどお伝えした原状回復工事DXのAI機能実装を進めています。当社が現場で対応している工事実績のデータ量を集めていくことで、一定の精度を確保できることはすでに確認しているため、実現可能だと考えています。

詳細設計を進める中で、工事のパターンや必要なデータ数が当初思っていたよりもかなり増えていますが、工事実績を積み上げている今のペースでデータ収集を進められると、来年度にはAIサービスを実装することができ、サービスを開始できる見込みです。サービス実装後もデータはどんどん積み上がりますが、AIが学習し、学習量が増えると精度が上がるため、このデータ量の蓄積が強みとなっていくと考えています。

質疑応答:売上総利益に対するインバウンドの影響について

質問5:売上総利益の損失が大きかったとのことですが、現状の賃貸住宅のマーケットで減損となる計上には少し違和感があります。インバウンドの影響について具体的に教えていただきたいです。

平野:大型開発案件は、まさにインバウンド向けのホテル開発用地として購入したため、コロナ禍の影響によるインバウンドの減少により減損につながったと考えています。この大型開発案件のみが評価損となっており、それ以外の事業においてはすべて黒字です。予定どおりの進捗状況であり、特に賃貸マンションの「LEGALAND」に関しては、販売棟数を堅調に増やしています。

ただ、このような中でも大型開発案件の損失が多大であったため、全社数値に影響が出ている状況です。ホテルや観光向け民泊マンションなどの運営に関しては、これから戻ってきていただかないといけない状況が続いているため、引き続き力を入れていきたいと思います。

質疑応答:「YANUSY」の強みについて

質問6:「YANUSY」の強みについて、GA technologiesとの差別化も含めて教えていただきたいです。

平野:当社の「YANUSY」は不動産オーナー向けのサイトであり、根本的に向いている方向が異なります。不動産を持っているということは、逆に言いますと貸す側になります。持っている不動産を投資用として賃貸に回している方向けのサイトであり、そのような方のお困りごとを解決する、あるいはいろいろなものにもっと投資していただくようなサービスを付加しています。

そのため、売りたい人・買いたい人向けの単なるマッチングサイトではなく、一般的な不動産投資に向けての教育を進めていく、投資家の方々を育てていくようなサイトになってほしいと思っています。GA technologiesさんのサイトは、「RENOSY」などがあると思いますが、どちらかと言うと賃貸で借りている側のサイトであるため、サイトの向きが逆方向であるとご理解いただければと思います。

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